続・みんなと艦娘日和   作:SAMICO

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エナツキの暁とサブメンバーである美雪が恵奈に割とシャレにならんドッキリを仕掛ける。
そんな恵奈の反応とは……?


今回は陸地エピソードです。


MeTuberエナツキ~恐怖!ドッキリ計画!~

恵奈がMeTubeを始めて、早7年近く経っている。

『エナツキチャンネル』もチャンネル登録者150万人以上を超えて、200万人を射程距離に捉えている。『エナツキ』はMCN(マルチチャンネルネットワーク)にもクリエイターとして所属するに至っている。

それと同時に、湊による軍の監修と編集は終了して、恵奈と所属MCNのマネジャーに委ね、軍の広報活動は、『軍とのコラボ』ということで行うようになっている。

現在、その窓口は艦娘本部へと変わり、軍との関係は未だに続いている。

 

中学に入った時、メインチャンネルは恵奈が編集制作をしていたが、暁が編集、制作を行う『エナツキ日和』という、サブチャンネルを開設していた。

こっち(エナツキ日和)ではメインの裏話や、ただエナツキが雑談する等の、内容となっている。

エナツキのサブメンバーも、あのお友達トリオのうち、元気の良かった美雪と天然不思議ちゃん系の杏子の両親が、工事完了後も名古屋に残った為、

小5の頃から両親の許可をもらって参加している。

 

中学に入ってからドッキリも解禁していた。

主に、恵奈&杏子が暁に仕掛ける、不思議ドッキリ。

過激な美雪と暁が恵奈に仕掛けるドッキリ。

そして、四人で軍関係者(主に両親(奈緒と恵一郎))に仕掛けるドッキリ、である。

 

―――――

そんなある日、いつもの艦娘寮で撮影が行われる。

「はーい、エナツキよ。今日も頑張って行きましょ」

「はい。美雪だよ」

いつもの恵奈の座り位置に、美雪が座っている。

「はい。ドッキリをね、仕掛けたいと思うんだけど?」

「今日は、何を仕掛けるの?」

切り出した美雪に、暁が首を傾げて問いかける。

成長した美雪は、すらっとした少女に育った。

「美雪ね、彼氏居るじゃん?」

「あー、高校生の?」

今時の中三らしく、美雪には彼氏がいる。今高校三年生の、割りとイケメン男子である。

ちなみに、来年度士官学校を目指している。憧れは湊(・)さ(・)ん(・)だ、そうだ。

立石堅(たていしけん)君と言って、恵奈達も面識がある。

「そそ。美雪が『妊娠しちゃった』って言ってどうしようか、ってサブチャンの撮影と言って集まってから、隠しカメラ設置してモニタリングするの」

「あー、そういうことかあ。あ、ちなみにこの子、まだ『そういうこと』し(・)て(・)な(・)い(・)から」

一応、既に撮影は始まっているので、美雪の説明に暁がカメラに向かって、補足説明をする。

「そそ、まだ中学生だし。でもさぁ、最近の女子中学生って、割と過激よ、えっとねぇ……」

そう言ってから、耳元で同級生達の話を暁に話す。この部分は当然、編集ではピー音を入れることになるだろう。暁は腰に手を当てて、プンプンポーズをする。

「まじ!?そんなの、よく親が止めないわね。そういうのはダメよ。ちゃんと、将来の事考えて動きなさいね!」

「ネットに動画とか画像とか、一度流れると拡散して消えないからね」

「そうよ。ネットは楽しいけど、怖(・)い(・)も(・)の(・)でもあるのよ」

最近のネットでの子どものトラブル等に、注意喚起することを忘れない。

定(・)期(・)的(・)に、ネットの注意喚起をするのも、エナツキチャンネルの特徴である。

 

「それで、本題。四人揃って、サブチャン撮る前に相談があるって言って、相談を持ちかけるの。あ、杏子は食(・)べ(・)放(・)題(・)一(・)回(・)分(・)で(・)買(・)収(・)済(・)み(・)」

杏子は、いつもニコニコほんわか天然不思議ちゃんである。体型は標準より少しふっくらしているだ(・)け(・)なのに、かなりの大(・)食(・)い(・)である。

見た目は着痩せするタイプなので、痩せの大食いである。

それで、大食い企画には救世主となっている。

居酒屋鳳翔とのタイアップ企画で、鳳翔をゲストに、居酒屋鳳翔金城埠頭本店でフードメニュー全部食べる、と言う企画では、杏子以外の三人が「もう食べれない……」と言っている中、残りをみんな完食するほどの、大食いクイーンである。

余談だが、クリスマスパーティの時に、大食いで赤城と競った彼(・)は、今や力士となり、赤(・)城(・)乃(・)山(・)翔太の四股名で、関取として頑張っている。

……という訳で、杏子は簡単に食で寝返った。

というより、ドッキリ企画は、もう片方の相方が裏切る確率が高い。

美雪も、恵奈の仕掛けるドッキリには、ドッキリを掛(・)け(・)る(・)側(・)に回るのだ。

最近は、お互いドッキリを警戒した為、ここ半年くらいお互いへのドッキリは、封印状態だった。

「杏子はこっち側ね。それじゃあ、ケンくんとの子どもが出来た、って言うのね?それで、どういう風にするの?」

「えっとね。妊娠したから、美雪は高校進学諦めてバイトする、ケンくんは士官学校に進む。美雪一人で育てる、って感じ?」

「そういう『設定』ね。オカンは?」

「オカンには、ドッキリ内容相談済み。『良いぞもっとやれ』って」

ちょっと噛み合ってない話に、暁がてしっとツッコミを入れる。

「違う、そっちじゃない!『設定上』のオ(・)カ(・)ン(・)」

「ああ、『貴方の責任に於いて育てなさい。実家は援助しない』って突き放された、って。オカンと相談して決めた」

割りとシビアな設定で、暁がうーんと考える。

「割りとありそうな、シビアな設定ね。そういうドッキリ初めてだから、どうなるか……やってみないと、わからないわね?」

「だね」

明るく美雪も答える。

「ところで。もし本当にそうだったら?とか訊いた?」

流し目で美雪を見遣る暁に、美雪はあっけらかんと答える。

「ん?『30代前半で、ば(・)あ(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)はキツイ。でも、万一があったらかーちゃん育てたるわ』ってさ」

この娘にして、この母である。16の時に美雪を産んで、現在31歳である。

余談だが、美雪父は還(・)暦(・)を迎えている。傍から見れば、父(・)娘(・)孫(・)である。

「そ……そう」

その回答に、苦笑いを浮かべる暁だった。

 

 

この収録から数時間後、恵奈と杏子は人数分のお昼ごはん――今日はピザである――とコーラを買って、やってくる。

恵奈と暁の艦娘寮は二人部屋と言いつつ、四人(今までいた)部屋から二段ベッドと両サイドの机を撤去しただ(・)け(・)なので、部屋の移動はしていない上に広い。

近々、警備府近くに一軒家を借りて、「エナツキハウス」として、四人で共同生活をする計画である。

部屋が余ってるので、科学監修のサブメンバー夕張も転がり込む話になって、都合五人である。

美雪も杏子の両親も、この恵奈と暁、中部警備府には信頼を置いている為、ちょくちょく見に来るものの、一応大人の暁と夕張がいるならと、この共同生活を許可している。

この様子は、クローゼット上に隠して設置してある、カメラで収録されている。

「ねー。サブチャン撮るんだけど、その前ご飯がてら相談良い?」

ピザは、Lサイズを三人で、Mサイズを杏子が一人で食べる、という形になる。

「んー?どうしたー?」

恵奈がコーラを口につけて、飲みながら訊く。

「あのねー、出来ちゃった」

『え?』

仕(・)込(・)み(・)済(・)み(・)の(・)暁(・)と(・)杏(・)子(・)、そして、ターゲットの恵奈が絶句する。

「だから、生理が来ないから、検査薬買って検査したら、陽性でさ」

「まじ……?」

暁も、驚いたよ(・)う(・)に(・)問い直す。

「うん。それでね、進学やめてバイトしようかな、って」

「うーん……お母さんは?」

マイペースに自分のピザを食べながら、杏子が訊く。

「うん。『二人できちんと育てろ、実家から援助はしない』って」

ちょっと沈んだような言葉に、恵奈は真剣に考え込む。

「ケン君はどうすんの?」

恵奈の言葉に、美雪は、

「予定通り、士官学校進んでもらって、一(・)人(・)で(・)卒業まで育てるよ」

「そんなの、無理だよ!」

恵奈が、ドンっとテーブルを叩いて立ち上がり、まっすぐ美雪を見据えた。

「何考えてるの?馬鹿なの?死ぬの?そんなの無理に決まってるじゃない!世の中そんなに甘くないよ!」

「えっ、あ……」

その、予想外の反応に、気圧される美雪。

「美雪は簡単に考えてるけど、子どもを産見ながら育てる、ってどんなに大変かわかってる!?智子さんが、紀ちゃんをどれだけ皆の助けで、智紀さんが士官学校行ってる間、そして出て(卒業して)からも、育てていったか!?大変なんだよ!?美雪は甘く考え過ぎ。そんなだったら、今すぐ堕ろしたほうがいい!」

恵奈は、智子が紀子を育てながら、総務部長としての重責を担っていることを側で見てきた為、子(・)育(・)て(・)の(・)大(・)変(・)さ(・)は、身に染みて解っている。

夜泣きで眠れない中、ほぼ徹夜でも、目に大きな隈を作りながらも、クールに仕事をこなす。周囲も、可能な限り総務部の負担を軽くするように、業務分担をする。

智紀も、可能な限り中部警備府に戻って、育児を手伝う。

周囲の仲間達も出来る限り、ただ、や(・)り(・)過(・)ぎ(・)な(・)い(・)よ(・)う(・)に(・)暖かく見守る。

そして迎えた入学式。智子と智紀の嬉し涙は、恵奈にとっても忘れられない光景、なのだ。

そして、智紀は外洋任務に就いて、智子のお腹の中には第二子の男の子がいる。

その様子を知っているからこそ、恵奈は心の底から激怒した。

「これで、私の事嫌いになってくれても構わない。でも、私は美(・)雪(・)の(・)事(・)が(・)友(・)達(・)と(・)し(・)て(・)大(・)事(・)だから言うけど、そんなことは絶対無理。世の中甘く見ないで。MeTuberの収入だって、人気商売なんだからいつまであるかわからないんだよ?もし、エナツキ終わったら、あとはどうすんの?」

『…………』

何も言えない、美雪含めた三人。

暁が、ちらっと目配せをする。

「まあ、でも、昨日来(・)た(・)ん(・)だ(・)け(・)ど(・)ね(・)。生(・)理(・)」

「でもじゃなくって!……え?来たの?」

キョトンとする恵奈に、にこにこ笑い出す三人。

恵奈は、キョロキョロとあたりを見回して、クローゼットの上にある「それ(カメラ)」を確認する。

「あ゛ぁぁぁーーーーーっ!!!!!ドッキリかぁぁぁ!!!」

絶叫を上げながら、ヘナヘナと椅子に崩れ落ちる。

「あははは、ごめんね。でも、恵奈が美雪のこと、ここまで大事に思ってくれたってわかって、すごい嬉しい」

「うー………これ、私編集すんの?どういう罰ゲームだよぉ……?」

テーブルに突っ伏す恵奈に感謝の言葉を投げかける美雪。恵奈は、こ(・)れ(・)がメインチャンネルのネタだと察知して、突っ伏したまま文句を言う。

「恵奈ちゃん、どんまい」

マイペースな杏子は、自分のピザを平らげながら、にこやかに声をかける。

「杏子は、食い物で寝返ったんだね?」

顔を上げながら、ジト目で杏子を見る恵奈に、杏子はにこやかに、首を縦に振る。

「うん」

「ですよねー!こんちくしょー!!」

そんな、恵奈の絶叫が響き渡った。

そんな恵奈を、三人は楽しそうに見守っているのだった。

 

 

 

「うー……次は絶対に強烈なやつ(ドッキリ)、夕張さん監修でやってやる……」

一人、艦娘寮の机の上でノートパソコンを開いて、編集作業に勤しんでいる恵奈は、そんなことを呟いている。

ドッキリが発覚したシーンで、『この雑魚(ビッチ)が』by恵奈 と、赤黒のテロップを付けた。

暁は今、斜めになった恵奈のご機嫌を取る為に、買い出しに出かけている。

そして、そんなことを言いながら、仲良くサブチャンネルを撮りつつ、仲良くおやつしながら雑談をする二人。

 

その後、恵奈は暁に、化学系のドッキリを仕掛けることになるのだが、今はまだ暁は知らない。

そして、美雪は喜々として恵奈に寝返るだろう、というのも、まだ暁は知らない。

こうして、第(・)二(・)次(・)ド(・)ッ(・)キ(・)リ(・)大(・)戦(・)の火蓋は切って落とされたのだ。

といってもお互いが、お互いのことが大好きだからやっているドッキリで、愛(・)情(・)表(・)現(・)である。

視聴者も、もはやエナツキの二人のことは婦(・)婦(・)扱(・)い(・)である。

視聴者層もアンチコメはあるものの、二人の妹を見守る、お兄ちゃんお姉ちゃん的なコメントが多い。

 

 

今日も中部警備府は平和である。




次回も19時投下予定。

年内は予定が詰まってるので年明けの予感。


こっからが私にとっての師走(地獄)だ。
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