幻想郷の「ヤミ」を払う物語   作:フラスカ

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第二話 「それじゃ、状況を説明しよっか」

「それじゃあ、状況を説明しよっか」

「ああ、頼む」

「舞台は幻想郷、忘れ去られたモノが行きつく世界。人と妖怪が共存する世界」

 

 で、死ぬ可能性もある、と説明を付け加えた。

 

「本来なら基本的に争いの無い理想郷の筈なんだけど……」

 

 成る程、争いが無い世界というのは理想の世界で、そんな世界があるならまさしく理想郷と言っても間違いないだろう。

 

「年に何度か異変と呼ばれる、世界をおかしくする出来事が起こるんだ」

 

 理想の世界かと思ったら案外怖い世界だった。

 

「と、ちょっと待て。その異変とやらは自然に収まるものなのか?」

「いや、専門家がいるみたいで起こる度に解決してるみたい」

 

 ふむ、平和な世界でも対策はしっかりあるのか。

 

「で、そこの世界の管理人さんから聞いた話だと、外からヤミと呼ばれる物が入ってきたって」

「それが、俺の払うヤミとやらで良いのか?」

「そうだよ、君に払って欲しいのはそいつ」

「それで、そのヤミとやらはどんな性質を持ってるんだ?」

「ヤミは、対象の心の隙間に入り込み精神を侵す。その後相手を狂わせ幻覚、幻聴などを見せる」

「なかなかにえげつないな」

「その後凶暴化させる。そして完全に周囲の生物を殺し尽くし、憑りついた相手を取り込む」

「待て、それだと俺が見た断片と合わない所がある」

「君が何を見たかは分からないけど、あくまで可能性だからねー。現在分かってる情報だと取り込まない場合は他の生物に移動するんだって」

「それで残された方は?」

「自分のやった事の罪に苛まれて、死ぬみたいだね」

「どっちにしろ死ぬってわけか。その異変の専門家とやらに退治を頼めないのか?」

「僕もそう言ったんだけど、管理人さんが言うにはダメだってさ」

「ダメ? 子供の我儘じゃあるまいし何で」

「ヤミは他人に感染して規模を広げ、自己学習能力まであるんだってさ」

 

 異変の専門家にまで感染する可能性があるからダメって事か。

 

「分かった、もう良い。何か良い話題は有るか?」

「ヤミは、感染が早期なら駆除する事が出来るみたい」

「そうか、で、その方法は?」

「分かりません」

 

 気持ちいいぐらいにハリセンの音が響いた。

 

「痛ったいなぁ! 何すんのさ!」

「お前がトンチンカンな事言うからだろうが!」

「だって読んだって分かんないんだもん!」

「それを貸せ、俺が見た方が早い。なになに……」

 

 ヤミへの対処法。

 外からの侵入者。感染者は少ないが危険性は大。

 ヤミはココロの隙間に入り込み、絶望を主食とする。

 生物の持つ黒い感情が好みの様で、明るい感情を持つ人間には寄り付かない傾向がある様子。

 既に取りつかれてしまった場合は、対象の殺害を優先した方が被害も少なくて済むだろう。

 感染が早期の場合、感染者のココロを満たす事で駆除が可能。

 

「対処法作者八雲紫、ねぇ……」

 

 名前とか対処法の書き方とか見るに

「きっと頭の固いババアなんだろうな」と、呟いた。

 

「その言葉は───!」

 

 次の瞬間、頭に何かがぶつかった。ぶつかったものを拾うと、紙に文字が書いてあった。

 

「キョウリョクシャナノデユルス、ツギハナイトオモエ」

 

「良い? その人の事をババアとか行き遅れとか言ったらあだだだだだ!」

 

 どこからともなく落ちてくる物に下敷きになる姿を見て思った。年齢関係は地雷原をタップダンスするものだと。

 

「一通り説明も終わったし、すぐに君には幻想郷に旅立ってもらうよ」

「一応要点だけ頼む」

「感染者は不明、数人いる。時間を掛け過ぎると手遅れになる。心を満たす事で駆除が可能」

「後追加で死ぬ可能性が有るっていうのもな」

「ごめんね」

 

 目の前のこいつは急に謝った。

 

「何についてだ?」

「危険な旅をさせたりとか、情報が不十分だとか」

「分かってるじゃねーか。それなら良い、謝るな。

 それとも俺が死ぬと思ってるから先に謝ってるのか?」

「ち、違うよ! 君の事は信頼してるけど……良いからこれ飲んで!」

「またさっきの凝縮ジュースじゃないだろうな」

「違うよ、お守りみたいなものだよ」

 

 手渡された飲み物をまたも飲み干す、さっきと違って甘みとコクがあって美味いな……。

 

「ふぅん? あ、美味いわ」

「全部飲んだ?」

「飲んだ飲んだ、お代わり欲しいレベルで美味いわ」

「それなら良かったけどお代わりはないから。さっさと行ってらっしゃい」

「ああ、行ってくる」

 

 そういって目の前に広がる目のある、いや、目しか無い空間へ足を踏み入れた。

 

「僕も出来るだけバックアップするから精々死なないようにねー」

「出る前に物騒な事言ってんじゃねぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、行っちゃった」

「本当はやっちゃ駄目なんだけどね、蓬莱の薬使っちゃった」

「これで彼は死なないだろうけど」

 

 ズキリと良心が痛む、そんなものとっくの昔に無くなった筈なのに。

 

「死ぬのなら死なせてあげた方が楽だったのかもね」

「死んで欲しくないから不死の薬を使うだなんて、完全にエゴだね」

 

 ぐずり、と背後に黒いヤミが広がった。

 




さてさて観客の皆様、決定の時間でございます。
一 フランドール・スカーレット
二 東風谷早苗
三 古明地さとり
四 古明地こいし
五 風見幽香
以下の五人よりお選び下さい。投票は活動報告にて受け付けております。
尚、期限は一週間程度とさせて頂きます。遅くて一週間程度ですので次の物語が
早く始まってしまった場合にはそこで締め切らせていただきます。
誰から物語が紡がれます事やら・・・
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