そして、時は流れ三月になった。
エナツキはあの一件の混乱の中でも、メイン・サブ共に毎日投稿を続けている。
MeTuberの中には問題を起こす者も少なくないが、
いつもエナツキニュースでは、そういう事件の度に取り上げ、そうならない為にはどうすべきか。シンタローおじさんこと矢部前総理とエナツキの娘達が、真剣に話し合うのが定例である。
そんなこんなで、300万人登録も射程に入るほどの、登録数となってきている。
その間、タイアップした商品は沢山あり、特に食品系のタイアップ企画は、杏子が美味しそうにたくさん食べるから、大好評である。
そして、退役した雷、響、更に退役を機に復帰した結衣を加えて、エナツキは大所帯になった。
恵奈に暁、小学生からの美雪、杏子、真由の友達トリオ、夕張にシンタローおじさん。
そして、復活した結衣お姉さん、更に雷と響、合計10名。
流石に多過ぎるので、恵奈&暁以外は順番にメインチャンネルに出て、出てない方はサブチャンネルに出る、という感じに収まった。
サードチャンネルは恵奈の手を離れ、晋太郎と真由で運営して、たまにメンバーが参加する形式を採っている。
そして、遂に4thチャンネルが登場した。
「杏子の美味しいもん食い倒れ天国」
こっちは、メインが杏子で、他にメンバーの誰かで大食いや、各地の美味しいものを紹介するチャンネル、となっている。
こっちはまだ、毎日更新までには至っていないが、紹介する商品は、サーバが落ちるほど注文が入る、と評判である。
時々、大食いチャレンジに挑戦しては賞金をもらったり、
最近ちょっとふっくらして来て、体重が増えたらしいが、本人は
そんな訳で、撮影部屋も住む部屋も足りなくなり、エナツキハウスは建築1年も経たずに、改築工事が本格的に入った。
仮設で隣に作った建物を、一度壊してから、エナツキハウス本館に連結するように建てた。
もちろん、本館にも工事の手が入り、工事費もかなりかかったが、それは退役艦娘が、軍に預けて利子が
恵奈は、ローンを組もうとしていたが、周囲が止めて、こういう形で落ち着いたのだ。
工事期間も、この場所が住宅地でない場所だった為、
新エナツキハウスの紹介をする為に、結衣がカメラを回し始める。
まずは、恵奈と暁の二人からである。
「はいどうもー!恵奈です」
「暁よ」
『エナツキでーす! 新エナツキハウス完成しました!』
ばんざーいと言いながら、大きさが二倍になって、尚且つ可愛い色に仕上がった、デザイナーズハウスに入る。
玄関を入って行くと、大きな玄関ホールとなっており、階段はあるが吹き抜けとなっている。
三階建ての建物で、一階分狭くなったが、隣りにあった軍関連の施設が艦娘本部のものだった為、純粋な敷地面積は三倍弱になった。
まずは、エナツキハウス本館である。
玄関から見えるホールは吹き抜けとなっており、階段が二階に伸びている。
下からも、三階までの長方形型の廊下を見ることが出来て、
二階と三階には、それぞれ五部屋ずつ用意されている。
玄関ホールの左手のドアを開けると、
20畳ほどの広い部屋になっている。
玄関側には、大きなかわいいソファーが置いてあり、前の家から引き続き、大型テレビも設置してある。
もちろん、ゲームも一通り揃っており、ここから配信もできるようになっている。
真ん中には、全員が座れる大型テーブルのダイニング。
そしてオープンキッチンが見える。
キッチンは、とうとう
10人に加えて、常駐専属マネージャーさんの菅野仁美さんも加えて、11人の大所帯である。
菅野さんは、年齢19の新入社員で、このエナツキの専属マネージャーに、半年前抜擢されたのだ。
年齢が近いのもあり、すぐに打ち解けて、エナツキ
キッチンとホールの奥には、洗面台と脱衣場があり、広~~いお風呂に繋がっている。
矢部夕張夫妻を除いた、8人同時に
これも、視聴者と新エナツキハウスについて意見を出し合って決めた、設計プランである。
玄関から右手側には応接間があり、外のお客さんとの打ち合わせができるようになっている。
その奥には、別館へ伸びる廊下があり、その更に奥は、家事室となっており、洗濯機と乾燥機が置いてあり、
それぞれの洗濯箱の入る棚も、設置されている。
二階に登ると、奥には一部屋と階段。
四角でぐるっと回れる廊下からは、玄関ホールがよく見える。
「えっとね。ここは奥の部屋が真由ちゃん、それで、左が美雪と杏子ちゃん、それで、右側が結衣さんとマネージャーさんのお部屋ね。三階も同じような感じで、和室組だね」
そう言いながら、まずは真由のお部屋を開ける。
黒髪に戻した真由は、ライティングデスクで本を読んでいた。
扉が開いたのに気づくと、カメラに向かってにっこり笑顔を浮かべる。
次に、そのまま真由を加えて美雪の部屋へ。
ノックせずに開けると、着替えようと服を脱ごうとしてるところだった
「ちょ!?」
「わー!!ごめん!!!」
この間は、放送ではブラックアウトされ、音声のみで着替え中とテロップが出るだろう。
「まったく。ノックしてよね」
「うん、ごめんごめん」
等と話しをしながら、杏子の部屋に入ると、杏子は
そこまでは普通だが、一本の羊羹を
「ん、夕飯?」
「今、昼の三時なんだけど……」
恵奈はがっくり項垂れる。杏子は、その羊羹を持ったまま。マネージャーさんの部屋は、中NGだよと言いながらパスすると、結衣の部屋に入ろうとして……
「あ、待った!
という、カメラマン結衣の発言で、結衣の部屋もスルーすることになった。
結衣は内心、
(荷解きしたまんまの、
等と、安堵したとか。
三階に上ると、同じような配置で、今度はドアではなく襖がある。
「奥の部屋が物置、それで左側が私と暁。それから、雷と響が右かな?」
その言葉と共に、襖が開いて、それぞれの部屋を案内する。
暁の部屋には、
座椅子用パソコンラックに置いてある。
恵奈の部屋には、クアッドモニタ使用の大画面に、フルスペックMacProが設置されている。
こっちは長い卓袱台に座って作業するタイプで、プリンタやカメラ等も置いてある。
マネージャーさんと夕張とシンタローおじさんを除いた8人が、階段を登ると屋上に出た。
屋上からは、隣の居酒屋鳳翔ビルや、隣の別館が見える。
もちろん旧エナツキハウス同様、プライバシーウォールで、落下防止とのぞき見防止と暴風避けが行われた、
物干しとなっている。
屋上と家事室は、直接外壁に設置した大型ダクトで繋がっており、洗濯物をエレベーターのように上げ下げできるようになっていて、洗濯の労力も軽減できるようになった。
上りは電気の力で上げて、下りは下にあるカゴへ投げ落とせば、重みで降りていくという仕様だ。
下を見ると、それぞれの部屋に専用のベランダも用意されている。
「隣の別館には、エナツキニュースのスタジオと、メイン・サブチャン用のスタジオと、シンタローおじさんと夕張さん夫婦のお家があるんだよ」
《シンタローおじさんの家撮影NGでした》と、テロップが付いている。
一同が階段を降りると、一旦マネージャーさんに撮影を変わってもらい、
リビングのダイニングテーブルで、再び撮影を始める。生配信だ。
「はいどうもー、恵奈です」
「暁よ!」
「美雪だよ!」
「杏子だよ~」
「真由です」
「バリでぇす!」
「はい、結衣おねーさんだよ」
「雷よ!」
「響だよ」
「シンタローおじさんだよ」
「皆合わせて」
『エナツキです!』
全員が揃って言った後、暁の、
「で、毎日配信頑張っていきましょう、ということでね。皆さんに報告があります」
その言葉の後、まず恵奈が、
「工業高等専門学校、推薦合格しました!」
『わぁー、おめでとー!!』
全員が拍手をする。
続いて美雪も、
「高校、滑り止め落ちて、本命受かりましたぁ!」
その言葉に、全員がずっこけながらも拍手をする。
杏子も、
「普通に高校受かったよ」
と、笑顔でいい拍手を受ける。右手には羊羹を持っている。尚、
真由は、元々高校に行く気はさらっさらないので、
「私は、家事手伝い続行です」
と、ボケ倒す。
「いやいや、それがね……」
結衣が、深刻そうに言ってから、
「真由ちゃん、高梨商事に採用です!」
『ええええっ!?』
全員が驚きの声を上げる。完全な
高梨商事の
「と、いう訳で、皆進路が決まったから、安心してね」
と締めると、
コメントや、
結局、今日の配信もデリバリー配信となり、
大量の食材を、皆で食べながら雑談をする、生放送になった。
皆で一緒に寝ることはできなくなったが、
普段はリビングに集まっている皆は、