周りには散開するように強大なバーテックスたちが存在、対峙し、皆で戦い、斃そうと気を引き締めた時。
ぼくたちの頭上、天高くが煌いた。
皆頭上を見上げると、凄まじい速さで光が降りてくる。
皆咄嗟に飛び退き、それを避けた。
ぼくは前に跳ぶ。
大音が轟き、光が地面に激突、固定される。
振り仰ぎ、確認すると、確信する、
これは、結界だ。
見えないほど天高くから光の壁がカーテンのように下り、ぼくたちを分断している。
意趣返しのようにバーテックスが結界を張ったのだ。
光の仕切りに囲まれた世界で、ぼくの前方には超巨大な光り輝く女神像のような姿をしたバーテックスが鎮座していた。
他のバーテックスの姿はない。
それぞれに各個撃破するつもりか。
強くなった勇者に共闘されるよりも、一人だけの方が
水都「私の役目は終わりかな。うたのん、先にいってるね」
歌野「わかったわみーちゃん――私、今度こそ勝つから」
うたのんのその言葉には、複雑な思いと強い決意が込められているように思えた。
水都「うん、頑張ってねうたのん、諏訪のヒーロー」
歌野「またあとでね、みーちゃん」
水都「聖陵院さん、無事を祈ってます」
武谷「ありがとう」
藤森さんは半透明の体を徐々に薄くして、霧のように消えていった。
歌野「武谷、変身するわよ」
武谷「ああ」
ぼくの体に。黄金色と黄緑色の光が発生する。
無い右腕の部分に光が寄り集まり、腕を形成した。
この前一度した変身のように、コートが現出し翻る。
されどその色は、黄金ではなく黄緑。
形が成った右手には、
うたのんも黄緑色の勇者装束に変身していた。
半透明な彼女は、背後に浮遊し、動きがぼくと同期する。
対峙し、目に映るは光り輝く超巨大な化け物。
以前敗退した、人を滅ぼすだけの存在。
今から、ぼくが殺す相手だ。
歌野「派手に暴れてやりましょう」
ぼくは、ぼくたちは、地を蹴り前に出た。
友奈viewer
私の前には、膨らんだ下腹部を持つバーテックス、反射板を従えた蟹のようなバーテックス、そして魚のようなバーテックスがいた。
それらすべてが、火と氷と光が混ざりよくわからないことになっている。
光の壁が降りてきて、みんなとはぐれて、こいつらを倒さないと私はみんなと合流できない。
それがわかったら、私はすぐに行動した。
戦う意思を奮起して、前に足を踏み出す。
同時、私の体を黄金色の雷が包んだ。
これが、たけくんたちから受け取った力。
私は雷と成って空を駆ける。
跳ぶではなく飛ぶ。
雷足、神速でバーテックスたちへと接近していく。
膨らんだ下腹部を持つバーテックスが爆弾を射出してきた。
その爆弾だと思われるものは、火と氷と光が混ざり認識がよくわからない。
距離感も掴みにくい。
だけど、避けられないわけじゃない。
カーブを描き移動する。大回りにいけば簡単に避けられる。
そして近づき、膨らんだ下腹部を持つバーテックスに殴り掛かる。
目の前に、火と氷と光の、反射板。
構わず殴った。
一撃で破壊。
連続で拳を放つ。
即座に数枚破壊した。
目の前には、爆弾魔がいる。
魚のようなバーテックスが、突然高速で地面から飛び出てきた。
火と氷と光を渦巻かせた突進は、とても危険だと判断した。
すぐに後ろにさがり避ける。
目の前を通り過ぎていく魚。
再度攻勢に出ようとした時。
膨らんだ下腹部を持つバーテックスが射出した、なにも纏っていないただの楕円形の爆弾は、私に到達しないまま爆発した。すごい大きい音と、強い強い光を一瞬にして閃かせた。
耳がキーンと鳴って聞こえなくなる。目も光で見えなくなった。
なにかで殴り飛ばされた。
地面にバウンドして跳ね飛んだけど、なんとか姿勢を制御して立って浮遊する。
視界と耳が少しずつ治ってきた。
見ると、私はどうやら火と氷と光を宿した反射板に殴られたみたいだ。
でも、そこまで大きな怪我じゃない。纏っている雷がダメージを軽減してくれたから。
守られていることがわかった。
たけくんに、勇者に。その思いに。
私は独りで戦っているわけじゃない。
複数の爆弾が射出される。なにも纏っていないものと、火と氷と光を纏っているものが入り混じっている。
友奈「ふーー」
落ち着いて息を吐く。
小細工はなしにしよう。
今の私は黄金の雷に包まれて、スピードも攻撃の威力も上がっている。
私の、酒呑童子のポテンシャルは力。
その力が底上げされているというのなら!
友奈「うーりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃああッ!」
友奈「勇者、超連続パーーーーンチッ!」
爆弾を正面から殴り破壊していく。
分かり難い距離感も、瞬時に次の拳を出すことで無視する。
壊す壊す壊す。
酒呑童子の超威力から更に力が上乗せされているのだ、打ち砕けないものなどない。
爆弾が破裂すると同時に解放される閃光、その隙をついて飛び込んできた魚のようなバーテックスを粉砕――できなかった。
閃光で目がくらみ力があまり出なかった。
弾き飛ばすだけで終わる。
でも私はダメージを負っていないから問題ない。
叩きつけてきた反射板を破壊。
殴る殴る殴る。粉砕粉砕粉砕。
このまま殴り切ってやる!
――風が、吹きつける。
さっきまでいなかったバーテックスが新たに、すぐ近くにいた。
天秤のような姿の、新手のバーテックスだ。
暴風を発生させながら高速回転していた。
振り回された分銅のようなものを叩き込まれる。
もろに喰らってしまった。
かなり、けっこうな、すごい衝撃。
叩き飛ばされた方には、膨らんだ下腹部を持つバーテックスがいる。そのバーテックスは、白い帯を持つ。
その懐へ為す術なく入った。
拳で殴りかかろうとしたけど、素早く白い帯に巻き付かれて、身動きが一時的に取れなく――
超常爆発。
常外爆音。
世界のすべてがわからなくなり、耐える準備さえ出来ず、ただ頭に何もなく起こったことに翻弄された。
そんな中、ただ一つだけ遅れて理解する。
膨らんだ下腹部を持つバーテックスが自爆したと。
若葉viewer
私の前に立ちはだかるのは、四本の角を持つバーテックス、水泡を従えるバーテックス、無数の節に分かれたバーテックス、巨大な口と矢を持つバーテックス。
若葉「貴様らが私の相手か」
大太刀を構え相対する。
若葉「白鳥さん、共に戦おう」
彼女たちから貰った雷を、その身に纏った。
巨大な口と矢を持つバーテックスから無数の矢が放たれ迫る。
漆黒の翼で羽ばたき、雷と成りて素早く飛翔した。矢を避ける。進む私の後ろを何本もの矢が通り過ぎていく。
黄金の光のおかげで、高速飛翔における体の負担はなくなっていた。
追いかけてくる矢を避けながら接近していると、無数の節に分かれたバーテックスが火と氷と雷と光が混ざった、認識すら覚束ない狂った現象を放ってくる。
それは、広範囲で光景
どれだけ私が速く飛ぼうと、避ける事の出来ない範囲だ。
呼び起こそうと意識する。
ただそれだけで大天狗の炎は顕現した。
その炎と黄金の雷は螺旋を描き融合する。
全てを焼き尽くす
それを、全力でけしかけた。
雷炎と狂った現象が激突、刹那、その二つの攻撃は、消し飛んだ。
衝撃波が荒れ狂う。
と。
お互いの力が消滅する瞬間、衝撃波に身体が揺らされる間隙を狙って、撃たれた。
球体なのかすら判然としなくなった水泡球体が豪速でこちらへと。
命中し、取り込まれた。
認識。
知覚するすべてが理解不能状態に陥った。
何かをする力を奮起するという意思さえ発生できない狂った渦の中。
けれど痛覚だけはあり、焼かれ、凍らされ、損耗、摩耗、ダメージが蓄積していく。
だが。
だが、まだ微かに視界が見える。よく見ようとすれば、針の穴程は見える。
その認識により、僅かに行動の意思が発生。それを、気力で増大させる。
脱出、しなければ。
ただ前に泳いで抜け出そうと、愚直にひとつの行動だけが頭に浮かびそれを実行する。
四本の角が合体しドリルのような形状と成ったもの、だと思われるものが、この球体内に入り込んできた。
瞬間、震動。
ただでさえ狂った空間が、更に狂わされた。
地震の様なものが球体内で引き起こされている。
今度こそ、なにもかも、認識がすべてわからなくなっていた。
天地変動。
視界混沌。
意識
行動翻弄。
頭が掻き回されるような蹂躙。
死の淵近く。
私、は――
球子viewer
光の壁が降りてきた時、タマはあんずに抱き付いて飛んだ。
だから今、この隔離された場所にはタマとあんずがいる。
そして、前方、タマたちが倒さなければならない敵。
炎の剣を持つ黒い巨人。黒い者。そいつが立っていた。
杏「私たち二人で倒さないといけないんですね」
球子「怖いか?」
杏「うん、でも、戦うよ」
球子「そうか、なら」
球子「あんず、援護は頼んだっ」
杏「うんっ!」
タマは前に跳んで、跳んで。タマが前衛、あんずが後衛のフォーメーションを作り出した。
黒い者が巨大な炎の剣を携え、すでに走り接近してきている。
炎の剣が振り回された。
タマの旋刃盤は、武谷たちから力を受け取った時に綺麗まっさらに完全修復されていた。輪入道の炎も以前通りに宿っている。
そしてタマの全身と旋刃盤は黄金の雷でバチバチいって滾っていた。
完全復元どころか強化されているんだ。
だから、防げないものなんてないっ。
旋刃盤を楯状に変形させて、炎の剣を受け防ぐ。
何度も振り回される巨大な
でも、防ぐ。
何度も楯で防ぐ、防ぐ、防ぐ。
一撃一撃が重い、だがこの楯は壊れる様子がない。
タマの後ろから、雷を伴う吹雪が黒い者めがけて飛んでいく。
タマに攻撃してる最中だった奴の腕に命中すると、その一部が凍った。
よしっ、効いている。
そんなことを思っていたら、黒い者の動きが変わった。
タマたちの力に危険を感じたのか、攻撃の激しさが増す。
さらに。
楯と炎の剣がぶつかった瞬間、爆発。
太陽のような炎の剣から、爆発が発生、その威力と衝撃が周囲に巻き起こる。
楯にかかる負担が増した。楯に守られ切れなかった体も傷ついていく。
炎の剣が爆発を撒き散らしながら幾度も振るわれる。
球子「ぐっ……」
猛攻を爆炎に身体を焼かれながら防いでいく。
防げないほどじゃ、ないっ!
気合いを一段増し、一撃で一つの町を焦土と化すほどの重い一撃を受け止め逸らし続ける。
その間に、あんずは雷を伴った猛吹雪を何度も発射、黒い者を凍らせていく。奴の動きが少しずつ鈍っていく。
タマが耐えて、あんずがこのまま凍らせていけば、勝てる!
炎の剣が振りかぶられる。
また強力な一撃が来る。
来い!
タマは何度だって防いでやる。
――黒い者は炎の剣を投擲した。
球子「は?」
それはタマの頭上を通り抜けて、凄まじい勢いであんずに飛んでいく。
あんずは、吹雪を撃った直後だ。一瞬後に連射できるわけではない。
今のあんずは、隙だらけだ。
巨大な炎の剣は、もうあんずのすぐそこまで肉薄していて。
間に合わない。
あんずは、タマが守らないといけないのに。
杏「――っ!」
あんずは、横に跳んだ。武谷たちから与えられた力で、スピードも上がっている。
だけど、足りない。あれを完全に避けるには足りなかった。
炎の剣はあんずのすぐ横の地面に突き刺さると共に巨大な爆発を起こした。
球子「あんず!!」
あんずはぼろきれのように簡単に吹き飛んで、転がって止まった。
纏っていた黄金の雷が防具になってくれたからか、致命傷にはならずに済んでいるように見える。
でも、かなりの大怪我だ。
あんず……っ。
タマはまた、あんずを守れないのか……っ。
――そんなことは、ない!
それでもあんずの倒れている姿が目に焼き付いて、動揺が消せなかった。
黒い者が新たな炎の剣を生み出す、猛攻が始まる。
何度も振り薙がれ降り払われる太陽のような炎の剣。
何発目かで、楯と剣が触れるインパクトの瞬間、炎の剣が爆散して強烈なエネルギーが発破された。
威力は、絶大。今までで最大の、神級威力。
楯は壊され、大きく吹っ飛び、地に何度も打ちつけられて転がって倒れた先は、あんずの傍だった。
痛い、動け――動けな――動け……。
球子「ぐ……ぐ、ぁ……」
やばい、これ。
千景viewer
太陽のような円環に牙のようなものが生えた超巨大な無機物。
それが、視界の奥に鎮座する私が倒すべきバーテックスの
空から降ってきた光の壁は私からバーテックスの方向に行くにつれて広がっている。
つまり私の方は空間の横幅が狭く、奥にいるバーテックスの方はその巨体が収まるほど広い。
巨大な火炎球を太陽のようなバーテックスは生成した。こちらに向けて放たれる。
超常の威力を持つ火炎球、その凄まじい力は以前に見て知っていた。
火炎球が迫る。結界の幅の関係上、私は避けられない。
だから、真正面から迎え撃つ。
大鎌を構えると、黄金の雷が私と九枚刃の大鎌を包んだ。
今、私は独りじゃない。
この力、聖陵院くんと共に在る。
九枚刃の大鎌を振りかぶり、眼前まで来た火炎球に叩きつけた。
玉藻前の呪いを刹那の間に侵食させ、黄金の雷が迸る。
千景「…………っ」
火炎球に炙られながらも、何とか消滅させた。
何度も受けられる攻撃ではない。
私は敵の地の利から抜け出すべく、一刻も早く前に進まなければならない。
聖陵院くん、と心の中で思うと、雷が私を飛翔させた。
雷と成りて空を飛び前方に進む。雷速で距離は縮まっていく。
大量の火の玉がバーテックスの周囲に生成された。
一気に無数の火の玉が襲い来る。
雷速で宙を移動し、避けていく。私の横を何度も火の玉が通り過ぎる。
幾つも避けたけど、数が多く避けられないものもあった。
大鎌と九本の尾で弾き消滅させながら敵の懐を目指す。
さらに火炎球は創られる。
私は防ぎながら進む。
これはそんな勝負だ。
私が到達すれば勝ち。
火炎球、太陽、爆発、焼け焦げ、痛み、大鎌薙ぎ、飛ぶ、避ける、尾で弾く、斬り消す、疲労、無視、ただ前へ。
痛み。
攻撃。
対処。
ルーチン。
物量。
耐久はどちらが上か。
相手の方がキャパシティは上か。
太陽の如き火炎球は途切れず襲う。
されど。
ただ自分の勝利だけは疑わずに、聖陵院くんの安心感に包まれながら動く。
あいつの攻撃は強力無比だ。幾ら新しい力を手にしても無傷ではいられない。体には焼け跡が増えていった。
何度も放たれる火炎球。それを何度も凌ぎ、少しずつ近づいていく。
そうして、傷だらけになりながらようやく辿り着く。
超が付くほどの巨体、牙だけでも人の何倍あるだろうか。
バーテックスの無機物のような体は、目の前。不気味なほど白い、肌ともいえない肌。
この九枚刃の大鎌を突き立てれば。呪い殺すことができる。
――――刹那。
周囲の温度が、急速に上がった。
橙色の、太陽のような光で辺りが照らされる。
即座に振り返ると、眩しさに目がやられそうになる。
光の壁の中から、大量の火炎球が飛び出て迫っていた。
それらすべてが、背後から、横から、殺到する。
このバーテックス自身からしか攻撃がないと、私は思っていた。
避けることもできず、防御も間に合わず――――爆炎爆発衝撃衝撃衝撃。
人を殺す破壊力の暴流が襲った。
mainviewer
武谷・歌野「「はあああああああああ!!」」
白鳥さんの鞭を揮う。
振り下ろされた特大の光剣を弾き避ける。
ぼくたちから逸れた光の剣は結界に命中するが、それで都合よく結界が壊れてはくれない。
結界に触れた瞬間、光の剣は消えた。奴らが作ったものだ、奴らに都合がいいのは当然だろう。
女神像のような姿をしたバーテックスの周囲に漂う光が変質、特大な質量の
振り下ろされた。
ぼくは空を飛ばず、地面にへばりつく。剣は結界に消えた。敵の攻撃が結界に当たれば消えるというのなら、結界の高さを利用し、回避させてもらった。
再度特大な光の剣が現出され、振り下ろされる。
まだ地面にへばりついて回避す――
光の剣は、伸縮可能だった。
結界に当たらないように、光の剣は収縮、ぼくたちに向けて正確に落ちてくる。
奴らが作ったものだから、奴らに都合がいいのは当然、先に自分が思ったこと通りなようだ。一度目回避させたのは油断させる為だろう。
避けれず、鞭を思い切り振るい、光の剣を逸らす。
真横の地面を光が穿った。
雷と成り、光り輝くバーテックスへ向かって飛翔する。
バーテックスは、周囲の光を幾つもの個に分けた。
その一つ一つが光の剣と化す。
周囲にいるもの全てを破壊し尽くす光剣の嵐、無数の斬撃が襲い来る。
周りに他のバーテックスがいたら確実に巻き込んでいたほどの何の遠慮も配慮もない乱撃。
雷を宿した鞭を縦横無尽に神速、振るう、揮う。
光剣の嵐を弾き、逸らし、防ぎ、打ち伏せる。
巧みな鞭遣いで一つ残らず対処した。
鞭の扱いはうたのんと同期していることで経験も技術も一級。一人で戦い続けた勇者うたのんの力だ。強くないわけがない。
歌野「エクセレント、私たち息ピッタリねっ!」
武谷「魂同期してるからね!」
女神像のようなバーテックスに向けて空を駆け、接近していく。
数本の光の刃が生成され、こちらに放たれる。
鞭を操り捌き、肉薄。
光り輝くバーテックスの間近だと、光の密度が濃く眩しい。
それでも目を瞑ることだけはしまいと視界は確保した。
奴は、纏う光を無数に分けた。先よりも細かい。
その細かい光を、手榴弾のように、小さな剣に瞬時に変えて、拡散爆散、放ってきた。
光を細かく分けた分、先までのどの攻撃よりも威力は低いだろうが、この距離なら充分ぼくたちを殺せる威力を持っている。
光の剣軍は、空間を埋め尽くしている。どれだけ速くとも、避けられない。
武谷「うたのん!」
歌野「私たちの力、舐めるんじゃないわよ!」
神速の鞭捌き、鞭が意思を宿しているかのように、正に目にも止まらずを体現、
細かい無数の光を、やり過ごす。
だが。やはり多すぎた。
全身に傷を負う。
切り傷切り傷切り傷、血が舞い噴き
痛み、無視。ぼくらは無事だ。
今、この瞬間。光を大量に使用したからか、奴には動きが無く隙が在る。
このチャンスは逃さない。
歌野「どおりゃあああああああ!!」
雷を宿す鞭を全力で伸長させた、雷の速度で刹那の間に長く長くなる。
それを大きく、強く、振るった。
光り輝くバーテックスの超巨大な体に巻きつけることに成功する。
武谷「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
歌野「どっせえええええええええええええいっ!!!」
勇者の、神の力の膂力により巨体を振り上げ、振り回し、地面に思い切り叩きつけた。
轟音。地の陥没。奴の怯みが伝わってくる。
ここが、勢いに乗るべき場面だ。
ここで決める。
光輝くものに、
鞭は踊る、四方八方、縦横無尽、自由自在、存分に、思うままに、敵を斃す為に力を存分に発揮した。
女神像のように完成された無機物、その姿形が壊れていく。
破壊、破壊、破壊、とまらぬ攻撃でバーテックスを蹂躙する。
そしてついに。
超巨体を破壊し尽くした。
光。
光が
巨体の在った場所で、光が瞬いた。
光り輝くバーテックスは、無傷の状態で存在していた。
復活。
武谷「読んでいたよ」
その復活は以前に見ている。
存在を取り戻すと共に放たれた、特大の光閃。
それを回転蹴りをするように避け、光の剣は真横を通り過ぎていく。間髪入れず鞭の連撃。殺す。
壊し尽くし、殺し尽くした。
――復活。
復活が一度だけではないのも、読んでいた!
即放たれる、光の剣。
また回転しながら避ける。
その流れから鞭の攻勢。
殺す。
――だが、光の瞬き。
まだ復活する。
お前はあと、何度復活できるかな。このまま殺し尽くしてやる。
避け、粉砕、雷速で避け、壊す、雷足で回避、叩き潰す、回転避け、ぶっ壊す。
――――。
だけど。
何度やっても、奴は復活し続けた。
歌野「武谷、なんだかアンビリーバボな可能性が頭に浮かんだんだけど」
武谷「奇遇だね、ぼくもだよ」
体力は無尽蔵には続かない。ぼくらは着実に疲弊していっている。
それでは、"奴の復活は本当に無尽蔵ではないのか?"
例え無尽蔵ではなくとも、何度復活できる? 十回? 百回? 千回?
何度殺しただろうか、倒せない。復活し続ける。
そしてとうとう。
止まらずに動き回り、避け攻撃し続けていたことで。
疲労が溜まり過ぎた。
限界。
動きが鈍り、隙が――
光の剣が、ぼくの右腕を斬り飛ばした。