続・みんなと艦娘日和   作:SAMICO

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大変遅くなって申し訳ありません


今回も短めです。


台湾脱出作戦

「くっそ!!なんて数だ!!!」

未だにいずも改二は出港できず、台湾近海に釘付けになっていた。

 

 

遡ること四月末、いずも改二に乗り込んでいるSハウンドは、台湾国民の大歓迎を受けていた。

台湾の人々の中には、日本語が喋れる人が何人もいた。

台湾は親日国として知られているが、彼等(台湾国民)から聞いた、先祖から受け継がれた理由に、彼等若い日本国防軍の軍人は深い感銘を受けていた。

 

日本軍と台湾は深い関係があり、日本統治時代に行われた莫大な国家予算を投じての近代化政策により、土地改革やライフラインの整備、アヘン中毒者の撲滅、学校教育、産業の育成等が推進された。

欧米諸国のような一方的略奪や、労働力の収奪のような植民地支配とは異なる方針を取っていたのだ。

予定では、一~二日滞在するだけで終わる予定だったが、外務省がわざわざいずも改二に外交官を派遣して同行するという、()()()()()をしてしまった為に、

予定が延びに延び、一週間以上の滞在となったのだ。

司令官の陽子と、艦長の智紀、そしてその護衛である結有は、外交官と共に台湾の各地を歴訪、

地元の人々と会話を交わし、日本語が堪能な当時の子息達の言葉に耳を傾けている。

ちなみに、智紀は中国語での会話ができる。これは不良時代に、日本にいた黒孩子達のグループと関係を持っていた為である。

その中には台湾出身の人間もいて、取り敢えず中台両方の言葉でさらっと会話はできたのである。

余談だが、彼等のグループとは今でも関係を持っている。智紀本人は関係を断つつもりでいたのだが、結衣の提案により、士官学校卒業後に再会を果たした。

今、彼等のグループはPMSCs(民間軍事警備会社)を立ち上げ、復興期を終えて雇用削減の対象になった元海兵旅団員達をメンバーに加え、各地の安全保障を担う会社となっている。

仕事は海兵旅団同様、陸地に上がってきた深海棲艦退治である。ただ契約先は太平洋地区の多岐に渡っている為、多忙な日々を送っているという。

これには結衣達情報部や、村上建設や鳳翔ホールディングスも関わっていて、鳳翔ホールディングス傘下子会社の一つでもある。

智紀が室戸泊地の襲撃を、薄雲こと新井田博士から受けて、幕僚が全滅した時も、元海兵旅団の精鋭オールスターズと喧嘩慣れしている元不良達の夢のタッグで、智紀の生命が救われた側面もある。

 

そんな智紀の存在のおかげで色んな話を聞いて、数々のもてなしも受け、いずも改二に戻って来ていた。

もちろん、残留したクルーも半舷休暇を交互に取りながら、台湾の周辺警備を行っていた。

「ただいま。今戻ったぞ」

戻ってきた陽子に、艦長・司令官代行の村井杏奈が、艦長席から立ち上がって笑みを向ける。

「こちらも、半舷休憩を取りながら台湾を満喫できました。皆リフレッシュできました」

その言葉に、両手いっぱいにお土産を持ってる結有も、

「皆の分もお土産持ってきたよ」

「そんじゃ、出港したら皆で食べようかね?」

そんなことをいう智紀の横に、ミナが現れる。

「全員の乗り込みが完了いたしました」

「よっしゃ、出港だ。行き先はミャンマー!」

 

台湾国民の見送りを受け、出港してミャンマーに向かおうとしていた時、ブリッジにミナが現れた。

「アドミラル、キャプテン、大量の人工深海棲艦です。パターンからすると、以前キャプテンが中部警備府で戦ったパッチワーク級です。数は30以上」

パッチワーク級とは、複数の艦種を繋いだ()()()()()()()()()()のような再生深海棲艦である。

怨霊のような形相の彼女等は、完全な人工(艦娘型)深海棲艦や完全に再生した人工(再生型)深海棲艦とは違い、苦悶の叫び声を上げている。まさに、()()()()である。

このパッチワーク級は、通常の深海棲艦も襲うし、人工深海棲艦も襲う。もちろん艦娘も襲う知性の欠片もない連中である。

「やっぱりか。どうもここに、俺達を釘付けにしたいようだな」

智紀が吐き捨てると、ブリッジに居る吹雪に顔を向ける。

「こいつ等は知性も何にもない破壊衝動の塊だ。このまま放置したら、台湾に被害が出る」

「智紀の言うとおりだぞ。Sハウンド、艦娘部隊出撃!」

智紀に続き、陽子が指示を飛ばすと、吹雪は敬礼してブリッジを後にする。

後部出撃口に向かい、現場指揮を執る為だ。

「あのぉ……私は何をしていれば……」

戻りそこねた、外務省の外交官が不安そうにしているが、智紀は、

「取り敢えず、ラウンジで茶でも飲んでてください。()()()()()なんで。結有、こっちはいいから、外交官サンの護衛頼むわ」

「はい、わかりました。さあ、こちらへどうぞ」

そう言いながら、不運な外交官をラウンジに案内する。

「新井田の野郎は何を考えてやがんだ……?」

 

台湾近海での戦いは、思ったよりも長く続いていた。

艦娘達は合計九名を二交代に分け、24時間体制で交互に出撃と休息を繰り返している。

近場に居る海人艦隊も、沖縄方向にも流出するパッチワーク級の対応の為に、援護が出来ないでいる。

「すまんな。こっちも離れる訳にはいかないんだ」

申し訳無さそうな顔で通信を送る、父である陽三に、陽子も首を横に振る。

「寧ろ、司令官(父さん)は持ち場から離れない方がいいと思うぞ。これは何かを狙っている」

 

艦娘達の疲労も蓄積された頃、智紀は密かにスマホのLINEを送っていた。

それは、恵奈への極秘指示だった。

曰く『こちらから指定した箇所への爆撃攻撃を行うように、翼妖精さんに言ってくれ。場所は追って指示する』というものだった。

智紀はレーダーを駆使して、パッチワーク級の出現ポイントに、法則性があることに気づいていた。

智紀から、恵奈経由で翼に齎された情報で、中部警備府の『無断出撃』が行われていた。

松本親子の例もあるように、艦娘本部『以外』のネズミ(内通者)対策の為に、通常ではあり得ないルートでの攻撃指示を行ったのだ。

翼妖精さん率いる中部警備府基地航空隊は、次々と『無断出撃』を行っていた。

そんなことを行えば、もちろん湊の耳に入り、それは即ち結衣の耳にも入ることになる。

結衣は、私的な政治ルートで米中軍艦娘艦隊の台湾警備を要請、中部警備府基地航空隊が台湾近辺にウヨウヨしているパッチワーク級を焼き払っている間に、米中連合艦娘艦隊が演習を名目に、台湾に集結。

台湾包囲網に、綻びが見え始めていた。

「よし、今だ! 予定を変更。行き先は太平洋!」

陽子の指示に、智紀も頷いた。

「よし!ミナ、ミャンマー行きは無しだ。太平洋に出るぞ!」

『了解しました。行き先をソロモン諸島にセットします』

ミナの言葉に、全員がコクリと頷く。

『前方に集結中のパッチワーク級に向かい、主砲発射します』

「よし、ファイア!」

 

大きな爆音と共に発射された砲弾が、集結するパッチワーク級の群れに飛び込むと、眩い閃光と共に大爆発を起こし、大きなきのこ雲が上がる。

周囲には、木っ端微塵に吹き飛んだ深海棲艦の残骸が浮かんでいる……

「ミナ、全速前進!」

『了解』

いずも改二は、そのまま台湾近海を後にした。

その背後では、米中連合艦娘艦隊が演習を名目に、残敵掃討を開始している。

 

『アドミラル、キャプテン、追撃を受けています。艦種は駆逐艦薄雲。恵海が向かいました」

「………」

現在他の艦娘は補給と入渠中で、ノーダメージで補給を受けたばかりの恵海が、外に出ていたのだった。

 

洋上では、恵海改二駆と薄雲が相対している。

「薄雲さん……いえ、新井田。何を考えてこのようなことを?」

「第三世代艤装計画を完成させるだけのことよ。何故『()()()()』だけが、救われたかはわからないがな」

冷静な恵海の表情に、獰猛な笑みを浮かべる薄雲(新井田)

「そういう事ですか……やはり貴方は私が止めなくてはなりませんね……チェンジ・改二雷」

 

恵海は駆逐艦カードを抜くと、()()()()()()()()()()()を挿し込む。

これは、()()()()()への変身である。

薄雲も、銃型のチェンジャーを構え、人工深海棲艦・雷巡型を数体出す。

この人工深海棲艦は、大井と北上を足して二で割ったフォルムである。

それは、恵海が一番嫌う行動である。恵海の表情には不愉快が顕わになっている。

「………どうしても、私を怒らせたいようですね?」

「……では失礼」

薄雲はにやりと笑うと、潜水艦にチェンジして、海の底へと潜航していった。

「待っ……!」

追いかけようとする足元に、雷撃が掠める。

「恵海っち!」

「恵海!」

真っ先に、補給と休息を終えた大井と北上が、再出撃して来ていた。

「ふぅ………すみません。少し熱くなり過ぎました」

そう言うと、再び改二航にチェンジする。

「それじゃあ、ちゃっちゃと気持ち悪い物体、始末しちゃおうか?」

「ですね」

北上と大井もまた、この艦種だけは嫌いなのだ。自分達に似せられたその姿かたちが……

「では、航空部隊出撃!焼き払ってください!」

恵海から艦爆が出撃する。超大和級航空雷装戦艦である改二航は、水上攻撃機ではなく艦載爆撃機を搭載している。

完全に、()()()()()()()()()を行っているのである。

その爆撃で半数以上を減らす。

そして、それぞれ雷撃を行う。大井と北上が発射して、こちらに向けられた避けきれなさそうな魚雷は、恵海が体を張って止める。

超大型で頑丈な、日向・大和と並ぶ超々弩級戦艦、多少の魚雷ではびくともしないのだ。

「くっ……」

それでも、少しは痛い為、大井と北上はいつも心配そうな顔をする。

それを恵海が振り向いて、笑顔を浮かべるのだ。

二人の雷撃で、残りの敵も一掃した頃、通信が入ってきた。

『お前等、大丈夫か?』

「はい。私が小破以外は無事です」

『よし、では全艦帰投。ソロモンに向かうぞ』

「了解!」

三人は手を繋ぎながら、いずも改二に帰投する。

こうして、いずも改二はソロモンへ向かっていった……

 

その様子を、DSキラーが顔だけ海面に出して見ていて、その姿が見えなくなる頃、再び潜航して何処かに行ってしまった……

 




次回投稿予定は14日19時予定です。
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