幻想郷の「ヤミ」を払う物語   作:フラスカ

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この物語をご鑑賞中の物好きな皆様方。
ここで、我が一座よりご報告がございます。
甚だ勝手ですが、ある事を追加させて頂きます
邪魔が入る事もございましょう
神や悪魔、吸血鬼やその他人外に脅かされる事も
望まれるのは幸福か、はたまた不幸な終わりか?
せめて、お客様が楽しまれるような終わりを……
かくして、物語は続きます。
良い時間をお過ごし下さい


第六話 「貴方、私の奴隷になりなさい」

 さて、幻想郷に来て数時間、肥料扱いされて一時間、イカロスになりかけて五分。少しだけ幽香の事が分かった……ような気がする。

 

「随分と静かね……やっと奴隷としての立場が認識出来たのかしら?」

 

 一つ目、完全なる強者だという事。普通は人間を成層圏まで投げ飛ばしたりはしない。

 

「これでも遅過ぎる位だけれど、少しは褒めてあげましょうか?」

 

 二つ目、ドSである事。

 

「聞いているの? 3秒以内に返事をしないと埋めるわよ?」

 

 三つ目、だが親切である。

 

「3」

 

 親切であるが里の人には素っ気なく、俺には……考えるまでも無いな。

 

「2」

 

 そして親切に接していたのはぶつかったり、周りで騒いでいた子供達。

 

「1」

 

 それらから導き出される答えは一つ。

 

「こいつショタコンか……」

 

いきなり笑顔のまま傘が振り下ろされた。

 

 

 

「さてはショタコンだなテメー」

 

 右に大穴が空いた。

 

「違うわ」

「ならなぜ攻撃する!?」

 

 左に大穴が開く。

 

「何となくよ」

「ショタコンで攻撃するって事は意味が分かってるからでは」

 

 後ろに大穴が開く。

 

「全く分からないし、そもそも人間が嫌いだもの、私」

「俺も人間なんですが!」

 

 そして、前にも大穴が開く。

 

「人間? 貴方が?」

 

 心が抉られ大穴が開く。

 

「まぁ、どうでも良いのだけれど」

 

 この女やはりドSである。

 親切な姿はきっと見間違いだったのであろう。

 

「貴方、本当に()()()()()?」

「だからそう言ってるだろうが! 人間の心は硝子なんだぞ!」

「普通の人間なら私の攻撃で死んでるはずだけれど……」

 

 何この子最初から殺す気だったの? 怖い。

 

「ふぅん……? 少しだけあなたに興味が湧いたわ」

 

 湧かなくて良いですもう帰らせて下さい。

 

「決めた、貴方私の奴隷になりなさい」

 

 ──―はい? 聞き間違えだろうそうに違いない。

 

「え? 何だって?」

「その聞き方に何故か苛立ちを覚えるけど、もう一度言ってあげる」

「私の奴隷になりなさい」

 

 奴隷? スレイブとかサーヴァントとかいうあの奴隷? 

 

「何か難しい事でもあるかしら? ただ頷けば良いだけ、それぐらい貴方でも出来るでしょう?」

 

 困った。目の前にいる奴は何故悩んでいるのか分からないらしい。昔から絶対強者で自分に逆らう者など居なかったんだろう。

 なら、怖くても、敵わないとしても、××されるとしても。

 

「ああ、何をすれば良いのか分からないのかしら? 簡単よ」

 

 もう既に遅かったとしても、誰かがこいつに逆らってやらなければ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()……()()()()()()()()()()()。たった2つ守るだけ、簡単でしょ?」

 

 唯一つの心残りは、年上のお姉さんの奴隷になるってのは少し憧れだったんだがなぁ……位か。

 

「だから、私の奴隷に……私だけの物になりなさい」

「おお圧政者よ! 私は反逆する!」

「つまり、どういう事かしら?」

「そのまんまの意味だ。奴隷になるなんぞお断りだ! 綺麗な年上のお姉さんの奴隷になるってのは少し魅力的な提案だけどな!」

「ああそう、奴隷にはならないのね。なら貴方に用は無いわ」

 

 反応が冷たい、凄く冷たい。そりゃそうだろうなぁこっちにはスマホなんて無いものなぁ。

 

「荷物持ちご苦労様、ここへは二度と来ない様に。来たら殺すわよ?」

 

 幽香は振り返りもせず、冷たくそう言い放ちドアを閉めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 苛立つ。

 人間なんて一部を除けば塵芥ぐらいに過ぎないのに。あの男も塵芥の筈なのに。何故あんな事を言ってしまったのだろう。戯れぐらいの事に過ぎなかったのに。

 何故、何故、何故、何故。どうしてこんなにも苛立つのだろう。

 

「……っ」

 

 頭が痛む、覚えている限りでは体調を崩した事なんて数える程しか無い。

 背中をナニかがずるりと這い回るような冷たさを感じる。更に頭痛が酷くなる、苛立ちと相まって不快感が広がる。

 苛立っているわけは何だったか。

あの塵芥のせいだ。頭が痛いのも、こんなに苛立つのも。

 ああ、そうだ───何故こんなに簡単な事に気付かなかったのだろう。

 私の言う事を聞かないなら、手駒にならないなら、私の物にならないのなら───。

 そこまで考えた時、意識が途絶えた。

 

【風見幽香が発症しました】




観客の皆様。これより追加させて頂いた事と
これからについて、報告があります。
まずは追加させて頂いた事から、簡単に言いますとENDが26に増えました。ニーアオートマタ?一体何の事やら……
続いてはこれからについてです。物語は感染者が発症するまでに進行しました。当一座も順調に話を結べているようで一安心です。
ヤミの駆除について説明させて頂きます。大まかな事は話の中で説明されるでしょうが、駆除の方法とはヤミの正体を知る事でございます。
当一座もサポートさせて頂きますが、何者かによって妨害されるやもしれません。その場合はご了承下さい。
では、引き続き劇をお楽しみ下さい

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