今回は何とか1ヶ月で書き上げる事が出来ました!!
やっぱり、書き始める前から何となく頭の中でこういう風に書こうって思ってた所は比較的スムーズに書けますね(松方さんの辺りから前話位までは、特に何も考えてなかったので大苦戦しました(笑))
まぁ、クオリティはいつも通りなんですが(笑)
それでは、どうぞ!!
渚side
「指定されてるのは、あそこか・・・」
前原君の呟いた通り、僕達は死神が指定した倉庫の様な建物の近くの林に潜伏していた。あそこにビッチ先生が・・・
「・・・建物を周りを1周してみたが、屋上を含めて特に人影は無いな」
「いいか皆。いくら死神といえど、この超体育着や殺せんせーを殺す為に俺達が作った道具までは完璧に把握できていない筈だ。そのアドバンテージを活かして、捕まりにきたフリをして敵が油断した一瞬の隙にビッチ先生を救出する。あのサイズなら死神の手下がいたとしてもそこまでは多くないからな」
飛ばしていた糸成3号(偵察ヘリ)をキャッチしながらのイトナ君の言葉に続いて、磯貝君が作戦の最終確認を告げた。
「あ、あのさ・・・」
「? 何だ、渚?」
「もし死神と戦闘になって劣勢になったら、
「・・・それって、あの時の」
合わせた僕の手を見て、茅野は僕の考えに気づいたみたいだった。そう僕が狙っているのは鷹岡に使った猫だましだ。
「勿論、死神なら僕の技も知ってるかもしれない。だからそれを踏まえて2択に追いこもうと思う。右手にナイフ、ポケットにスタンガンを入れて」
もしスタンガンに注意が向いたらナイフをそのまま、ナイフに向いたら猫だましからのスタンガンを。
「どちらにせよ、一瞬だけでも隙は作ってみせる。皆にはそこを突いてほしいんだ」
「・・・いいんじゃねーの?無策で突っ込むよか百倍マシだ」
「ま、最強の殺し屋相手に変に策を練っても無駄だろーし、単純な方が効くかもね」
寺坂君やカルマ君も始め、皆が賛成の意味を込めて頷いてくれた。勿論不安が全くない訳じゃない・・・でも、
(フゥ・・・大丈夫、皆ならきっとやってくれる!!「ポツッ・・・」 えっ?)
「(サアァァァ)チッ・・・雨かよ。ま、結構強いし音が紛れっから丁度良いか」
いきなり強く降ってきた雨に、吉田君が悪態をつきながら空を見上げた。確かにそうだけど・・・今日は降水確率0%だったのに・・・
「律、もしも私達が12時を過ぎても戻ってこなかったら殺せんせーと烏間先生に連絡して」
「・・・分かりました、原さん。どうか皆さん、ご無事で」
「・・・そろそろ時間だ、行くぞ皆!!」
「「「「おう!!」」」」
磯貝君の号令で僕は胸に抱いた不吉な感じを振り払った。今更そんな事を考えても仕方ない!!
「敵は・・・いないな」
中に入った僕達はとりあえずそれぞれバラバラに散らばった。そうすれば敵がどこから現れても一気に全員捕まるリスクが避けられるからだ。
(にしても、死神の姿も見えない・・・あるのはスピーカーとカメラだけ「全員来たね。まあ、あの4人は来ていないけど・・・連絡もしていないみたいだし構わないか。じゃあ閉めるよ」 !!)
その時、スピーカーからそんな声が聞こえてくると同時にギギィと音を立てながら扉が閉まった。やはり太陽達の事も知ってるんだ・・・でも大賀とは会ってるんだし、知っていてもおかしくないか。
「ふーん、そっちの姿は見せずに、こっちの動きはカメラで見てるって訳ね。殺し屋っていうよりは覗き魔だね」
「ふむ・・・何やら格好いい服を着ているね。隙があれば、僕と一戦交えようって所かな」
カルマ君の挑発にも死神は柳に風といった具合に、僕達を観察していた。やっぱり、超体育着の事は知らないらしい。
「あの時、教室にいた全員で来たし、約束通り誰にも知らせてないわ!!後はビッチ先生を返して貰えばそれで全て終わりよ」
「なるほど・・・中学生とはいえ散らばり隙を無くしている辺り、基本はしっかり身についている。実に興味深い」
「(ガクンッ!!)!? へ、
片岡さんと死神がそれぞれそう言った次の瞬間、機械が動く音と共に僕達が立っている床が下がり始めた。いきなりの状況になすすべなく僕達はその場に立っている事しか出来ず・・・
「(ガシャン!!)はい、捕獲完了。流石に予想外だったかい?」
「死神・・・それに、ビッチ先生!!」
矢田さんの言った通り、鉄格子を挟んだ先には死神と両手を上で繋がれて気を失っているビッチ先生の姿があった。
(まさか・・・地下にこんな空間があったなんて!!)
「君達を全員纏めて捕まえる為に、わざわざ部屋丸ごと
「くっ・・・」
「クソがぁ!!出しやがれ!!」
三村君や寺坂君を始めが何人かが壁をガンガンと叩く中、死神はにこやかな様子で続けた。
「まぁまぁ落ち着きなよ。別に君達を殺そうって訳じゃない。僕が用があるのは、あくまで
「くぅ!!」
「このっ・・・」
死神の言葉を聞きながらも僕達はバラバラに壁を叩き続けたが、人間の力じゃ壁は当然びくともしなかった。
「・・・じゃあ、ビッチ先生も今は殺す気は無いって事なの?」
「人質は多い方が良いからね。奴を狩り場に誘い込もうとすれば、何回も見せしめに使う必要があるかもしれない。場合によっては、30人近く殺せる命が欲しい所だ」
・・・諦めるな、出口が全くない訳じゃない。片岡さんが時間を稼いでくれてる間に・・・
「・・・じゃあ今は殺さない、本当だな?も、もしも俺達が反抗的な態度をとったりしても・・・?」
「しないよ。何でわざわざ交渉材料を自分で減らすんだい?子供だからってビビり過ぎ「いや、少し安心しただけだ」・・・?」
震えていた岡島君がニヤリと笑いながら言った言葉に、死神は不思議に思い意味を尋ねようとしたみたいだったが、それよりも壁を叩いていた三村君が声を張り上げる方が早かった。
「(ガンガン・・・ガアァン!!) !! ここだ、竹林!!この先に空間がある!!」
「離れてくれ!!奥田、煙幕を!!」
「は、はい!!」 ボンッ!!
三村君の示した位置に竹林君が素早く小さい物体を貼り付けるのと同時に、奥田さんが投げた煙幕カプセルがもうもうと白い煙を立てて広がっていき・・・
ドカン!!
もの凄い炸裂音を立てて爆発した物体は、壁に大きな横穴を開けた。その先には三村君の言ったとおり、道が広がっている。
「煙が出てるうちに行くぞ!!」
磯貝君の号令で、僕達は素早くその横穴から脱出した。煙で逃げ先が分からなくしてるとはいえ、いつ死神が追ってくるか分からないからだ。
「フゥ・・・何とか上手くいってくれたみたいだ。威月のお陰で完璧な火薬の調合が出来た」
逃げる途中でそう言いながら竹林君は眼鏡をクイと上げた。そう、僕達は最初から怯えていたいた訳じゃ無かった。例え見た目で出口が無くても、どこかに脆い場所もしくは空間がある、そう予測を付けて全員で壁を叩いていたのだった。
「ハァ・・・ハァ・・・よし、とりあえず追っ手はいないな。助かったよ竹林、奥田」
「あぁ、試作品だったが、問題なく起動したよ」
「あ、ありがとうございます!!」
入り組んだ通路をしばらく走った後、前後ろの安全を確かめてようやく僕達はひと息つく事にした。勿論、ここは敵地だし警戒は怠らないけど。
「にしても、まさか地下にこんな入り組んだ通路があるとはな。こんな場所を半年で死神は作ったのか?」
「分かんないよ。世界最強の殺し屋なんだし、元々いくつかのアジトを持ってるのかも」
汗を拭いながらの前原君の言葉に、片岡さんが返した。確かに世界中にアジトを持っていても、おかしくは無いもんね・・・
「・・・聞こえるかい?E組諸君」
「「「「!!」」」」
その時、近くのスピーカーから死神の声が聞こえてきた。全員が身構える中、死神は淡々とした様子で話し出した。
「君達がいる地下空間から出る為の扉には、全て電子ロックが掛けられている。ロックを解除する
・・・つまり、死神を倒す以外にここから出る方法は無いみたいだな。
「実を言うと竹林君、君の爆弾で逃げてくれたのは好都合だったよ」
好都合って・・・せっかくの人質に逃げられたのに?
「幸か不幸か、地球を破壊する怪物を殺す使命を負い、特別な訓練を受けた27人の暗殺者。1度にそんなに大勢を相手するのは滅多に無いからね。ただ人質として使うだけじゃ勿体ない。未知の化け物を相手する前の肩慣らしになって貰う。どこからでも殺しに来るといい。楽しみに待っているよ」
言いたいだけ言うと、死神は一方的にマイクを切ってしまった。鷹岡先生の時の様な単純な狂気は感じられない。・・・でも、だからこそ本当の顔が一切分からない・・・
「あっちからしたら、ゲーム感覚みたいね」
「舐めやがって・・・あのクソ野郎」
「落ち着けよ、キレたら相手の思うつぼだぞ」
「・・・分かってるよ」
速水さんや寺坂君の気持ちは分かるけど、木村君の言うとおりだ。こんな時だからこそ冷静にならないと・・・
「よし、どのみち大人数で動いても狭い屋内じゃ満足に動けない。役割を決めて、3班に分かれて行動しよう」
「いいか、皆。死神は必ず奇襲を仕掛けてくる筈だ。絶対に警戒を怠るなよ」
皆と分かれた後、前方に注意を向けながら磯貝君は口を開いた。ちなみに今いるA班(僕、カルマ君、茅野、磯貝君、前原君、木村君、岡野さん、千葉君、吉田君、村松君)が実質的な戦闘要員だ。茅野もいるにはいるけど、茅野は連絡要員だから実際は9人だけど。
「分かってるぜ、磯貝。殺し屋ってのは基本的に真正面からの戦闘は得意じゃない。人数使って戦えば、俺達でも戦えるのは南の島でお前達が証明済みだ」
僕達は太陽達ほどに戦い慣れてる訳では無い。でも、前原君の言う通り10対1でなら勝機はある筈だ。
「不意打ちさえ躱しちまえば、後は俺達の中の誰かがコイツを喰らわせて勝ちだ」
バチチッと全員が持ったスタンガンから音と共に電流が流れた。
(いくら死神でも、僕達10人を一斉に不意打ちで倒せる筈が無い。対して僕達はたった1人でも当てればいい。これなら、僕達でも「カツン・・・」・・・え)
その時だった。前から得体のしれない何かが音を立てて近づいてきたのは。
「な・・・」
「うそ・・・何で正面から・・・?」
「さて・・・じゃあ、始めようか」
信じられないと言った様子で呟く僕達を尻目に、感情すら掴めないほどあっさりと死神は呟いたのだった―――
陽菜乃side
「・・・大丈夫、敵はいないわ」
戦闘に立って曲がり角の安全を確認したメグちゃんは、ほっと息を吐きながらそう言った。
「くっそ、ビッチ先生を急いで助けなきゃってのに時間かかるな・・・」
「仕方ないでしょ。そもそも私達は戦闘目的のA班じゃ無いんだから」
凛香ちゃんの言った通り、私達B班(私、桃花ちゃん、有希子ちゃん、メグちゃん、凛香ちゃん、莉桜ちゃん、三村君、岡島君、杉野君)の9人の目的は、ビッチ先生の救出だった。壁を壊しちゃったから正確な場所は分からないけど、今はさっきビッチ先生が捕まっていた部屋を目指していた。
「まだマップが分かればもっと楽に進めるんだが、何せ律がこんな状態じゃあな・・・」
「働くのだりぃ・・・つーか、死神さんと戦うとかマジでアホじゃん」
・・・三村君が手に持っている携帯には、普段からは考えられない言葉遣いで喋りながら横に寝転がっている律の姿があった。律でもこんな格好するんだ・・・
「電波が届かない上に、モバイル律は本体よりは簡単とはいえ、まさかこんな短時間で
律の様子に苦笑いを浮かべながら、桃花ちゃんはそう呟いた。烏間先生が南の島でそう言ったみたいだけど、本当にプロって凄い・・・
「トランシーバーが無かったら、まともに連絡すら出来なかったね。他の皆も無事だといいんだけど「何ですって!?」 !!」
有希子ちゃんが笑いながら呟いたその時、メグちゃんが大きな声でトランシーバーに話しかけていた。な、何だろう・・・メグちゃん、凄く慌ててるけど。
「ど、どうしたんだよ?片岡。そんな大きな声だして」
「・・・今、吉田君に持たせたマイクを聞いてた原さんから、A班が全滅したって知らせがあったわ」
「「「「!?」」」」
そ、そんな・・・まだ分かれてちょっとしか経ってないのに!!
「とんでもない強さね・・・A班を中心に据えた作戦だったのに、こうもあっさりとやられるなんて」
「くそ・・・やっぱ大賀達に声をかけるべきだったか」
・・・杉野君が悔しそうに呟くのが私にはよく分かる。こう考えちゃダメだけど、たーくん達4人なら死神にも負けたりはしなかったのかも。
「無い物ねだりをしても仕方ないわ。とにかく今は私達の目的を果たしましょう」
「でもよ・・・A班もいないってのにどうやって・・・」
不安そうな岡島君の呟きを遮るように、メグちゃんが竹林君と水守君が作った爆弾を見せた。
「この爆薬、人に向けちゃダメだけど脅しには充分だわ。それに、奥田さん特製の催涙液入りのペイント弾。顔の近くに当てるだけで効果はあるみたいよ」
「・・・そうだな、俺達だって戦う手段が無い訳じゃない」
杉野君がスタンガンのスイッチを入れると同時に、凛香ちゃんが弾を入れたエアガンを構え直した。私達もA班と同じ装備は持ってるもんね。
「死神の奴、生け簀に小魚を泳がして楽しんでるだろうけどよ、俺達は小魚でもピラニアだって事を分からせてやろうぜ!!」
「えぇ、そうね・・・! ここね、ビッチ先生がいたのは」
「俺が開ける。下がっててくれ」
そう言うと、三村君はドアの鍵穴に爆薬を取り付け、ボンッと音を立てながら爆薬は鍵を吹き飛ばした。
ガンッ!! 「!! ビッチ先生!!」
蹴破ったドアの先にいたのは、間違いなくビッチ先生の姿だった。鉄格子と奥には竹林君が開けた穴が見えるし、間違いなくさっきの部屋に戻って来られたんだ。
「・・・大丈夫よ、気を失ってるだけで息もあるわ」
「うし、とりあえず第1目標はクリアだな」
よかったぁ・・・ようやくビッチ先生に会えた。
「じゃあ、まずはC班の皆と合流しましょう。何か見つけてくれてるかもしれないし、ダメだったら協力してA班を救出しながら死神をぶっ飛ばしましょう!!」
C班(寺坂君、イトナ君、竹林君、菅谷君、奥田さん、狭間さん、原さん、優月ちゃん)の8人はここの情報収集を担当していた。狭間さんや竹林君達は頭の良いし、何か見つけてくれているかもな。
「私が後方を守るから杉野君はビッチ先生を背負ってあげて。三村君と岡島君が先頭をお願い。ここまで死神以外とは出会ってないし、1人ならまだ何とか出来るわ!!」
メグちゃんの檄に、全員が頷いた。勿論、簡単に勝てる訳じゃないけど、諦めたりなんて出来ないよ!!」
「でも、ホント良かったね。ビッチ先生に怪我がなくて」
「うん、まだまだ教えて貰いたい事もいっぱいあるしね」
「ま~どっちかと言えばダベり友達って感じのが強いけどね「ぐ・・・(うっ・・・)」 ? どったの、2人と・・・も」
そんな風に話していた私達は、後ろから杉野君とメグちゃんの呻き声が聞こえてきて後ろを振り返った。そんな私達の目に飛び込んできたのは・・・
「フー・・・6か月位、眠ってたわ。アンタ達といたせいでね」
「ビッチ・・・先生?何やってんのさ」
「何って、これが本来の私よ。
・・・かかってきなさい、全員纏めて逝かしてあげるから」
倒れた2人の前で、両手に注射器の様な物を持ったビッチ先生の姿だった。動揺する私達に、ビッチ先生は初めて会った時の様な鋭い目つきでそう宣言してきた。うそ・・・まさかビッチ先生・・・裏切ったの?
「本気なの・・・ビッチ先生?」
「当然でしょ?強い方と組んだ方が可能性は上がるもの。カレの命令で商売敵は黙らせろって言われてるのよ」
「・・・見損なったよ、ビッチ先生。そんな人だとは思えなかった」
「元々そんな人よ。どんな人だと思ってたのよ?」
平然と返され面食らった様子の莉桜ちゃんは、
「え・・・言われてみれば、身勝手で欲望まみれで・・・男がいないと性欲が爆発して死ぬ人・・・あれ、わりと予想通りか」
「どこがよ!?ていうか、変な設定を付け加えるな!!」
あ、確かにいつも通りのビッチ先生だ。
「あ、あのさビッチ先生」
「ん?」
「死神に寝返ったのはショックだったけどさ、その・・・1人で俺達、全員を相手にするつもり?」
「俺等だって半年間ずっと訓練してきたんだぜ。ビッチ先生じゃ、もう勝負になんねえと思うけど・・・」
三村君と岡島君が言った通り、確かにこの中で最も強い杉野君とメグちゃんが倒されたけど、まだ7人もいるんだし全員でなら、いくらプロの殺し屋のビッチ先生相手でも負けるつもりは無かった。
「クス、そうかしら?なら・・・見せてあげるわ。これが最後の授業よ」
そういいながら、ゆらりと動きながらビッチ先生はそう告げた。思わず身構える私達の前で、
「・・・痛ァッ!?」
「「「「ビクッ」」」」
「つー・・・裸足で石踏んだー・・・」
「「「「・・・」」」」
片足を押さえながらうずくまってしまった。・・・だ、大丈夫なのかな?
「もー、大丈夫?ビッチ先せ(プシュッ)うっ!?」
「(ドサッ)えっ・・・」 プシュッ
次の瞬間、思わず心配しながら近づいた桃花ちゃんと三村君の首筋に注射器を打ち込むと、そのまま岡島君と莉桜ちゃんに寄りかかって2人の腕に同じように打ち込んだ。あっという間に4人を倒され私と有希子ちゃん、凛香ちゃんは慌ててビッチ先生にエアガンを構えた。
「(バサァ!!) なっ!?」
そんな私達に、ビッチ先生は足元に落ちていた毛布を投げつけてきた。ま、前が見えな・・・
(パパシュ!!)「え・・・」
「毛布ごし・・・に」
「有希子ちゃん、凛香ちゃ「終わりよ、陽菜乃」(ピシュゥ!!) あうっ・・・」
(か、身体が痺れて動けな・・・)
首に注射器を打ち込まれ、私は全く動けなくなってしまった。そしてそれは皆も一緒で・・・
「ず、ずりいよ・・・」
「いきなり倒れるなんて・・・敵なのに思わず心配しちゃったじゃん・・・」
「訓練なんかじゃこんな動きはないでしょ?殺し屋の世界じゃ結果こそが全て、アンタ達とは潜ってきた修羅場の質も数も違うのよ」
(ゴメンね・・・たー・・・くん・・・・・)
次々と皆が倒れていく中、大好きな男の子へ謝りながら・・・私は意識を失った。
太陽side
「・・・!!」
「どうした?太陽」
今日は実徳さんが帰ってくるらしく、いつもよりも早く晩飯を食っていた最中、いきなり後ろの壁へと振り返った俺に威月は不思議そうに問いかけてきた。
「あ、いや・・・何か今、陽菜乃に呼ばれた気がしたんだ」
「「「「・・・」」」」
・・・あれ?何で皆、心配そうな目で俺を?
「誰か救急箱を持ってきて!!んー・・・熱はないみたいだけど」
「いや、別に頭がおかしくなった訳じゃねえよ!?」
「あ、風邪薬切らしてる!!急いで買ってくるよ!!」
「行かないでいいって、上着を着ようとするな登志!!」
「お、おにいちゃん・・・おいしゃさんいかないと!!」
「だ、大丈夫!!大丈夫だから泣かないで華!!」
自分の体温と比べている大賀を筆頭に、慌てて動き出そうとしている威月以外の全員を俺は必死に止めた。
「兄さん・・・いくら陽菜乃さんが好きだからって遂に幻聴まで聞こえちゃったんですか?」
「き、キツい事言うな・・・彩子。別にそんなんじゃねえからさ」
「ま・・・楽しみなんだろうな」
「何か言った?威月兄ちゃん」
「いや、別に。
(プルルル・・・)お、電話だ。はいはいっと」
この中で原因を知っている威月だけが苦笑しながら呟いた。危ねぇ危ねぇ・・・確かに浮かれてはいたからな。
(でも・・・やっと良いプレゼントも買えたしな。陽菜乃・・・喜んでくれるといいんだがな)
「・・・え? いや・・・俺は何も聞いてねえッスけど・・・はい」
「?」
明後日の23日まで部屋に隠してある箱を思い浮かべていたその時、威月が何やら電話相手に戸惑っているのが見えた。何だ?威月があんな風になるなんて珍しいが・・・
「分かりました。俺も探してみます(ガチャリ)
・・・太陽、どうやらお前の勘、只の気のせいじゃねえかもしれねえ」
「どういう意味だ?てか、今の誰からだよ?」
「中村の母親だ。どうも中村がまだ家に帰ってないみたいで。携帯に電話しても繋がらないらしい」
「でも、まだ6時半だよ?この時間なら何人かは学校で遊んでるよね。僕達もたまにこれ位まで学校にいる時だってあるし、充電が切れただけなんじゃない?」
登志の問いにも、威月は渋い顔を崩さないまま返した。
「それが、連絡先を知ってる片岡、矢田、倉橋、おまけに磯貝の家に聞いても全員同じらしいんだ」
「・・・それは確かに妙だな」
いくら何でも、そんなに何人も充電が切れる筈がない。それに、何かしら俺達に連絡があるに決まってる。もしかして俺達が帰った後に何かあって、それで連絡が出来なかったとかか・・・?
ガラッ!! 「皆、無事かい!?」
「うわっ!?お、お帰りなさい実徳さん。そんなに慌ててどうしたんですか?」
その時、勢いよく襖を開けながら実徳さんが部屋に飛び込んできた。ビックリしながら問いかけた大賀に反応して、実徳さんは俺達全員が揃っている事を確認して大きく胸をなで下ろすと、
「良かった・・・悪いが太陽君達はすぐに私の部屋に。裕樹達は大人しくご飯を食べててくれるかい?」
「「「はーい」」」
俺達だけを部屋に・・・E組に何かあったって事か。
「ロブロさんみたいな元を含めた世界中の有望な殺し屋が死神に!?」
「あぁ、運良くロブロ君は一命を取り留めたが、最近までは昏睡状態が続いてたらしい。私ですら情報を集めるのに苦労したよ」
部屋に集まった俺達4人に実徳さんが告げてきたのは、衝撃的な話だった。
「基本的に死神は殺しは1人で行う。準備には人を使っているかもしれんが、実際の暗殺は1人で全て実行し成功している。これまで何十人も一流の殺し屋達を仕留めてきたのも、死神だからこそ出来る芸当だろう」
「つまり商売敵を全部始末して、いよいよ百億獲得に乗り出したって事ですか」
「じゃあ、E組の皆に連絡が取れないのって・・・まさか」
「殺しの為なら子供ですら容赦しない男だ。流石に殺しはしないだろうが・・・人質ぐらいには使ってくるだろうね」
チッ・・・偶然だろうが、俺達4人がいない時に限って!!
「その話、烏間先生達は?」
「あぁ、先程ロブロ君が伝えたよ。とはいえ、君達が帰ってすぐにE組に現れたとしたら・・・いくら鍛えていても、只の中学生じゃ勝ち目はないだろう」
(て事は、全員もう捕まっちまってると考えるのが無難か・・・)
そう考えていると、実徳さんは俺達を見回し、
「私が動く事も可能だが、それだと死神を刺激しかねない。彼等の安全は保障できなくなってしまうのは、国との契約に反してしまう。つまり今回私は国の命令なしには動けない。さて・・・それが分かった上で、君達はどうするんだい?」
「・・・勿論、皆を助けに行きます」
代表した俺の決断に、威月達も迷いなく頷いてくれた。実徳さんもそう答えると分かってたみたいで、苦笑しながら頷き返した。
「分かった。せめて私の無線を持っていくといい。特殊な電波を使って盗聴は出来ない。いいかい?君達に教えた技はたとえ死神にも通用する。とはいえ、乱発はなるべく避ける事。登志君もくれぐれも気をつけるんだよ」
「「「はい!!」」」
「・・・とはいえ、どうするよ?俺達、皆の居場所も知らねえけど」
無線を受け取りながら、威月は口を開いた。その点は俺は考えがあった。また使わせて貰うか・・・
「3人はすぐに超体育着に着替えてすぐに出てくれ。居場所は俺が見つけ出す」
「・・・分かった、頼んだぞ」
そう言い残し、威月達は部屋を出て行った。いくら威月達でも、こればっかりは俺と実徳さん以外は秘密だからな。
「いいですか?実徳さん」
「構わないよ、私も後で見に行く」
俺はイトナの時と同じ様にパスワードを打ち込み、地下への扉を開けた。雨が降り出してたし、殺せんせーが匂いで追うのも厳しい・・・急いで皆の行き先を見つけねえと!!
陽菜乃side
ビッチ先生に負けて気を失った私が次に気がついたのは、前が鉄格子になった牢屋みたいな部屋だった。もうE組の皆は集められていて、ビッチ先生によって順番に後ろで両手を縛られていた。
「はーあ・・・ビッチ先生に裏切られて捕まっちゃうなんて悲しい」
「フン、殺し屋に裏切りは付き物って事よ」
私の愚痴にも、ビッチ先生はあっさりと言いながら私に手錠をはめた。うぅ・・・両手が自由に動かせない。
(それに、何か首に輪っかみたいなのが着けられてる・・・コレ何だろう?)
「ここはさっきの部屋みたいに脱出するのは不可能。もう練習台にはならなくていいよ、人質でいればいい」
鉄格子の先には少し広めの空間の中で死神・・・教室にいた花屋さんの雰囲気に戻りながらそう言った。
「でもさ~アンタここまでは殆ど予定通りみたいだけどさ、ホントにあのタコを簡単に殺れるかな?」
「?」
その時、壁にもたれかかってたカルマ君がいつもの感じで問いかけた。
「だってさ、ここまでアンタ俺等に対してダメージを与えられてないじゃん。超体育着も知らなかったみたいだし」
A班との戦闘中、カエデちゃんが死神を蹴りをお腹に当てられて、死神は骨を折っちゃったと勘違いしたらしい。ホントは超体育着のお陰で怪我もしてなかったけど。
「そういった計算違いが、殺せんせーに対してじゃ致命傷になるっしょ?」
「何だ、そんな事か」
カルマ君の挑発に死神は鼻で笑うと、
「それで、結果はどうだい?君達は為す術なく捕まって
「・・・」
「大丈夫?渚・・・」
渚君は猫だましが成功しなかったみたいで、さっきから意識がはっきりしていなかった。隣のカエデちゃんも心配そうに見てるし、大丈夫かな・・・
「情報の不足や計算違いなんてあって当然さ。相手はどんな能力を隠してるか分からない未知の怪物だからね。
・・・どんな状況でも必ず殺す。世界一の殺し屋とはそういう事さ」
・・・確かに死神もビッチ先生もこれが本当の暗殺なら、私達はもう死んじゃっているだろう。渚君達もあっさり倒しちゃったし、ビッチ先生も簡単に味方にしちゃった。今の私達とはレベルが違う・・・絶対に勝てないのが今はよく分かる。
「さて・・・次は烏間先生だな。彼も人質にしてしまおう」
「「「「!!」」」」
か、烏間先生も・・・いや、この人なら本当に!!
「彼もかなりの能力みたいだけど、驚異のレベルじゃない。それに彼を捕らえておけば、色々とメリットがありそうだ」
(このままじゃ・・・どうしよう「・・・そういやよ、イトナ」 寺坂君?)
その時、壁際で隣のイトナ君に寺坂君が声をかけた。
「あの時、死神に向かっていこうとした俺を何で止めたんだ?前のオメーなら、俺と一緒に奴に挑んだろ?」
寺坂君の言う通り、C班の皆は戦う前に降伏した事で無傷でここに来たみたいだった。イトナ君なら、戦ってもおかしくないのに何でだろ?
「・・・触手を失ってから、俺の身体能力は普通のレベルにまで落ちてる。前みたいな跳躍も出来ない位にはな。それに今の俺はE組の生徒だ」
「あ?どういう意味だよ?」
「・・・タコが言った。"生徒が超せない
(私達よりも強い人・・・それは当然)
そう考えていたその時だった
「・・・!! 死神さーん、モニター見てみ。あれも計算違いじゃないの?」
「・・・何故、彼がここに?」
カルマ君がそういった事で、私達は牢屋の近くにある監視カメラの映像が全て映された沢山のモニターに目を向けた。
「・・・あークソ、雨が冷てえな。ホントにこんな所にいるのか?アイツら」
「「「「威月(水守君)!!」」」」
そこには・・・雨に濡れた頭を掻きながら、私達が侵入した扉の前に立つ水守君の姿が映っていた。
いかがだったでしょうか。
いよいよ死神とのバトルです。やべえ・・・めっちゃ緊張します・・・
一応、大体の戦闘の流れは書く前から考えていたのですが・・・上手く書けるといいなぁ。
家の中から出られない方も多い中、こんなポンコツ小説でも少しでも皆さんの暇つぶしになればなと思っています!!
それでは、また次回お会いしましょう!!