「あるBLEACH アニメオリジナルキャラクターと薫の斬魄刀の名前がほぼ一緒」
思わず”なん…だと……”と呟きました。
斬魄刀の能力は全く違うんですが、余りの衝撃に暫く思考がフリーズしました。
今更変えられないです。しまった☆彡
地獄蝶での伝令を言付かった後、刻限までに荷物を纏め終わった薫は渋々呼び出しに応じた。彼が向かうと、そこには総隊長、浮竹、京楽の三人しか見えなかった。
「百目鬼です。こんな呼び出しの形式ってあるんですねェ」
見えなかった、という表現は間違いではない。何か他にこの部屋にいる。しかし、その位置も数も掴めなかった。一抹の不安を抱きながらも気付かないふりをする。
「何か御用ですか?」
「いくつか、お主に聞いておきたいことがあってのう」
総隊長は、緩慢とも思える動きで薫の方を見た。
隣の浮竹が片手を軽く上げる。
「まずは俺からだ。薫君、何故君は朽木から崩玉が取り出されるまで静観していたんだ?」
やや興奮気味だった浮竹の声の響きは、彼自身の咳によって掻き消された。
「簡単なことです。あの時すぐに飛び出していたら彼らが――藍染一派が逃げてしまうと思ったからですよ。それに彼を殺すなら彼らが用事を終えて虚圏に行く際の反膜の中で卍解、が一番確実でしたから」
浮竹は何かを言いかけて、止めた。感情的になっている自分を制したのだろう。間をおいてさらに彼は言葉を繋いだ。
「では、百年前の事件について。君と橘が直面した事件についてだが、あの時君は藍染と東仙の二人を結界内に捕らえていた。そうだね?」
「えェ」
「市丸には真相は見えていなかった、という見解で良いのかな」
さっきの質問もそうだが、これは先日追及できなかったことを聞くための会、ということなのだろうか。こんな質問は、他の隊士が聞けば動揺が周りに伝染しかねない。
「分かりませんね。彼がどこで見ていたかによります。〈波枝垂〉の能力の有効範囲内だったら当時の報告書通りに見えていたでしょうし、もしかしたら見てすらいなかった可能性もあります」
真相が見えていた時の話はしなかった。
あの時、少なからず動揺していた薫は有効範囲が着く方法で〈彼女〉の技を放っていたのだ。
目の前の三人もあえて追及しようとはしなかった。当然だ。そうなると、ギンは意図的に藍染にそれを―――薫が昴に扮していたことを隠していたということを意味する。尸魂界を裏切ってまで藍染に付いて行った男の行動にしては不可解すぎる。下手な憶測は控えるべきだ。
……たとえそれが希望を孕んでいたとしても。
「僕からもいいかなぁ?」
京楽が手を掲げた。その目は、彼の笑顔とは対極に冷め切っていた。
「”斬魄刀は使用者が気絶した場合始解前の状態に戻る”、そうだよねえ?」
「そうですね」
「じゃあさ、この前の処刑執行日に何で七緒ちゃんの白伏を受けて薫クンの偽装は解けなかったの?」
常時開放型は兎も角、それ以外の始解した斬魄刀は使用者が気絶すると始解前の状態に戻る。”気絶”という表現を敢えてしたのは、意識が無いだけではそうならない場合があるからだ。つまり何が言いたいのかというと、この条件に睡眠は含まれない。
だって考えてもみてほしい。つい先日の藍染がいい例だ。
彼はルキアの刑罰をコントロールするために二週間近く中央四十六室に居座っていた。その間〈鏡花水月〉は掛けっぱなしである。睡眠で始解が解けるならこんな計画は不可能だ。…余程藍染に根性が有れば話は別かもしれないが。
だから、普段の生活で薫は演技さえ気に掛けていれば何とかなっていた。勿論始解を維持したまま眠ると霊力は消費し続けるからお勧めはしない。
「端的に言えば、あの時僕ァ七緒の白伏を受けていなかったんです」
「どういうこと?」
京楽の語感かほんの少し和らいだ。
彼が最も危惧していたこと――〈波枝垂〉の能力を無効化する方法が無い可能性――が無いらしいことに安心したのだろう。
「ご覧になった方が早いかと。失礼します」
そう言って薫は〈彼女〉を解放すると、特に何をすることもなく掌を京楽に向けた。
「!」
「京楽隊長、動かないでくださいね。――白伏」
霊力を込めて、白伏を放つ。それを後の三人も感じたらしいが、京楽が倒れないのを見て視線を京楽から薫に映した。
答える前に薫が両手を打つと、京楽の目の前に縛道の八十一、断空が現れた。
「……これは一体、どういうタネだい?」
「
あの時、詠唱破棄で咄嗟に断空を張った。ただでさえ距離のある状況だったため、七緒のものとは言え白伏はあっさり断空に阻まれた。
「まァ、まさかあの後駄目押しの穿点が来るとは思わなくて結局眠ってしまいましたが」
「
ニコニコしているが、京楽の瞳の奥が冷えていくのが分かる。下手に隠す方がややこしいことになるかと思って素直に話したが……失敗だったかもしれない。
〈彼女〉の力は強力だ。それが
だが薫は護廷十三隊には所属したくないと公言している。別に彼は尸魂界を敵に回すつもりがあるわけではないのだが、警戒しておくに越したことはないとでも思われているのだろうか。
(まァ、当然の対応だ。元々藍染と性質の近い斬魄刀の能力がある上、やっていたことの
言ったところで詮無いことだ。こういう痛みが少ないように人間関係は深くしないで来たのだが、それ以前からの付き合いの、二人と七緒、そして花太郎は薫にとっては特別だった。
(……感傷的になっている余裕は無いかもしれないな)
そっと〈彼女〉に話しかける。
やることは二つだ。
薫が〈彼女〉を仕舞うと、再び京楽は口を開いた。
「それじゃ、もう一つ。あの日―――薫クンの暴露大会があった後、百年前の君との会話を思い出してみたんだよねえ。そしたら、面白いことに気付いたんだよ。君は僕との会話に殆ど事件のことを話さなかったよね?君の目的は犯人の炙り出しだったはずなのに」
「それが本当なら京楽隊長は凄い記憶力をお持ちですね。でも、思い違いではありませんか?僕はちゃんと聞くべきところは聞きましたよ」
「そうかなあ?百年前とはいえ、僕はそうそう話に乗っていかない方針なんだよねえ。大した話を君にした記憶が無いんだ。君は僕のことを容疑者としていたのに、ね」
薫が黙り込んでいると、京楽は面白そうに付け足した。
「だから、思ったんだよね。君はもしかしたら、相手の思ってることや考えてることが分かっちゃったりするのかなってさ」
「――――そんなことができたら、誰も苦労しませんよ」
「何も、君個人の能力だとは言ってないよ。薫クンの洞察力も相当なんだろうけど、何よりその斬魄刀――〈波枝垂〉を使えばどうだろうね?」
もう逃げられない、と薫は観念した。薫を呼び出すまでもなく彼は結論を出していたのだ。
大きくため息を吐くと、分かりましたよ、という風に首を振った。
「……詳細に思考が読めるわけではありません。嘘を吐いた、今の気分は高揚している、別のことに思想を飛ばしている――相手の表情、視線、手足の動き、体の揺れ…それらすべては思考と繋がっているのです。そういう小さな体中の動きを〈彼女〉は感じ取ることができます。犯人捜しをするだけならば、これで十分わかりますから。技の名は、一ノ型――
伏し目がちにそう言った薫に、総隊長は‘‘合点がいった‘‘と言葉を繋げた。
「成程のう、それもあって、お主の斬魄刀について他の者に伏せるように言っておったのじゃな」
「えェ。皆が大なり小なり持っている隠し事に土足で踏み込んでしまう能力です。でも、今はそれに助けられました。そろそろ出てきませんか?こちらばかり見られるなんて、フェアじゃない」
薫が声を張り上げると、どこから現れたのか二人の死神らしき人物が目の前に立っていた。
一人は禿げ頭にくりくりした瞳、首からは大粒の数珠を下げている。もう一人はすらりとした体、派手な着物に結い上げた髪、そして何に使うのかは分からないが義手らしき腕が六本も付いていた。
「やはり気づいとったか。流石じゃの、百目鬼薫。儂は王族特務、零番隊の
「王族特務⁉そんな人物が二人も僕なんかに何の用です?僕ァ唯のしがない一死神ですよ」
こんな大物が出てくるとは思っていなかった薫は動揺した。王族特務とは、ここ尸魂界に君臨する王、霊王を守護する専属の部隊だ。その五人の戦力は護廷十三隊全軍をも上回るという。あそこまで完璧に近い状態で気配を消していた時点でタダモノではないと思っていたが…
「唯の、か。言うてくれるのう?この百年もの間、有象無象の護廷十三隊のみならず、わらわ等零番隊を含む霊王宮にまで目を欺かせ続けた男は”唯の”死神か?」
修多羅千手丸が薫を舐めるように見回してくる。こうもあからさまに品定めをされるのは気分が良いはずがない。
「えェ。下々のことなど気付かなくて当然ですよ。アナタ方の目に留まらなかっただけです」
「儂らがどうこうというわけではない。ただ、霊王様がお主に興味があるそうでの?儂らと共に霊王宮まで来てもらおうとここまで迎えに来たんじゃよ」
嫌な予感しかしない。
薫は勘というものがあまり好きではなかったが、この時ばかりは理由のない不安が頭をかすめていた。
(面倒ごとはうんざりだ)
どっちにしろ面倒なら我を通してしまおう、と、半ば
「お断りします。総隊長、もうお話が終わりならこれで失礼させていただきます」
「これは霊王様からの命じゃぞ?」
兵主部一兵衛が無表情に薫に言い掛ける。しかし、もう薫は動じなかった。
「僕ァ既に一度死んだんです。護廷十三隊の者でもなければ、当然鬼道衆の者でもない。これから尸魂界も離れますから、アナタ方に従う理由は僕に無いんですよ。総隊長の呼び出しに応じたのも気まぐれです」
さっさと出て行こうとする薫を透明な球体が包んだ。どうやら修多羅千手丸が持ってきていたらしい。
「悪いがお主の意見は関係ないのでな―――ッ⁉」
千手丸が中を覗くと、そこには黒い布地が一枚入り込んでいるだけだった。
「これは――隠密歩法“四楓”の参〈空蝉〉じゃな。まんまとこの部屋から抜け出しおった。じゃが尸魂界にいる限り、儂らからは逃れられんぞ?」
目にも留まらぬ速さで出て行った三人に残された後の三人は、どちらにも困ったものだとため息を吐いた。
「ほっといていいの、山爺?和尚完全にスイッチ入っちゃってるよ?」
「構わん。霊王のお達しなら殺すような真似はせんよ。しかしまだまだ百目鬼もひよっこじゃのう。下手に一兵衛を相手にするよりも付いて行った方が面倒は無かろうに」
「……本当に彼は大丈夫なんでしょうか?現世への滞在前だというのに…」
三人は再びため息を吐いた。暫く彼は現世への渡航を先延ばすことになるだろう。
――――その場にいた皆がそう思っていた。唯一人、薫を除いては。
(零番隊が追ってくるなら、ここに居着いて明日を待っている余裕は無い。〈波枝垂〉の幻影にも限界がある)
ならば、と薫はあるヒトに地獄蝶を飛ばした。急いで身支度を整えると、荷物を持って彼は自室を出た。
普通なら、一兵衛らの追撃を躱すことは不可能だろう。彼らは薫たちとは強さの次元が違う。それは歩法においても同じこと。鬼事で彼らと正面切って戦うつもりはない。
実は薫は、京楽の最初の質問に答えた後から薫その人ではなかった。〈波枝垂〉によって映した虚像を置いて部屋を出たのだ。〈彼女〉に部屋を探ってもらって知った人影に胸騒ぎを感じてそうしてみれば、案の定である。
従って彼が千手丸の球に捕まったかに思われたとき、既に彼は目的地――花太郎の実家に辿り着いていた。
「やあ、本当に薫君なんだね。花太郎から話は聞いていたよ」
花太郎の兄、清之介が家の前で待っていてくれた。薫が飛ばした地獄蝶を受け取ってくれていたらしい。
「急にすみません。今は状況が切迫してまして、詳しくお話しすることができないんです」
「……みたいだね。構わないよ。もう準備は出来ているから、いつでも行ける」
そう言うと、清之介は穿界門を指した。急なことだったが助かった。
「本当にありがとうございます。あの、花太郎によろしく言っておいていただけませんか?」
「キミも忙しい人だね。分かった。伝えておくよ」
苦笑する清之介に再度礼を言ってから、薫は穿界門をくぐった。色々と挨拶をし損ねたことが悔やまれるが、仕方ない。また会った時にでも笑い話にすれば良いさ。
薫は自分でも楽観的だと思いつつ、そんな日もあっていいと明るく断界を駆け抜けた。
聞こえてくるのは、声だ。
或いは呟くように
或いは叫びながら
或いは祈って
一度に何十何百という声が届いては消えていく。
『うるさい、うるさい、うるさい!』
声を上げることに意味はない。
耳を塞ぐことに意味はない。
それらは自分の意思に関係なく、内側に響いていった。
『何故、聞かねばならない?何故、叶えねばならない?
そうやって声を上げている奴らはダレ一人として、
僕の、私の、俺の、アタシの、儂の、
願いなど気付きもしないくせに!!!!』
こんなの孤独だ
こんなの寂しい
こんなの嫌だ
『誰か――――誰でも良いから、見つけてくれよ……』
二幕、閉幕です!
辿り着けた…良かったです…
これから一週間は作者の都合で投稿できません。すみません。
というか何だかんだでその後も予定が詰まっているので、上手い事進められるか不安です。
ちなみに
波枝垂の技、陽炎の有効範囲について
幻影を生じる(というより光や音などを操れる)範囲は一定です。
ちょっと前に一護に行ったように、対象の視覚や聴覚に入る直前の情報に直接干渉した場合、その有効範囲内に居る人物にしか幻影は見えません。ただし、幻影を見せる対象の選択ができます。
一方、幻影を纏うように生じさせたり特定の場所の情報を上書きするように干渉すれば、有効範囲外の人物にも幻影を確認できる仕組みです。この場合は全ての人が同じ幻影を見ます。
分かりにくくてすみません。
恐らく今後説明することはないかと思いましたのでここに書かせていただきました。
まあ、細かいことは考えず読んでいただければと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!