そして今回もショートショートです。
雪風こと雪風幸子は、響の相談を受けていた。
ニートと呼ばれるのを脱却する方法を相談されて……
それを聞きながら、自身の過去を響に重ねていた。
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中部警備府解散パーティー、と言う名のお別れ会での時のことだった。
雪風は、居酒屋鳳翔のカウンター席でほろ酔いの湊に声を掛けた。
「しれぇ、ちょっといいですか?」
「何でしょう?」
湊も、雪風のその真剣な表情に、真面目な顔になり、横に座っていた秘書艦達に目配せをすると、
「どうしました?」
「今後、どうやって行けばいいか判らないんです」
その悩みに、そう言えば転属届も退役届も出していないな、とふと思い出す。
「皆、判らない中自分で答えを出したんですよ。そうですね………幸運を売りにした……あ」
湊の言葉が止まった時、湊の視線の先には、投資家の特集をやっている、エナツキニュースのネット生配信を流しているテレビがあった。
「投資家……しれぇはもしかして、雪風の『幸運』を思ってくださったんですね?」
「いや……」
苦笑いを浮かべる湊に、
「わかりました!雪風は投資家を目指します!」
そう宣言した。
「とはいっても、知識は重要です。そうですね……まずは株投資から始めますか?」
その湊の言葉で、雪風の退役が決定した。
雪風は最初、湊の勧めで安定している株の、デイトレードから始めた。
もちろん右も左もわからない為、湊の指導付きである。
株のデイトレードは、安く株を買って値上がりした段階で売却するのだ。
ところがその時点から、雪風の
最初に投資した自動車会社は、新技術の発表により連日ストップ高で、二倍の値上がりを見せたのだ。
次に投資した製薬会社も、難病の新薬を開発して、これまた値上がりを見せる。
後に艦娘病の新薬も開発することになるのだが、それはもう少し先の話である。
こうして株投資開始から一月で、
兎に角、
どの会社も、どん底まで値下がりした会社とは言え、この幸運はまたたく間に全国に広がった。
退役時に付けた
是非自社の株を買ってくれ、と依頼が殺到したが、
雪風は、自分がこれだ、と思った会社にしか投資しなかった。
雪風が投資したと判ると、どの会社も幸運の女神が舞い降りた、とモチベーションが上がる。
当然ながら、モチベーションがアゲアゲな会社は
この
雪風は、その頃から全額売却をしなくなった。
ある程度の株を、
これは、嘗て購入して全額売却した株も再度購入して、株主になっている。
こうして、いろいろな会社の株主になった雪風は、デイトレーダーから投資家へと進んでいった。
投資顧問会社や証券会社からのお誘いもあったが全て断り、雪風は個人投資家の道を選んだ。
とは言え、会社を設立しない訳にも行かず、合同会社『ラッキースノーカンパニー』と云う会社を立ち上げて、発生する雑務は、雇った元艦娘にお願いすることにした。
真っ先に
雪風はその二番手となったのだ。
そんな中、高梨商事の
即座に全株を買い占め、主要株主となった。
湊からは、
「幸運のお裾分け、いただきました」
と云う言葉と共に、難航していた元艦娘の社会復帰プロジェクトが進展したことを報告してくれた。
こうして雪風は、高梨商事の議決を左右する株主になったのだが、彼女は会社の決めごとは、全て湊に一任していた。
湊や三笠の株と合わせて、九割の議決権に達するので、湊が
結果、それが軍の意向というのを考えずに良くなった為に、艦娘社会復帰事業にも大きな好影響をもたらしたのだ。
「
こうして、投資界の新星として有名になった雪風幸子が、
次に行ったのは、深海凄艦の被害で潰れかけていた、日本の漁業の再生だった。
新日本漁業組合、という漁師達の互助組織を立ち上げ、船を奪われた者達や漁師をやめた者達への、無利子の融資を行ったりする事業を始めたのだ。
他にも、潰れかけた産業はたくさんあった。
こうした、東北道東部での一次産業の再生の促進等、深海棲艦の被害を受けた産業へ投資していった。
もちろん、こうしたプロジェクトには他の投資会社等も参加し、金額面での貢献は少ないものの、兎に角
最後に、小笠原諸島の再生事業に投資した。
こちらも事業が順調に進み、島民の帰島が順次始まった。
横須賀に住んでいた、各務原裕二の両親も島へ戻って行ったのだ。
漸く、小笠原にも
こうして、幸運を振り撒く投資家となった雪風は、
もちろん、異能生存艦の幸運さもずっと変わらずに……