続・みんなと艦娘日和   作:SAMICO

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今回はエナツキ回ですが本筋からちょっと離れてます。

今回はちょっと重たいテーマです。
東京都条例もあって時事ネタです、

訂正:虎子は外科主任教授兼副院長でした


再会~親友だからこそ~

小学四年生になる時、真由ちゃんは復興が終わった名古屋から、母親に連れられて引っ越していった。

その時は、残った三人娘(恵奈・美雪・杏子)は寂しがっていた。一人暁だけが複雑な顔をして……

 

それから長い月日がたった現在。新井田博士からの攻撃が始まった翌月、七月のことだった。

各鎮守府や警備府は、昼夜問わず出撃を繰り返し、撃退を行っている。

陸上部隊も、チャン等のPMC「合同会社・応龍安全公司(インロンアンチェンゴンスー)」等や各務原大佐の教えを受けた陸戦隊が、水際で上陸を防いでいる。

再び日本海に現れた海賊達は、上原麻衣准将率いる舞鶴警備府艦隊の元、撃退を行っている。

どさくさに紛れて、某国から発射されたICBMは、ハイパー龍驤キャノン(パリ砲改二)で撃ち落とした。

艦長と保安主任を欠いたSハウンドも、太平洋から遊撃を行い、支援を行っていた。

そんな中でも、民間人であるエナツキには、できることは少ない。

暁も恵奈の護衛を名目に陸上に残っていた

 

そんな日々の中、エナツキは日夜動画アップや学業を両立して、

シンタローおじさんこと矢部晋太郎副総理・艦娘基本法担当相も、国会のない日は毎日エナツキニュースを担当している。

党の仕事も全て降りて、今は政権与党の一議員として、残った任期を過ごしている。

おじさんの意向から「一発勝負が好きだ」ということで、生配信である。

分かりやすく、時には時事ネタや政界裏話を交えた語り口は、

『小中学生には、新聞よりエナツキニュースを見せろ』との評価を受けている。

今回を機に、マネジメントを恵奈の所属しているMCNに委託している。

 

そんなある日である。

エナツキの三人娘と護衛任務でお迎えに来た暁は、今夜の夕飯は何にしようか、

今日の動画ネタは何にしようかと言っている時だった。

「助けて!!恵奈ちゃん!」

「えっ!?」

チャラい男に追いかけられている茶髪の眼鏡の少女……どこかで見たおかっぱの髪型……

「え、あんた真由?」

美雪がいち早く気づいて声をかける。恵奈と暁はすぐにその間に割って入る。

「どきやがれ!ガキ共!」

チャラ男が、ポケットに持っていたメリケンサックを取り出した瞬間、

「はぁぁぁっ!!!」

だだっと駆け寄ると、ショルダーチャージで男に体当たりを喰らわせる恵奈。

恵奈の身体が輝き、それが霊子の軌跡を描いて……

「ぐはぁっ!!!」

チャラ男は10m以上は吹き飛ばされ、地面を何度も転がりよろよろと起き上がる。

「今のうちに逃げよう」

杏子は真由の手を引いて、エナツキハウスに向かう。

美雪と恵奈と暁も、それに続く。

 

「くそ……あのガキ……ぶち殺し……ん?」

気づいたらチャラ男は、中国服を身に着けた男達に囲まれていた。

「名古屋のスーパーガールに手を出すとは、いい度胸だな?」

「何だテメエ等!?」

吠えるチャラ男に、男達の一人が応える。

「名古屋のスーパガール、手を出す、許さないね」

「シナ風情が生意気な!」

その言葉に、男達は著しく気分を害したようで、チャラ男を睨みつけた。

那个人呢?(こいつどうする?)

我们沉入伊势湾(伊勢湾に沈めようぜ)

等と言いながら、チャラ男を担ぎ上げ、何処かに向かっていってしまった。

 

その男達に連れて行かれた、チャラ男のその後の行方は、誰も知らない……かも知れない。

実際には、名古屋港の裏でボコボコにされただけだが。

 

「しかし、何やってるのよ?」

暁の部屋の卓袱台で、久しぶりに五人揃った中、暁が恵奈のお下がりのフルスペックMacBookProで編集しながら、真由に声をかける。

「家出してて。名古屋から離れたのも、両親が離婚することになって……二人共不倫してたの」

『………』

もちろんその事情は恵奈達は知らない。其れが発覚した時、奈緒や恵一郎、美雪や杏子の両親が集まって、

()()()()()()()()()()()()()()()を伏せることにしたのだった。

その後、恵奈達も連絡が取れなくなった為、そんなこととは知る由もなかった。

黙っている四人だったが、はじめに口を開いたのは恵奈だった。

「それで、家出してどうやって生活してるの?バイトも出来ないでしょ?」

「んー…神待ち(知らない人の家に泊まる)とかサポのお金(援助交際のお金)とか、お小遣い稼ぎ(裸の写真や動画を売る)でネカフェとかで暮らしてたかな?」

その言葉に、恵奈が卓袱台を両手で叩いて立ち上がった。明らかに激怒している。

「それって『体を売ってる(売春)』ってことじゃない!?」

「そうなるかなぁ……?」

驚愕した美雪へ、苦笑いを浮かべて応える真由に、隣にいた杏子が()()()()()()張り倒す。

「っ……!」

純粋な筋力はエナツキ一の杏子。大人しいほんわか不思議ちゃんな杏子が起こしたこの行動に、

張り倒され起き上がった真由だけではなく、動画編集をしていた暁まで、その(動画編集の)手が止まる。

「真由、そんなことしてお母さんが悲しむと思わないの?」

その言葉に、真由は涙を流して叫ぶように言った。

「実の娘にウリ(売春)をさせて生活費を得る母親なんか()()()()()!!」

『…………』

全員は悲痛な顔で押し黙るしか無かった。

 

 

「……そういう訳ですか」

恵奈は、すぐさま湊に報告した。

湊も、両親に売られたと思っていた時期があり、苦々しい顔になる。

「恵奈お姉ちゃんと湊お姉ちゃん、何話してるの?」

秘書艦デスクに、睦月と一緒に座ってる紀子が首を傾げる。

電は現在、非常時に編成される、中部警備府連合艦隊司令長官として出撃中であり、

隣では、睦月がお茶汲みをしながら、紀子のお勉強を見ている。

司令室が、もはや()()()と化しているのだ。

総務部に、再び補給監理官の仕事が戻ってきた為、補給の手配でデスマーチの最中なのである。

総務部の女神(高天原智子)も、産休予定をキャンセルして、出産直前まで仕事についている。

かかりつけ医が、ここ(警備府医療部)か名大付属病院なので、産気づいてもすぐ出産可能である。

外科主任教授兼任で副院長となっている、平林虎子教授の気配りで、後輩に当たる産婦人科医を毎日往診させている。

前回仕事中に破水して大騒ぎになったのを、教訓としてのことである。

「のりちゃんが、もっと大人になったら教えてあげるね」

睦月の言葉に、「うんっ!」と元気良く応える紀子。

その様子を、少し笑みを浮かべて眺めると、二人は真顔になる。

「場所を変えましょうか?」

「はい、申し訳ありません」

 

二人は、エナツキハウスの客室に移動して、夕張や晋太郎を含めた全員が、一階のLDKに集まった。

撮影部屋から椅子を持って来て、ダイニングテーブルに着席する一同。

恵奈が、改めて真由の境遇を、晋太郎や夕張にも話した。

夕張にとっては、()()()()()()がこんな苦境に立たされていることを知り、苦い顔をする。

「ふむ。ひとまず母親は、児童虐待として児童相談所に通告しよう」

「ですね」

晋太郎のその言葉に、湊も同意する。

そして、湊が対面に座った真由を真っ直ぐ見る。

「道は三つです。一つは、児童養護施設に入ること。どこの施設かは児相が判断するので、私の手が及ぶことではありません。

 もう一つは、戦時中に生まれた『深海棲艦災害孤児特別措置法』を用いて、両親が不在、または養育できない状態にあると、『()()()()()』が判断した場合、18歳時に軍に入るのを条件に、軍人の養子に入れることができ、学資や生活費が全額支給される。もちろん、軍に入らなければ学資は償還になりますが、償還するつもりですので気にせずに。

 まあ酷い悪法ですが、()()()なので、利用させてもらいましょう。

三つ目は今の生活を続けること。その場合はエナツキのスキャンダルになるので、二度と恵奈に関わらないでください」

湊の言葉に、その法律を成立させた晋太郎は軽く苦笑いを零し、真由は真剣に考え、そして……

「二番めでお願いします。私はやっぱり、恵奈ちゃん達と一緒にいたい」

その言葉に、湊は笑みを浮かべた。

「わかりました、私が引き受けます。恵奈さん、そういうわけで、()()()()()私からお願いします。真由もエナツキハウスにお願いします。」

「はいっ!!」

恵奈が元気良く応えると、真由はポロポロと涙を流しながら、

「皆……ありがとう………ありがとう……」

 

それからというもの、家事が全くできない真由に、呉から草加綾がやって来て、徹底的に教え込んでいた。

お腹も、もう妊娠七ヶ月目なので大きくなっている。双子なので普通より大きいお腹で、懇切丁寧に家事を教えている。

それを、持ち前の真面目さでしっかり吸収している真由。

綾の動画の方も、エナツキコラボ週間として、美雪を助手に加えて毎日投稿している。

その間は、エナツキ日和の夕飯動画がおやすみになるので、エナツキ日和の毎日投稿に若干支障が出ているが、

最悪の時は、生配信と云う()()で乗り切っていた。

 

そしてコラボ最終日、生配信が始まった。

今日はダイニングテーブルをどけて、カーペットの上に座っての配信である。

真由を除くメンバーと綾が座っている。

「はい、どうも。恵奈です」

「暁よ!」

「美雪だよ!」

「杏子だよ~」

「バリでぇす!」

「シンタローおじさんだよ」

「皆合わせて」

『エナツキです!』

全員が揃って言ったあと暁の、

「毎日配信頑張っていきましょう」

と云う言葉で、配信が始まる。

「綾です、今日がコラボ最終日です。皆さんに朗報があるそうです」

綾が笑顔で目配せを行うと、恵奈が頷いた。

()()()()()、と言うより、真由ちゃんが帰ってきました!」

本当に嬉しそうな恵奈の言葉に、カメラのフレーム外からひょこっと現れる真由。

初期からの視聴者さんからは、歓喜のコメントが入ってくる。

新参さんは可愛い、とかメガネっ娘とかコメントが入る。

「真由です。初めての人は初めまして、お久しぶりの人はご無沙汰してます」

ペコリと頭を下げる。

 

こうして、エナツキに八人目のメンバーが加わった。

学校には行かないと決めた彼女は、昼間は家事をしながら晋太郎のエナツキニュースのアシスタント、

そしてメインとサブチャンネルの動画にも積極的に出て、楽しい日々を送っている。

そして、恵奈と暁の『にゃんにゃん』に、美雪と杏子も混ざってることを聞いた真由は、

「恵奈ちゃん達もそーとー爛れてると思うんだけど……」

と、ぼそっと呟いたとか。

真由には、一階の応接和室が充てがわれ、エナツキニュースはダイニングでの撮影に変更となった。

 

真由の母親は当然ながら逮捕された。その後、『留置所で自殺した』らしい。

それに対しての、真由の反応は冷淡だったが、既に再婚をしていた父親に湊が談判して、

正式に高梨家の養子に入った。つまりは()()()()()となることになった。

そう。千里は、軍務(仕事)では上坂姓を名乗っているが、本名は()()()()なのである。

 




来週は祖母の四十九日法要が週末に入るので
投稿をお休みします。
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