どれくらいたったのだろうか、眼を覚ますとそこに殺してしまったはずの魔理沙さんが私を覗き込んでいた。
「あれ……え、わた……殺しぁ……?なんでぇ?」
「随分混乱しているらしいが、スペルカードでは死なないって言っただろう。死んでも生き返るんだよ。」
頭がフリーズしてしまってよく分からないが、つまりはそういうことらしかった。
「お前が気絶したから博麗神社に運んできたんだ。」
確かに、ここは博麗神社の中の一部屋だった。
「あの黒いのはは何なんですか?なんで私の腕の中から?」
「あぁ?それは……わからん。そういうやつはいないからな。あと、腕だけ変化したわけじゃないと思うぞ。」
魔理沙さんは話しを続ける。
「右眼の白目と黒目が変わった、右眼の上あたりから黒い帯みたいな模様が縦に出てきた。これ、お前が人間じゃないからなんだが……。あと、お前が気絶しているとき、知らん名前を呼んでた。」
「知らない名前?」
「あぁ。ずっとその名前しか呼んでなかった。私は結構幻想郷を知ってるつもりだったが全然知らないものだな。そいつの名前は、
『ロスト・ディストラリア』
……というらしい。聞き覚えとかあるんじゃないか?」
――『ロスト・ディストラリア』。思い出した、彼は私の親同然の人物だった獣。確か私が今持ってるのは彼のスペルカードだったはずだ。なのに何故私が使える?それは私が、私じゃなくてロストだから?いや、それはない。絶対無いといえる、なぜなら私はロストの姿を見たことがあるから。あれ?なんで私はロストと一緒にいるんだっけ?どれもこれもわからない。だが、あのスペルカ―ドで私の腕はロストのものに代わる。なら、直接聞けばいいじゃないか。
「おーい、なんかぶつぶつ言ってるとこ悪いが私のこと忘れてないか?」
気が付くと魔理沙さんが私のことをジト目で見つめている。
「すみません。けど、少し思い出しました。あの黒い腕は絶対ロストのだってことくらいですが。」
「またスペルカードを使えば腕が見れるか?死なないし確認できるが。」
「いや……多分大丈夫です。感覚は覚えましたから。」
そういって眼をつむって念じる。眼を開けると私の右腕はロストの腕なっていた。魔理沙さんは驚いたような顔をしていた。私も驚いている。いくらなんでも容量がよすぎる。まぁこれで聞けるからいいが。
………………。
「邪魔するわよ。何かわかったことはある?」
霊夢さんが部屋に入ってきて尋ねる。魔理沙さんは「あぁ……」と話そうとしたが私は無礼ながら右腕で制して、こういった。
「はい、すべて思い出しました。私の過去も、ロストのことも。」
「「え?なんで?」」
霊夢さんと魔理沙さんは同時にそう反応する。私はそういや自己紹介ができていない。なら、彼女達に遅れて自己紹介をさせていただこう。
「私は、アメリ・ディストラリア。複数の生命体の集まった『混ざりもの』です。」
笑顔でそう言い、私は過去を語ることにしよう。ひどく残酷で、地獄のような物語を。
無意識です。
スペルカードの説明をサクッとします。
この世界のスペルカードはきちんと死にます。復活はしますが。
ルール的には、普通の弾幕と変わらないのですが、死ぬときがやけにリアルに死にます。
そして崩れ落ちて屍になります。その屍は光になり、体を再生成します。どちらかの残機がなくなるか気絶するとスペルカードは強制終了します。
この説明を聞いて少しでもいいので理解していただけると幸いです。
なんせ私語彙能力がないものですから。