環境に適応していくのも大事なのかもしれない。

1 / 1
匕首

Aikuthi。

 

 

 

 

 

 

彼は頭が冴えている。しかも周囲の同年代とは比べ物にならない程。

()れは小学校の時代に皆理解している。

確かに上を向けば見切れるほど人が居る。

然しながら彼が置かれている状況に至っては、それは事実なのだ。

これを羨むか、又は妬むかは、これを読んでいる貴方(あなた)に任せるとして、今は羨む人に向けて(つづ)りたいと思う。

 

 

 

 

 

 

一般論で考えると、誰もが羨むであろう才能だが、其れにも本人しか分からない物がある。

其れに限らず他も同じだ。例えば自殺する動機等も他人には何もわかりはしない。

其れを分かった振りをして語るのは醜い────と、そんな事を解説しても意味が無いので本題に戻る。

繰り返す様だが、彼は奇才とも言える存在だった。

彼は小学四年の時点で、パソコンを弄り、ツイッタア等をしていた。中学一年には、右にスマアトフオンとテレビ。目の前にモニタア。そんな状態だった。(そうであれば奇才という事ではない。)

定期的に行うテストも、何も勉強せずとも、100点近くは安定だった。平均点以上なんてハアドルは目にもなかった。

そんな彼に何の不満があるであろう。

其れは、周囲とのレベルが違いすぎる為、話が通じない、故にストレスが溜まりやすい、という事であった。

これを甘くみてはいけない。一時二時なら善いのだが、其れが何年間も付いて回るからだ。

分かり易くする為に、彼と彼の同級生との日頃の会話を綴っておこう。小学六年の頃だ。

 

「お前こっち見んな。」

 

そう同級生は言った。初っ端から笑ってしまうほどの汚言である。

 

「見てないよ。」

 

「今見てるだろ。」

 

「其れは今、君が僕に話しかけたからだろう。」

 

五月蝿(うるさ)い、黙れ。」

 

この様な会話に日々耐えている。

これだけでは彼の知能の発達の速さは表現出来ない上、周囲が遅いとも考えられてしまうが、最大限まで表現しようとすると終わりが見えないので、これだけにする。()(かく)、彼は発達が速い。

正直、そう言うが微妙なものだ。結局。

確実に断言出来るのは、誰とも匕首(あいくち)が合わなかったり誰と話しても馬鹿っぽく感じるのは、誰もが思っている訳ではない、彼だからこそ、という事。

それを君が羨むか。嫌うか。

確かに頭が良いのは善い事だ。当り前である。

だが、反面があると言うのだから、考え物なのだ。

僕が(いく)ら頭を働かせた所で、これ以上の結論は出ない為、あとは君に委ねるとする。

 

 

 

 

 

 

一回進んだ知能は戻せはしない。唯耐え、善い加減に調子を合わせるしかない。

否応無しに進む時を待つしかないのか。

そう頭に問いかけながら、彼は橙の空に欠伸をした。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。