陳寿著「呉書・徐盛伝」外伝補記―徐盛さんが頑張るそうですよ?― 作:八意 暮葉
陽人は袁術に接収された。
あくまでこれは盟主の指示で従わなくても良いのだが……
要らぬ不和を招きたくなかった私は大人しく従った。
だが、この判断は後に大きな悲劇を招いてしまうなんて予想はできなかった。
虎牢関―それは嘗て西周の時代。
5代目の王である穆王が虎を飼ったことから名が付き河南の要衝として聳え立ってきた。
「30000の兵を入れれば抜かれることはない。」
これは虎牢関を表す言葉だ。董卓は……いや、董卓を操ってる何者かはここに呂布と30000の兵を入れてきた。
また、汜水関には牛輔ら50000の兵を投入している。
ここで袁紹は軍を二手に分けた。
虎牢関は私、曹操、劉備、公孫瓚、鮑忠、王匡、張貘、李煜ら50000の兵だ。
袁紹……あの娘は兵法を知ってるのかしら……
不安は残ってしまう。城攻めを行うときは相手の3倍の兵が必要だと言われている。
しかし、今回虎牢関に向かうのは相手の1.7倍程度の兵である。
「私たちがいくら強いとは言え……今回は厳しい戦いになりそうね……」
「紅蓮様らしくありませんね」
私の呟きに長年私の補佐役兼副将を勤めた程普が応える。
「敵が如何なるものであっても……私たちには守るべき家族がいるはずでしょう?」
「・・・ふふふ、あはは、そうだな!」
「殿は殿らしく振る舞っていれば良いのです。」
いつの間にか程普が仕事状態に入っていた。
こうなると誰にも止めることはできない。
「さて・・・陽人では働かせてもらえなかった分・・・キチンと払ってもらいましょうか」
(程普さん……スイマセンでした。)
馬上なのに立場は私が上なのに……私は思わず地面にひれ伏して謝りたいと素直に思ってしまった。
「虎牢関・・・見えてきましたね。」
「え?あ、ああ……そうだな。」
罪悪感に苛まされていたためか……程普の言葉に反応が遅れてしまう。
「あそこに・・・人中の呂布が居るのですよね。」
「ああ。人中の呂布、神速の張遼、陥陣営高順、破軍星徐栄とかの名だたる武将がいる。」
「・・・・・・」
「どうした、程普?」
程普が黙ってしまったので声をかけると・・・
「殿・・・あの、大斧を持った少女は何者ですか?」
指された指先を目で追うと・・・大斧を持った人形のような少女が立っていた。
「誰か分かるものはい「あれは・・・!」」
私が訪ねようとしたとき陳武(元・華雄)が驚いたような声をあげた。
「陳武、知ってるのかしら?」
「知ってるも何も・・・アイツは私の因縁の敵みたいなモノだ・・・!」
怒りのためか彼女の手が震えていた。
「アイツは徐晃。白波賊の副頭目にして・・・私たちが派遣した討伐軍を幾度となく退けた化け物だ・・・」
「へぇ・・・面白そうね・・・」
知らず知らず南海覇王に手を伸ばしてしまっている。
「殿、我慢してください。」
南海覇王の柄に手を掛けたとき、程普の手刀が襲ってきた。
「痛っ!何するのよ~・・・」
「今は夜営の準備をすることと・・・殿が暴れるのを防ぐためです。」
「ちょっとくらい・・・暴れても良いじゃない・・・」
「殿?」
「ごめんなさいごめんなさい、暴れませんから許してください~!!」
程普が笑顔で鉄脊を取り出したので私は地面に頭を打ち付けて平謝りした。
「さすが・・・女房役は違うな・・・」
陳武がそんなことを呟いたような気もするが耳に入らなかった。
こんにちは、八意です。
3週間くらい書いてなかったので腕が落ちてしまいました。
今回は少し訳あって紅蓮さんの話が二回続きます。虎牢関の戦いを書きたいですし。
そして、裏話も少々。
今回、程普の真名を出さなかった理由ですが……これはちょっとした理由があります。
程普は紅蓮に真名を許しています。しかし、彼女は真名を呼ぶのは身内……一部の古参の家臣たちがいるところだけにして欲しいとお願いをしたからです。
そして、重要な人物とも言える徐晃。
彼女は楊奉が献帝の護衛をしているときに初めて登場しますが……前倒しで出させてもらいました。
基本的に無口に近く、口を開けば高確率で毒舌です。
しかし、そんな彼女も兄にはデレデレの模様。
兄については語りませんが皆さんの頭の中で考えていただければ面白いかなと少しばかり思っていたりします。
さて、次回は遅くなるかもしれませんがゆっくり待っていてくれれば幸いかと思います。
それでは次回までゆっくり待っていってね!