続・みんなと艦娘日和   作:SAMICO

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副操縦士となった瑞鶴と機長の会話。
実際に起った2つの事故を語り合う。


航空機事故と瑞鶴~ギムリー・グライダー/飛んでいった天井~

瑞鶴は、軍在籍時に操縦士免許を取得しており、グライダー等での飛行を、趣味としていた。

航空機を直接操る空母は、パイロットの素養もあるようで、

加賀と違い、訓練等は受けている瑞鶴は、完全な終戦後、軍を退役し、副操縦士として航空会社に入社した。

その航空会社は、()()()()()。深海棲艦の侵攻で経営難に陥っていた、二大フラッグシップキャリアーが合併して出来た航空会社だ。

 

今日も夜のフライトだ。乗務員オフィスでコーヒーを飲んでいると、沢山の物が入ったフライトバッグを抱えた機長がやってくる。

澤柳機長と言って、深海棲艦の侵攻時、国際線が寸断される中、唯一飛べた北回りルートの飛行経験が長い機長だ。

一度ならず、深海棲艦の艦載機に追われても、()()()()()()()()()()()()、乗客を地上に降ろすことで有名な人だった。

「おはようございます」

「ああ、おはよう瑞鶴さん」

 

それぞれ手帳を開いて、フライトスケジュールを確認する。

中部国際空港(セントレア)からホノルルへのフライトで、仮眠の後、翌朝のフライトで中部(セントレア)へ戻る。

 

その後は、キャビンアテンダントや運行管理者(ディスパッチャー)とのミーティングがあり、ボーイング787に乗り込む。

乗客が乗り込む中、機長と瑞鶴は、たくさんあるリストチェックを、手分けして行っていく。

自動化が進んだと言っても、操縦が()()()なる訳ではなく、操縦が()()()だけだ。そう云った副操縦士がいた。

今は、航空機関士の役割をコンピュータが手助けしている為、燃料計算やら何から何まで、パイロットがやらなくてはならない。

そして、管制官の指示に従い、滑走路に移動(タキシング)させる。

 

今回は、副操縦士の瑞鶴が訓練の為に操縦を行い、機長が交信を担当する。

「こちら新日本航空758便。離陸許可願います」

『758便、離陸を許可します』

澤柳機長の交信と共に、瑞鶴はスロットルレバーをゆっくりと動かす。

飛行機はぐんぐん加速して行き、離陸決心速度になるが、大きなトラブルは発生していない。

「V2」

柳澤機長の指示で、離陸体勢になる。

「離陸」

瑞鶴の言葉と共に、航空機は中部国際空港(セントレア)を離れ、巡航高度に上がっていった。

 

 

巡航高度に達すると、オートパイロット(自動操縦)に移行する。

操縦士は、注意深くその状況を見極める。

特に、夜で何も見えない為、計器に頼る他ないのだ。これを、計器飛行という。

 

「そう言えば瑞鶴は、両方のエンジンが止まっても、死者を出さずに着陸させたパイロットを知っているかい?」

「いえ……」

その問いに、コーヒーを片手に瑞鶴が答える。

澤柳機長は、

「君よりは、長く生きているつもりだから、仕方がないか。あれは、40年前の話だったか。カナダ・モントリオールからエドモントンへのフライト中に、()()()()が発生した」

「燃料切れ……燃料漏れが発生したんですか?」

「いいや。当時カナダでは、()()()()()()()を使っていた。だが、ボーイング747は()()()()()だ」

その言葉にまさか?と、瑞鶴は思った。澤柳機長はフフッと、

「そう。我々は()()で燃料を計算するが、給油は()()で行われる」

「その時、ポンド(重量)で換算してしまった……半分しか入ってなかったってこと!?あ、失礼しました」

驚愕の声を上げてから恐縮する瑞鶴に、機長はふふっと笑った。

「いいよ、私のときはフランクで。そんな訳で、()()()()()()()()()()()()()()()()()訳だ……」

「なんてこと。もう、助からないわ」

愕然とした瑞鶴に、

「管制官もそう思ったそうだよ。でも、航空機はエンジンが停まった()()では墜落しない。ゆっくり滑空しながら高度を下げていく。既に機長は、ウィニペグに着陸することを決めていたが、今度はトランスポンダが起動しないから、管制官は反射レーダーを持ち出して、航空機(747)の位置を割り出すことになったんだ」

「凄い………」

瑞鶴の言葉に、ふふっと笑った機長は、

「まだこれからだよ。結局、ウィニペグでは間に合わない。もっと近い、ギムリーに着陸することにしたんだ。

 しかし、まだ高度が高い。……近過ぎる。そのまま下がると空港を飛び越える、急降下だとオーバーランだ。そういう場合、どうする?」

「そうですね、360度の旋回を行って高度を下げる……ですか?」

瑞鶴の言葉に、機長は首を振った。

()()()()()()()()()を行ったんだ」

「はいぃ!?」

グライダーの飛行機会の多い瑞鶴は、()()()()()()()()()()()()()()ということに、大声を上げてしまう。

「ははは。もし君なら、スリップの決断をするかい?」

「……出来ないと思います」

正直なこの元艦娘に、澤柳機長は笑いながら続けた。

「その機長は、グライダー経験も豊富で、フォワードスリップを行って速度を維持した()()、高度を急降下させた。そしてそのまま着陸して、前脚をへし折り、滑走路じゃない方の滑走路……カーレース場になってたんだが……に着陸、ちょうど居合わせた小学生が、自転車で逃げるところを、なんとか轢かずに、地上で停止させた」

「凄い…………」

「ちなみに、給油に向かった給油車も、途中で()()()()()()()()()そうだよ」

「………」

 

機長は、管制からの交信をこなしながら説明をして、ちゃんと実際に発生した()()も付ける。

まだ飛行機は、夜の太平洋上を飛んでおり、機内の乗客は、寝ていたり起きていたりしているだろう。

 

「もう一つ、凄まじい事故があってね。これも奇跡的だった。今度は、飛行中に天井が吹き飛ぶ事故が起きていた。ヒロからホノルルへのフライト時に、ことは起こった。事故の原因は、短距離フライトを繰り返した為の金属疲労。奇跡的だったのは、客室乗務員(パーサー)以外、ベルトを締めていたことで、()()()()()()だったそうだよ」

「………」

壮絶な機長の言葉に、絶句している瑞鶴に、機長は続ける。

「壁まで損傷して、床が皮一枚残った状態で、機長と副操縦士はマウイ空港まで飛行機を飛ばすことが出来た。こっちは燃料があったから逆噴射を行ったが、普段と空力特性の違う飛行機を降ろしたのは奇跡と言えよう……一人チーフパーサーが吹き飛ばされ、遺体も見つからなかったがね」

「………」

黙り込んでいる瑞鶴に、機長はぽんと肩を叩く。

「そろそろ着陸だ。ホノルルには、そのチーフパーサーのメモリアルガーデンがある。見て行こうか?」

「はい。着陸リストチェックを開始します」

 

こうして、ホノルル空港への着陸交信や、高度下降等で慌ただしくなる。

瑞鶴は冷静に、操縦桿や計器を使って、飛行機(787)をホノルル空港に着陸させた。

機長昇格には、こう言った実地訓練を、何度もこなさなくてはならない。

いずれは瑞鶴も、機長へとなっていくだろう。

自分達が守った太平洋で就航が始まった旅客機を、今度が()()()操縦するのだ。

別の道で、空を飛ぶことにした親友加賀のことに思いを馳せながら、明日もフライトに乗務するだろう。

 

 

もちろん、メモリアルガーデンには立ち寄り手を合わせながら、今後も無事安全に操縦することを誓った瑞鶴だった。

何も言わず突然逝ってしまったチーフパーサーは、ホノルルの守り神として、今後も空を見守り続けるだろう。

 

 

……戻り便では、高梨商事の社員旅行の帰りの、湊等懐かしい面々を乗せていることを、知らずにいた瑞鶴だった。

ビジネスクラスの客席で、電が睦月と、

「これで、瑞鶴が副操縦士だったら、大笑いなのです」

「まさかぁ‥…」

等と会話を繰り広げているが、瑞鶴は知らない。

彼女は今、管制との交信等で忙しいのだ。

 

今日も、瑞鶴は空を飛んでいる。

後に渡されたお土産で、何便に乗ってたか聞いた彼女(瑞鶴)は、彼女等(湊・電・睦月)を乗せてたことに気づくことになる。

それを認識すると、より気を引き締める瑞鶴だった。

 

 




今回も朝活出来たので投稿しました

この人の戦後が見たい というのがありましたら
遠慮なくメッセージ等をお願いします。
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