ヒーローの卵として。   作:高任斎

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クリスマスイブには、彼がよく似合う。
というわけで、峰田くん。
あと、本編に登場したキャラとの小ネタ集。

本編と連動しているとは限りません。


おまけの小ネタ集。

 おまけ1:峰田くんとエロバカ。

 

 

 いつもの早朝ランニング中、休憩に立ち寄った公園で、私は、運命と出会った。

 

「ああああああああああ!!」

 

 いきなりの奇声に、そちらを向く。

 

 ああああああああああ!!

 

 あっぶね。

 もう少しで、名前を叫ぶところだったよ。

 初対面。

 この世界では初対面だから、色々とまずいよね。

 

 でも、せめて、心の中で叫ばしてくれ。

 

 峰田くん!

 峰田実くんじゃないか!

 

「ああああああああああ!!」

 

 私のズボンを掴んでがくがく揺さぶるこのリアクション。

 これだ、まさに峰田くんだ!

 

 わけがわからないよって?

 

 私の個性を覚えているか?

 世間一般的に、私の個性は幻覚というか、幻影使いだ。

 

 ここに、エロバカ峰田くんをセットしよう。

 

 美女に囲まれたハーレム気分を味わわせてください、だ。

 

 わかるんだ。

 わかってしまうんだ。

 男には、それがわかってしまうんだ。

 

 私に任せろ峰田くん。

 まずは、セオリー通り金髪美女2人で囲まれてみようか。

 

「あああああああああああ!!」

 

 峰田くんが私を見る。

 子供のような、キラキラした瞳で。

 彼の瞳が語っている。

『いいの?』と。

 

 私はただ、微笑むだけで良かった。

 

「え、ちょっ、嘘、これ、触れ……ああああああああああああ!!」

 

 峰田くんは、金髪美女をもみくちゃにしつつ、金髪美女にもみくちゃにされていた。

 まあ、服は着たままだし。

 峰田くんは、外見は子供のそれだから、何も問題はない。

 うん、ちょっとしたスキンシップだ。

 

 それより見てくれ。

 あの峰田くんの幸せそうな顔を。

 ヒーローの卵として、私は何も間違っていない。

 

 まあ、残念ながら。

 個性でハーレム気分とか、私自身では楽しめないことだから。

 いや、それを格好悪いと思っちゃうから、できない。

 だから、私の分まで楽しんでくれ。

 

 

 

 おまけ2:峰田くんとエロバカ2

 

 

「師匠ーっ!」

 

 峰田くんに、師匠と呼ばれるようになった。

 別に、エロの師匠ってわけじゃないんだが。

 

 しかし、峰田くんはやはり優秀だ。

 エロの執念というか、女にもてるためというか、成績は地元じゃぶっちぎり状態らしい。

 昔は不思議に思っていたが、実技試験のあれって、『敵を行動不能にすればいい』わけだから、例の個性で敵の動きを封じればそれでポイントが稼げると。

 

 いや、ちょっと触らせてもらったよ、あのボールみたいなの。

 いや、マジでくっつくの。

 でも、ゴムみたいな感触で、なんか心が安らぐ感じ。

 しばらくニギニギしてたんだけど……閃いてしまった。

 

 これ。

 エログッズに使えね?

 

 峰田くんにはくっつかなくて、ほかにはくっつく。

 そして峰田くんに対しては弾力があって……はずむ。

 

 それはつまり……。

 

 峰田くんに耳打ちしてみた。

 

「ああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

「エロ師匠ーっ!」

 

 うん。

 峰田くんに、エロ師匠って呼ばれるようになった。

 

 ヒーローの卵として、何か間違った気がする。

 

 

 

 おまけ3:羞恥地獄。

 

 

「コードネーム、ヒーロー名の考案だ」

 

 1年A組の教室に、相澤先生、ミッドナイト先生、そして私。

 うん、先生の方が多い。

 

 さすがに私1人で『胸膨らむやつきたあぁ!』などと騒いでも寒々しいし……流そう。

 

 相澤先生、ミッドナイト先生は何故ここに?

 

「幻夢君のコードネームおよび、ヒーロー名をチェックするため」

 

 はあ。

 まあ、ここでうかつな名をつけると一生後悔するってやつですよね?

 

 銀行でペンネームを呼ばれるようなもんだよな。

 

 コードネームはともかく、トリックスターってのは決めてます。

 

「幻夢君、あなた、体育祭のせいでやばいことになってるからね」

 

 え?

 

「こんな動画が、わんさかと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 相澤先生、ちょっとトイレに行ってきていいですか?75日ぐらい。

 

「名前を決めてからにしろ」

 

「いや、名前って世間の認知と一致させたほうがいいのよ……普通は、徐々に名前が知られていくパターンが多いんだけど、幻夢君の場合、先に名前というか、イメージが定着しちゃってるのよね、既に」

 

 楽しそうですね、ミッドナイト先生。

 薄々理解してますけど、どんなイメージになってます?

 

「青春くん。熱血くん。演説ヒーロー。熱苦しい。マントフェチ……」

 

 トリックスターです!

 私はトリックスターですから!

 

「敵に向かって、熱い言葉で改心させていく、改心ヒーロー……たぶん、そんな感じよ」

 

 いやいやいや。

 改心ヒーロー、トリックスター!

 

 イメージが正面衝突してるじゃないですか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、あの頃はまだ、平和だったなあ。

 いや、秋から始まったアニメがね、ヒーローを目指す物語でさ。

 この世界では定番といえば定番なんだけど。

 

 

 体育祭での私のセリフがもりもり採用された。

 

 

 街角で。

 公園で。

 子供たちが、叫ぶんだ。

 

 

 歩き出さないと死んでしまうんだ!

 ヒーローの卵が!

 死ぬんだよ!

 

 

 

 

 

 うん、ヒーローの卵が、死にそうだ……。

 

 私のコードネーム?

 

 秘密だ。

 

 

 

 おまけ4:見敵さんはやはり癒し枠。

 

 

「あ、幻夢さん」

 

 ああ、見敵さん、久しぶり。

 

 私の彼女の呼び方は、さん付けに落ち着いた。

 

 ぼっち組とはいえ、私の学校生活がぼっちってわけじゃない。

 体育祭を通じて知り合った生徒が、たくさんいる。

 私を見かければ、こんなふうに声をかけてくれる。

 

 

 

 ……ぼっち組に所属する私への、同情じゃないはずだ。

 

 

 監物さんにぶちのめされた後、見敵さんは精神的に少しあれだったが……立ち直った。

 私と監物さんの試合を、何度も何度も繰り返して見続けたそうだ。

 

 うん?

 よくわからないが、立ち直るきっかけになったら何よりだ。

 

 ただ、あの試合で死を予感したせいなのか。

 彼女の個性は、成長したそうだ。

 

「危険がわかるのはいいんですが、危険がわかりすぎるのは不便ですよ」

 

 彼女はそう言う。

 うん、なんとなくだが、わかる気がする。

 下手をすると、家から一歩も出られなくなる……そういうことだろう。

 

「だから最近は、ちょっとだけ体を鍛えてます」

 

 可愛くガッツポーズ。

 うん、外見そのものが目をひくってわけじゃないけど、こういう部分が、癒し枠というか、小動物的可愛さというか、うん、和むね。

 たぶん、彼女の周囲にもファンがいるだろう。

 

「あ、時間だ。じゃあ、幻夢さん。また」

 

 手を振って、三つ編みの髪を揺らして彼女が去っていく。

 

 うん、今日も頑張ろう。

 そんな気にさせてくれる彼女だった。

 

 

 

 おまけ5:創成は今日も美人。

 

 

 わかっていたことだけど。

 創成は学校生活においてやっぱりそっちの制服だった。

 

「人は、似合う服を着るべきだよ」

 

 あ、はい。

 似合ってます。

 

 創成が、美少女キャラよろしく、その場でくるりと回ってみせる。

 

 今日も可憐だ、ポニーテール。

 広がるスカートは、魔性の魅力。

 

 

 言うまでもなく、創成はサポート科の生徒だ。

 原作における発目さんのイメージが大きかったけど、サポートにもいろいろ種類がある。

 ヒーローの健康維持方面。

 精神方面。

 戦闘方面。

 それぞれの分野で、研究と実践に別れていて結構細かい。

 

 言ってみれば、経営科の見敵さんだって、事務所の経営で言うならサポート役だ。

 むろん、ヒーロー事務所に所属するとは限らないけれど。

 

 ああ、話がそれた。

 

 創成は、私のヒーローコスチュームや、アイテム作成に関して、コンビを組んでいるような感じだ。

 覚えているだろう?

 私の、中長距離の攻撃手段の少なさを。

 

 つまりは、その部分をアイテムで補助できないかってことさ。

 

 開発は、本来地道な作業の積み重ね。

 発目さんのようにはいかない。

 彼女もまた、強キャラってことだよ、きっと。

 

 まあ、創成との付き合いは長くなる気がするなあ。

 

 

 

 おまけ6:響はわりと苦労人。

 

 

 響がA組にやってきた。

 そしてため息をつく。

 

 B組の居心地というか、雰囲気が悪いらしい。

 

 ああ、うん。

 避難所か、おい。

 

 

 雄英のヒーロー科に入学できるような生徒たちだ。

 優秀なのは言うまでもない。

 今までは、自分ではなく周囲がそれに合わせていた生徒も多いんだろう。

 

 一言で言うと、協調性のある生徒が少ない。

 

 まあ、かつてのA組の仲間にも、そんな片鱗はうかがえたからな。

 いや、でもな。

 

 協調性のある響が、ここに逃げてきたらどうなるの?

 

 響が、ポツリとつぶやいた。

 

「もうやだ、あいつら……」

 

 ぼっち組にはない苦しみが、B組には存在するようだ。

 人生は甘くないということか。

 

「俺って、耳がいいだろ?聞こえてないと思ってるかもしれないが、聞こえてるんだよ。あいつらの本音がさ、漏れてんだよ……」

 

 ああ、その、なんだ……どんまい。

 

 そっか、原作の彼は……こんな感じか。

 

 

 響を慰めていると、また誰かやってきた……って、おい!

 

 B組の委員長の平と、決勝で戦った炎上の2人。

 B組の良心と、『B組ではまともな方』の2人。

 

 いや、窓際の席に座って、ため息つくなよ。

 なんか言えよ。

 B組は今、どうなってんだ、怖ーよ。

 

 

 

 おまけ7:来る、きっと来る……監物さんが。

 

 

「さあ、ヤりましょう」

 

 美少女とふたりっきりで、こんな言葉を囁かれる。

 ははは。

 あの峰田くんでも、勘違いしないよ。

 

 監物さんが笑ってる。

 まさに泣く子も黙らせる微笑み。

 ……笑顔にはできないけど、涙を止めることはできる微笑み。

 

 彼女が言うところの、『私に対する教育で、矯正』なんだそうだ。

 まあ、確かに彼女と殴りあうのはものすごく勉強にはなるけどさ。

 

 なんで彼女は、もう治ったはずの右腕を撫でながら私を見るんだろう?

 

 ああ、そうそう。

 監物さんは、ひとつ壁を破ったよ。

 両手を使った、竜巻のような連撃。

 これを必死に耐え忍ぶ私……という状態からの、蹴り。

 

 彼女の連撃を支えるのは、その下半身だ。

 だから、連撃に組み込むことはできないけど、ここぞの場面で全然違う角度と方向から、ズドン、だ。

 

 なあ、人間って、空を飛べるんだぜ。

 

「どうですか。痛みというものはありがたいものでしょう。次はこうはなるまいと決心を固めさせてくれるはずです。さあ、いつまで寝ているつもりですか。早く立ちなさい。ヒーローの卵は、立ち上がらなくてはダメなのでしょう」

 

 ああ、それを言われると弱いなあ……。

 

 なんとか立ち上がるとさあ、彼女、笑うんだよ。

 さっきとは、ほんの少しだけ違う……ちょっとだけ柔らかい感じで。

 気のせいかなあ。

 気のせいじゃないと思うんだけどなあ。

 

 

 どうやら私は、順調に教育されているのかもしれない。

 

 

 

 おまけ8:相澤先生。

 

 

 1年A組の教室。

 誰もいない教室。

 相澤先生は、ポツリとつぶやいた。

 

「そういえば、幻夢は欠席するって連絡があったな」

 

 口にするまでもない言葉。

 非合理的なそれは、照れ隠しだったのかもしれない。

 

 出欠を書き込み、相澤は教室を後にするのだった。

 

 

 

 おまけ9:縛くんと、訓練。

 

 

 強い。

 巧い。

 接近戦から中距離戦まで、オールマイティにこなせる。

 防御も攻撃も、どちらもこなせる。

 そしてなによりも捕縛スキル。

 問答無用の捕縛スキル。

 色々とモザイクが必要な捕縛スキル。

 

 ヒーローとして様々なタイプがあるのを承知で言う。

 

 私たちの学年で、最もヒーローとして総合レベルが高いのは、この男だ。

 

 

 

 

 

 ……この男なんだ。

 

 

「新しく買ったばかりのロープをすぐに使うなんてありえないよ。まずは、手や体に馴染むまでじっくりと時間をかけて、種類によってはケバを炎で炙ってちゃんと処理しないと、肌を必要以上に刺激するからね。ロウや油を塗りこむ方法もあるけど、あまり好きじゃないなあ」

 

 ああ、うん。

 その話、続くんだ?

 というか、ひとつだけ聞いていいか?

 

 

 

 

 

 

 どういう状況で、その個性は発覚したんだ?

 

 

「最初は縄跳びの縄がね……」

 

 おけ。

 もういいです。

 訓練の続きをしようか。

 

 

 縛の標準装備は、ロープ4本。

 これは、上半身のみの縛めに使う分で、フル装備だとさらに本数が増えるそうだ。

 一般的なイメージとは裏腹に、緊縛は関節を極めるものであって、締め付けるものではなくて、使うときはふたつ折りにして肌に触れる面積を広げることで、その負担を……。

 

 

 縛との訓練は勉強になる。

 勉強になるんだけど、余計な知識が増えていく……。

 

 

 

 おまけ10:ヒロインは誰だ。

 

 

「私に決まってるじゃない。彼は、私のために……」

「名前もない誰かさんは身の程を知るべきですね」

「あら?戦闘キチが、何か言ってるわ……聞こえなーい」

「ほう……愚かな存在に、痛みを教えてやるべきですか」

 

 

 見敵さんはいち早く逃げ出した。

 

 創成は、様子をうかがっている。

 

 

「……待ちなさい、あなた男でしょ?」

「カワイイは正義」

「ほう、よりによって私の前で正義を語りますか……」

 

 

 

 




まあ、こんなとこですか。

個人的には、戦闘シーンで。
『本体はお前だ!』
『ぐっ、なぜわかった……』
『マント』
とかいう、バカな話も書いてみたかったが……。
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