陳寿著「呉書・徐盛伝」外伝補記―徐盛さんが頑張るそうですよ?― 作:八意 暮葉
顔色だけで何が起きているかは大体予想はつく。
もしかすると・・・
雪蓮にあとを任せないといけないかもしれないな。
伝令が駆け抜けた後、私は主だった将を帷幕内に集めていた。
「皆、これから言うことを心して聞いてくれ。」
これから話されることが最悪のことだと伝わったためか皆の唾を飲む音が聞こえた。
「さっき我々の陣を駆け抜けていった伝令。あれはおおよそ呂布の出撃を知らせに行ったものだろう。」
「・・・・・・」
呂布の二文字を聞いて程普、陳武の両将以外は顔から血の気が引いていった。
「大本営は呂布に対しての備えをしていないだろう。」
「それは・・・どうしてですか?」
将の一人の呉景が重くなっていた口を開いた。
「簡単なことだ。相手を生ける伝説だと思って分かっていてもこちらのほうが戦力的には上だと過信し、油断しているからだ。」
「ならば・・・我々は大本営の防備を整えるまでの捨て駒になればいいのですね。」
程普はいつになく冷酷な意見を口にした。
それほど、袁家の姉妹に対して憤りを感じているということだ。
「いや・・・私が、私一人で時間を稼ぐ。
だから、命の惜しいものは引き上げてもいい。」
これは苦肉の選択だった。
雪蓮のために一人でも多くの将を生かしておきたい。
だが、若くして親を失うという辛さも味あわせたくない。
どちらかを選ばなければ・・・この反董卓連合軍は瓦解してしまう。
前者を選べば、親としての責任を失い、
後者を選べば、最悪の場合孫堅軍を失ってしまう。
だが、戦場において・・・一軍の将にとって私情は挟んではいけない。
私は心を鬼にして、選択を下した。
その結果、帷幕から去る者は一人としていなかった。
ましてや、さきほどまで怯えていた将の奴らでさえ血気に溢れていた。
「おまえら・・・良いのか?」
「紅蓮様。」
程普が話しかける。
「私たちがあなたを見捨ててまで逃げると御思いですか?」
「貴殿に拾われた命なのに、恩人を見捨てられるわけないだろう?」
陳武までも口を挟んでくる。
「姉上、一言くらい相談があってもよろしかったではないですか?」
いつも柔和な微笑みを浮かべている孫静が笑顔のまま怒っている。
正直、怖い。
「我らは紅蓮様が長江のほとりで大暴れしたときからあなたに命を預けているのですから主君を護るだけですぞ!!」
「全く・・・どうして私の家族はこんなにも大馬鹿ばかりなんだろうな・・・」
呉景の発言にあきれて大馬鹿たちと言ってしまったが・・・きっと私の頬は緩んでしまっているだろう。
もしものためにと遺しておいた雪蓮への遺言状はあとで破り捨てよう。
私はまだ、大馬鹿たちの集う家を守らなければならないから。
3ヶ月ぶりに投稿になります。
今回の話は呂布との決戦前の少しだけのゆとりとなります。
この話のあとには呂布と戦火を交えることとなります。
実は、何か月か前に大学に入る前に一応書き上げてはいたのですが、データと本文とかが吹き飛んで投稿できず、新しく書き直しました。
何か月か前のものは呂布との戦で展開が強引過ぎたので今となっては吹き飛んでよかったかもしれないと感じてますが・・・
さて、次回はいつの投稿になるかはわかりませんがゆっくり待ってもらえると幸いです。
レポートが辛いです。