流星のファイナライズ 作:ブラック
本当はもっと前にあげられればよかったのですが、中々投稿できず。
これからも開くことがあるかもしれませんが、アンドロメダは必ず書き切ります!(その後も頑張ります!!)
気長にお待ちください!
さて今回は少し話が難しめです。
私の言いたいことほほとんど黒夜くんが話してくれています。
ほんと、暖かい目でご覧ください。
確か原作でのリブラの最後の言葉は、『私を倒してもお前には滅びの未来がー』とか『アンドロメダが目覚める』とかだった気がする。
『時間が足りない』とか言っていたあたり、原作と比べてかなりの時短ができているらしい。
何よりである。
実際、原作ではリブラ戦が終わったあたりでアンドロメダの起動が本格的に始まっていた。
二人で攻略したらこんなもん。
スターフォース万歳。
ブラックエース万々歳。
ケフェウスくん、待っててね。
もう直ぐ行くよ。
ウィングブレードによる高濃度のノイズに当てられて、白目を剥いているウォーロックを横目にノイズウェーブ・デバウアラを起動させる。
あら不思議…モヤのように広がっていたノイズが、綺麗さっぱりと吸収されましたとさ。
「黒夜くん、さっきの技って」
しかし何事もなかったかのようにこちらは近づいてくるスバル。
鬼畜だ…。
「ウィングブレードってバトルカード。ノイズドウィングバーニアの出力を上げまくって高密度のノイズの翼でぶった斬るよ」
「へ、へぇ…」
「隠しコマンドでマッドバルカンを撃ちまくってから突撃するよ」
「!?」
おふざけはこれくらいにして、ウォーロックの目が覚めたら何も言わずにささっと次のモジュールへと進もう。
後悔はない。
一回やってみたかった。
すまん、ウォーロック…。
ところで、ノイズ率ってやつは一体何%まで吸収できるのだろう。
原作ゲーム世界では、どれだけカウンターを取ろうが999%以上は上がらなかった。
計測の限界なのか、ノイズウェーブ・デバウアラの吸収限界なのか、果たしてどちらなのだろう。
しかし原作ってゲーム世界だったわけだしなぁ…と詮無いことと考えて思考を閉した。
◆ ◆ ◆
発電モジュールを抜けた先にあったのは、居住モジュール。
そう、居住モジュールだ。
とうとうここまで来た。
最終モジュールであるのと同時にスバルの父、星河大吾さんの実験室があるモジュールだ。
「ロック…ここってもしかして」
『電波変換してなくともわかるようだな』
「アンドロメダとケフェウスはこの奥だ。とうとう辿り着いたな」
「うん。けどやっぱりロックがかかってるね。まずはなんとかしないと」
T字になっている通路を捜索する。
今回はウェーブホールがある場所はわかりきっている。
大吾さんの実験室だ。
左側からウェーブホールの輝くも僅かに肉眼で捉えることが出来ている。
だが、
俺はスバルの数歩後ろをゆっくりと歩いて着いていく。
最終決戦が目の前に近づきつつあることを肌で感じてしまったせいか、スバルはどこか緊張した面立ちで探索をしている。
ロックされた扉の反対側へと進む。
途中にある宇宙飛行士が寝る為の固定バンドがある個室を眺めながら、スバルは先へと進んでいく。
この中のどこかにもしかすると大吾さんの寝床もあったのかもしれない。
細い通路を通り抜ける。
先には、発電モジュールのウェーブホールがあった場所のような四角い部屋が広がっていた。
床にはいくつもの紙束が散らばっている。
恐らくは実験中の経過資料だったのだろう。
部屋の中心では、ウェーブホールが爛々と輝きながら回っている。
だが、スバルの視界に収まったいるのはウェーブホールではなかった。
「……」
『……』
アカネさんと幼いスバルの写真が、壁に大きく引き伸ばされて青色の額縁に収められていた。
大吾さんがまだ
写真の下には、メッセージが入っていた。
【とうさん がんばってね スバル】
【無茶しないでね! あかね】
「…スバル」
言葉が詰まる。
ウォーロックは額縁に入った写真とスバルとを見比べ、目を瞑り、天井を見上げた。
『この場所は、星河大吾の実験室だ』
「ここが…父さんの…」
それからウォーロックは懺悔をするように、事件の真相を話し始めた。
3年前にFM王ケフェウスからの命令で宇宙ステーション絆を占領したこと。
乗組員全員が捕えられ、FM王による裁判にかけられたこと。
その裁判による死刑宣告。
刑の執行までの猶予の間、ウォーロックが世話係をしたこと。
そこで大吾さんと出会ったこと。
そしてウォーロックが反逆を起こした。
アンドロメダの鍵を盗み、追ってから逃げる為にあの宇宙ステーションへと逃げ込んだこと。
そうして、宇宙ステーションに残っていた乗組員全員を電波化させて脱出を試みた。
強力なZ波を浴び続けることによって、身体そのものの構成を変えて電波化することができるらしい。
『そこでアイツは言ったんだ。【復讐なんて辞めて地球に来ないか? お前なら俺の息子とも仲良くやっていける】ってな』
「父さん…」
『あの時は大吾の正気を疑ったぜ。だが結果として、俺は大吾の申し出を断った。あの時の俺は、安息なんてもんを求めちゃいなかった』
確かに、原作でもウォーロックの目的は【FM王をぶっ倒すこと】だった。
その為だけに反逆まで起こしたのだ。
大吾さんの申し出を受けることは自分の望みを断ち切ることに他ならない。
ウォーロックに首を縦に振る考えはなかっただろう。
『そして俺は大吾達をZ波を浴びせて電波化させた。だが、その直後だ。俺たちを監視していたオックスの野郎が攻撃を仕掛けてきやがった。そこからは…』
「既に大吾さん達の姿はなく、行方も分からずじまいってことだ」
『…その通りだ』
そうして、大吾さんを探している間に大吾さんのトランサーを発見し、スバルのトランサーに向かって発信されたアクセスシグナルを辿って地球までやってきたらしい。
ウォーロックとしても、ボロボロだったに違いない。
藁にも縋る思いでアクセスシグナルを辿ったのだろう。
「そんな…」
全てを聞き終え、スバルが力無く地面に崩れる。
血色が消え、蒼白になった顔を見て、俺はスバルの背中を軽く叩く。
そしてスバルの横にいるウォーロックに詰め寄る。
「オックスの攻撃はあくまでもウォーロック、お前に集中していた。そうだな?」
『…あぁ、そうだ。大吾達に直撃はしていないだろうが…』
「なら、望みはある」
電波化した以上、身体の構成は電波だ。
人間とは違う。
電波化している状態なら、腹の減り具合から睡眠、何から何まで違うはずだ。
実際、原作では大吾さんはメテオGに流れつき、極限状態で地球への侵攻を防いでいた。
きっとこの世界でも…と考えてしまうのは希望的観測なのかもしれない。だが、スバルの為にもここで諦めるわけにはいかない。
『生きていたとしても、宇宙を彷徨い続けてる。このだだっ広い宇宙で見つけられるはずがねぇ!』
「…見つけてみせる」
正直、もしかしたら大吾さんの手がかりがあるのではないかと期待はしていた。
すぐ近くにいて、奇跡が起きるなんてこともあり得なくはない…と。
いつか必ず見つけてみせる。
必ず、スバルの元へ連れて帰ってみせる。
「それが、俺にできるスバルへの…。とにかく! スバル、まずはケフェウスとアンドロメダを止める。俺たちは、守る為にここまで来た」
こうしている間にもケフェウスによってアンドロメダの起動が進めている。
俺たちの足元には、ミソラちゃんがいる地球がある。
アカネさんやルナ、ゴン太、キザマロがいる地球がある。
「少しでも希望があるなら僕はそれを信じる」
まるで自分に言い聞かせるかのように、スバルが胸に手を当てて口にする。
下げられていた頭が上がる。
瞳に涙はなかった。
「…うん。まずはアンドロメダを止めなきゃね。僕も父さんを諦めない。可能性がある限り、必ず父さんを見つけてみせる!」
『ケッ…まぁ、大吾が帰ってきた時に地球がねぇんじゃお笑い種だからな!』
「よく言った! 先へ進むぞ!」
「うん!」
『おうッ!』
流星のロックマンというストーリーには、まだ長い道のりが続いている。
ここで立ち止まる訳にはいかない。
「電波変換! 星河スバル、オン・エア!」
スバルがロックマンへと電波変換するのと同時に、俺の身体を紅黒いノイズが渦巻くように囲われる。
ふと突如として違和感に襲われる。
いつもの電波変換とは何かが違う。
上手く言葉にできない。
普段なら何事もない電波変換の最中に、全身を貫くような電気が流れたような…。
いや、電波体だから電波は通ってるけど。
むず痒いような気持ち悪さ。
高ノイズ率の戦闘が連続で続いているからか?
ブラックエースの姿となるとウェーブロードに上がり、両手の拳を握りしめてみる。
異常なし。
ノイズドウィングバーニアの出力を確認してみれば、こちらも正常。
特に変化は見られない。
気のせいか?
連戦でへばった?
そんなまさか。
「黒夜くん?」
「水を差すようですまん。ちょっと待ってくれ」
クリムゾンレギュレーターは今ここで使用する訳にはいかないが、問題なく使用できるような感覚はある。
メテオGとのデータのやりとりをするBAウェーブアナライザーを確認してみる。
交信が上手くいかない?
は?
エラー…!?
あ、来た。
「メテオGとの交信が遅い…?」
再度接続を試みるも今まで違いラグがある。
わかりやすく言うと、今まではバトルカード選択までの時間がゲーム通りだったのに、急にヘビーゲージを使われているような感じだ。
バトルカードを表示•選択できるまでが異様に遅い。
流星サーバーさん、圏外とかそんな概念ないですよね…ないと言ってよ。
あなたがいないと、デバフ盛り盛りの只の一般人に成り下がってしまいます。
「メテオG?」
はっとなって隣を見れば、真っ直ぐにこちらを見つめるスバルの姿。
メテオGなんて単語は、流ロク1どころか流ロク2でも絶対に出てこない。
非常事態に口が滑った。
いや、でも隠す必要もないかもしれない。
ヨイリー博士も知っているし、そもそものところメテオGは地球のルートから外れたわけだ。
別に喋っても怒られないはずだ。
「メテオGっていうのは宇宙の彼方にある…そうだなゴミ処理場みたいなもんだ」
「ゴミ処理場ってドリームアイランドみたいな?」
お、良い例えだ。
ドリームアイランドよりもとんでもなくタチが悪いけど。
【コレクション脳の塊だから、手当たり次第に回収していくよ。要らないものは見た証拠として壊してから捨てていくよ】みたいなことを平気でやってくるやつだから、ほんま鬼畜の所業。
「それの電子データ版だと思ってくれ。そこにはノイズだったり様々なデータなんかが集まってる。それが宇宙のある場所に溜まりに溜まくって一つのファイルになった。これが流星サーバー。そんで流星サーバーが纏まった塊がメテオGだ」
「!! 流星サーバー…それって」
スバルが何かに気づいたように顔をあげる。
ウォーロックは無言でこちらを睨んできている。
あぁ、そうか。
電波変換の時か戦闘でバトルカードの切り替えをするときにガッツリ言ってたわ。
「メテオGについてはサテラポリスとJAXAは大分前から知っていることだ。流星サーバーとブラックエースについては一部の人だけ」
「メテオG…」
噛み締めるように、スバルが呟く。
「本当に偶然…そう、天文学的な奇跡と行っても過言ではない奇跡が起きて俺はそこに繋がる一つの入り口と繋がった」
ハープにしろ、ウォーロックにしろ電波体である以上は想像しただけで身の毛がよだつってもんだろう。
「ブラックエースは、メテオGにある流星サーバーにアクセスすることでノイズの一部とデータを貰い受ける。これは推測だけど、ノイズについてはブラックエースの変身に必要な初期値分だけを貰っているだけ」
「そんな代物、身体に受けて平気なの!?」
心配して俺に触れようとスバルをウォーロックが制する。
「これまた奇跡的に、俺の身体も特別だった」
「育田先生が話していた電波障害児!!」
掌を拳で叩いたスバルに俺は頷く。
「人間誰しも生きる為には、体内の情報を伝達する為の微弱な電波が流れているという。しかし、俺の場合はそれがおかしいらしい。微弱な電流は微弱なノイズになっていた。しかし何故だか人間としての臓器機能は正常らしい」
『だがあり得ねぇ。お前の言う微弱な電流とやらは、本来とんでもなく小さい代物のはずだ』
【誤魔化すのはやめろ】とでも言いたそうなウォーロックに俺は手を振って正す。
別に、俺の体の中のノイズ量がパネェッ!って話をしたいわけではないのだ。
「あぁ、違う違う。ノイズの量の話をしてるわけじゃないんだ。ただ、流星サーバーと繋がれる要因があったというだけ。というかだな、普通の電波変換だって案外理屈は同じかもしれないぞ?」
偶々、神様転生によって流星サーバーと繋がっても
「一番最初、偶々俺の中には
『テメェそうだとすれば、ますます…』
「ロック?」
電波変換で頭だけになっているウォーロックをスバルが見る。
ウォーロックは気にすることなく、そのまま話し続ける。
流石は電波体。
今の説明を聞いてぶるっちまったな。
身体が全部ノイズで置き換えられることに等しいわけだ。
電波体からしたら悍ましいことこの上ないに違いない。
ウォーロックは珍しく溜め息を吐くと、呆れたような目で俺を見る。
スバルは俺とウォーロックを交互に見て、ポカンとしている。心ここにあらず。
小学5年生には流石に難しすぎたらしい。
『大前提として、人間が自力でノイズ率を一気に上昇させられる訳がねぇ。そもそも耐えられるわけがねぇ』
『ブラックエースに変身ができているオマエは電波変換する時、その流星サーバーってヤツからノイズを受信して、尚且つ身体の中のノイズ率を何らかの方法で調整して変身しているって訳だ』
「自分のことなのに変だけど、全部を理解しているわけじゃないんだ。大凡、そんなところだろうと思ってる」
『だがソイツは人間にとって諸刃の剣だ。極小しかないはずの不純物を無無理矢理に上昇させた上、都合のいいように調整する。そんでもって解除する時は送り返す算段だろうが前借りした分と戦闘で増えた分をまるまる全部返せるなんて虫が良過ぎる。テメェ、解ってんのか?』
生物は異なる環境に身を置かれた時、適当しようとする。
懸命に記憶しようとする。
一度ならまだしも、それは10回、20回と回数を増せば、少しずつ適応して身体が変わっていく。
それこそ、初めて変身をしたあの日を皮切りにして俺の身体のノイズは増え始めた。
『日に日にオマエを避けようする理由がやっとわかったぜ』
おかしい。
なんだか、雲行きが怪しくなってきた。
『テメェ、このまま電波変換と解除を繰り返していけば取り返しのつかねぇことになるぞ』
こちらを睨みつけるウォーロックに俺もまっすぐに見つめ返す。
言いたいことはわかる。
「んー、なんとなく。ま、今する話じゃなかったな」
わかるが故に、失言だったことを後悔する。
空気の重さが全てを物語っている。
なんだかスバルの表情が暗い。
「…つまり、どういうこと???」
俺の方をじっと見ているスバルが、視線を変えずにウォーロックへと尋ねる。
『電波変換と解除を繰り返す度に、
ほんと、ちょっとだけ!
ちょーーーーっとだけだから。
頼む。
ほんと。
例えると1%だったのが、30%…いや、20%くらいになったくらい!
ほらちょっとだから!
『うるせぇッ! ハープのヤロウに言いつけてやっからな!』
ハープとミソラちゃんに告げ口するのだけは、後生だからやめてくれ。
黒夜くんの秘密を1つ描けたことを嬉しく思います。
中々こじつけもある設定ですが、ファイナライズを電波体無しに強制変身となるとこの設定しかなかったんや…。
前々から出ていた電波障害児というのは、オリジナルの造語です。