東方異形録   作:無意識

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過去語

 私、アメリ・ディストラリアは人間でした。今は、その人間だったころの話をします。私は人里で普通の人間の間に生まれました。金眼は突然変異だと思います。父も母もドス黒く、光のない目をしていましたから。そんな親は、私の瞳が金色であるから、「これは私達のものだ。誰にも渡さない。」といい、名前を付ける前から私を地下室に長い間監禁していました。明かりはろうそくひとつ、親は一日2回ご飯が運ばれてくるだけ。ずっとそうだったのでその事に何も感じていませんでした。普段はそこに置いてあった本を読んでいました。その御陰で自分の力で文字を読み書きできるようにはなりました。八年目のある日、一つの噂が流れました。

「金色の瞳をもつ少女が住む家があるらしい、その少女は疫病神だ。」という感じのです。

 父は噂に流れやすいタイプだったらしく、私を包丁で殺そうとしました。それを母が何故かかばい、一言私にしか聞こえないように言いました。

「今までさんざんな仕打ちをしてゴメンね。これくらいはさせて。逃げなさい。」

 これはあとでわかった話なのですが、父を母も恐れていて、反論できなかったらしいです。母は本当に私のことを愛してくれました。そして、母は死にました。そして父は、私に向かってこう言いました。

「ほらな、お前のせいで母が死んだ。お前のせいでな。母が逃がせというなら、逃がしてやろう。ただし、二度と俺に顔を見せるな。」

 父にも母の言葉が聞こえていたらしく、私は逃げました。晴れていたのが雨になりました。体力がなくなり、倒れるまで。

 そこに一匹の黒い獣がやってきて、私を背中に乗せて森の中へ入っていきました。

 

 私が目を覚ますと、そこは森の中でした。そこには黒い毛で、紅い瞳をして爪の長い獣がいました。獣は落ち着いた声で、

「お前、名を何と申すか。私に何の用だ。」

 と尋ねました。獣は魔法の森の端で困っている人を助けているといいました。私は今までどういう生活をしていたのかを話しました。獣はとても怒っている様子で、

「なら、お前、住むところがないのか……幻想郷は人間が一人でいると危ないからな。なら、私が少しばかり面倒を見てやろう。俺はロスト・ディストラリア、神獣と呼ばれている部類に入る。名前がないんだろう?名前がないのは不便だからな。これからお前はアメリと呼ぶことにしよう。よろしくな、アメリ。」

 このときとても嬉しくてずっと泣いていた覚えがあります。それから、私とロストは常に一緒にいました。少しばかりといっていたのですが、私がかなり無知なことを知りいろんなことを教えてくれました。そこで、私は七年間彼と一緒に過ごしました。ロストは私を再思の道へ連れて行ってくれました。これが三日前です。ロストが昼飯を取りに行くと目を話しているときに私は妖怪に襲われて、八つ裂きになりました。食べられる前にロストが戻ってきて、妖怪を殺してくれました。ロストはいつの間にか私のことを大切に思ってた様です。ロストはすべての力を使い切り、ロストも含めてそのあたりにいる生命で私の体を作り直し、私の魂を掴んでその中へ入れました。これが、混ざりものとしての私が誕生しました。そこに一つ問題がありました。魂を入れたのはいいのですが記憶を失っていたのです。そこで、私の記憶を取り戻すためのトリガーとして、ロスト自身も私の体の中一部になって、一つのスペルカードをポケットにしまいました。そしてロストは私の中に完全に入り込みました。

 その日の夜、私は姿形を変えた状態で再び目を覚ましたのです。




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