陳寿著「呉書・徐盛伝」外伝補記―徐盛さんが頑張るそうですよ?― 作:八意 暮葉
虎牢関は関の前が切り立った崖のようになっている。
そのため、守備する側は隘路を抜けてきた敵を弓で射掛けたり
道中で待ち伏せすることで落石を仕掛けたりと守るには好都合なのだが・・・
逆手にとれば、騎兵や歩兵主体で構成された部隊を出撃させることができないという難点を抱えてしまっている。
また、攻撃する側も隘路を抜けない限り有効的な一打を打つことはできないが
下手に攻め込むことをせず、虎牢関に敵主力を縫い付け別働隊を動かすことで
都・洛陽であったり敵の本拠を突くことを可能にしている。
だが、今回は話がまるで違う。
相手は呂布。
一人で万近い敵を蹂躙することなどたやすいだろう。
だからこそ、私が・・・いや、私たちが採ることができる作戦は必然的に絞られる。
「呉景、孫静!」
「はっ!」
「お前らは弓・弩兵を主体とした部隊を率いて虎牢関前の崖の上に待機だ!」
「蒼、陳武!」
「はっ!」
「!!」
「蒼は騎兵を、陳武は重装歩兵を率いろ!」
「凌操!」
「お前は・・・馬で他の陣に触れ回ってこい!」
「なんか、俺だけ地味じゃないですか!?」
「良いか、凌操。」
私は、凌操に眼を合わせながら話す。
「私の軍の中でも有数の乗馬技術を持ち合わせているお前だから頼んでいるんだ
お前が他の諸侯の陣に触れを出すことで私たちに援軍を出す軍が現れてくるかもしれない
そうすれば、私たちの命はお前の力で繋がれるかもしれないんだ。」
「俺が・・・姐さんたちの命を・・・?」
「ああ。それに戦は首級を獲るだけのものではない。
伝令も斥候も皆、重要なんだ。」
話を終えると凌操は涙を流していた。
「分かりやした!!漢・凌操、命に変えても伝えてきます!!」
そういうなり凌操は馬に乗って飛び出していった。
後ろのほうから「上手く、煙に撒きましたね」とか聞こえてこない。
きっと、幻聴だろう。
「良いか、野郎ども!!出陣だ!!」
凌操が見えなくなってから私は出陣の号令をかけた。
先遣隊で呉景と孫静がいないから数は少ないが士気は高揚している。
目の前から土煙を濛々とあげながら迫ってくる紅い点を目標に最高速度で進撃する。
一歩、さらに一歩と踏み出すたびに紅い点が馬と人の形を帯びていく。
「月を・・・殺そうとするやつは・・・恋が狩る!!」
点が人馬となったとき、剣戟が交わされる。
嗚呼、こんなに重い一撃を喰らうのは何時以来だろう。
私は心が躍った。
一撃交え、離れる。
また一撃を交え、肉薄する。
それが何度も繰り返される。
「こんなに楽しい一騎打ちは何時以来だろうねぇ!!」
昂ぶった感情が声として吐き出される。
私の顔は狂気じみた楽しみに塗られているだろう。
「恋は・・・はやく終わらせたい・・・」
「そんなツレないことを言わないでおくれよっ!」
楽しみたい。目の前の伝説と一人の挑戦者として戦いたいという気持ちが心を満たしていく。
50合くらい交えたころだろうか。
背後から鬨の声が聞こえてきた。
援軍?かと思った。
しかし、その思いは現れた将の顔とともに打ち砕かれる。
「ハッハッハッ!!道を開けやがれクズどもが!!」
閻象が・・・袁術軍が一軍を率いて、襲撃してきた。
兵卒は蒼と陳武が食い止めているが閻象がこちらに向かってくる。
「呂布、逃げろ!!」
閻象が呂布目掛けて刀を振り下ろそうとしている。
それに気づいた私は、咄嗟に呂布を庇った。
それにより、呂布は逃げることができた。
だが、閻象の刀の軌跡上にあった私の右手は・・・肘から先を失くすこととなってしまった。
こんにちは、テスト勉強をしている八意です。
今月1回目の更新。
なんだかんだで時間ができたので投稿しています。
今回は呂布との戦闘と袁術軍の介入でした。
個人的には袁術は嫌いではないですが、汚れ役になってもらいました。
それに、袁術軍のことはまだまだ勉強しないといけないですね・・・。
次回は未定ですが、また投稿したら読んでいただけると幸いです。
それでは、次回までゆっくりしていってね!