うーん・・・どうもモチベーションが上がりません。
最近忙しいし、投稿止めようかなーという気持ちと、でも1度始めたんだし、最後まで続けたいなーという気持ちが揺れ動いてる感じです(笑)
でもまあ、とりあえずは頑張らして頂けたらと思います(何の間違いか、お気に入り登録数も100人に届くか届かないかって所なので(笑))
それでは、どうぞ!!
太陽side
「はいよ、太陽。1ヶ月お疲れさん」
「ありがとうございます!!」
深夜3時、俺は新聞屋のおじさんから封筒を受け取っていた。やっと貰えた・・・
「また今度、金稼ぎたくなったら何時でも来な。ただし、今度は高校生になってからな」
「無茶聞いてもらってすみません・・・じゃあ、お休みなさい」
「おーう」
俺はおじさんに頭を下げると、扉を開けて外に出た。当たり前だが、外は真っ暗で皆寝静まっている。
「フー・・・しかしこの1か月、マジで疲れたなぁ」
街灯の淡い光を頼りに帰る途中、思わず俺は呟いた。
(何せ、普通のバイトじゃ磯貝の二の舞だから、わざわざバレにくい深夜を選んだせいで生活リズムがガタガタになっちまったからなぁ。だからといって成績も落とせないから勉強量を維持しなきゃならない以上、必然的に睡眠時間削るしか無かった・・・)
つーか、体育祭の翌日が最終日とはいえ、やっぱ無理せずずらしとけば良かった・・・身体が超痛え・・・
「(ぺらっ)・・・へへ、それも全てコレの為。頑張ってよかった・・・」
まあ、とりあえず明日からはぐっすり眠れるな。んー・・・もうすぐテストもあるし、さっさと元の生活に戻らないと。
「にしても、珍しく今回は気づかれなかったな。大賀や登志、裕樹達はともかく、威月の勘の鋭さは以上だからな・・・いつかバレないかヒヤヒヤ「よ、お疲れ」そうそう、こんな感じで声を・・・」
角を曲がれば「ひまわり」に着くという十字路で、電柱にもたれかかりながら小説を読む威月のそんな声かけに、俺は言葉を失った。
「ほらよ、バイトしてる奴に奢るってのもおかしい話だがな」
「・・・おう、サンキュー」
バイトしてた事も知られてる以上、誤魔化す必要も無いだろうと思い、投げ渡してきたジュースを開けて一口飲んだ。うん、甘い。
「プハァ・・・で、いつから気づいてた?」
「きっかけは殺せんせーさ。矢田と話をしてるって教えてもらった瞬間にピンと来たんだよ。てか、「ひまわり」の中で最初に気づいたのは大賀だぜ?」
「そっか、まあ大賀は1番遅くまで起きてるからな」
一応、大賀も寝たのを確認してから出たつもりだったが・・・アイツは寝起きも凄い良いからな。
「・・・威月、悪いんだが・・・」
「分かってる。お前がバイトしてた理由は何となく想像出来るからな。あの2人にも、訳は話さずに俺に任してくれって言ってあるよ」
「サンキュ、どっちみち今日で終わりだ。1か月分で何とかなりそうだからな」
「そうか、ならあの2人にも解決したとだけ伝えとくよ」
威月なら、本当に誰にも言わずに黙っていてくれるだろう。こういう時、やっぱり威月が1番信用できるな。
「ただし、俺達に何の相談も無しに行動するのはもうこれっきりにしてくれよ?今回はたまたま俺達3人しか知らずに済んだからいいけど、華達に知られたら誤魔化せねえよ」
「う・・・確かに」
そういや、必死すぎてそんな事を考える余裕も無かったな・・・危なかった。
「何なら俺にだけでも言やあ良かったんだぜ?そうしたら少し位、金貸してやったんだからよ」
「・・・嬉しい話だけど、やっぱりそれは断るよ」
「は?何で?」
不思議そうに聞き返す威月に、俺は苦笑しながら答えた。
「自分の大切な人に渡す物の為に、家族から金は借りられない。そういうのは、やっぱり自分の力で渡したかったんだ。ま、まあくだらないプライドなんだが・・・」
「・・・」
「? 威月?」
「・・・フゥ、こういう所なんだろうな・・・倉橋や俺達がコイツと一緒にいるのは」
何かを呟きながら呆れた様子で、そして楽しそうに笑う威月に?を浮かべていると、
「何でもねえ、ほら、さっさと帰んぞ。もうすぐ中間テストだってあんだからな。バイトしてたから勉強できませんでした、なんて言い訳すんなよ」
「・・・あぁ!!」
(分かってるさ・・・もう負けねえ!!)
「ひまわり」の方へと歩きながらの、威月のそんな発破に俺は心の中でそう唱えた。
大賀side
「はいはい頑張りましょう皆さん!!2週間後には、待ちに待った中間テストですよ!!」
浅野の企みを退けた2日後、俺達の前で分身マンツーマンをしている殺せんせーは鼻息を荒くしながらそう言った。
「熱くいきましょう、熱く!!今こそ、A組を超える時ですよ!!」
「「「「いや、暑苦しいわ!!」」」」
「アンタが1番気合入っててどうすんだよ・・・テスト受けんのは俺達だってのに」
確かに威月の言う通り、必勝と書かれた鉢巻きを巻いた殺せんせーは受験生並の気合を入れていた。何か分身の数も滅茶苦茶、増えてるし・・・
「(カリカリ・・・)殺せんせー、ここってどうするんでしたっけ?」
「おぉ、太陽君!!皆さんも太陽君を見習いなさい!!勉強しないと将来ロクな大人になれないんですからね!!」
「「「「オカンか!!」」」」
(・・・太陽、ホントに大丈夫みたいだな)
昨日の朝、「もう解決したから、心配しなくていい。これからはもう出歩かないって太陽も言ってる」って威月が俺と登志に言ってきたから本当なのか心配だったけど、
(昨日からテスト勉強もクラスで1番頑張ってるし、いつも通りの太陽に戻ってくれてよかった)
「にゅや?手が止まってますね。分かりませんか?大賀君」
「・・・あ!すいません、大丈夫です」
いかんいかん、俺は3人よりも勉強できないんだし、集中集中っと!!
キーンコーンカーンコーン・・・ 「今日はここまでにします、皆さん家でしっかり復習を行って下さいね」
「「「「はーい」」」」
放課後・・・そう言いながら教室を殺せんせーが出ていったのを確認してから、俺は机にもたれかかった。
「うへー・・・もう限界」
「大丈夫?大賀」
「おう、疲れただけ」
ハァ・・・テストまでこれが毎日か・・・いくら成績上げる為って分かってても気が重い・・・
「でも確かに殺せんせー、はりきってるよなー。今日なんか分身使って立体視まで活用してきたし」
「あれは完全に能力の無駄遣いな気もするがな・・・」
木村の呟きに、威月がそうツッコんだ。どんどん進化していくなー、殺せんせーって。
「でもさぁ、こんな風に勉強ばっかしてて大丈夫かな?もう期限半分切っちゃってるし、暗殺の技術磨いた方がいいんじゃない?」
「「「「・・・」」」」
その時、矢田さんがポツリと言ったその言葉に、全員が無言になった。確かに・・・もう10月だ。後5か月しか無いんだよな・・・
「・・・しゃあねえだろ。勉強もしとかねえとあのタコいなくなっちまうんだからよ」
「焦っても仕方ねえよ。とにかく今は、目先の中間テストだけを考えた方がいい」
「・・・そうだね」
まあ、確かに寺坂や太陽の言う通りだな。俺なんて特に頑張らないといけないんだし・・・
「・・・」
「・・・? 何か用?伊勢くん」
そんな中、自分を残念そうな目で見つめる登志の視線に気づいた矢田さんが声をかけた。
「あぁ、すいません。髪の毛リボンで縛るの止めちゃったんだなと思って」
「アハハ、ゴメンね。あれ、結構大変だったからさ」
「・・・僕はあっちの方が好きだったな」
「? 何か言った?」
「い、いえ!!何でも無いです!!」
確かにあれは似合ってたけど凄い時間掛かりそうだもんな。・・・それにしても、何で登志はここまで慌ててるんだろ?
「フッフッフ、俺に任せろよ。実はな、良いストレス発散方法を思いついたんだ。放課後一緒にやろうぜ」
「は?何する気だよ、岡島」
「それは後の楽しみって奴だ」
前原の問いに、得意げに笑みを浮かべながら岡島はそう返した。・・・何する気だろ?
「何する気か知らねえが、無茶苦茶すんなよ。行こうぜ、太陽」
「ん、おう威月。じゃあな、皆」
「あ、待ってたーくん。私も一緒に帰る」
「悪い、かなり遠回りしなきゃならねえんだ。時間掛かるから来ない方がいいよ」
「え?うん、分かった。でも、何か用事なんて珍しいね」
そんな太陽の返しに、倉橋さんは不思議そうに聞き返していた。まあ、俺達買い物以外で寄り道なんて基本的にしないからな。
「実は今日から2,3日、岬さんがお友達と旅行に行くらしくてな。「ひまわり」の事も全部俺達でやらなくちゃならねえんだ」
「え、そうなの!?」
「つーわけで、威月が先に「ひまわり」に帰って雑用、大賀と登志は夕飯の買い出しに行くんだよ」
「へー・・・あれ?岬さんがいないって、華ちゃんは誰が面倒を見てるの?」
まあ当然の質問だよね。3歳の華が1人で留守番出来る訳無いし。
「おう、だから2,3日だけ保育施設に預けてるんだ。裕樹や彩子も含めて一緒に迎えに行くって言ってあるから、急いで行かねえとだめなんだ。
・・・て訳で、じゃあな!!大賀、登志。後は頼んだ!!」
「・・・って、置いてくなよ!?」
そう言いながら出ていった太陽をそうツッコミながら、威月が追いかけていった。太陽ってホント裕樹達想いだな。
「・・・じゃあ僕達も行こうよ、大賀。あんまり遅くなっちゃ悪いしね」
「何だよ、お前ら全員やらないのか?訓練にもなるし一石二鳥だぜ?」
「うーん・・・何かは気になるけど、悪いけど俺達もパスするわ」
「大賀がやらないんなら僕も。ゴメンね、せっかく誘ってくれたのに」
「まあ、お前等4人は元々強いし、いいか」
俺と登志が同時に断ったから、岡島もようやく諦めたみたいだった。
「行こうよ、大賀。またね、皆」
「じゃあなー」
―――今思うと、この時俺達も岡島に付いていっていれば、あんな事は起きなかったのかな・・・
太陽side
「おーい!!裕樹、彩子!!」
「・・・あ!!太陽兄ちゃん!!」
学童保育「わかばパーク」に到着した俺は、建物前のグラウンドで他の子達と遊ぶ裕樹達の姿を見つけて声をかけた。
「(タタタッ)おかえり、太陽兄ちゃん!!」
「おう、ちゃんと良い子にしてたか?」
「大丈夫だよ、俺だってもう10歳なんだからな!!」
「フッ、そうだな」
「へへーん」
・・・頭撫でられたら凄い嬉しそうな顔する辺り、まだまだ子供だけどな。
「こんにちは、太陽君」
「どうも、田中さん。裕樹、ちょっと俺話してるから、彩子と一緒に学校の荷物持ってきな」
「はーい」
田中さんはここの職員の1人で、俺達が小学生の頃からたまにお世話になっている人の1人だ。
「すいません、急にお願いしちゃって。華達、迷惑かけませんでしたか?」
「ううん、寧ろ全然良い子で手が掛からなかったわよ。流石、大賀君ね。良いお父さんになりそう」
「まあ、アイツの主夫力は中学生離れしてますからね」
「お待たせしました、太陽兄さん」
と、その時、裕樹達が荷物を戻ってきた。が・・・
「あれ?華はどうしたんだ?」
「あぁ、華ちゃんなら寝てるわ。お友達と遊んで疲れちゃったのね。太陽お兄ちゃんが迎えに来るまで起きてるって言ってたけど」
「じゃあ背負って帰ります。上がっていいですか?」
「えぇ、勿論」
許可も出た事だし、さっさと行くか。そう思いながら俺は玄関で靴を脱ぐと、そのままスタスタと廊下を歩いた。何回も来た事あるから、どの部屋で何するかはだいたい分かってるしな。
「・・・おっと」
「スー・・・スー・・・」
お昼寝したりする時に使う少し小さな部屋、予想通りその部屋の真ん中で、華はタオルケットに包まりながら寝息を立てていた。・・・やっぱり華は贔屓目に見てもやっぱり可愛いと思う。
(こういうのを親バカって言うんだろうか・・・いや、この場合は兄バカか)
「待たしたな、華。裕樹、ちょっとだけ鞄持っててくれるか?」
「うん」
「よいしょっと・・・」
「んん・・・」
背負った瞬間、華は一瞬だけ身じろぎしたが、すぐにまた寝息を立て始めた。
「じゃあ、また明日お願いします」
「さようなら-」
「はい、さようなら。明日の朝、待ってるわね」
田中さんとそんなやりとりをした後、俺達4人はわかばパークを後にした。
「それで、俺シュートしたらゴールしたんだぜ!!」
「へー、裕樹がホントにサッカーが好きだな」
「うん!!将来サッカー選手になりたいなあ」
帰り道、楽しそうに話す裕樹に、俺は笑いながらそう返した。サッカーの事になると、裕樹は本当に楽しそうだな。
「もう裕樹、そろそろ止めなよ。太陽兄さん、華をおんぶしてるんだから疲れちゃうよ」
「あ、ゴメン・・・」
「別に話してる位なら大丈夫だよ。2人が楽しそうなのが、俺達4人は嬉しいからさ」
「本当!?」
「うん、だから彩子も遠慮しなくて「・・・」・・・?」
と、その時、彩子が前を羨ましそうな表情で見ているのに気づいた。見てみると、そこには・・・
「ねーえ、お母さん。今日の晩ご飯何ー?」
「今日は美奈の好きなハンバーグにしようかな」
「やったー!!じゃあ、早く帰ろうよ!!お母さん」
「はいはい」
彩子と同い年位の女の子が、そんなやりとりをしながら母親と手を繋いで帰る姿があった。なるほどな・・・
「裕樹、悪いんだけど、ちょっと俺の鞄持っててくれるか?」
「? うん」
俺は後ろ手に持っていた鞄を裕樹に預け、華を右手1本でおんぶすると、
「(スッ)ほら、彩子」
「・・・え?」
空いた左手を彩子に差し出した。いきなり差し出された手にキョトンとする彩子に言った。
「別に華がいるからって無理にお姉ちゃんらしくしなくてもいいんだぜ?そういうのは、俺達4人の役目だからな」
(華が来る前は、彩子も結構俺達にべったりだったからな。呼び方もお兄ちゃんだったし)
「兄さん・・・ありがとう、えへへ」
嬉しそうな顔をしながら、彩子は俺の手を握ってきた。いくら妹が出来たからって、まだ9歳なんだし思う存分甘えてくれていいんだよな。
「あ、彩子ばっかりズルい!!兄ちゃん俺もー!!」
「はいはい、裕樹は明日やってあげるから今日は我慢してくれ「相変わらず騒がしい奴だな」・・・ん?」
まとわりつく裕樹にそう返したいたその時、前から苦笑交じりのそんな声が聞こえてきた。
「(キッ)久しぶりだな、太陽」
「松方さん!!お久しぶりです!!」
自転車に乗りながら現れたのは、わかばパークの園長の松方さんだった。俺達4人にとって、実徳さんと岬さん以外で頭が上がらない数少ない恩人の1人だ。
「「こんにちは」」
「んむ。
・・・何じゃ、華ちゃんはまだ寝とったか」
「今日はありがとうございました。急なお願いだったのに」
「なあに、この3人はお前達みたいに問題ばっかり起こさんからな。懐かしいわい、野良猫追いかけて勝手に抜け出したり、台所に入っていつの間にか他の子達に料理作ったりと他にも様々な事で手間ばっかり掛かりおったわ」
「・・・あの、それ以上はちょっと・・・兄としての威厳に関わるんで」
この人は俺達の小さい頃を知る数少ない人でもあるからな・・・
「フッ、そんな子達が、今は兄貴分なんだからな。世の中、分からんものだ」
「コホン・・・それにしても、そっちも相変わらずの大荷物ですね。運ぶの手伝いましょうか?」
松方さんは、いつも通り多くの生活用品や食料品を自転車に積んでいた。自転車いつかパンクしそうだな・・・・
「フン、年寄り扱いするな。それに、裕樹君達を家に連れて帰る途中だろう。早く連れて帰ってやれ」
「了解です、じゃあまた明日お願いします」
「あぁ、待っとるぞ。それと、あの3人にまた遊びに来いと伝えといてくれ。お前も含めて「ひまわり」の子達は人気だからな、職員にも子供達にも」
「ハハ、まあ受験勉強もあるからそんなには行けないですけど、必ず行きますよ」
「うむ。じゃあ、裕樹君達もまた明日な」
「「はーい」」
裕樹達に優しげな笑顔で浮かべながらそう言うと松方さんは俺達が通ってきた道を曲がっていった。相変わらずちょっとばかし声かけ辛い人だけど、子供には優しい人だな。
「さ、とりあえず俺達も帰るか。威月が1人で待っててくれてるし、もしかしたら大賀達も帰ってるかもな」
「お腹空いたなー、大賀お兄ちゃん今日のご飯何だろ?」
「さあなー・・・まあ、大賀ならどんなのでも美味く(ガシャアァァァン!!)!?」
その時、いきなり後ろからそんな大きな音が聞こえ、俺達は思わず振り返った。何だ今の!?
(確か今・・・松方さんが曲がっていった方から聞こえた様な・・・)
「(ダッ)ま、待って太陽兄さん!!」
俺は反射的に音がした方へと走り、松方さんが曲がった方に目を向けた。そんな俺の目に飛び込んできたのは、
「ぐ・・・ぐうぅぅぅ・・・」
「松方さん!?」
自転車が横倒しになり荷物が散乱する中、脚を抑えて苦悶の表情を浮かべる松方さんの姿だった。
「大丈夫ですか!?いったい何が・・・」
「た、太陽・・・」
「えっ・・・岡島、木村!?」
声をかけられた事で、俺はようやく2人の存在に気がついた。2人はかなり青ざめた表情で呆然としていた。
「そんな・・・」
「なっ・・・」
「は・・・?」
そんな中、E組の皆が次々と塀の上から現れて、2人と同じように顔を青ざめていった。何で皆、上から・・・
(まてよ・・・確か岡島の奴、良いストレス解消があるって言ってたよな・・・暗殺技術の向上も兼ねたて、塀の上から・・・!!)
「まさかお前ら、街中でフリーランニングを!?」
「う・・・」
「えっと・・・」
言い淀んだ皆の様子で、俺は確信した。何つー馬鹿な事を!!
「裏山以外では絶対に使うなって烏間先生が言ってただろうが!!それを・・・って今はそれどころじゃねえ!!」
「・・・!! どうしたんだい!?」
その時、遠くから音を聞いて花屋のお兄さんらしき人が何事かと駆け寄ってきた。
「すいません、救急車を呼んであげてくれませんか?俺、電話持ってないんです」
「あ、ああ分かった!!」
よし、とりあえずこれで良いな・・・
「磯貝、俺は急いで華達を「ひまわり」に連れて帰る。松方さんの搬送先が分かったら「ひまわり」に電話してくれ。威月がいる筈だ」
「分かった・・・」
「行くぞ。裕樹、彩子!!」
(クソッ!!とんでもねえ事になっちまった!!)
心の中で舌打ちしながら、俺は呆然とする2人を宥めながら極力「ひまわり」へと急いだ。
「磯貝、皆!!」
「!! 太陽・・・」
1時間後・・・俺と威月は病院入口で待機していた皆の元へ着いていた。
「松方さんの容体は!?」
「分からない・・・今、烏間先生が中に入っていった所だ」
「そうか・・・」
「ったく、お前等は・・・禁止されてたフリーランニング街中で使ったあげく、松方さんに怪我させただぁ?呆れて物も言えねえよ」
「ひまわり」に着いた時には既に磯貝達から連絡があったらしく、大賀達も帰ってきてたのもあって、威月が自分から付いてきてくれたのだ。そんな威月の怒りの籠ったそんな言葉に、磯貝達は何も言い返せないみたいだった。
「(ウイィン)! 太陽君、威月君。何故ここに?」
「えっと・・・実は俺、その現場近くにたまたまいたんです」
「松方さんは俺らの知り合いなんです。昔からお世話になってるから心配だったんで」
「そうか・・・」
「怪我の具合はどうだったんですか?」
「あぁ・・・右大腿骨の亀裂骨折だ。転んだ拍子にヒビが入ったらしい。2週間程で歩く位には回復出来るみたいなんだが・・・何しろ君達の状況は特殊だからな」
無理もねえな・・・俺達は国家機密の存在だ。公にされる訳にはいかねえ・・・
「今、口止めと示談の交渉を部下が行っているが、正直芳しくないな」
「でしょうね、松方さんそういう所は凄い頑固だから」
「あぁ、簡単に応じてくれるとは思え「・・・」! 殺せんせー」
俺の言葉を受け継いだ威月は、真っ黒になった殺せんせーが現れた事で喋るのを止めた。今の殺せんせーからは殺気が噴き出していた。他の皆もその殺気を恐れているのが分かった。
「・・・だってよ、しゃあねえだろ殺せんせー!!あんな所に荷物抱えたじーさん来るとは思ってなかったんだよ!!」
「悪い事したのは分かってるけど・・・暗殺の技術磨きたかったんだよ」
「地球救う重圧と焦りが、
「お前ら・・・」
自分達の行いを正当化しようとするようなそんな言葉に、俺は思わず・・・
パパパンッ!!
パシィ!! 「どうするつもりだ、太陽?その握った右手」
「あ・・・」
次の瞬間、殺せんせーは俺と威月以外の全員をビンタし、俺は威月に腕を掴まれていた。
(お、俺何しようと・・・)
「生徒達への暴力行為です。報告しても構いませんよ、烏間先生」
「・・・今回は、見なかった事にする」
「威月君はどうですか?」
「助かりました。俺も太陽も、流石にクラスメイト、ましてや女を殴る趣味は無いんで」
慌てて威月から腕をパッと放して、反射的に右手を左手で掴む中、殺せんせーの問いに2人はそう返すだけだった。
「期限の無さに少しばかり焦って高度な技術を取り入れてきたが、やはり少し早かったかもしれん・・・俺の責任だ」
「「「「・・・ごめんなさい」」」」
病院に入っていく烏間先生の耳に、全員の謝罪は聞こえたのかは分からなかった。
「ありがとう威月。威月が来てくれてなかったら、俺・・・」
「カッとなってってのは良くあるこった、気にすんな。寧ろ、俺の方が早く殴ってたよ」
威月が平然とそう返してくる中、殺せんせーがゆっくりと口を開いた。
「君達は、強くなりすぎてしまったのかもしれません。力に溺れ、弱者の立場になって考える事を忘れてしまった。それでは、君達が嫌っていた本校舎の生徒達と何一つ変わりません」
「「「「・・・」」」」
そんな殺せんせーの言葉に、誰も何も言えないみたいだった。そっか・・・これが失敗か・・・
(こんな気持ちになっちまうから、俺に殺しの技術は教えなかったんですね・・・実徳さん)
「話は変わります。皆さん、今日からテストまでの勉強する事を禁止します」
「は・・・?」
そう考えていた俺の予想外の殺せんせーの宣言に、全員が頭に?を浮かべた。あんだけ、テストテストって言ってたのに・・・
「テストよりも、優先すべき勉強が出来ました。まずはそれを行います。教え忘れた先生にも責任はありますしね。皆さんはここで待機を、先生が穏便に説得してきます」
そう言い残すと、殺せんせーはどこかに飛んでいき、辺りは再び静寂に包まれた。
「テストよりも大事な事って・・・何する気だ?殺せんせー」
「さあな。ま、松方さんに俺らも謝っとかねえいかねえし、このまま残っとくか」
「・・・すまねえ、2人とも」
そんなやりとりをしていると、岡島が申し訳なさそうに口を開いた。
「さっきはゴメンな。2人の知り合い怪我させちまったのに、いい加減な事言っちまって」
「あ、いや・・・俺達もカッとなって殴ろうとしちまったんだし、一緒だよ」
「強さってのは怖えモンだ。戦う武器にもなれば、人を傷つける凶器もなる。それが分かっただけでも、1歩前進だろ。
・・・ま、人殺ししようとした俺が言えたもんじゃねえがな」
「それはホントにな」
「・・・太陽、そこは冗談でも否定するとこだろ・・・」
そんな俺達の漫才に、皆も少しだけ笑ってくれた。いつまでもしょぼくれてても仕方ない。
(俺達は間違っちまったし、時間は戻らねえ。でも、やり直す事は出来る筈だよな!!)
「この度は申し訳ありませんでしたぁ!!」
「ぬわあぁぁぁ!?何だ貴様ー!?」
と、その時、聞き慣れた2人の声が上の病室から聞こえてきた。穏便に・・・?
いかがだったでしょうか。
華達が出てる回って、太陽達がお兄ちゃんらしく見えてくるから書いてて楽しいです!!
・・・まあ、この話は原作でもかなり重かったので、少しでも明るくしたかっただけです(笑)
まだまだ暑いですが、皆さんも体調管理気をつけて、お互い夏を乗り越えましょう!!
それでは、また次回お会いしましょう!!