Fate/chaos 作:逸環
で、夜になったから、予定通りにランサー陣の根城である、『冬木ハイアットホテル』に来た。
つまり、
「ワ・カ・メ・狩りじゃあぁぁぁぁぁっっっ!!!」
「うおおおぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」
以上、霊体化した俺とジルの掛け声。
今日は二人でカチコミです。
「お、こっから先が、奴らの工房みたいだな」
今俺たちがいるのは、ホテルの31階と32階を結ぶ階段の31階側。
奴らがいるのは、ホテルの最上階である32階。
どうやら奴らは、そこを全て貸しきって拠点兼工房にしたらしい。
「いったい、いくら使ったんだろうか?」
「おそらくですが、たいした額ではないはずですよ?」
「黙れ貴族」
こちとら庶民だ。
子供を一人育てるのに、いったいいくらかかったと思ってるんだ。
どれだけ大変か分かるか。
「………騒がしいと思って来てみれば、お前が客人とはな。そこまで俺に御執心か?槍使い」
「そういうこった。人妻好きの前髪野郎」
「俺は違う!」
ジルとはしゃいでたら、ランサーが階段を下りてやってきた。
マスターに、迎撃して来いとでも命令されたのか?
「それに、そこの…………えっと……」
「………なんでしょうか?」
ジルを見て、ランサーの言葉が止まる。
明らかに、何かを言いたいのだが言い澱んでいる感じだ。
しょうがない。
ここは一つ、
「このギョロ目は、俺の相方だ」
「ちょっとぉっ?!」
俺が言ってやろう。
「………お前、俺が傷つくだろうと思って黙っていたというのに」
「はっ!知ったこっちゃない。そんなことは、どうでもいい」
「良くないですよ!?何で敵のほうが気を使ってくれてるのですか?!」
ま、あっちは騎士だからねぇ。
目の前の敵を侮辱するようなことは、まあできんだろうさ。
「さて、お互いの顔合わせも済んだことだし、さっさと死んでくれないか?」
「ふざけるな。俺は、今生の主に聖杯を捧げると誓ったのだ」
ふぅん?
まあ、そんなことはどうでもいいがな。
「我らが聖女に手を出した罪を、悔やむがいいです」
「………おい、ちょっと待てギョロ目。『我らが』?」
「我が友の妻に手を出した罪を、悔やむがいいでしょう!」
そう。
それでいいんだ。
「………お前たち、本当に仲間なのか?」
「「もちろん」」
少なからず、今はな。
「ま、俺としてはお前が惨たらしく死んでくれれば、それでいい」
「お前はどれだけ俺が嫌いなんだ?!」
「
「悪化した?!」
ククッ!
人の嫁に手を出したからには、そのくらいになってくれないとなぁ。
「さて、いい加減戦うとしよう」
ズボンのポケットから符を取り出し、
「『六合大槍』」
煙とともに、愛用の槍を取り出す。
うん。
相変わらずデカイね。
「その槍では、この屋内では不利じゃないのか?」
同じ槍使いだからこその、ランサーの言葉。
確かに、ホテルの階段のまん前という、ごく狭い空間では俺の槍は扱いにくいだろう。
だが、
「心配は要らん」
ブンッ!
と、槍を振り回して衝撃波を生み出し、要らない壁や部屋を破壊してスペースを生み出す。
「…無茶苦茶をする」
ああ、それが俺だ。
「さあ、殺し合おう。『ディルムッド・オディナ』」
どこまでもランサーが嫌い。
そんな二人でした。