結成!Sハウンド
名古屋セントラルタワーが完成して、六年半の月日が流れた。
現在は2026年4月…
相変わらず、中部警備府の面々は楽しくやっている。
変わったことといえば、高天原智子の一人娘である
大村夫妻の一人娘恵奈が、中学三年生になっていた。
かつての結有と同じ立場で、今は湊の従卒見習いをしている。
MeTubeも続けており、『エナツキ』は、チャンネル登録者数150万人を超える有名MeTuberとなっていた。
主だった士官の離任は一人を除いてなく、昇進もないまま、六年半という月日が流れた。
結衣も、『何かおかしい』を探す旅を終え、再び裏方に戻っていったのだ。
各務原結有中尉は、士官学校を卒業して、二年ほどが経過していた。
今は、士官学校で一緒だった同級生や先輩達も、遠い任地に別れている。
結有も、佐世保鎮守府で駆逐水鬼こと瑞希と共に、艦娘部隊指揮官の副官、という日々を送っている。
そんなある日、結有は統合幕僚監部への、出頭命令を受けた。
統合幕僚監部に集められたのは、
米国から帰国した、
舞鶴警備府に配属されていた、村井杏奈大尉。
大湊警備府に配属されていた、上坂千里中尉。
横須賀鎮守府に配属されていた、吹雪中尉。
それに、軍大学を卒業したばかりの、高天原智紀中佐だ。
智紀は、士官学校卒業後に、室戸泊地に
突然の、『
奮闘を続けて、手持ちの艦娘だけで持ち堪えた、『室戸の奇跡』の功績で、
大尉に昇進。即座に、『
二つ名は『不屈の
智子との約束通り、『
集められた艦娘は、
こちらも、今別室で顔合わせをしている。
大会議室に呼ばれた一同は、見知った顔が多い事に安堵の声を漏らしているところに、結有と瑞希が到着した。
「失礼します。あ、お久しぶり!皆!」
「皆も元気そうで何よりだ」
その言葉に、杏奈と千里が抱き付こうとして、吹雪が真っ先に抱き付きに来る。
「結有ーーっ!!会いたかった!」
「うんうん。去年の年末、湊さんのところに集まって以来だもんね」
「結有ちゃんも、ますます大人の魅力溢れる女性になっちゃって」
「だねー」
そんな、仲良さそうな五人の、
同期の出世頭になっている。首席卒業生はまだ大尉である。
「智くんも軍大学卒業したんだね、おめでとう」
「お、あんがとさん」
四人に抱きつかれたままの結有から、声をかけられた智紀も軽く手を上げて答えると、陽子がパンパンと手を叩く。
「はいはい。そろそろ本部長お見えになるから、席に着くんだぞ。小官は我那覇陽子准将、よろしくな」
『はい!』
全員が陽子に向き直り敬礼すると、陽子は楽しそうに笑う。
「
「あんなバケモン、勝てねえっすよ!」
その言葉に、智紀がツッコミを入れる。
「ははっ。いずれは、湊先輩がやってくれるさね」
そう笑っていると、扉がノックされて開いた。
一同が起立し、背を伸ばして敬礼する。
入ってきたのは安藤龍
艦娘本部は二年前、陸海空軍に次ぐ第四軍として独立し、五軍制となっている。
その艦娘本部のトップが、彼なのである。
各鎮守府と警備府は、その下にそのまま移動し、その下の泊地も、まるっと移動する。
元々、海軍軍艦組とは独立して動いていたので、この制度改革はすんなり成功している。
安藤が、その敬礼している士官に軽く手を上げると、直れの姿勢になる。
「まあ座り給え。皆見知った顔だ、フランクに行こうではないか」
そう言いながら着席すると、一同を見回す。
「では、早速本題に入ろう。昨今の情勢は、かなり悪化しつつある。DSキラーは日本近海には来ないものの、確実に強くなっている。今までは積極的な攻撃を避けていたが、これから先、遊撃隊の必要性を考え、いずも改二で太平洋上を回りながら、深海棲艦に対処する、
安藤が説明を始めると、一同は安藤の方を真っ直ぐ見つめる。
安藤はそれを確認すると、説明を続けた。
「もう一つは
安藤の表情には、少しだけ悲しみがあった。
「では、早速貴官等に辞令を交付する。
我那覇陽子准将。貴官をSハウンド艦隊司令官に任ずる。
高天原智紀中佐。貴官をいずも改二艦長兼Sハウンド参謀長に任ずる。
村井杏奈大尉。 貴官をいずも改二工廠担当に任ずる。
上坂千里中尉。 貴官をいずも改二補給担当に任ずる。
各務原結有中尉。貴官をいずも改二保安主任に任ずる、憲兵隊の指揮も任せる。
吹雪中尉。 貴官を艦娘寮長・艦娘部隊隊長に任ずる。
なお、いずも改二は改装されて、少人数での操艦が出来るようになっている為、
艦長は、砲雷長、航海長、副長を兼任するものとする」
『はっ!』
全員が起立し、敬礼をするのを見て、柔和な笑みを浮かべる安藤。
「よろしい。それでは本日は、所属艦娘との顔合わせを済ませた上で、翌日から四日間の休暇を与える。各自出立の準備を済ませ、
『はっ!』
「では、私は失礼する。正式な書類は、追って司令官に通達する」
そう言うと、安藤は出ていった。
その代わりに、艦娘達が入ってくる。
「皆、久しぶりだな」
旗艦である日向が、代表して声をかける。
艤装である
「皆、おっそーい!島風達、ずっと待ってたんだよ!」
声を掛けたのは、島風である。
装備している艤装は加速型艤装で、
攻撃は、自身の砲撃と連装砲ちゃんとのコンビネーションによるオールレンジアタックが、得意技である。
「あの、私はそんなに待った感じは……」
その横にいるのは、中部警備府の特異点の恵海。
どの艤装も装備できる性質を利用した、『即時換装装置』を、艤装に装着している。
夕張・明石の開発した艤装補助装置で、艤装を
カードに念を送り込んで、カードをスロットに刺すと、変身変形が出来る。
だが、今は現状のベース艤装『
要するに、『ディケイドライバー』のようなものである。
スロットは、艤装と装備の計五枚となっているが。
「皆さん、よろしくお願いします!」
榛名改二Gは、以前と変わらないミサイル搭載型戦艦(BBG)である。
ハープーン対艦ミサイルに、トマホーク搭載型VLS+イルミネーター、それに金剛型の主砲にファランクスの組み合わせである。
最終的には、核ミサイル攻撃可能な唯一の艦娘である。
「私、ほっぽ。よろしくね」
北方棲姫改
恵奈ちゃんとは親友で、いざという時は恵奈に連絡すれば、中部警備府基地航空隊の支援攻撃を要請できる。
未だ、翼妖精さんは妖精のままである。本人がそれで納得なので、戻る気も無いらしい。
「大食いが、罪悪感なく出来る」
などと言っているらしいい。
「私は瑞希だ」
最後に、駆逐水鬼こと瑞希である。こちらも強化型であり、純粋に駆逐艦の性能を突き詰めた形である。
それに加え、結有のマスターしている、骨法とジークンドーを組み合わせた格闘術・ナイフを組み合わせた、各務原式CQC等を身に着けている、島風に並ぶ超快速駆逐艦で、実戦では島風と共に、殴り込み担当である。
未だ、結有の
この六人の艦娘に加えて、いざとなれば、吹雪も艤装を身に着ける。
「島風、遅くなってすまなかったな」
陽子が、その名前に相応しい陽気な声で、声をかける。
結有も、久々にあった仲間達に笑顔を向ける。
もっとも、瑞希はずっと側に居たが。
「そんじゃ、各自準備したら、中部警備府に集合な」
『はい!』
一同が、智紀と陽子に向けて敬礼をした。
出発当日。普段は艦娘しかいない軍港に、
既に、乗務スタッフは乗り込んでいる。
「ぱぁぱ、がんばってね」
「元気で必ず帰ってきなさい。次の約束はそれね」
智紀を、智子と娘の紀子がお見送りだ。
智子のお腹は少し膨らんでおり、近い内に紀子の妹か弟が生まれるだろう。
「おーぅ。頑張ってくるぜ」
「ほっぽ、頑張ってきてね。困ったら、助けに
そう声をかけるのは、大村恵奈。両親に似て背の高い、出るとこ出て締まるところは締まってる、元気な少女に成長した。
身長差の逆転した、恵奈と暁の『エナツキ』も絶好調なスーパーガールである。
相変わらず、妖精さんとの親和性が高く、皆恵奈のお願いは、
「うん、頑張ってくる」
ほっぽちゃんも、笑顔で答える。
「日向、榛名、がんばってくださいね」
そう見送りに来たのは、明石である。
「分かってる。
「はい。榛名にお任せください」
二人は、信頼する技術者明石に、笑顔を向ける。
「陽子、島風。頑張って元気にやりなさい。陽子は将官として、恥ずかしくないような振る舞いをしなさい……といっても、まあ艦娘の要塞だから気楽にやりなさい。お前らしく」
呑気に見送りに来たのは、佐世保鎮守府司令長官兼
「うん!頑張ってくるよ!父さん!」
「はい!行ってくるよ!我那覇パパ!」
ずっと連れ添った、上官の父親とも仲良くなっているのだ。
「恵海、それに千里さんに瑞希。行ってらっしゃい。私には、それしか言うことが出来ません」
「頑張るのです。守りは、こっちに任せるのです」
「三人共元気でね」
声を掛けたのは、中部警備府の主『名古屋の湊ちゃん』『不敗の女神様』の高梨湊少将である。
恵海や瑞希は、ここにも縁がある。千里の両親は、正式に離婚が成立して、名実共に『関係ない人』になった為、
「はい、頑張ります」
「うん、ありがとう。行ってきます」
「結有を必ず守り抜く」
「杏奈。いつも言ってる通り、皆を大きく包んであげなさいな」
母親である呉の
「うんうん。
ミニオカーチャンこと杏奈が、ふふっと笑う。こちらは艦長ではないものの、世代交代だ。
「結有、それに吹雪。訓練は怠らないように。危機管理の鉄則は、『悲観的に準備して楽観的に対処する』ことだ。結有、私の娘なら心配はしていないが、保安主任という役職上、司令官や艦長の警護も兼ねる。努々怠りないように」
娘を溺愛していた彼も、子離れを果たして、自慢の娘へ厳しく見送りの言葉をかける。
「うん!僕頑張るよ!」
「はい!行ってきます!
裕二は、吹雪も養子に迎えた。戸籍上の姉妹として、そしてパートナーとして、二人は父親に答える。
「では、乗艦しようかね?」
緩い感じで智紀が声をかけると、全員が頷いた。
「よっしゃ!移動泊地『いずも改二』いくぜ!」
ブリッジに揃った全員が頷くと、陽子も応える。
「これより、シンギュラリティハウンド、出撃する!長い長い、航海の始まりだ!」
『おーっ!』
いずも改二が
「まずは、呉で追加人員の乗り込みだっけ?司令官」
「そうそう、そうだぞ」
艦内は明るく、フランクで楽しい雰囲気だ。
艦娘本部は、こういう雰囲気が常になっているのだ。
遠ざかる、いずも改二を見送りながら、湊は心の中で呟いた。
――これで、
同じく、警備府近くの埠頭で、出ていくいずも改二を眺めている、一組の男女。
サングラスを掛け、スーツ姿である。
「見送りはいいのか?」
男……警察庁から情報部に出向している齋藤警視長……今は
「結衣は、今は
応えるのは、情報部長の高菜結衣少将。
彼女等は今後も、軍の不正を行う輩に、メスを入れ続けるだろう。
国民の安全を守るために……
今後は週1~3くらいの更新頻度でのんびり行きたいと思います。