Fate/chaos 作:逸環
「難癖つけられたところでなぁ……イスカンダルたる余は、世に知れ渡る征服王に他ならぬのだが」
「たわけ。真の王たる英雄は、天上天下に我ただ独り。あとは有象無象の雑種にすぎん」
あー。
ライダーの真名は、イスカンダルねー。
しかしあの金ぴか、傲岸不遜もいいとこの唯我独尊っぷりだな。
まったく、人間としてどうよ?
まあ、雑種の辺りは否定しきれんが。
あ、そういえば。
「王を名乗るのは、二人じゃないぞ?俺自身が名乗ったことはないが、『獣王』と呼称されたこともあるし」
これは、俺の生き様ではなく、能力から呼ばれていたものだが。
「どうでもいい。所詮はお前も雑種だ」
「おぉう。辛辣」
「まあまあ。そこまで言うんなら、まずは名乗りを上げたらどうだ?貴様も王たる者ならば、まさかおのれの威名を憚りはすまい?」
「問いを投げるか?雑種風情が、王たるこの我に向けて?」
ライダーの問いに、金ぴかの様子が変わる。
あれは、誰が見ても怒っているのが判る顔だ。
いったい、どんだけ名前を訊かれたのが不愉快だったのだろうか?
「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を知らぬと申すなら、こんな蒙昧は生かしておく価値すらない」
金ぴかの背後に、これまた金ぴかの空間の波打ちが二つ現れ、それぞれから剣の切っ先が出てくる。
セイバーの様に剣を握らないことから考えると、おそらくアレを射出して戦うのだろう。
とすれば、あれはアーチャーか。
まだ射出されていないにも拘らず、あれらが宝具級の力を持つことがわかる。
いやいや。
どんだけもったいない使い方だよ。
俺がこの場からの離脱を考えていると、
ゴウッ!!
と、少し離れた箇所から、魔力が溢れた。
この感じは、サーヴァントが霊体化を解いたときのもの。
ジャンヌは省くとして、この場に五体ものサーヴァントが集結するとは。
魔力の奔流が収まり、それは現れる。
フルフェイスのヘルメットをかぶり、ライダージャケットを着たそれは、一見するとライダーと思える。
しかし、ヘルメットから見える瞳の輝きは、間違いなく狂いきった狂戦士のもの。
あれは、バーサーカーだな。
「……なぁ征服王。アイツには誘いをかけんのか?」
「誘おうにもなぁ。ありゃあ、のっけから交渉の余地なさそうだわな」
前髪とライダーが、何か話している。
いったい、誘うって何をだ?
「で、坊主よ。サーヴァントとしちゃどの程度のモンだ?あれは」
ライダーが、マスターの少年に尋ねる。
マスターであるなら、サーヴァントのステータスを観れる特殊能力が聖杯より授けられるらしい。
ちなみにだが、龍之介に使わせようとしたところ、使い方が分からないの一言で終わってしまった。
「………それが、よく分からないんだ。ころころステータスが変わって、全然安定しない。ただ、耐久だけはA+を維持し続けてるんだけど」
「なんだぁ?そりゃ?」
………戦力把握ができるかと思ったのに、残念。
まあ、どうでもいいか。
「どうやら、アレもまた厄介な敵みたいね……」
セイバーのマスターの呟きに、セイバーが頷いた。
「それだけではない。5人を相手に睨み合いとなっては、もう迂闊には動けません」
まあ、バトルロワイヤルだからねぇ。
俺はどの勢力に組する気もないけど、弱っている奴がいれば叩くし、強い奴が相手ならば、他のサーヴァントと共闘してでも倒す。
その逆もあるから、バトルロワイヤルは怖いんだ。
あ、アーチャーとバーサーカーの目が合った。
「誰の許しを得て我を見ておる?狂犬めが……」
バーサーカーと目が合った瞬間、アーチャーが怒りを顕にした。
お前、どれだけバーサーカーが嫌いなんだ。
そして、ライダーを向いていた剣がバーサーカーに向き、
「せめて散りざまで我を興じさせよ。雑種」
二振りの剣が、射出された。
あれはもう、当たっただろう。
「クラウカヨォ。ソンナモン」
………今、バーサーカーが喋った?
「分体2体解放」
バーサーカーが被弾するかと思った時、その身体から黒い獣が現れ、射出された剣を地面に叩き落した。
……………いやいやいやいや。
まさか、ねぇ?
あれは、俺と同じ、
『獣王の巣』?
さて、バーサーカーの正体は、誰なんでしょうね?
それと、今更ですが主人公は前世で持っていた聖杯戦争の情報を失った状態で召喚されています。
ガイヤ的にも、アラヤ的にもないほうが良い情報ですので。