陳寿著「呉書・徐盛伝」外伝補記―徐盛さんが頑張るそうですよ?― 作:八意 暮葉
傍らには、紅蓮様、角、静焔(朱治)・・・隠れるように灰色の髪をした仮面を着けた女性が居た。
「敬憶・・・大丈夫か?」
心配して紅蓮様が声をかけてくる。
しかし、俺は『大丈夫ですから、心配しないでください』の一言すら掛けられないくらいに体が弱っていた。
「祖茂殿の命だが……あと3日持てば良い方だろうな……」
華佗が悲痛な顔でそう、告げてくる。
呉国一の名医に見せ、治療させたが……延命が限界だったらしい。
「あの人は……首を斬られながらも鼓動が止まってなかったから……助けられるかもしれないと思ったが……延命が限界だったみたいだ……すまない……」
「良いんだ……華佗。お前はよくやってくれた。謝ることはないさ。」
私は華佗を労る。本当なら助けてほしい。でも・・・アイツはもう助からないと分かってしまうくらい・・・キズが深かった。
「それで・・・波才が捕虜にしたアイツはどうする?」
華佗が話題を変えるため……華雄の事を出してきた。
「本当なら……首を斬って本陣に送らないといけない……いや、首を斬ってしまいたい……」
「でも……出来ないんだよな?」
「そうよ……彼女の首を斬らないでほしいって……敬憶、角、燈に言われたもの」
「波才と……徐家の坊っちゃんは分かるとして……祖茂殿は話せないはずだろう?」
「ええ……話せないけど……目で訴えかけてきたわ……」
あのときの彼の目を思い出すと……目頭が熱くなって……目の前が霞んでしまう。
なぜ、華雄を助けたがるのか……私としては理解できない。
自分の命を奪った大将を許すのが分からない。
そして、味方に加えようとしていることも。
「俺は……祖茂殿の気持ちが何となく分かる気がするよ……」
「どういうことだ?」
理解ができなかった。どうして……医師である華佗に理解できて、私に理解できないのだろうか……
「祖茂殿は……自分の命が長くないことを理解してて……華雄を自分の穴埋めとして迎えて欲しいのだと思ってるんだ。」
華佗に言われて……私は改めて敬憶の死に向かい合う事となった。
彼が死ねば……現在の呉軍では将が居ないから部隊は1つ無くなってしまう。
それは私たちにとっては大きな痛手だ。アイツはそれを理解してて……無理を承知で願い出てきた。
どこの軍でも・・・仇討ちは当たり前の如く通っている。
そして、敬憶が死ねば・・・私が華雄の首を撥ねることで彼の仇を討つことになる。
でも、そうしてしまうと・・・私たちは一人の将を得る機会と一つの部隊を失ってしまうという負の連鎖に巻き込まれてしまう。
それを防ぐための策。そして、代わりの者の首を送ることで……何も知らない本陣を欺き……私たちへの信頼を損なわないようにする。
最後まで……敬憶は敬憶なりに私たちの事を考えていてくれた。
なら、私もそれに答えなくてはいけない。
そう思い……私は華雄の捕らえられている陣幕に入った。
「華雄……お前は死んだこととして本陣に報告し……敵方にも触れ回る事とした。」
「そうか……」
華雄は敵将ながら堂々とし、落ち着いた様子で淡々と答えた。
私は、その態度に感銘を覚え、初めて自分の意思で殺すのが惜しいと思った。
そこで……私は一つの提案を持ち掛けた。
「華雄。降伏してくれ。」
「敗軍の将に投降を持ち掛けるなど……阿呆か?」
猪にバカにされ、腹立たしく思った。
「と、昔の私なら言っていた。でも・・・今は祖茂とやらを見て変わった。」
華雄が突然語りだし、驚いてしまった。
「彼の将が命を賭してまで……守りたいものが見たくなった。だから、この華雄が命……孫堅文台殿に御預けいたす。」
交渉は成立した。だから、私は一つの命令を下す。
「華雄。華雄はこれから死んだこととして扱われる。だから、これからは……」
こんばんは。八意です。
今回は区切りが微妙ですが……どうしてもここで区切りたい理由が有りました。
それは……読者の皆さんに華雄の新たな名前と……真名をつけてほしいからです。
これは感想や活動報告の追加してほしい武将などのところに書いていただければ幸いです。
後、私情ですが……お気に入りが遂に……100件越えました!
ありがとうございます。これからも少しずつ精進していくので……温かい目で見守っていただけると幸いです。
それでは……次回までゆっくり待っていってね!
※感想等があればお願いします
※華雄の新たな名前と真名が応募されて……決まり次第次話を投稿します