続・みんなと艦娘日和   作:SAMICO

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調子があまりよろしくありませんので
当分の間不定期になりそうです。


アイアンボトムサウンドで起こった異変とは


異変~singularity~

いずも改二は、追撃を振り切ったところで、ヘリコプターでの物資補給を受け、外交官である遠藤聡子(えんどうとしこ)参事官を送り返そうとしたが、

「私は、外務省よりいずもに同乗するよう命じられています。お邪魔でしょうが、どうか置いてください」

と云う言葉に、

「分かりました。遠藤参事官は必ずお守りします」

そう返事をせざるを得なかったと同時に、外務省から突かれてるであろう大垣大臣に同情する陽子だった。

 

アイアンボトムサウンド(鉄底海峡)に差し掛かった時だった。ミナが艦長私室に現れて、声をかける。

「キャプテン、恵海さんが無断出撃をしました」

「……だろうな。全員をブリッジに集めてくれ。艦娘は出撃準備を」

的中した、一種の根拠のない嫌な予感と共に、自身も立ち上がり、ハンガーに掛けていた軍服の上着を身に纏った。

 

無断でいずも改二を出た恵海は、アイアンボトムサウンドにやって来た……と、吐息を漏らすと、その前を見据えた。

地鳴りがするように、()()()()()()()のような()()()()()()化け物が海の底から現れた。

「やっぱり、『この世界に来ていた』んですね。『DSクイーン』……」

 

相対している恵海とDSクイーンを見ながら、陽子が出撃命令を下そうとした瞬間だった。

いずも改二が眩い光に包まれた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

「きゃあああああああ!!」

 

結有と智紀の叫び声だけが聞こえ、副長である杏奈が閃光が消えた辺りを見回すと、

智紀と結有、そして外のDSクイーンの姿が消えていた。

「恵海!大丈夫!?」

直ぐに杏奈が、外の恵海に通信を送る。

『大丈夫です、杏奈さん。()()()()()()()()()()です』

「いや、どういうことだ?」

割り込むように口を挟む陽子に、恵海は、

『私はやはり、()()()()()()()()()()()()()んです。『艦娘同士の内戦』と云う最悪の結末を迎えた世界の人間。名前は高梨海来――海が来ると書いてミライ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして、電が実母です』

「…………いつから思い出したの?」

大井の言葉に、悲しそうに首を振る。

『ここに来て、思い出したと同時に、()()が居ると感じて飛び出しました』

「結有と智紀は、どこに行ったかわかるかな?」

その北上の言葉に、一度戻りますと告げ、通信を切った。

 

ロビーには全員が集合していた。

ミナは明らかな怒りの表情で、恵海を睨んでいた。

『事情があるのは理解しますが、智紀さんに何かあったら、80センチ砲を後ろから撃ち込みますのでそのつもりで。では操艦に集中いたします』

そんな過激な発言を吐いて、ホログラフを消したのだ。

その言葉に、大きく肩を竦めた陽子は、真面目な顔になって、

「其れじゃあ話してもらおうかね?」と続けた。

 

 

―――――

「私が生を受けた時には、大きな大きな戦争が終わった後でした。戦艦三笠がクーデターを企んで、()()()()()がその配下にいて、沢山の艦娘が死にました。ミッドウェーでは、未来伯母さん達が全滅して、生きて帰ってきた金剛さんは、廃人となりました。()()()()()()()()()()()()んです。絶望したあちらの明石さんは、艦娘システムを破壊して自沈されました」

その恵海の言葉に、全員が言葉を発することができなかった。

「私は幼年学校を卒業して、()()()()()――()()()にある泊地――に赴任しました。艦娘ハーフであった私は、そこしか居ることができなかったんです。()()()()()()()()()()()()()()()()でした。日本は、深海棲艦に北海道・四国・九州を奪われていました。離島の小さな島にしか……ある日、電母さんが戦死しました。お母様はさっきの大きな戦争で、寝たきりになっていました」

それだけいうと、恵海は全員の顔を見回した。

「悲しい……世界ですね。きっとあっちの私は死んでる気がします」

ぽつりと、遠藤参事官が口にする。全員が悲しい顔をしている。涙する明石に、日向は渋い顔を浮かべていた。

「最後まで抵抗した、吹雪さん率いる艦隊も全滅しました。艦娘は第13泊地にしかいなくなりました……世界は病に覆われ始めました。()()()()()()()()です。こちらでいうところの、()()()()()()()です」

その言葉に、全員はぎょっとした顔をした。

「私達の世界でも、高梨姉妹――あちらでは日野姉妹でしたが――は、被験者でした。()()()()()()()()の」

恵海の言葉に、陽子はピンと来た顔をした。

「そういうことか。新井田博士はやはり、お前の世界の人間だったのか?」

「わかりません。()()()()新井田博士は、情報部の楊 文里と云う士官に始末されていました。ですが、突然()()()()()()()()()()である第三世代艤装計画を持ち出したという事と、人工深海棲艦を生み出した、ということは……」

恵海の答えに、陽子は頷いて続きを促した。

「私は、今までの戦歴を全て調べました。そして、鍵はハワイにある、と気づきました。その頃には、私も母も、深海棲艦化していました。私はお母様に、『行ってきます』と告げて殺しました。レ級となった私は、最後の艦娘を引き連れて、ハワイに向かいました……皆死んでしまいました………」

その言葉に、北上の脳裏には、自身が沈んでいく様子がフラッシュバックした。

 

――…じゃあね。楽しかったよ、海来っち……――

 

大井の手を引いて、そっと恵海に抱きついた北上は囁くように、

「また会えてよかったよ、恵海(海来)っち」

その言葉に、ギュッと抱き締めてから、小さく「私もです」と答えると、恵海は、

「ハワイでは、DSクイーンが待っていました。彼女は悲しみに暮れていました。私はこう言いました。『私達は、この世界には要らない存在だったんです』と」

 

 

――そして私は、もしも生まれ変わるなら、こんな世界が良いな。と願いました――

 

「そして、私はレ級のまま、生まれ変わりました。そこから先は、皆さんご承知のことでしょう」

恵海はそれだけいうと、二人(大井と北上)の頭を優しく撫でた。

「それが、()()()()か……」

日向が、腕を組みながらポツリと呟く。

「全ての辻褄が合いましたね。新井田博士も、この世界にやって来たんですよ、おそらく。海来(恵海)さんが希望の存在なら、新井田博士は絶望の存在で」

「智紀さんと結有さんは、おそらくはあちらの世界に行ったんだと思います。あの二人は『特異点(シンギュラリティ)』ですから。あちらの世界には存在しない人間」

吹雪の言葉に、恵海が答え、陽子は全員を見回した。

「任務変更だぞ。小官(自分)等のすべき事はDSキラーの救済あるいは浄化と、新井田博士を倒すことだな。村井副長を艦長代理に任命する。吹雪には、副長と保安主任も兼務してもらう、遠藤参事官にも雑務をお願いする」

「はい!」

「了解しました!」

「はい、何なりと」

三人の返答の後、瑞希が口を開いた。

「恵海は、ミナに謝って置くべきだと思う」

「はい……」

申し訳無さそうな恵海に、再びホログラフが現れる。その表情は、少し困った笑みだった。

『全ては聞かせていただきました。そういう事情なら、納得しました』

「すみません……」

『それより、深海棲艦が大量発生しました。合流予定のIowa(アイオワ)が奮戦中です。救援に向かいましょう』

陽子はその言葉を聞くと、はっと思い出した。

「しまった、忘れてた。ミナ、すぐに向かうぞ。いずも改二で割り込んで、Iowaを収容。それから離脱だ!」

 

Sハウンドは、太平洋を主任務海域としている関係上、米国も手伝うと表明していたのだ。

そこで、ナスタージ准将の技術が注ぎ込まれた傑作(魔改造の玩具)である、Iowaを送り込むことにしたのだ。

他の国々も国連協力の枠内で、資金援助等をしているのだ。

 

ミナは『了解』と答えると、(いずも改二)をすぐに発進させた。

 

 

 

「Shit!なんてことなの!?」

深海棲艦に囲まれているIowaは、主砲である二連装霊子加速式超電磁砲や、ファランクスシステム改(HEIAP弾)、16インチ三連装砲 Mk.7(降霊弾&通常弾)SH―60という、ナスタージ准将脅威の技術力の粋を集めた、単独決戦戦艦である。

ファランクスも、20ミリバルカン砲を四連装している代物だ。

降霊弾というのは、()()()をばらまいて周辺の霊子を消滅させるという、核弾頭よりたちの悪い弾頭になっている。

要するに、周囲のもの全てが、文字通り()()()しまうのだ。

物質に対して、反物質をぶつけて消滅させるのと同じ原理(対消滅)である。

水も空気も物質も霊子を持っている以上、撃ったら空間の質量ごと消滅させる、最後の最終兵器なのだ。

発射には、米大統領(米軍最高司令官)のエドガー・ランドール大統領の承認が必要だが、イケイケドンドン(超スーパータカ派)の彼は、既に二発の発射承認を出している。

その度に露中は抗議をしているが、深海棲艦にしか撃っていない、と主張している。

 

 

超電磁砲や16インチ砲を連射しながら、ファランクス改のHEIAP弾で、空の敵に対処する。

そんな中、主砲をガンガン撃ちながら、いずも改二が突っ込んできたのだ。

「ワォ!Japaneseは意外と大胆ね!」

その様子に感嘆の声を漏らしていると、吹雪が後部発着口から声をかける。

「Iowaさん、乗ってください!!」

「Roger、Thank you」

 

Iowaを収容したいずも改二は、()()()()をぶちかますと、早々に戦場を離脱していった。

その様子を、DSキラーが眺めていた。

 

いずも改二がいなくなると、DSキラーはハープーンで次々と深海棲艦を片付けていく。

深海の悪魔DSキラーには、通常の深海棲艦では為す術もなく沈められていく……

そして、再び深海棲艦が何処かで復活するのだ。

DSキラーは始末を確認すると、再び深海棲艦艤装に変わり海に潜っていく……

 

 

―――――――――

 

その頃、智紀と結有は岸壁に立っていた。

誰もいない軍港、そして庁舎。

「ここは………?」

「判んねぇ……」

 

智紀は拳銃を抜くと、片手で持って庁舎に入っていった。

ピー………

電子音が聞こえる方に、二人は歩いて行った。

開いたままの扉の中には、()()()()()()()()が横たわっていた。

首には、締められた紫の痣……そして姿は、()()()にそっくりだった……

「……湊さん……だよな?」

「……だね……ここは……どこなんだ……?」

結有は、()の顔にハンカチを乗せると、手を合わせた。

 

その間に智紀は、司令室に置いてあるパソコンで、調べ物を始めていた。

硫黄島の戦いから始まって、高菜家はバッシングを受け、母は発狂し、()()()()()()()()

そして戦艦三笠が現れて、艦娘を生み出す計画が実行された。

第1計画は()()()を被験者に行い失敗。第2計画は、()()()()等五名を被験者に行ったが、挙動に体が耐えられたのは未来のみで、残りは心臓破裂で死亡。二人共、記憶操作が行われた。

第3計画で、深海棲艦のコアから浄化を行う方法に切り替える。

そして第三世代に移行。反乱を恐れ、生殖能力の排除と陸上への艤装展開不能という能力を付与して、第二世代・第3計画の艦娘を処分。

電はその生き残り……

艦娘は、()()()()()()()ということなのだろう。

 

「結有………こいつは、平行世界かもしれねぇぞ?「この人がいたから」といった要素が何もねぇ。高梨提督に、矢部晋太郎、高菜結衣……いや。()()()()()()()()()()()()()()()……」

その言葉に、結有もやってくる。

「多分、僕達もその一人かもしれないね。もう少し、()()()()を調べようか?」

 

智紀と結有の、()()()()()()()()()が始まった……

そして、あちらの世界でも、()()()()()()が始まる。




次回は来週日曜《仮》です。

送れる可能性は体調次第。
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