いつものゆるいエナツキ回です。
いつもスポットの当たらない杏子に焦点を当てたグルメ回
一応、実在の商品を取り上げてますが
実際の人物とは一切関係ありません。なので、創作者などは各自お調べください
今回はショートショートです
長野県伊那市。
結衣のヴェルファイアから降り立った杏子は、
「はーい、着いたよ」
サングラスを取りながら、カメラを回し始める。
そう。杏子の美味しいもん食い倒れ天国、略称『おいもん天国』の収録である。
名古屋金城埠頭から高速に乗り、伊那市に降り立った。
目的は、伊那市の郷土料理である「ローメン」というものを食す為だ。
「ローメン……美味しそう」
ふふっと笑みを浮かべると、情報にあった大衆食堂に足を運ぶ。
昼どきを過ぎた大衆食堂には、ちょっと遅めの食事を摂る、地元サラリーマンの姿がチラホラあった。
事前に撮影許可は得ているので、食堂のおばちゃんがにこやかに出迎えてくれる。
「あら、いらっしゃい」
「よろしくお願いします。早速、そのローメン」
ローメン。正式名称
1955年に、伊那市の中華料理屋の主人が、地元の製麺所の協力の下創作した、地元特有の料理で、自地域発展を願ったその主人が、ローメンの名称使用を自由にしたことにより、
地元の郷土料理として定着し、1994年に伊那市も町興しのきっかけに、と取り上げ、創作者の店近くには、2004年に記念碑まで建立されていた。
その店主は、名古屋大侵攻に心を痛め、ローメンで名古屋に支援を、と市と協力して食糧支援等や、チャリティBー1グランプリ等の運営に協力して、
終戦を迎える前に、街の皆に託し、この世を去った。
杏子もローメンなる物は、物産展やBー1グランプリで知っていたが、実際に食すなら地元で、と云う拘りで、
無理やり、結衣に有給を取らせて、やって来たのである。
ちなみに、
一口にローメンと言っても、いろいろ種類があり、
スープに半分浸かったラーメン風のもの、ソース焼きそば風のもの、カレー味や冷やしローメン等様々あるが、
太めの蒸し麺と羊肉、キャベツを用いた麺料理の総称、という訳である。
早速、スープタイプのものが出される。
太めのラーメンで、あんかけ焼きそばのとろみのない風であり、キャベツと羊肉ときくらげが、存在感を主張している
「それじゃ、お好みでそっちの薬味を加えてね」
「はーい。いただきます」
一味と七味唐辛子、すりおろしニンニク、ラー油、ごま油、酢等が置いてある。
早速、麺を啜ってみる。
濃いめのスープと太い麺が絡み合って美味しい。シャキシャキのキャベツと癖のあるマトンが、箸を進めさせる。
二口目に、七味唐辛子を加えてみる。
「なるほど。
その様子を撮影している結衣は、空腹の中、
「お腹空いた……」
と、ぼそっとぼやいているが、
途中で白飯を頼み、白飯を食べながら調合のように色んな味を試しつつ食べ終わると、くるっと振り向いた。
「次にソースタイプを」
「あいよ」
こちらは、熱々の鉄板に載せられてやってくる。
先程の太麺を、ソースとキャベツとマトンで炒めたもので、ソースの風味が結衣の空腹を刺激する。
結衣は、お腹空いたぁ……とぼやき続けているが、多分編集でカットされるだろう。
「いただきます」
まずは、元の味を楽しむ。こちらは変わり種の焼きそばで、食べ応えがある。
「うん、おいしい……こっちはソースがガツンと来て、焼きそばっぽい……焼きうどん?……太い焼きそばかな……?」
そう言いながら、次に酢を掛けてみる。
ソースにツンと効くお酢の香り。意外とソースローメンと酢が、相性が良いことに気づいて、杏子の頬が緩む。
「ソースに酢、って意外と美味しい……」
焼きそばで今度試してみよう、とふふっと笑いが零れる。
「さて。これで撮影も終わ……」
結衣が安堵している中、杏子は
「ソース……カツ丼?」
ソースカツ丼とは、
「ああ。これはね、御飯の上にキャベツの千切りを載せて、たっぷりソースを掛けるものだけど……」
「お願いします!」
その言葉に、食堂のおばちゃんが目を丸くする。
「あらぁ、まだ食べるのかい?」
「美味しそうなものなら、いくらでも」
「ちょっと待っててね~」
それを見送りながら、結衣は思った。
ああ、何か食べたい……と。
出てきたソースカツ丼は、あったかご飯の上にキャベツの千切りを乗せて、その上にソースたっぷりのロースとんかつが乗っており、鼻孔を擽る。
「いただきます」
笑顔で、豪快にカツ丼を頬張る。
美味しそうに食べながら、「今度はデミカツ丼を食べよう」と呟く。
岡山行きが確定すると、結衣は「ああ、また結衣が運転するのか」と、途方に暮れた。
その後、結衣もローメンを堪能したのは、言うまでもない。
ただ単にローメンとソースカツ丼が食べたくなったので書いたネタです。
そうだ、今夜はソースカツ丼を作ろう