果たして結果は如何に!?
「さて、一休みしたところで次は私の番かな?」
「はい! よろしくお願いします!!」
始めから全力全開だ……憧れの剣聖黛十一段との一戦が一発KOとかありないから! 今度は由紀江さんが開始の合図を務めてくれるようだ。
「由紀江…この試合、一瞬たりとも目を反らさぬように見ていなさい」
「は、はい父上!」
位置につく――合図とともに試合が始まる。
「――っつ!?」
開始と同時に一瞬の攻防。解き放たれた剣聖の剣圧に呑まれ、一手出遅れてしまった……なんとか防御はしたものの壁に吹き飛ばされてしまう。
「黛流・紫電三突」
速い、そして重い。先ほど由紀江さんのを見ていなかったら一発KO決められてたよ!
「防いできたか……一応全力でいったつもりだったんだけどね」
「初見だったらやられてましたよ!」
冗談っぽく笑って返すが、由紀江さんのとはレベルが違う!! ダメだ、正攻法で勝てる道筋が全く見えない……
「お姉ちゃん、今の一瞬に何があったの? 私何も見えなかった……」
「……父上が先ほど私が放った紫電三突を海人さんに……海人さんは全て防ぎはしたものの威力を殺しきれず壁へ飛ばされたみたい」
「みたい?」
「私も全ては見えなかったから、会話の内容からの想像で……」
「うわぁ……」
その後2人は乱打戦が続いているけど、お父さんが優勢に見える。海人さんはほとんど防戦に回っているからだ。
「あっ、いけない!」
一瞬のスキをつき、海人さんが反撃に出る。だけどそれは誘いの罠で、海人さんの一撃は止められ、父上の当て身によって再び吹き飛ばされていた。
一瞬のスキをついた! と思ったのは巧妙な罠だった――当て身で返され、肺の空気とともに一瞬にして吹き飛ばされる。
「だあぁぁぁぁぁ!!!!」
叫び声をあげて勢いよく起き上がり、自分に活を入れる。このままじゃダメだと黛先生に一時中断をお願いし、竹刀袋からもう一本の木刀を取り出す。
「ふむ。二刀流かね? 手数で攻めてくる気かな?」
「宮本武蔵にも憧れてまして!」
そういって今度はこちらから攻める。決まりはしないものの、ある程度まで返せるようにはなった。
「言うだけのことはあるね……(この年でこの実力……恐ろしいな)ならこちらも数を増やすか」
攻撃をはじかれたタイミングで黛先生がバックステップで距離を取る――追いかけるように距離を詰める俺に……
「黛流・十二斬」
高速の斬撃が一瞬にして襲いかかる――気づけば再び壁に吹き飛ばされていた。
「――はっ!? それまで! 勝者――『待ちなさい』えっ!?」
「いくつかは入ったが、決定打になるものは無かった……だろう? 海人君」
「……半分は勘で運良く防いだようなものですよ。ほとんど見切れませんでした」
「運も実力の内さ。さてどうする? まだやるかね?」
「ではあと一手、まだ未完成ですが奥義を使わせてもらいます」
「奥義ね……変わった構えだね(逆手の居合い? 二刀流の――いや鞘に納めてもないし……)」
「まだ未完成ゆえ、この状態からしか放てないんですよ」
「ふむ。ならばこちらも奥義をもって返そう」
お互いに気が高ぶっていく……とりあえずヤバい一撃がくるのは間違いない。だけど一矢報いてみせる!
「牙王」
「阿頼耶」
放たれた二つの奥義――結果は――
ふと目が覚める。どうやら気絶していたみたいだな……
「あっ、目が覚めたみたいですね」
「沙也佳さん――に由紀江さん?」
隣に沙也佳さんと、扉からひょっこり頭だけ覗かせている由紀江さんが居た。
「ほらお姉ちゃん。バレバレだから隠れてないで出てきたら?」
「え!? えっと――わた、わたし父上を呼んで参ります!!」
「あっ! もぅ……お姉ちゃんったら。すみません……騒がしい姉で」
「いえ、それで――試合は」
「正直、速すぎて細かいところまでは分かりませんでしたが……最後衝撃音とともに二人とも吹っ飛んでダウン。お父さんはちょっとして起き上がりましたけど、布仏さんはそのまま気絶されていて、父上がこちらに運びました」
「そうでしたか……今回は俺の負け――『いや、引き分けだね』黛先生!?」
「一瞬とはいえ私も意識飛んでいたからね。驚いたよ! なんだいあの技は? 一瞬背筋がヒヤリとしたよ……」
「それはこちらも一緒ですよ! 気づいたら布団の上ですから……しかしアレで引き分けなど私としても納得が!」
「いいからいいから。気になるならもっと修行して今度は勝ちに来なさい。海人君との一戦は私としても楽しかったしね」
「む~次は逆に俺が圧倒して勝ってみせます!」
「うむ。その意気だよ! それでだが今日は泊まっていきなさい」
「いえ!? そこまでご迷惑掛けるわけには!」
「もう今からじゃ終電間に合いませんよ? この辺泊まるようなとこも無いですし……」
「…………すみません……お世話になります……」
こうして俺の武者修行一日目は終わりを告げた…
「どうだい海人君? 由紀江の料理の味は? なかなかのものだろう」
「すごく美味しいです! (料理の)見た目もきれいだし、由紀江さんは将来良いお嫁さんになれますね!」
と2人の会話に顔を真っ赤にする由紀江ちゃんがいたとか。
我流奥義・牙王
参考にした元ネタは、とある青年コミックの格闘漫画で出てくる最強技で、本来は刀ではなく足技でしたね。どっかの有名なグラップラーな青年も何人かに決めてましたし★