あけましておめでとうございます!!
m(_ _)m
毎年お馴染みで、3日まで里帰りでパソコンが触れませんでした。
作者と同じで明日から仕事や学校、部活ででかなーーーり憂鬱な方もいると思いますが、お互い頑張って寒い冬を乗り切りましょう!!
それでは、どうぞ!!
大賀side
「フフフ~~~ン、給料後のささやかな贅沢。フランスの直売所で買ったフォアグラでバーベキュー、皆さんには内緒ですねぇヌルフフフ」
「・・・」
俺の視線の先では、殺せんせーがバーベキューコンロの前で串を片手に鼻歌を歌っていた。・・・俺はフォアグラよりも普通のお肉でいいなぁ・・・おっと、今はそんなのどうでもいいや。
((・・・コクッ)) ババッ!!
横にいる中村さんと頷きあうと、俺達2人は
ヒュウゥ・・・ガシャン!!「(スカッ)にゅやーっ!?い、いきなり何ですか、中村さんに大賀君!!何で崖から落ちてくるんです!?」
「・・・うっわ、ホントだ。マジであの高さから飛び降りても痛くない」
「それに全く熱くねえや。
・・・あ、殺せんせー。それ焦げてますよ」
「え・・・にゅやあぁ!?」
殺せんせーの絶叫を聞きながら、俺はさっきの烏間先生の説明を思い出していた。
「軍と企業が共同開発した強化繊維だ。衝撃性、耐火性、切断にも引っ張りに強い優れ物だ。世界最先端の技術故に性能テストのモニターを探していてな、丁度良いと思って君達用に作らせたんだ」
「凄えな・・・靴込みでジャージよりも軽いぜ」
「(タンッ・・・くるん)うおっ、この靴めっちゃ跳ねる!!」
木村の呟きを聞きながら、俺はその場でバク転をした。手も着かずに空中で1回転出来るなんて・・・普段のジャージじゃ無理だぜ。
「驚くのはそれだけじゃ無い、その服の機能はそれだけじゃ終わらないぞ」
「全く油断も隙も無い。
・・・気晴らしに、ここでジャンプでも読みますかねぇ」
「菅谷、頼む」
「おう(シャカシャカ・・・プシュー)」
「揮発性物質を噴射すりゃ、すぐに繊維が反応して色が変わるとはな・・・」
「あぁ、5色組み合わせりゃ、紛れる事が出来ない環境なんてねえぜ」
草むらに擬態して進んでいく千葉と速水さんを見ながら、威月や太陽はそんなやりとりをしていた。注意深く見てないと、俺達も見失いそうだ。カメレオンみたいだな・・・
(パパパン!!)「ひぃ!?ち、千葉君ですか!?
・・・あぁ!?せっかく不破さんに中古で売って貰ったというのにペイント塗れに!!」
その時、遠くから銃声と共に殺せんせーのそんな叫び声が遠くから聞こえてきた。というか、教師が生徒から金で物を買っちゃっていいのか・・・?
「・・・・・フゥ・・・このロケットおっぱいの再現の難しさときたら、もう1時間は経っています。ですが、先生は芸術にも手を抜きません!!もう一頑張りですね」
(えーと・・・確かフードを被って首にエアを入れるっと) ぐいっ
空き教室で何やらブツブツと呟きながら本を片手に粘土細工中の殺せんせーを尻目に、俺はフードを被り直した。烏間先生曰く、この服にはありとあらゆる場所に衝撃を吸収する素材が組み込まれているらしい。フードを被れば頭や首までもが完全防御出来るって事だから・・・
(つまり、危険な暗殺も可能って事だよな!!)
「こっちはオッケー、大賀は?」
「大丈夫、いいよ皆!!」
横にいるカルマに返しながら、俺達は勢いよくワイヤーで滑り始めた。着地地点は殺せんせーのいる教室!!当然、窓にはガラスがあるのだが・・・
(さっきあれだけの高さから飛び降りたんだ、こんぐらいじゃビビらねえよ!!) バリィン!!
「(ビシッビチュ)いやーッ!!先生の力作が!?き、今日はいったい何ですか!!息つく暇も無い!!」
俺とカルマの銃撃によってボロボロになった粘土を大事そうに持ちながら、殺せんせーは涙を流して問い詰めてきた。まぁ、確かに3連続で想定外の暗殺されたらこうなっちゃうよな。
「わざわざ手の内を晒す必要は無いと俺は止めたんだが、どうしても彼等がお前に見せたかったらしくてな」
腕を組みながらそう言った烏間先生に気づいたらしく、殺せんせーは?を浮かべる中、
「ここじゃあ、暗殺の教えは暗殺で返すのが流儀だろ」
「あれだけ怒られたんだし、真面目に殺らないとね」
「でも、安心して下さいよ。新しいこの
「ま、殺す力が誰かを守る力ってのは矛盾してるかもだけどな」
寺坂、不破さん、俺が代表して言い、烏間先生の様に腕を組んだ威月が締めくくった宣言に、殺せんせーは満足気な顔を浮かべ、
「素晴らしい答えです。では、明日から通常授業に戻ります。殺せるといいですねぇ、卒業までに」
久々に
「それにしても、凄えプレゼントくれたよな烏間先生。大賀がアレ着たら大抵の暗殺、可能っぽいし」
「おう、任しといてくれよ友人。E組の特攻隊長になってみせるからさ」
校舎を出た俺達はそんな事を話し合いながら歩いていた。とりあえずテストも終わったし、プレゼントも貰ったし、良かった良かった。
「お前の場合、只の無謀な突撃にならないか心配だがな・・・」
「ひっでえな、威月。俺がそんな考え無しに突っ込んでばっかりと思わないでくれよ、なあ皆?」
「「「「・・・・」」」」
「・・・え?俺ってそんなに無鉄砲だと思われてたのか!?」
「・・・気づいてなかったんだ」
むぅ・・・渚まで苦笑いしてるし・・・
「ま、心配すんな。そうならない様に、俺らがいるんだしな」
「そーそ、あんまり気にすんなよ。んじゃ、ワリいけど先帰るわ」
「あ、待ってたーくん。私も途中まで一緒に「!! それはダメ!!」・・・へ?」
太陽にしては珍しい大声での遮りに倉橋さんがキョトンとなる中、太陽は慌てて弁解を始めた。
「え、えっとな・・・そう!実は今日ちょっと寄らなきゃならない所があってな。かなり遠回りになっちゃうから付いてこない方がいいぜ」
「う、うん。分かったよ」
「くく・・・」
太陽の怒濤の勢いに押されて倉橋さんが思わず頷いた。そんなやりとりをする2人の姿を、威月が何やらニヤニヤとした笑みを浮かべながら見ていた。・・・威月、何か知ってんのかな?でも、聞いても教えてくれだろうしいっか。
「太陽、俺も行くわ。図書館に行きてえから俺も急いでんだ」
「お、おぉそうか。じゃあ、行こうぜ」
「というわけで、後は頼むな登志、大賀。んじゃお疲れ皆」
そう言い残して2人は山道を下っていった。つってもなぁ・・・今日は特にスーパーに寄らなくてもいいし、普通に帰るか。
「全くあの堅物は・・・ホント女心が分かってない「・・・あ、久しぶりビッチ先生!!」・・・あら、アンタ達」
その時、太陽達と入れ違いに、何かをブツブツと呟きながらこっちへ向かってきた。矢田さんの声で、向こうもこっちに気づいたみたいだな。
「久しぶりね。まだいるって事は、アンタ達もうプレゼントは貰ったの?」
「体育着の事?それなら貰いましたよ」
「そう。ちなみにあの服、女子のは私がデザインを考えたのよ。烏間ったら男子と女子、一緒のデザインにしようとしてたから。まあ、私としてはもう少し男受けするような肌を露出させたデザインでも良かったんだけどね」
「何の為に良い素材使ってると思ってるんですか・・・」
得意げに言うビッチ先生に登志がツッコんだ。今のでも充分、可愛いとは思うけどな。
「・・・にしてもアイツってば・・・皆にはプレゼントあげて私には何にもくれないんだから・・・タコだって分かってたのに」
「え?あの・・・どういう意味「あー!!思い出したらまた腹立ってきた!!」あ・・・」
さっきの様にブツブツと呟いたが、今度は距離が近かったお陰で、全員が聞き取れた。意味が分からず奥田さんが聞き返すが、ビッチ先生はそんな風にプンスカしながら職員室の方へと歩いていってしまった。
「? 何でビッチ先生に烏間先生がプレゼントあげなきゃならないんだ?」
「・・・あ、そういえば4日前の10月10日って確かビッチ先生の誕生日だよ」
「そっか・・・僕達のテスト期間中に終わっちゃったんですね。その前にも課外授業でゴタゴタしちゃってたし」
なるほどな・・・俺は有希子と付き合った時には自分の誕生日は過ぎてたから気にしてないけど、確かに好きな人に誕生日を完全に無視されたら凹むよな。
「ビッチ先生プライド高えからなぁ・・・自分では言い出せず、烏間先生が何かくれるのを期待したけど案の定・・・ってとこか」
(岡島の想像が目に浮かぶな・・・)
「とはいえ、僕達が原因の1つですし、いくら何でもビッチ先生がかわいそうですよね」
「・・・うし、また俺等がちっとばかし背中押してやっか!!」
登志や前原の言葉に、全員が笑みを浮かべながら頷いた。ビッチ先生にお詫びは必要だし、これで少しは進展するといいな!!
「・・・て、言ったはいいけどよ・・・ビッチ先生って大抵のモン貰ってる筈だしな」
「ねー。かなり難しいよ」
今、俺達4班は他の班の皆がビッチ先生の気を引いてる隙に買い出しに出ていた。でも友人の言う通りだよなぁ。殺し屋としての付き合いで山ほどあるだろうし。
「(ピラッ)E組全員が出せる金の合計が5000円。安くはねえが、高額な物は無理だし・・・」
「オマケに大人っぽいプレゼントじゃないといけないし・・・うーん」
金の入った封筒を扇ぎながらの俺の言葉を渚が継いだ。かなりハードルが高い・・・
「あ、じゃあ例えば皆が欲しい物を参考にしてみるとかどうですか?それなら良い案でるかもしれないですし」
「流石、奥田。うーん・・・最近古くなってたし、俺はグローブだな」
「んー・・・烏間先生が上げても何の事か分かんねえな。カルマは?」
「俺?・・・新しい悪戯の道具が欲しいな」
それは完全に嫌がらせだろ・・・好きな人から貰っても複雑なだけだ。
「じゃあ奥田さんは?」
「あ、えっと・・・新しい道具や参考書ですかね。
・・・すいません、言い出しておきながら何の参考にもならなくて」
「いや、やっぱり好きな物が欲しいって事だろ。充分、参考になるよ」
「ありがとうございます。あの、じゃあ神崎さんはどうですか?九澄さんがくれたら嬉しい物とかあるんじゃないです?」
(!! コレは気になる)
皆もそう思っているのか、全員が有希子の方を見た。そうじゃなくても、唯一の彼氏がいるんだもんな。
「んー・・・特に無いかな」
「え!?そうなんですか?」
「うん。だって、」
そう言いながら有希子は俺を見ると、
「大賀くんが私を喜ばせたいって思って選んでくれた物なら、私は何でも喜んじゃうと思うから」
「っ・・・」
ニコニコと笑いながらそう言いきってくれた。嬉しさと恥ずかしさが混じっって何とも言えなくなった俺は思わず立ち止まってしまった。
「ほわあー・・・」
「神崎さんが凄く乙女に見える・・・」
女子2人もそんな風に呟きながら、目をキラキラさせていた。・・・俺って本当に良い彼女に好きになってもらえたんだな・・・何か凄え嬉しいや。
「・・・つまり1番大事なのは渡す人の気持ちだってのはよく分かったけどよ・・・それじゃ結局ふりだしに戻っちまうぜ?」
「ご、ゴメンね。私のあんまり参考になってなかったね」
「コホン・・・じ、じゃあ渚や茅野は?」
友人のツッコミに赤くなりながら笑う有希子がそう言ったのを聞きながら、俺は同じく赤くなった顔を誤魔化す様に咳払いをしながら2人に尋ねた。
「「・・・」」
「? ど、どうしたんだ2人共?」
何かもの凄い暗くなってんぞ、この2人!?どうしたんだ・・・
「・・・身長が欲しいな。僕、色んな人に小学生や女の子と間違えられるし」
「・・・スタイルの良い身体かな。E組以外の皆に馬鹿にされないように」
「切実過ぎだろ!?2人共!!」
余りにも真剣な声色に、思わず杉野がツッコんだ。
「それはいくら何でも現実味が無さ過ぎだって、2人共。ビッチ先生にあげる物の参考にしてるんだから、せめて物にしてくれねえと」
「う・・・確かに」
「そ、そうだね。じゃあ、最後に九澄君は?」
うーん・・・俺が欲しい物か。
「・・・! 最新の調理器具が欲しい!!」
「お前は現実的過ぎだろ!?」
「大賀くん、それじゃあ母の日だよ・・・」
閃いた俺の言葉に、杉野と有希子はそれぞれがそうツッコんできた。・・・俺的にはかなり真剣に考えたのに。
(・・・他には・・・安売りの食材、いや何だったら激安スーパーのチラシでも「・・・あれ?君達は確か・・・」・・・ん?)
その時、俺達に向けてそんな声が聞こえてきてきた。見てみると、そこには横に大きく「花」と書かれた車とその前に俺達を指差している若い男性が立っていた。誰だ?向こうは知ってるみたいだけど・・・
「やっぱりそうだ!!大丈夫だったかい?あの後。ほら、お爺さんの脚の怪我」
「・・・あ、あの時、太陽が話しかけてた花屋さんだ!!」
へー・・・松方さんの時の。確かに太陽も携帯持ってないんだし、誰かに救急車を呼んで貰う可能性も言われてみればあるわな。
「まぁ・・・2週間ほどのタダ働きで何とか許して貰えました」
「それは良かった、心配してたんだ。
・・・それはそうと今の様子だと何やらプレゼントを探しているみたいだね。大人にあげる為の」
「あ、はい。でも、いったい何をあげたらいいか「(スッ)コレなんて、どうかな?」あ・・・」
1輪の綺麗な花を有希子に差し出しながら男はそう言った。むぅ・・・有希子も少しだけ赤くなってるし、何か複雑な気分。
(でも、花か・・・悪くないかも。皆も顔が明るいし)
「実は花ってブランドバッグや指輪とかに比べてずっと高額なんだ。ほんの1週間前後で枯れてしまうのに数千円から数万円するのもあるしね」
「言われてみれば・・・確かに」
「(スッスッ・・・)人の心なんて色々あるし、今時プレゼントなんて選び放題だ。なのに未だに第一線で花が通用しているのは何故だと思う?
心じゃないんだ。色や形が、香りや儚さ、それら全てが人の本能にピッタリ当てはまるからなんだ」
そんな演説を終えた男の手の中では、見事な花束が出来ていた。凄い手捌き・・・プロだな。
「うわー、凄い説得力ありますね!!」
「だねー、右手に電卓持ってなけりゃ」
「う!!ま、まあ一応、商売ですから。どうだい?これも花の縁だし、特別価格にしておくよ」
そんな有り難い提案を断る気は全員無かった。
「良い買い物出来ましたね!!値段以上の輝きですよ!!」
「うん、これならきっと喜んで貰えるね」
大きな花束を抱えた有希子と奥田さんがそんなやりとりをしながら学校へと向かっていき、皆も付いていった。俺は金を払わなきゃならないから残っている。
「あ、すいません。俺ら今手持ちがこれだけしか・・・」
「あぁ、大丈夫だよ。
「へ?あ、どうも・・・」
あれ?おかしいな・・・俺、金額を指定した覚えないんだけど・・・
(・・・まあ、無意識に言ってたのかもな)
「じゃあ、はい丁度です」
「あぁ、ありがとう。そういえば、さっきは悪かったね」
「え?何がです?」
言葉の意味が分からず聞き返した俺に、男は悪戯っぽい笑みを浮かべながら近づくと、
「
「!! いえ、大丈夫です」
「大賀ー、何してんだよ?早く戻ろうぜ」
耳元で囁かれた言葉に思わず目を見開いてしまったが、俺は何とか冷静を装いながら返した。偶然だけど、杉野がタイミング良く呼んでくれて良かった・・・
「悪い、すぐ行くよ。ありがとうございました」
「毎度ありがとう。また今度、機会があったらよろしくね」
タッタッタ (何だろう・・・この違和感)
前を歩く皆に追いつく為に小走りしながら、俺はさっきよぎった疑問に、頭を働かせていた。俺が有希子と付き合ってるなんて一言もあの人の前で一言も言ってない筈なのに・・・
(まるで・・・俺達の会話をずっと聞いてたかの様な)
「大賀くん、どうかしたの?何か変な顔だけど」
「あ、いや別に大丈夫」
まあ。もしかしたら俺さっき有希子に花を渡してた時しかめっ面してて、それを見て予想したのかもな。
「にしても、花なんて俺には良く分かんねえや」
「確かに、俺も食べ物なら植えるけど、花は食べれないからな-」
「ま、あの純情ビッチには効果てきめんっしょ」
後はこれを烏間先生に渡して貰うだけ。カルマの言った通り、ビッチ先生喜んでくれるといいなぁ。
登志side
「で、それでそれで?フランスの男はどんな口説き文句で落としてみせたの?」
「・・・どしたの?
「だーって気になるんだもーん」
(流石、矢田さん。もう10分以上は1人で時間稼ぎしてるよ)
大賀達が行ってから20分程、片岡さんが上手く連れ出したビッチ先生を僕達は草むらで相手をしてもらっていた。1時間くらいって言ってたし、後30分ちょっとか。
(とはいえ、いくら矢田さんでも1人ではそろそろ限界かもしれないな) チラッ
「(こくっ)ビッチ先生ーこの前みたいにさ、ピアノ弾いて見せてよ。私上手く弾けなくてさ」
「僕もちょっと世界史とか教えてくれませんか?ビッチ先生そういうの詳しそうですし」
「おいおい伊勢、勉強終わったばっかりなんだからそんなの後にしろよ。ビッチ先生、いつもみたいに悩殺ポーズとってくれよ」
「じゃあその次、私ねー!!」
助かった・・・僕、剣以外はお蕎麦しか詳しくないから5分も無理だったよ・・・
「な・・・何よ・・・今日の私、引っ張りダコじゃない・・・よーし、上等よクソガキ共!!片っ端からやってあげるから、せいぜい発情するんじゃないわよ!!」
「「「「おーう!!」」」」
(それにしてもビッチ先生、最初の取り付く島も無かった雰囲気だった頃とは全然違うなぁ)
今も笑顔でピアノを弾きながら歌うビッチ先生に心からそう思った。僕達の事も段々、名前で呼んでくれるようになったし、何かお姉さんみたいなんだよね。
(普通の先生とはちょっと違うかもしれないけど、僕達にとっては自慢の先生だ)
「(くいくいっ)待たしたな、皆」
「!! 大賀」
その時、僕の袖を引っ張りながら大賀が小声でそう声をかけてきた。買い出し班の大賀がいるって事は・・・
「烏間先生にちゃんと渡すように言った?」
「あぁ、烏間先生は今、教室にいる。さっさと向かわせよう」
「うん!
・・・退散しよう皆!!」
((((こくっ))))
「さーて、じゃあ次はいったい誰の相手を「わり、ビッチ先生!!俺等ちょっと用事が出来ちまった!!じゃあな!!」「準備完りょ・・・いや特に何も無いけど私達も!!」・・・は!?ちょっいきなり何よ!!」
驚くビッチ先生を残し、僕達は一斉にその場を離れ、渚君達がしゃがんでいる教室の外の草むらへと同じようにしゃがみ込んだ。中では、烏間先生が片手に花束を持って立っているのが見える。
(花束をプレゼントにしたんだ。美人さんには花が似合うし、ビッチ先生にはぴったりかも)
「にしても、よく烏間先生に渡すように出来たな。あの人なら俺等が渡せとか言いそうだけど」
「ま、まあそこは無理矢理ね「全く何なのよ、どいつもコイツも」! 来た」
前原君の問いに渚君が苦笑いで返したその時、何やらそんな声で聞こえてきた。窓の外から聞こえてくるなんて、相当な大声で喋ってるんだなぁ・・・
「(ガラッ)! ここにいたのね、カラスマ!!ちょっと聞いてよ、ガキ共が・・・「イリーナか、今向かおうとしてた所だった」・・・は?どういう意味・・・」
「(バサッ)誕生日おめでとう」
「・・・え?」
愚痴を花束で遮りながらの烏間先生の言葉に、今度こそビッチ先生は言葉を失っていた。格好いい・・・やっぱり烏間先生は絵になるなぁ。
「うそ・・・アンタが、私に?」
「遅れてすまなかった。色々と忙しくてな」
「べ、別にいいわ。ありがと・・・超嬉しい」
・・・何とか、上手くいったかな。これでちょっとは仲良くなるといいんだけど・・・
「にしても、アンタにしては上出来ね。何か狙いでもあんの?」
「バカを言え、祝いたかったのは本心だ。何せ
(・・・へ?)
か、烏間先生、何を言って・・・!?
「・・・どういう事よ、最初で最後って」
「当然だろう。依頼が完了するか地球が消滅するか、どちらに転んでも残り半年で終わりなんだからな」
「おいおい・・・!!何、言ってるんだよ烏間先生!!そんなのビッチ先生に脈が無いって言ってる様なモン(ガタッ)! やべっ!?」
烏間先生の余りにも冷たいその言葉にツッコんでいた岡島君だったが、動揺していたからか窓枠を鳴らしてしまった。当然、一流の2人がその音に気づかない訳が無くて・・・
「・・・(スタスタ・・・ガラッ!!)フーン、そういう事だったのね。ま、こうでもしなきゃあの堅物が誕生日祝いをくれる訳無いものね」
「あ、あの・・・ビッチ先生、騙したのはすいません。でも僕達、ビッチ先生のお手伝いがしたくて(チャキ・・・)え?」
何とか取り繕うとした僕の頭に、ビッチ先生は拳銃を向けてきた。当然だが、ビッチ先生の持ってる銃は対殺せんせー弾ではなく普通の弾丸を撃つ訳で・・・
ドガン!!「!! と、登志!?」
「(シュウゥゥゥ・・・)し、死ぬかと思った・・・」
南の島以来の轟音を出しながら発射された弾丸は、瞬時にしゃがんだ僕の頭のてっぺんの髪の毛を何本か焦がしながらすぐ後ろの地面に突き刺さった。な、何とかギリギリ躱せた・・・
「・・・流石ね、伊勢。この至近距離で躱す事なんて私には出来ないわ。
・・・でも、そうだったわね。
「び、ビッチ先生・・・」
余りにも寂しそうに笑いながらビッチ先生に、急に狙われた事に怒る気にもなれずに呟く事しか出来ずにいると、ビッチ先生はフッと自虐的な笑みにを代わりに浮かべ、
「皆、楽しめた?プロの殺し屋が、アンタ達みたいなガキの描いたシナリオに振り回されるのを特等席で見られて」
「それは違いますよビッチ先生。生徒達は純粋な好意で動いていました。私が保証しま「アンタはもう何も喋るな!!」・・・・・はい」
大賀の言う通りだよ・・・そんなカメラやメモ用紙持った人が言ったって1番説得力無いって。
「・・・何で忘れてたのかしら。コイツらと私はあくまで利害が一致してただけ。
・・・そう、只の先生ごっこをしてただけだったのよ
最高のプレゼントだったわ、ありがとう。私の目を覚ましてくれて」
小声で何かを呟くと、ビッチ先生は花束を烏間先生に突き返して去っていってしまった。その顔は、初めて会った時と同じくとても冷たい、殺し屋そのものの目だった。
「ちょ・・・ビッチ先生!!」
「そっとしておきましょう。寧ろ今は何を言っても逆効果でしかありません」
「・・・(クルッ)」
「!! 待って下さい、烏間先生!!」
そんなビッチ先生をしばらく見つめた後、何事も無かったかの様に踵を返す烏間先生に僕は思わず声をかけてしまった。勿論、僕達のお節介だった事は認める・・・でも!!
「あれは・・・あれはいくら何でも酷すぎますよ、烏間先生!!」
「まさか、まだ気づいてないんですか!?」
「・・・そこまで、俺が鈍いと思うか?」
「え・・・」
僕や岡野さんの問いかけに、烏間先生は短くそう聞いてきた。その言い方・・・じゃあ、気づいてて?
「確かに薄情かもしれん。だが、あれで冷静さを失う程度なら別の暗殺者を雇う。どれだけ非情に思われようと、色恋で鈍るような刃ではここでは役には立たない」
「「「「・・・」」」」
僕達は何も言い返せなかった。何故なら、烏間先生の言っている事はプロとして当たり前の事だから。
(僕達が余計な事をしたばっかりに・・・すみません、ビッチ先生)
当然だけど、心の中での謝罪がビッチ先生に聞こえる筈がない・・・それでも、僕は謝らずにはいられなかった。
いかがだったでしょうか。
ここは辛いですねえ・・・最近、原作で書くのが辛い場所が多くて大変です。
まあ、根気強く書いていこうと思います。
それはそうと、去年の12月でなんとこの小説も書き始めて3年目に突入しました!!
去年から仕事の忙しさからの投稿ペースが極端に遅くなってしまっている中、ここまで読んできてくれた方には本当に感謝しかありません。
これからも頑張って書いていくので、是非読んで頂けたらと思います!!
それでは、また次回お会いしましょう!!