※今回は非シリアス回です
艦娘日和S2「夕張の魔改造・魔装備計画Ⅲー超大和級航空戦艦と第三世代艤装計画ー」
未来「あとは、『三式弾テルミット事件』、『80㎝砲三連装事件』、『メテオ作戦未遂事件』と、まあ書いた始末書は、星の数ほどよ。やるときは、やるんだけどね」
恵海「……夕張さんは、仕事ができるいい人……そういう所は、見習っちゃ……駄目です」
夕張「……ありがと」
艦娘日和S3「新・夕張の装備開発計画④―龍田リペア計画―」
結衣「明石を脅して作らせた。明石って、減給処分の常連で、創作系の趣味も多いから、500万ほど貸してるんだよね。チャラにしてやるから、
安藤龍達が、室戸泊地を立て直している頃……
そんな折、佐世保鎮守府で准将・分艦隊司令官として活躍している未来が、呉にやって来た。
家族なので、司令長官執務室ではなく官舎に訪れた未来を、三笠が出迎える形になる。
「久しぶりね、母さん」
「未来も久しぶりね。金剛とは相変わらず仲がいいの?」
「まあ、十年以上寝食を共にした間柄だもの。
その言葉に、母親としては若干頭痛がする三笠だったが、湊の方がいい男を見つけてくれれば、と思い、この話題には触れないように、と思い直す。
だが湊は、
「まあ、それはいいわ。今日はどういった話かしら?」
「呉で、
「問題……児?」
三笠が首を傾げると、未来ははぁ…と溜め息を吐く。
「明石よ、明石。あの
「問題というと?」
「まあ、立ち話も何だから、座ってから話すわ」
そう言うと、
その姿を見ながら、三笠もふっと笑みを零し、その後を追う。
湊との関係が、上手く行ってないせいか、逆に未来とは修好状態に向かっていた。
ダイニングに向かうと、未来がコーヒーを淹れていて、二人分のコーヒーをテーブルに置いていた。
上級将官の特権である、
両者が向かい合って座ったところで、三笠が口を開く。
「さて。改めて、話を聞かせてもらおうかしら?」
「まず、『空飛ぶ日向事件』ね」
「はいぃ!?」
「明石が試作した、緊急展開ブースターの試作品で燃料切れを起こして、
「なんとまぁ……『ギムリー・グライダー』のような降ろし方ね?」
「当事者の日向は、『まあ、そうなるな』とか抜かしてるし。地上の方は大騒ぎよ。黒井司令長官はカンカンだったわよ。黒井司令長官、空軍基地に謝りに行ったし」
「まあ、そうなるでしょうね」
「次は、『パリ砲事件』ね」
「………」
「母さん?」
「ああ、ごめんなさい。ちょっと頭痛がしてきて」
沈黙した母に声を掛けると、三笠は苦笑いで答える。
「パリ砲ってあるじゃない。ドイツ軍がパリを砲撃した
「………」
綾波は、
「なんでも、ドラムセットが壊れたから弁償しろって。あと、明石を出せって言うんだけど、明石に死なれたら不味いじゃない?だから、代わりに日向と武蔵が
「そ、それじゃあ未来も大変だったんじゃないの?」
もはや想像の斜め上過ぎて、三笠は苦笑いが若干引き攣っている。
「私はほら、金剛と時雨と一緒に隠れてたわ」
「そ、そうなの……」
しれっと、配下を生贄に捧げた娘の言葉に、三笠は頭痛が更に増したような感覚を覚えた。
「次は『空飛ぶ日向第二事件』ね」
「………」
三笠は、疲労感がどっと増していた。早く終わってくれこの話……と思いながら、聞いている。
「ナチス・ドイツの
「黒井長官も武蔵も気の毒ね……榛名も」
「後は『空飛ばない日向事件』ね」
未来の言葉に、理解が追い付かない三笠は、「は、はぁ」としか言えなくなっていた。
「これは、試作してたナノテルミット子弾入りの三式弾を、管理不十分で榛名が誤って持ち出して、飛行場姫に撃ち込んだ結果、テルミット反応をしたものが降り注いで、《断末魔の叫びを上げながら地獄の業火で燃えて行く飛行場姫》、というあまりにも凄惨な光景を見た榛名が、一ヶ月トラウマで寝込んでしまったの。随伴した
目を逸らしながら言う未来に、三笠は大きな溜め息を吐く。
「……本当は漏らしたのね?」
「………うん」
その言葉で、沈黙が場を支配した。
「さ、流石にもうないわよね?というより今の、日向関係ないじゃない?」
沈黙に耐えかねて発した三笠の問い掛けに、未来も大きな溜め息を吐く。
「あと一個だけあるわ。あの、お蔵入りになった『
「ああ、あの重砲装備艦娘を国際宇宙ステーションに上げて、ステーションに固定してから、ハワイに直接重砲撃を加えて破壊する作戦ね?確か国連安保理のシミュレーションで、衛星軌道上から大質量の物質を落とした、地上への影響を考慮して中止になった、あの作戦?」
「ええ、あれ」
三笠は、はっと思い出した。盟友でもある大村大将が「明石め!余計な仕事を増やしおって」と、昨日三笠に電話で愚痴ってたのだ。
「まさか、勝手にやろうとしたり?」
「その
「……黒井長官もお気の毒ね。分かったわ、明石を呉で引き取るわね」
コーヒーを飲み干すと、いつも以上に苦味を感じて、三笠は溜め息を吐いた。
この黒井と言う男、
数日後、明石と日向、それに榛名が呉鎮守府に異動となった。
「久しぶりね、
司令長官執務室に出頭した三人に、三笠が声を掛ける。
三笠の顔は笑っていたが、
「三笠様?」
側に控えていた天城が、三笠の不穏な気配に、声を掛ける。
「
「い、いえ……」
「私は問題ない。良いじゃないか、明石が物づくりに熱中している時は、
日向のその言葉で、三笠は漸く、
「………第三世代艤装計画ね……貴方が責任を感じることはないのよ?」
「いえ……私が『指揮命令プロトコル』なんてモノを開発してなければ……」
明石の表情が暗くなるが、三笠は立ち上がり、明石の前までやって来て、優しく抱き締める。
「三笠長官……っ!!」
明石も、ぎゅっと三笠に抱き着いて泣き始める。
榛名も、もらい泣きをし始めて……
場がしんみりしたところで、バタンと扉が開かれる。
「やっほー。長官、定期報告ですよ―」
『………』
しんみりした雰囲気をぶち壊す女、高菜結衣の登場だった。
漸く泣き止んだところで、明石の物づくりを何か生かせないか、会議になっていた。
「なるほど………」
事情を聞いた結衣は、真顔になり、腕を組んで考える。
「要は、
結衣は、たまに
「そうなるわね」
「取り敢えず、海兵旅団の装備を作ったらどうですかね?
結衣の言葉は、明石の心に火を点けた。
「それです!!それをやりましょう!!」
「よかよか」
「盛り上がってるところ悪いけど……そんな資金、軍から出ないわよ?」
三笠が頭を抱えながら、申し訳なさそうに声を掛ける。
「いやいや、
「……分かったわ。試作型次第では、予算が下りないか大村大将に掛け合ってみるわね」
「ありがとうございます!私、減給処分の常連で、生活もカツカツでして……」
その言葉に「だったら問題起こさなければいいじゃない」と言う言葉を、ぐっと飲み込んだ三笠だった。
その直後に、室戸泊地から発注された、大量の装備製作依頼、という嬉しいアクシデントが入りながら、
明石は、日夜物づくりに明け暮れている。
その、楽しそうに煤に塗れて装備を作っている、明石の姿を見守る
「まあ、そうなるな」
「良いじゃない、明石の心がそれで安らぐなら」
「そうですね」
結局、汎用艤装計画の試作品が完成する頃には、装備させる対象だった海兵旅団が、平穏期到来により解散して、
汎用艤装は、艦娘や元海兵旅団用のスポーツ向けとして、駆逐艦型だけが製作されたに留まった。
後に綾波に、『
尚、色んな物づくりに傾注し過ぎた余り、結衣からの借金は500万に膨れ上がり、後々
いやあ、明石を転属させるタイミングがもうここしか無かったので。
Tips『綾波殴り込み事件』
この事件は色々やばいのでシークレットとなっている。