続・みんなと艦娘日和   作:SAMICO

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とうとうテレビの番組にお呼びがかかった



エナツキと下町なう

「ええっ!!下町なうにお呼びがかかった!?」

全員集まっての朝食の時に、前夜来ていたオファーを、受けたことを報告すると、

晋太郎()()、全員驚いていた。

晋太郎は、さすがは内閣総理大臣を10年以上もやって来た男だ。

ちっとやそっとのことでは動じない。

 

下町なうとは、大物漫才コンビの「下町」の浜本と松田の二人組とゲストが、はしご酒でゲストの本音を引き出す番組構成になっている。

()()、お酒はNGなので、ソフトドリンクでも、と出演依頼がされたのだ。

準レギュラーの大食いタレント、ギャル曽我も出演するということなので、

連れて行くメンバーは、暁と杏子にした。

 

最近、杏子は方々飛び回って、日本のB級グルメレポートを世に送り出している。

終戦直後に行われた、アメリカのホットドッグ早食い選手権でも、初出場()()という結果を残している。

一位になれなかったのは、その日は()()()()()調()()()()()()()とは、杏子の敗者の弁である。

杏子の方は一足早く、大食いの方でテレビデビューを果たしており、

テレビ慣れしているだろう、と思い、連れて行くことにした。

 

エナツキの出番は三軒目。

黒毛和牛()()()()の、高級焼肉店である。

その希少性から事前予約制で、予約待ちが一ヶ月はある、という人気店である。

下町の二人と、タレントの村上忍さんやギャル曽我さん等がやって来ると、

すぐにテーブルを囲んで、ドリンクが出される。

恵奈と杏子は烏龍茶で、暁だけが皆と同様、ウーロンハイである。

 

そして早速乾杯すると、背景でギャル曽我と杏子が仲良くメニューを見ながら、()()()注文している。

皆、まず駆けつけ一杯を飲むと、松田が一息吐いて、

「こういう職業が成り立つと思ってた?俺は思ってへんかった」

彼女も、収益化前からのMeTuberなので、こういう質問となる。

恵奈は少し考える仕草をしたあと、

「そうですね。私は学校での一研究が楽しくて、もっと見てもらいたくてこういうのを選んだだけで、初めはただ単純に、皆に楽しんでもらいたい、それだけだったんですよ。それで、()()()()()()()()()()()、という感じで……」

その言葉で、村上忍さんがクリップボードを出して、

「MeTuberって何者?エナツキって何者?という訳で、ボードを用意した。

 エナツキは大村恵奈(15)と暁(元艦娘・20)を始め、サブメンバー含めて合計11人のグループで、()()()もメンバーに入っている」

その言葉に、浜本がツッコむ。

「元総理とか、どういうこっちゃねん!?」

そのツッコミに、暁が説明する。

「ええと、サブメンバーの夕張さんが矢部夫人で、それがご縁で参加することになったんです」

恵奈もだが、今日は暁も、()()()()()()()()である。

そんな中、背景では山盛りの肉を焼いて、曽我と杏子の食事が始まっている。

「職業:MeTuber兼中学生」

村上が説明すると松田が、

「学校と両立できとるん?成績大丈夫?」

そう訊くと、

「名古屋の高専受かるくらいには、何とかなってます」

と答える恵奈に、下町が二人揃って、

『優等生やないかい!?』

とツッコミを入れると、恵奈は照れ笑いをする。

「最初は、小学生の時でしたね。その頃は、結衣さんってお姉さんとトリオでやってて、収益化が始まったのはその後でしたね。あの時は、先に動画を上げていたザ・デストロイヤーズの皆さん始め、大人の指導と見守りのお陰です」

真面目に語る恵奈に、一同は感嘆の声を漏らしている。

浜本は恵奈に、

「収入ってのはやっぱり、再生回数?それともスポンサー?」

そう問うのに対して、恵奈は、

「食べていけるMeTuberは、その二つだと思います。企業タイアップと、MeTubeから支払われる広告料金。あと、私は両親が艦娘本部の軍人だったので、軍とのコラボで広報費も頂いてました」

真面目に答えると、浜本は更にツッコみ、

「収入はやっぱ、えぐいんでしょ?」

「いやあ、まあ、その……」

笑って濁そうとするも、村上忍の、

「本音ではしご酒」

という言葉に、苦笑いに変わる。

「ほんと、こういう事話したことないんですけど、絶対ピー入れてくださいね?」

そう言ってから、ボードで耳元を隠してくれてる村上の耳元で小さく、

「………で……で…で分けてます」

それを聞いた村上は、立ち上がって、

「はぁ!?」

と、驚愕の表情を見せる。

下町の二人と、食べるのを中断していたギャル曽我の手が止まり、恵奈に視線が集中する。

「いやあ、……位なんだってさ」

もちろん放送では、ピーになる部分である。

その金額に、一同唖然としている。一番最初に我に返った浜本の、

「言うとくけど、今日出してね?」

との言葉に、一同がどっと笑った。

 

村上がボードに書いてある、「一番の贅沢は」の項目を開くと、

皆の家を改築して買った、と書いてある。

「へー。個人的には、これって高い買い物はないの?」

という浜本の質問に、恵奈は少し考えると、

「そうですね。()()()()()()()()()()()()以外では、ないですね」

「へー、割と質素やな。贅沢覚えると、あとが大変やで?」

そう続ける松田に、

「そうなんです。大人になった時に使えるように、って半分以上は定期預金に回して、4分の1は投資信託に預けてます」

その堅実な言葉に、一同が、

『おー……』

と、感嘆の声を漏らす。

 

 

焼き肉をつまみながら、他愛のない話が続いてから、ふと松田が、

「最近、MeTuberでやらかしが増えてるん、自分どう思うん?」

という言葉に、真面目な顔をする恵奈。

「んー……『お金を儲けたい』って動機()()から入ったMeTuberは、大成しないと思います。それで、お金を稼ぎたいって焦って結果を求め過ぎて、皆失敗するんだ、と思います。私は楽しくて皆を楽しくさせたい、ってところから始まったんで、それが出来たらそういうのは後から勝手についてくるんじゃないかなあ、と思います。ですから『MeTuber』って一括りにされてしまうのは、私は悲しいです」

その言葉に浜本は、

「ピュアやな自分。こういうおっさんになると、銭のことがついて回ってなあ」

その言葉に暁も、

「恵奈は、純粋に楽しくやりたい、見てる人を幸せな気持ちにさせたい、笑わせたい、って思ってるからかもしれないわね」

「あ、そうだ」

と、恵奈が思いだしたように言うと、

「贅沢はしてないんですけど、やっぱ食費はかかりますね。マネージャーさん含めて12人で毎食二升(20合)ほど炊いてますし。食材もそれなりに……」

という言葉に、松田の、

一升(10合)はこいつか!?太るで自分」

という言葉に、杏子の動きがピタッと止まる。

そして、再び肉を口に運ぶ。

「杏子ちゃん、太りにくい体質なんですって。ビフィズス菌がとっても多いみたいで。私達も、杏子ちゃんが美味しそうに食べるのを見てるのが、大好きなんです」

その言葉に、一同が大笑いして松田が、

「今度、北海道の幸の食べ歩き番組あんねん。プロデューサーには言っとくから、自分()ぃや?」

そのお誘いに、さすがの杏子も目が真ん丸になるも、

「良かったね、杏子ちゃん」

という恵奈の笑顔で、その場で出演を承諾することになった。

 

ここで、出番は終了となり、

「恵奈ちゃん、思ってたよりええ子で安心したわ。今後も頑張りや」

「はいっ!」

と、出演者と固い握手をと交わし、四軒目に向かう一同を見送る三人だった。

 

 

 

その後、下町出演の『水曜日の下町』や食べ歩き番組等に、杏子がよく呼ばれるようになったのは言うまでもない。

二つ名は『エナツキの食事担当』である。

 




モデルはダウンタウンなうです。
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