陳寿著「呉書・徐盛伝」外伝補記―徐盛さんが頑張るそうですよ?―   作:八意 暮葉

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今回は華雄さん加入フラグその1。

そして、後書きに重大なお話。後書きはなるべく全話読んでもらいたいと切に願う日々


恐怖に縛られし己が身―華雄―

私は呆然とした。本来なら……波才の首を切り落としているはずの金剛爆斧が……見知らぬ貴人の双刀を半ばから折り、首の中ほどに埋まっていたから……

 

「華雄っ!貴様、よくも祖茂の旦那を……殺りやがったな!」

 

私は波才の怒号で意識が引き戻され、目の前の貴人が孫堅軍の副将・祖茂大栄であることに気付いた。

 

「はは・・・一騎討ちに割って入ってきたのが悪いのだ!」

 

私は・・・自棄になって獲物を大振りで振ろうとした。

 

その時、鈴の鳴るような声が響いた。

 

「角、華雄を殺そうと思うな。コイツは死ぬには惜しいやつだ。」

 

「何でだよ!?華雄は旦那の命を奪ったヤツだ!上司の仇を討つのは道理に叶ってるだろ!?」

 

「俺は・・・な、角。お前の落馬を見て・・・死なせたくなくて一騎討ちに割ってはいった。その結果がこれだ・・・。だから、華雄は・・・華雄は・・・悪くないんだ。」

 

私は思わず言葉に詰まってしまった。

 

(どうして?どうしてなんだ!?目の前の敵将はどうして死ぬのが分かって冷静でいられる!?)

 

私は理解できなかった。そして・・・この人に投降を促されることに・・・ 得体の知れない恐怖を感じた。

 

「華雄・・・すまなかった。角・・・波才は俺の大切な・・・仲間でな・・・失うのが惜しかったからしゃしゃり出てしまったよ。」

 

・・・怖い。本当に怖い。手から冷や汗が止まらない。

 

「それで・・・華雄よ・・・私から頼みがある。」

 

「なっ・・・何だ?」

 

驚きと恐怖のあまり、声が上擦った。

 

「波才と・・・もう一度、一騎討ちをして・・・負けたら・・・呉の軍門に降ってくれ・・・」

 

「もし、私が勝ったら?」

 

「その時は・・・お前さんに・・・任せるよ。」

 

祖茂の声が少しずつ力を失ってきていた。

 

「分かった。この華雄、一人の武人として祖茂大栄殿との約束を守ることを誓おう。」

 

私がそう告げると祖茂はフッと笑い、静かに目を閉じた。

 

「華雄・・・命拾いしたな・・・だが・・・貴様の命も次限りだ。」

 

「そういう貴様こそ・・・確りと首を洗って、馬を整えて来い。」

 

私はそう告げて・・・祖茂の頸から金剛爆斧をゆっくりと抜き、関の中に戻っていった。

 

「救護班!今すぐ旦那を天幕まで運んで医者を呼んでこい!」

 

後ろでは・・・波才の怒号が飛んでいた。

 

私が関に入り・・・それを確認した門兵がゆっくりと門を閉じ始めた。

 

門が閉じる音を聞きながら・・・私は足りない頭で考えを巡らせていた。

 

そして・・・門が音を立てて閉じたとき

 

 

 

 

私は・・・私の体はゆっくりと馬上から滑り落ちていった。




華雄さん加入フラグはあと少し続きます。

そして、重大なお知らせと言うのは……一刀君と徐盛のことです。

天の御遣いが二人いるのはおかしいじゃないかと指摘されたのですが……一刀君がいるのは色々な原作に関わってくる重大なフラグを回収するため(赤壁の闘いの呉蜀同盟など)の歯車の役割のためであり……作者としては一刀君のフラグ乱立も考えていません。

それに、題名にもありますが……これは大筋は陳寿の「三国志」の流れを踏襲する形を踏んで……武将の加入する陣営を弄ったものなので……最終的には1つの国に纏められます。

それが……魏なのか、蜀なのか、呉なのか、晋なのか……それは最後までのお楽しみになります。

長々とした後書きでしたが……作者の考えを理解していただきたかったので長くなりましたすみません。

それでは、また次回までゆっくり待っていってね!
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