陳寿著「呉書・徐盛伝」外伝補記―徐盛さんが頑張るそうですよ?―   作:八意 暮葉

10 / 32
嗚呼……辺りの血の臭いが心地良い……

黄巾に居たときは……孫堅様に捕まるまでは……多くの官軍を屠って来た。

黄天を目指して……皆の笑える世を目指して……。

でも、それはいつの間にか己の内に眠る獣に喰われた。

獣が目覚めてからは官軍を見境なしに殺した……血が降り注ぎ……悲鳴が上がる。

そして……俺は何時しか「紅禽の波才」と呼ばれるようになった。





血気盛んな将軍。

「報告します。区星軍本隊が到着し我軍の陣を攻撃しています。」

 

「戦況はどうだ?」

 

「依然として文聘殿の指揮により賊軍の被害は増すばかりで破られる気配はありません。」

 

俺は報告に来た斥候に陣の様子を聞いたが……今しばらくは問題ないように見える。

 

「賊軍のどのくらいの人数が陣を攻めている?」

 

「・・・・・約6割です。」

 

「両軍の被害はどのくらいだ?」

 

「呉軍2割弱、賊軍3割程度です。」

 

そうなると・・・賊は1000程度の兵で600程度の呉軍を叩きに掛かっているのか・・・なら、そろそろかな・・・

 

「そうか・・・。部下どもに戦闘体制を取るように命じろ。」

 

「了解しました!」

 

報告に来た斥候を伝令に換え、全軍に命令させた。

 

被害を受けた人数と攻めている人数から考えて・・・本陣を守るのは300~400程度の兵だ。

 

ここで急襲を行えば区星の首を取れるかもしれないが……俺が死ぬこともあり得る。

 

本陣を守るのは敵の精鋭の中の精鋭だ。こちらも被害・・・勝利の為の尊い命を散らさなければいけない。

 

青臭いガキの言うことは・・・いつも面倒だと思っていたが

あのガキの言っていた事は正論だった。

 

俺の手元の200の重装歩兵。コイツらを・・・少しでも多く生かしてみるか。

 

「全軍、準備が整いました。」

 

先程の伝令が突撃できるようになったことを伝える。

 

俺は騎乗し、全軍に呼び掛けた。

 

「良いか、お前ら!これから狩るのは人の皮を被った餓鬼だ!

 

俺らも昔、餓鬼に堕ちかけたが孫堅様が救ってくれた!

 

今こそその恩を返すときだ!全軍、『勝った、勝った!!』と叫びながら敵陣に突っ込むぞ!!」

 

「「「「「「オォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」」」」」」

 

黄巾の時から闘ってきた仲間達の大音声が地を震わせる。

 

俺はそれに一種の感動と痺れを覚えながら号令をかけた

 

「全軍、突撃ィィィィ!!」

 

200の兵が丘を駆け降りる。

 

区星軍の本陣の脇を抉るように。

 

「邪魔だ!!」

 

道を塞ぐ餓鬼を大斧を奮って切り捨てる。

 

大斧を奮う度、賊軍に恐怖が伝播する。

 

そして、何時しか誰かが気付いたように

 

「こっ・・・紅巾の波才だぁぁぁぁ!!助けてくれぇぇぇぇぇ!!」

 

と叫んだ。中土を賑わせた黄巾の乱。その軍の中でも張曼成、菅亥、程遠志と言った猛将が居たがそれらを越えた名将として俺は有名だった。

 

そんな名将が表れた事、そして俺の配下が「勝った、勝った!!」と虚報を流した事により区星軍の指揮系統は混乱を始めた。

 

その中で一人、怒号を飛ばしている奴がいた。俺はそいつの元に馬を飛ばし……

 

「この軍の大将、区星と見受ける。この俺、波才と尋常に勝負せよ!」

 

と告げた。区星と思われる男は

 

「如何にも。俺が区星だ!勝負してやろう、命知らずめ!」

 

呆れた。相手の力量すら量れぬとは……もう……一思いに楽にしてやるか。

 

俺は馬を駆り、区星と一合も合わせることなく一刀両断した。




こんばんは紅夜猫です。

今回で区星の乱は終結しました。

次回から……漸く反董卓連合編に入れそうです。

後、お気に入りが60件越えました。ありがとうございます♪

これからも精進しますのでどうかよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。