太陽とひまわりの仲間達との暗殺教室   作:籠野球

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皆さんどうも籠野球です。

お待たせしてすみませんm(_ _)m
日付が変わる前に投稿したかったのですが、こんな時間になっちゃいました(夜勤明けで昼寝が長くなっちゃいました(笑))

ゴールデンウィーク位までは少なくとも多忙な毎日ですが、頑張っていきたいと思います!!

それでは、どうぞ!!


六十七時間目 駒の時間

太陽side

 

シロ達の襲撃から一夜経った朝、「ひまわり」の登志の部屋で俺は登志に声をかけていた。

 

「どうだ?登志」

「うん、打撲と擦り傷程度だから1日あれば治るよ」

 

腕に包帯は巻いてるが、特に大丈夫そうだな。よかった・・・

 

「しかし、いくら油断してたとはいえ動体視力の優れるお前がまともに喰らうなんてな・・・」

「正直、並のスピードじゃなかったよ。イトナ君の触手」

 

あの時のイトナ、とても普通の様子じゃなかったからな・・・

 

昨日の事を思い出していると、大賀が部屋の外から覗いてきた。

 

「登志、飯出来たけど学校行くか?」

「うん、行くよ。イトナ君がどうなったかも知りたいし」

「了解」

「無茶はすんなよ、登志」

「そんなに心配しなくても大丈夫だって。過保護過ぎるよ、太陽は」

 

まあ、笑う余裕があるなら大丈夫か。おっと、俺も急いで準備しねえと。

 

 

 

「だ、大丈夫ですか?鶴田さん」

「ああ・・・太陽君。いや・・・ちょっと烏間さんに軽率にシロに協力した事を叱られてね」

 

 E組に着いた俺達の前に現れたのは、頭に漫画みたいなたんこぶを作った鶴田さんだった。

 

「すまない、用事があるのでこれで」

「あ、はい」

「烏間さんの殺人げんこつ・・・直径4センチに渡って頭髪が消し飛び、頭皮が内出血で2センチも持ち上がる恐ろしい技です・・・」

 

俺らの後ろから園川さんが身体を震わせながら解説をしてきた。漫画みたいなたんこぶ作れるなんて、人間辞めてるよな・・・烏間先生は。

 

「・・・ま、それよりも面倒くさいのが今は残ってると思うぞ」

「何が?威月」

「(ガラッ)やっぱりな」 クイッ

 

登志の問いに答えずに教室を開けた威月はそう呟くと、俺達に親指で教室を見るように促してきた。見てみると、

 

「(つーん)・・・」

「わ、悪かったってば!殺せんせー」

「俺等もシロに騙されて疑っちゃってさ」

 

文字通り、口を尖らせた殺せんせーをクラスの皆がご機嫌取りをしていた。どう見ても拗ねてるな・・・

 

(なるほど・・・確かにあれは面倒くせえ)

「先生の事はご心配なく、どーーーせ体も心もいやらしい生き物ですからね」

 

そう言うと、殺せんせーはより一層口を尖らせた。子供みたいだな・・・

 

「ったく・・・元はと言えば、アンタが普段から勘違いされてもおかしくない行動ばっかしてっからだろうが。これに懲りたら少しはまともな生活送りやがれクソタコ」

「なっ!?何を言うんですか、威月君!?今回の事件もシロさんがやった事でしたし、先生の真面目さは証明されたでしょう!!」

「ほう・・・真面目な先生は、クラスの女子のカップ数調べたり、街中の巨乳の女性リスト作ってもいいと?」

「にゅ、にゅや?」

「あ、エロ本拾い読みしてもいいのか」

「あ、あの・・・」

「触手ブラさせて下さいなんて手紙出してもいいんだもんなぁ。いやあ、良いご身分っすよねぇ、真面目な殺せんせー」

「・・・威月君、もうそれ位でご勘弁を・・・」

(うわぁ・・・威月の奴、古傷抉りまくってる。殺せんせーも遂に顔を覆い始めたな)

 

やっぱり威月だけは敵に回したくないな・・・

 

「てか、今は殺せんせーよりもイトナの心配するべきだ。結局捕まえられなかったんでしょ?」

「・・・えぇ。シロさんが言った通り、触手(この)細胞は人間に植えて使うのはあまりにも危険すぎます。おまけに、今の彼はいつ暴走してもおかしくありません。早く見つけないと・・・」

「奴の言い方じゃ、タイムリミットまで・・・長くて後2日弱ってとこか」

 

だが触手持ってる奴相手じゃ、警察も歯が立たないだろうし・・・触手についてある程度知ってる俺達が動くしかねえか。

 

「どっちにしろ、雲隠れしちまって情報が何一つ入ってきてねえし、律にネット潜って貰って情報集めるしか今は手がないんじゃないか?」

「だな、何回も悪いが任していいか?律」

「いえ!!お任せ下さい!!」

 

今日の内にイトナが何かしら行動を起こしてくれればいいんだが・・・

 

 

 

太陽side

 

「椚ヶ丘市内の携帯電話ショップが何者かに破壊される事件が2日間で数件発生しています!!どの現場もあまりにも損傷が激しい為、警察では複数人による犯行の線で調査を・・・」

 

 イトナがいなくなってから2日後の朝、俺達は律のモニターに映し出されたニュースに釘つけになっていた。

 

「この壊れ方・・・普通に殴っただけじゃ無理だよな?」

「ええ、先生には分かります。これは触手でなければ出来ない」

「・・・イトナの仕業か」

 

相当暴走してんな。早いとこ止めねえと、被害が増える一方だな。

 

「でも、何で携帯ショップばっかり?」

「恐らくは、そこに奴が力を求める理由があるんだろうな」

 

不破の呟きにそう返した事で、皆が腕を組んで壁にもたれかかっている威月を見た。

 

「どんな人間にも、強さを求める何かしらの理由があるもんさ。俺が両親の仇を取ろうと思ったようにな」

「威月・・・」

「んで、どうするんすか?殺せんせー。今日の夜がタイムリミットなんすよね?」

 

確かに今日で3日目だ・・・シロの言ってる事が本当なら今日中に捕まえないと。

 

「勿論、先生が責任持って彼を見つけ出して止めてみせます。あの子の担任として」

「でもよお、わざわざそこまでやる義理あんのか?」

「あいつの担任なんて形だけじゃん」

「シロが絡んでる以上、裏でまた何企んでっか分かんねえぜ?」

 

そう言いきった殺せんせーに、全員が何とも言えない顔でそれぞれそう言った。

 

「あのシロって奴、自分以外の全てが使い捨ての駒って性格みたいだし、放っといた方が賢明だと思うけどね」

(正直、俺もカルマと同意見だな。ああいう奴は何をしてくるか分からないからこそ厄介だ)

「・・・それでも、先生は彼の担任です」

 

そう言いながら、この殺せんせーは窓をガラリと開けた。

 

「殺せんせー・・・」

「先生になる時に誓いました。「どんな時でも自分の生徒から絶対に触手を離さない」と」

 

チッ・・・ホントそういう所は真面目過ぎんだよ、殺せんせーは。

 

「なら殺せんせー、俺達も行きます。俺らにとっても、奴は一応クラスメイトなんで」

「にゅや・・・ですが、危険ですよ?」

「んなもん、全員百も承知です。別に殺せんせーの邪魔をしたいわけじゃないですし、危険な行動はしませんよ。な?」

「連れてかないって言われても、勝手についていくだけっすね」

「うん・・・やっぱり今のイトナ君を放っておくなんて出来ないですよ」

 

俺の問いに、威月や登志が皆の気持ちを代表してそう答えた。

 

「・・・分かりました。ですが、基本的には彼は先生が説得します。なるべく皆さんは前に出ない事を約束して下さい」

「「「「はい!!」」」」

 

 

 

タッタッタッ・・・ 「椚ヶ丘市内にある携帯ショップで、まだ被害を受けてないのはこの先の一店舗だけなんだな?」

「うん、律が確認済みだって」

 

 同日夜・・・携帯ショップへと向かう途中、俺はそう不破に確認していた。

 

「イトナがまだ市内にいるなら、そこを狙う可能性は高いな」

「そうだね、これだけ椚ヶ丘市内の携帯ショップを狙って、今更他の場所に向かうとは考えにくいし」

 

とりあえずは、そこに現れるのを祈るしかねえな・・・

 

威月や渚のやりとりを聞きながらそう考えていたその時だった。

 

ガシャアァァァン!! 「「「「!?」」」」

 

突然、前方からそんなガラスが大量に割れた様な轟音が聞こえてきた。

 

「何だ!?今の音」

「今の・・・今から行こうとしてた携帯ショップの方向からじゃ・・・」

(まさか・・・もうイトナが!?)

「急ぐぞ、皆!!」

 

俺達は急いでその携帯ショップを向かった。すると・・・

 

「ハァ・・・ハァ・・・負け惜しみの強さなんてヘドが出る。勝てる強さが・・・欲しい・・・」

 

滅茶苦茶に破壊された携帯ショップの真ん中で苦しそうにそう呟くイトナの姿があった。周りに警備員らしき人が気を失って倒れている辺り、多分この店を警備していたのだろう。

 

「イトナ!!」

「!! ・・・お前ら」

 

前見た時に比べたら、相当やつれてんな・・・今日がタイムリミットってのは間違いじゃなさそうだ。

 

「・・・やっと、君の人間らしい顔が見れましたよ」

「殺せんせー」

 

いつの間にか殺せんせーも到着してたみたいだな・・・約束だし、ここは任せるか。

 

「・・・兄さん」

「私は君の担任です。殺せんせーと呼んで下さい」

「甘ったれてんじゃねーっての、クソヤロー。ま・・・とりあえず今までのこたぁ水に流してやっから大人しくついてこいや」

 

寺坂・・・確かに俺等も気にしてないが、仮にもシロやイトナに加担したお前が言うか・・・?

 

「うるさい・・・勝負だ・・・今度は勝つ・・・」

「勝負は勿論構いませんが、お互い国家機密の存在ですし、どこかの空き地でやりませんか?」

 

あ、自覚あったんだ。

 

「その後は、皆で楽しくバーベキューでもやりながら、先生を殺す方法を皆で楽しく考えたらいいですよ」

「う・・・」 グギュルルル・・・

 

この数日間まともな物を食べていないのか、殺せんせーのそんな提案にイトナのお腹は鳴った。

 

「そのタコしつこいよ~。担任になったら地の果てまで追いかけてくるしね」

「勿論です。目の前に生徒がいたら、教えたくなるのが教師の(さが)ですから」

「・・・」

 

カルマや殺せんせーの言葉に、イトナの目の色が穏やかになっていき、さっきまでの殺気が消えていくのが分かった。恐らくこれがイトナの本当の姿なんだろうな。

 

(この様子なら上手く説得すりゃあいけるんじゃ「!! やべえ、皆!!」何っ!?)

 

その時、威月のそんな焦った様子の声と同時に何かが数個、店内へと投げ込まれてきた。丸い形にレバーが付けられたそれは、

 

「なっ!?手榴だ・・・」 ボシュゥ!!

「うわっ!?」

「ゲホッ・・・!!」

 

いきなり爆発したそれから、勢いよく粉塵が飛び散ってきた。何だこりゃ!?煙幕って訳じゃないみたいだが・・・

 

「うっ・・・」

「!! 触手が溶けている・・・対先生物質の粉爆弾(パウダー)か!!」

 

姿は見えないが、イトナの呻き声と殺せんせーのそんな呟きが聞こえてきた。対先生物質って事は・・・!?

 

「・・・これが今回第2の矢。その為にイトナを泳がしたのさ」 ピッ

ボッ!! 「(バサッ)! うあっ・・・」

(!! この声・・・!!)

 

イトナのそんな声の後、俺は素早く店の外へと飛び出した。そこには、

 

「さあ、イトナ。君の最後の奉公だ。追ってくるんだろ?担任の先生」

「やっぱりテメエか、シロ!!」 

 

シロがトラックの後ろにネットで包んだイトナを引きずりながら、走り去っていくのが見えた。

 

「待てや、シロ(バッ)「死ねえ!!(ブオン!!)」!!

 

反射的にトラックを追いかけようとした俺の目の前に、1人の男がそう言いながら鉄パイプを振り下ろしてきた。

 

(舐めんなよ・・・!!) 

スカッ!!「何っ!?」

「らぁ!!」 

「(ゴッ!!)ぐっ・・・」

 

俺は素早くその攻撃を躱すと同時に、左拳を腹へと突き刺した。カウンターを無防備に喰らった事で動きが止まった男を俺は見逃さず、

 

タンッ 「どぉりゃあ!!」

ドカッ 「ガッ・・・」 どさっ

「よっと・・・お前程度、銃弾(ブレッド)使うまでもねえんだよ」

 

男の側頭部分に渾身の力を込めて延髄斬りを叩き込んだ事で、男はそんな呻き声と共に倒れた。だが・・・

 

「フゥ・・・くそ、もう見えなくなっちまった」

「大丈夫ですか!?太陽君」

「たーくん、平気!?」

 

その時、ようやく店内の粉塵が収まったらしく、皆が慌てて外へと飛び出してきた。

 

「大丈夫だよ、陽菜乃。殺せんせー、シロは向こうへと走り去っていきました」

「先生はイトナ君を助けてきます!!」 ドシュッ!!

「・・・普段の殺せんせーなら、多分イトナを逃がさなかったな」

 

飛び去った殺せんせーを見ながら威月が全員に聞こえる様に呟いた。俺らを気にしたせいで、回避反応が遅れちまったんだな・・・

 

「あの白づくめ野郎・・・とことん俺達を駒にしてくれやがって・・・」

「骨の1、2本へし折ってやんねえと、気がすまねえな」 ボキボキッ

「・・・」 パンパン

 

俺の呟きを筆頭に、それぞれが怒りの表情を浮かべていた。威月がぶちキレた様子で拳を鳴らしているし、登志も無言で制服に付いた粉を払っているが表情は珍しく怒った様子だった。

 

「・・・で、どうやって奴らの場所見つける?ソイツ拷問でもして聞き出してみよっか」

 

同じく粉を払い終わった後、カルマは俺が倒した男を親指で指差したが・・・

 

「どうせシロの息がかかった奴だし、大した事喋りゃしねえさ」

「まあそうだけどさ、今それ位しかやれる事なくない?」

 

普通なら・・・な。

 

「威月、悪いけど俺は1回「ひまわり」に戻る。皆を頼む」

「あ?いいけど、何すんだよ?」

 

威月の問いに俺は粉を払うと、

 

「奴が駒を使ってくるんなら、こっちも更に優れた駒で対抗するだけだ」

 

 

 

大賀side

 

(もう8時過ぎたな・・・大丈夫かな、皆)

 

 居間の時計を見ながらそう心の中で唱えた。俺もホントは行きたかったけど、「ひまわり」の皆の飯作ってあげないといけないしな。

 

「どうしたの?大賀兄さん」

「え?ああ、何でもないよ」

 

そんな俺を見て、晩ご飯のカレーを食べていた彩子が不思議そうに聞いてきた。まあ、流石に彩子達に言って解決する事じゃあないしね。

 

「大賀兄ちゃん、おかわりー!!」

「はなもたべるー!!」

「はいよー」

 

2人からお皿を受け取り、そのままよそって2人の前に運んでやった。

 

「ちゃんと野菜も食べなきゃダメだからな、2人共」

「だって、大賀兄ちゃんのカレー美味しいんだもん」

「はなも、だいすき!!」

「そう言ってくれるのは嬉しいけど、野菜食べないと風邪引いちまうぜ?」

「「はーい・・・」」

 

ま、実はカレーにも野菜多めにしてるんだけどね。

 

「大賀兄さん、私ももう少しいいかな?」

「おう・・・はい」

「ありがとう」

「大賀ー、俺も腹減った-」

「はいはい、分かってるって。太・・・陽・・・」

 

 

 

太陽side

 

「のわあぁぁぁ!?」

「うわあぁぁぁ!?」

「きゃあぁぁぁ!?」

「・・・気持ちは分かるけど、落ち着けよ」

 

いきなり現れた俺に対して、大賀・裕樹・彩子がそれぞれそんな悲鳴を上げた。ま、確かにいくら家族でも物音立てずに卓袱台に座ってたら驚くわな

 

「たいようにいちゃん、おかえり~!!」

ぼふっ 「おっと。まだちょっと用事があるけどな」

 

飛びついてきた華の頭を撫でながら俺は大賀の方へと向き、

 

「大賀、緊急事態だ。悪いが今すぐ出れるか?」

「え?別に構わないけど・・・華達置いていけねえだろ」

「大丈夫だ、俺が残る。ちょっとやる事もあるしな」

「お、おう」

 

不思議そうな顔をしながらも普段着に着替え始める大賀と尻目に、俺は実徳さんの部屋の鍵を開けた。実徳さんの部屋は、唯一鍵がついていて、その鍵を持っているのは実徳さん以外は俺だけだ。

 

ガチャッ 「えっと・・・あった。今からE組戻ってる時間ないんで実徳さん、ちょっと借ります」

 

実徳さんの部屋は、校長室にありそうな机とその後ろに大きな本棚がある部屋だ。俺は机の引き出しから無線機を2つ手に取り、急いで玄関へと戻った。大賀は既に靴を履いて、いつでも行けるみたいだな。

 

タタッ 「大賀(シュッ)!!」 

「(パシッ)おっと」

「皆、3丁目の携帯ショップの前にいると思うから事情は威月達から聞いてくれ。イトナの場所が分かったら、すぐ連絡する」

「分かった!!」 

 

無線を耳に付けた後、大賀は勢いよく扉を開けて飛び出していった。さてと・・・

 

「裕樹、俺実徳さんの部屋にいるから、何かあったらノックしてくれるか?」

「うん、分かったよ」

(実徳さんの部屋には、基本的に入ったらいけないって伝えてるから大丈夫だとは思うけどな)

 

そう思いながら俺は再び実徳さんの部屋へと入って、本棚に1冊だけある赤い本を手に取り、

 

ピッピッピ・・・ぽちっ 「(ゴゴゴ・・・)・・・ホント、こんな仕掛けがある孤児院なんて普通ねえよな」

 

中のタッチパネルにパスワードを打ち込んでからボタンを押すと、そんな音と共に本棚が横に動き始め、下へと続く階段が現れた。この仕掛けは威月達ですら知らないものだ。

 

カンカンカン・・・ガチャッ 「(コキッ)・・・さーて、やるか」

 

階段を降り、扉を開けた先にあるいくつもあるモニターを見ながら、俺はそう呟きながら指を鳴らした。

 

 

 

大賀side

 

タタタッ (・・・いた!!)

「皆!!」

「!! 大賀」

 

 フゥ・・・何とか5分くらいで着けたな。

 

「・・・って、皆やけに粉まみれだけど、何かあったの?」

「ああ、またシロがちょっかいかけてきたんだよ。で、イトナを車で連れ去っちまったんだ」

「シロが・・・」

「だが、シロがどこ行ったのか分かんなくてな。殺せんせーが1人で行っちまったし、さっさと行かねえと奴の事だから何企んでっか分かんねえ」

 

なるほど・・・足速い俺をわざわざ連れてきたのはその為か。

 

「(ガガッ・・・)・・・大賀、聞こえるか?」

「! おう、太陽」

「え?・・・って、それ無線か?」

 

前原が俺の耳に付けられた無線を指差すながらのそんな問いに頷きながら、俺は太陽の言葉に耳を澄ませた。

 

「イトナを見つけた。そっから西に500、北に200程行った先の道路に止まった。でも、シロみたいに対殺せんせー繊維で作った服を着てる奴らがかなりいる。急いでくれ」

「了解」

 

太陽との無線を切った後、俺は皆にその事を伝えた。

 

「なるほど・・・となると、シロはイトナを囮に殺せんせーを本気で殺ろうとしてるな」

「あのタコ、どーせイトナ人質にされてちゃまともに動けないし、急いだ方がいーんじゃない?」

「だな。大賀、悪いが先に行っといてくれ。俺らも急ぐが、お前の足には勝てん」

「あぁ」

「でも、何でたーくんイトナ君の場所分かったのかな?」

 

うーん、確かにそれは俺も気になってはいるけど・・・

 

「悪いが、それは俺ら3人も知らねえんだ。多分アイツしか知らない方法なんだろうな」

「へー・・・」

「さ、無駄話は終わりだ。頼むぞ、大賀」

「おう!!」 タンッ!!

 

威月に頷くと、俺は駆け出した。とはいえ、普通に走ったら時間かかりそうだな・・・

 

「・・・しゃあねえな」 タタタッ

 

そう呟きながら、俺は曲がり角を曲がってから誰も見てない事を確認すると、

 

トントン 「(ぐっ・・・)月歩!!」 ドンッ!!

 

マジシャンと戦ったあの時と同じように跳躍した―――!!

 

 

 

ダンッ!! 「フゥ・・・この辺りの筈だけど」

 

 ビルの屋上に着地しながら、俺はそう呟いた。

 

パパパパパ・・・ 「!! この音・・・銃の音だ!!」

 

咄嗟に辺りを見渡した俺の目に、1ヶ所だけやたら眩しい場所が見えた。

 

「あの光って・・・確か殺せんせーの動きを一瞬止める奴だ!!」

 

間違いなくあそこにいる!!反射的に俺はその方向へと跳んでみると、

 

「!! 見つけた!!」

 

パパパパパッ!! 「くうっ・・・」

 

今も白づくめの男達の集中砲火を浴びながら、ネットに包まったイトナを助けようとしている殺せんせーの姿が見えた。でも、やっぱり光のせいで動きが鈍いし、何故かイトナのネットを鋏で切ろうとしてるから、どう見ても劣勢なのは間違いないだろう。

 

(こうなったら、ひと暴れすっか!!)

パパパンッ!! 「腰肉シュート!!」

「(ドガン!!)ごはっ!!」

 

空中から猛スピードで奇襲を仕掛けた事で、喰らった男は横に勢いよく吹っ飛ばされた。

 

ザザッ 「大丈夫ですか、殺せんせー!?」

「た、大賀君!!何故ここに!?」

「いきなり何しやがる、クソガキ(ガッ)ガッ!?」

 

そう言いながら掴み掛かろうとしてきた男の首に足を引っかけ、

 

「確かに殺せんせーを殺したいのは俺らも一緒だけど、こんな卑怯な手使ってまで殺したいなんて思わねえよ!!―――受付(レセプション)!!」

「(ゴン!!)んぐっ・・・」

「この・・・」 ブンッ

 

そのまま床に顔面から叩きつけた。そのまま別の男が殴りかかってきたが、俺は素早く手を着いて、そのまま男を後ろ足で蹴り上げた。

 

「首肉フリット!!」

「(ドンッ!!)ガハッ・・・」

「な、何だこのガキ!?滅茶苦茶強え!!」

「ほう・・・やはり君も中々の強さみたいだな」

 

そんな俺の目の前に、感心した様子でそう言いながらシロが姿を見せた。

 

「シロ・・・」

「皆、木の上のいる者はそのままモンスターに狙撃を。他の者は少々手荒になっても構わないから排除しなさい」

「「「「はっ!!」」」」

「くそっ・・・何とか時間稼がないと」

 

とはいえ、この人達相手に1人で戦うのは・・・

 

「(カチッ)フッ!!(ブンッ!!)」

「うおっと(スカッ!!)この・・・」 

「(ガッ!!)う・・・」

 

警棒の様な物で殴りかかってきた男の攻撃を躱しながら蹴りを放って1人倒したが・・・

 

「貰った!!」

「やべっ・・・」

 

背後からもう1人の男が同時に殴りかかってくるのが見えた。

 

(ダメだ!!避けきれな・・・

 

 

 

「そっちがそんなに人数集めてるなら、俺が助太刀するのも文句言うなよ」・・・えっ?)

ガキィ!! 「何ぃ!?」

 

そんな俺の前に現れた太陽は、そう言いながら男の攻撃を腕で受け止めていた。様子を見る限り鉄塊使っただろうし無傷だろう・・・って、

 

「太陽!?えっ、「ひまわり」の皆は!?」

「後で話すよ、まずはコイツら片づけてからだ」

「ガキが調子に乗ってんじゃ(ゴッ!!)ぐぁ・・・」 

「大賀とタイマンで勝てねえような連中、俺ら2人の相手じゃねえんだよ」 

 

俺を攻撃しようとしていた男を、太陽は頭突き一発で黙らせると、

 

ブンッ 「大賀、後ろ頭を蹴っ飛ばせ!!」 ぐっ・・・

「おう!!」

 

俺の方へ男を投げ飛ばしながら右拳を握った。そしてそのまま俺のハイキックの動きに合わせて・・・

 

「「首肉銃弾(コリエブレッド)!!」」 ドガンッ!!

 

俺と太陽の合体技を喰らった男は、何一つ発する事も出来ずに崩れ落ちた。

 

「フー、合体技なんて久々だな」

「まあな、お互いそれなりに強くなってそれぞれ1人で戦えるからな」

「く、クソ・・・ガキ共が」

「いいのか?俺らだけ構ってて。E組(うちのクラス)は一筋縄じゃいかねえよ?」

「ひゃっほう!!(ドガッ!!)」

「おりゃっ!!(バキッ!!)」

「なっ!?」

 

太陽がそう言ったのと同時に、木の上からそんなかけ声と共にカルマや前原達が射撃を続けていた男達を木の下に叩き落していた。やっと来てくれたか!!

 

「はーい、簀巻き簀巻きっと」 グルグルー

「んだよ、やっぱあのタコ対策の服着てっし俺らが落とさなきゃいかねえじゃねーかよ」 がばっ!!

「最近、烏間先生に一方的に追いかけられてムシャクシャしてたとこだし、このケイドロはアンタ達が泥棒って事で」 ブンッ!!

「俺達4人が地上の奴らは片づけるから、木の上にいる連中は任せるぜ皆!!」

「「「「おーう!!」」」」

 

そう言いながらこっちへ歩いてきたのは威月と登志だった。

 

「ズルいぜ、2人共。俺らだってコイツらにはムカついてたんだ。獲物を俺らにも分けてくれねえと」 ゴキッ

「なっ・・・随分舐めた口聞くじゃねえか」 シュッ!!

 

笑みを浮かべながら拳を鳴らす威月に、1人の男が警棒を突き刺した。・・・が、

 

パシッ 「ば、バカな・・・」

「俺さあ、アンタらみてえにバカみたいに殴りかかるしか能のない単細胞と思われがちだが、」

 

威月は拳をあっさりと受け止めた後、そう言いながらその腕を捻り上げた。余りの早業に、男は為す術ないみたいだった。

 

「(ミシッ)があ・・・」

「こういうのも得意なんだ。いざとなりゃあ、アンタの腕くらいなら簡単にへし折れるから覚えときな」

「(ゴキンッ)ぐああぁ!!」

 

うわあ・・・何かえげつない音したぞ・・・

 

「威月・・・まさか折ったのか?」

「こんな雑魚相手にそんな事しねえよ。関節外しただけだ」

 

いや、それも充分恐ろしいが・・・何はともあれ、俺達が只の中学生じゃない事に今更気づいたのか、男達は明らかに動揺してるみたいだった。

 

「うし!!皆が頑張ってくれてるし、俺らもさっさと終わらすぞ!!」

「おう!!」

「あぁ!!」

「うん!!」

 

 

 

タンッ!! 「粗砕!!」 

「(ゴカン!!) ガハッ・・・」

 

 男が倒れたのを確認した後、俺は軽く息を吐いた。ったく、どんだけいんだか・・・

 

「この・・・放しやがれ!!」

「大賀!!俺らはコイツで最後だ。決めちまえ!!」

「分かった!!」

 

俺の前では、威月が1人の男と組み合っていた。が、どうやら威月の力には全く歯が立たないらしい。

 

「どおりゃあ!!(ぐいっ!!)今だ!!」

タタッ 「腹肉!!」 

ドカッ!! 「(バアン!!)ゴフッ・・・」

 

威月は素早く男をブレーンバスターの要領で担ぎ上げ、その途中で放った俺の腹への蹴りの勢いそのまま地面に叩きつけた。

 

「へへ、名前付けるなら"フランシェバスター"ってとこか」

「ああ、太陽達は・・・ってあの2人相手に勝てる奴なんてそうはいないわな」

 

威月のそんな呟きで俺も2人を見てみると、既に二桁近くの男達が倒れており、最後の1人が苦し紛れに攻撃を続けているだけだった。

 

「クソッ!!」 ブオンッ!!

「フン(スカッ)せいっ!!」 バキッ

「うっ・・・」

 

当然そんな攻撃があの2人に当たる筈なく、逆に太陽の足払いで身体が一瞬だけ宙に浮いた。

 

「飛天御剣流 龍槌閃!!」 ドカンッ!!

・・・ピク・・・ピク・・・

 

そして勿論そんな隙を登志が見逃す筈がなく、竹刀を顔面に叩き込まれた事で、男は少しだけ痙攣した後動かなくなった。

 

「フゥ・・・殺せんせー、イトナを!!」

「ええ!!」

「・・・」

 

殺せんせーがイトナを包んでいるネットを外し始めるのと同時に、太陽と威月はシロの方へと向き直り、

 

「後はテメエだ、白づくめ野郎。だが、もうお前に手はねえ筈だ」

「それでもまだ邪魔しようっていうなら、俺ら4人・・・いや、俺達全員が相手してやるぞ」

 

全員グルグル巻きにし終えたE組の皆も、俺達の後ろに立っていた。もう誰が見ても勝敗は決まっただろう。

 

「去りなさい、シロさん。貴方はこのクラスには不要です。貴方の計画では、生徒達には通用しない。そんな当たり前に、早く気づきなさい」

「・・・モンスターの周りに群がる雑魚共が少々鬱陶しいね。だが、どうやら計画を根本的に見直さなきゃいけないのは確かだな」

 

殺せんせーの言葉に、そう返しながらシロはトラックに乗ると

 

「くれてやるさ、その子は。まあ、精々頑張ってみるといい」 ブオォォォ・・・

 

そう言い残してシロは走り去っていき、俺達はようやく安堵の表情を浮かべた。

 

「ケッ、負け惜しみ言いやがって」

「ほっときゃいいさ、あんな奴。それより、大賀。大丈夫だったか?1人で今回は無茶させちまったし」

「大丈夫、太陽が来てくれたしな。って、そういや「ひまわり」は?」

「ああ、悪い。実は実徳さんが丁度帰ってきてくれてな。そのまま任せて飛び出してきたんだ」

(なるほど・・・まあ、今回は良いタイミングで来てくれたよ)

 

そんな中、登志がイトナを見ながら口を開いた。

 

「それで殺せんせー。イトナ君はどうなんですか?」

「ええ、かなり衰弱してます。何せ、触手は自らの意思で動かす物です。そして触手細胞は、その人に病的な執着がある限りは強く癒着して離しません。そうこうしてる間に、肉体は強い負荷を受け続け、最後は触手もろとも蒸発して死んでしまいます」

「そんな・・・」

 

それは流石に気の毒だな・・・てか、一応クラスメイトがそんな風になっちゃうのは決して見たくねえ。

 

「でも、後天的に植えつけられたんだろ?なら、取り除く事だって出来んじゃねえのか?」

「勿論可能です。ですが、その為には・・・まず彼が力を欲する原因を探らなくては・・・」

「でもな~・・・この子私達に心閉ざしてるしね・・・」

「言っといて何だが、素直に身の上話をするとは思えんな」

 

うーん、力を欲する原因か・・・

 

「それなんだけどさ、皆」

「「「「?」」」」

 

その時、不破さんがおもむろに口を開いた。

 

「律にさっきから調べて貰ってたんだ。何でイトナ君が携帯ショップばかり狙ったのか。んで、戸籍とか機種とか調べたら、イトナ君ってここの会社の社長の息子だったらしいんだ」

 

不破さんが見せてきた画面には、堀部電子製作所と書かれた看板の小さな工場が写っていた。

 

「町工場の小さな工場だったけど、世界中にスマホの部品を提供してたんだって。でも、おととし負債抱えて倒産しちゃって、社長夫婦は息子を残して雲隠れっだって」

「・・・大方、海外で安く作れる様になったとか、そんなとこだろうな。小さな工場じゃ、大企業には簡単に勝てねえからな」

「「「「・・・」」」」

 

威月のそんな推理を聞きながら、俺達はもう一度イトナを見た。俺には、イトナの気持ちが何となく分かるな・・・

 

「・・・ケッつまんねー、それでグレたってか?」

「寺坂、そんな言い方は・・・」

「どんな人間でも悩みってもんはあんだろーが。そんなんでいちいち拗ねてられっかよ」

 

・・・確かに、寺坂の言う通りでもあるんだよな。俺も両親に拗ねてたら待つ事なんて出来なかっただろうし。

 

「・・・それによ、そーゆう悩みとか苦労とかってどうでも良くなったりする時ってあんだよ」

 

そう言いながら、寺坂は吉田と村松の肩を叩き、

 

「おいタコ、コイツ俺達に面倒見させろや。そんで死んだらそこまでだろ」

 

自信満々な様子でそう言いきったのだった。




いかがだったでしょうか。

うーん、どうも最近文字数が多くなってきましたね(今回は初めて1万字超えちゃいました)

素人ながら、やっぱり戦闘シーンは文字数増えちゃいますね(笑)

これからも長くなっていきそうだったら、2話に分けるのも考えたいと思います!!

それでは、また次回お会いしましょう!!
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