今年も頑張っていきます!
「えっ?ルキア、まだ帰ってないんですか?現世駐在の任期って一か月じゃなかったですっけ?」
駐在任務以降、連絡が無かったルキアを訪ねて昴が十三番隊の浮竹のところに顔を出すと、彼女はまだ帰還していないと聞かされた。
おかしい……
もう送り出してから何か月たった?
「まさか、ルキアまで……?」
虚に襲われて息を引き取るルキアの姿が昴の脳裏に
「いや、朽木は無事だよ。本日付で現世から帰還することになった」
「そうなんですか!良かったァ!てっきり、もう会えないのかと思っちゃいました」
それを聞くと、浮竹の顔が曇ってしまった。
ここで何も察せないほど昴の思考は緩くない。本来の帰還予定から大幅にズレた日程、浮竹のどこか心配そうな口調、心ここに在らずというような瞳―――
まず思ったのは、ルキアが大怪我を負ったのではないか、ということだ。だが、浮竹は‘‘本日付で‘‘と言った。怪我を負ったら寧ろ任期は早く終わるし、帰還日を設定する意味はない。
なら――――
「ルキアは何をしたんですか」
弾かれたように浮竹が昴を見た。まさか、これだけで察せられるとは思っていなかったとでも言いたげな顔だ。
「……ついさっき、朽木隊長と阿散井副隊長が現世に向かったんだ。彼らの任務は、‘‘重罪人――朽木ルキアの捕縛及び
「重罪人⁉ルキアは一体何をしたんですか!」
「…人間に、死神の力を譲渡したんだ」
「何でそんなこと………」
人間に死神の力を渡すことは、尸魂界においては何百年も投獄されることになる重罪だ。そんなこと、霊術院生でも知っている。
それを知りながら行ったというなら、そしてそれがルキアなのなら、きっと
「理由は、本人に聞いてみない事には分からない。ただ、何だか嫌な予感がするんだ。実力はともかく、席次の無い朽木に隊長格二名を送り込んだり、‘‘抵抗すれば斬り捨ててよい‘‘と命が出されていたり…重罪を犯しているとはいえ、あくまで禁固刑の者に対する扱いじゃない」
浮竹の顔がいつもより白く青く見えたのは、昴の勘違いではない。
そして案の定、浮竹の憂いは的中する。
ルキアが捕らえられた翌朝、判決が伝令された。
――第一級重科罪・朽木ルキアを極囚とし、これより25日の後、真央刑廷において極刑に処す――
ルキアは席次こそ持っていないが、とうにその実力は席官クラスだ。そんな人材を何百年も牢に入れておくなど、馬鹿のやることだ。ただで昴はさえそう思っていたのに、極刑?冗談だろ?
居ても立っても居られなかった昴はすぐに五番隊の隊舎牢に向かった。牢の扉を開こうとした瞬間、そこから白哉が出てきた。
「朽木隊長!これから四十六室への減刑を願い出に行くんですよね?私もおと「行かぬ」…は?」
「そう何度も言わせるな。四十六室の決定は絶対。覆すことはせぬ」
「
「受け入れる受け入れないの問題ではない。これは事実だ」
いつものスカした顔を崩さないが、白哉は握っていた拳を更に強く握りしめていた。
「…嘘吐き」
ポツリと昴がこぼした言葉を、白哉が聞いたかは分からない。
白哉とすれ違い、六番隊舎牢の門の中に入った。
牢の中では、廊下に恋次が立ち、牢内にルキアが座ってお互い気まずそうにしていた。余命宣告を受けたはずのルキアよりも、その場にいただけの恋次の方が明らかに動揺していた。
そして、入ってきた昴の方を見ずに顔を伏せているルキアの目を見て昴は気が付いた。
彼女は―――
「昴さん…?ルキアの話…聞いたんスか」
「ああ。ルキア、向こうで何があった?」
「……」
口を閉ざしたルキアを見て ふう、と息を吐くと、昴は恋次の方に向き直った。
「恋次、悪いが外してくれないか?」
「…っ!はい…」
「すまないな」
「いえ、良いんス」
恋次は一瞬ためらって、それから隊舎牢を出た。ルキアはそれでも、口を開かなかった。
―――彼女は、受け入れている。刑も、死も。だが…
「帰還時の話は聞いているよ。ギリギリまで抵抗していたそうだね。なァルキア、君が力を渡した少年の安否を、確認してから逝きたくはないか」
ルキアの体が揺れた。
畳みかけるように昴が続ける。
「君は気丈だ。こんなことになっても、後悔など殆ど無いのだろう。目を見ればわかる。私が何を言ったとしても、君は揺るがない。……私は君を肯定しない。だが、否定もしないよ。私には理解できないが、それが君の選択だというのなら、君の無抵抗に何も言わない。だから、これは説得とかそんなんじゃない。私のお節介だ。どうだ、知りたくはないか」
ルキアは、苦しそうに目を昴に向けると、
「………っ!知りたい、ですッ!」
そう言って、力を譲った人間が黒崎一護という名であること、十五歳であること、空座町にある高校に通っていることなどを、ぽつりぽつりと話した。
「分かった。それだけ情報があれば辿れるだろう。ただ、穿界門の使用に許可が下りるまで今少し時間が必要だ。直ぐにとはいかないが、必ず処刑までに知らせよう。それでいいか」
「はい…ありがとうございます。昴殿」
「まだ私は何もしてないよ。……ルキア、私は、君と関われたことを誇りに思うよ」
ルキアは俯き気味だった顔を上げると、怪訝そうに昴を見た。
「どういう意味ですか…?」
「君のような者にこそ、尸魂界は担われていくべきだった、ということだ。じゃあな」
不甲斐無い顔を彼女に見られないよう、昴はサッサと牢を出た。
昴が隊舎牢を出て六番隊の廊下を歩いていると、花太郎と会った。
書類を届けに来た風でもない四番隊隊士がこんなところでフラフラしているなんて、珍しいこともあるものだ。
「花!どうしたんだ?こんなところで」
「昴さん!いえ、この度朽木ルキアさんのお世話を申し付けられたんですが、迷ってしまって…昴さんこそ、どうしてこんなところに?」
「ちょっと野暮用でね。しかし、花が世話係だったのか…どうか、彼女のことを気にかけてやってくれ。いくら気丈でも、処刑宣告を受ければ誰だって精神を摩耗する」
「わかってます!でも、朽木家の方のお世話なんて、緊張します…」
そう言われて初めて昴は気が付いた。
四番隊は後方支援部隊という隊の特性上、雑務を押し付けられることが多い。それもどうかと思うが、兎も角、そういう仕事で他隊に四番隊員が呼び出されるということは珍しいことではない。まあ、六番隊などいくつかの隊では隊長の性格からかそういうことを殆どしない隊もあるわけだが。
しかし、重罪人で一般隊士のルキアに
どこに気を遣っているのか…上は気の回し方が変じゃないか?
「気にせず、シャキッと接すれば良い。ルキアはそういう気の遣われ方があまり好きではないようだから」
「そう言われても…」
とほほ、という感じで昴が教えた牢の方に向かう花太郎は、全然ルキアの先輩に見えない。もう少しシャキッとしてほしいものだが、あれが花太郎らしさでもあるから、昴からしたら変わってほしいような、変わってほしくないような複雑な気持ちだった。
五番隊舎に戻った昴は休暇を翌日に捻じ込んだ。
投稿していないのにUAが1000を超えていて、感謝しかありません…
矛盾点を一つ発見してしまって、どう修正していこうか、今からドキドキです。
ま、それは作者の都合ですね。
そして自分で小説というものを書いてみて切に思うのが、会話文で話が進む場面の難しさを何とかしたい、という事です。
作者には今誰が話しているのか分かっても、読者には分からないかしもれない。突然の地の文の主語が分かりにくいかもしれない。
そう思って主語を増やすと今度は
スッキリ分かりやすく書くにはどうすればいいのか…
切に何とかしたいです。
改善点は山ほどありますが、特にそれを何とかしたいです。
長々と失礼しました…
今回も最後まで読んでくださってありがとうございました!