※前編前書き
前話の後書きからというか……実は以前登場人物紹介で近衛紅葉を書いた時からおまけで書こうと考えてたネタです。
ガクトに春が!? 彼は決してモテないキャラではないのです。川神学園の下級生の中には、ガクトの事を好意的に見ている人もいるとか……しかし、彼は大の年上お姉さん好きなのも相成り+身近な年上お姉さんは……まぁアレです(笑)
そんな中現れた筋肉フェチの年上お姉さん……そんな二人が描き出す、愛と筋肉の物語☆
※前編後書き
???「じ~ぃっっっ」
仏「…………」
???「じ~ぃっっっ」
仏「……あの、入られないのですか?」
???「…………」
扉のすき間からカウンターの仏をじっと見つめる少女……更新を待つもう一人のヒロインの少女である。
???「こっちの方は更新再開されたのに私の方はまだなのかなぁ~って……」
シュバッ!!
仏「あぁ! マスターが消えた!?」
???「私だっていつまでも待っていられる程、気は長くないんですよ?…………」
仏「……ま、前向きに善処致しますm(_ _)m」
???「そんな言葉だけのは要らないんです!!!!」
仏「ぎゃっふ!?」
この日、仏の喫茶店は臨時休業となった。
お待ちを! もうしばしお待ちをぉぉぉ~~
【真剣で筋肉に恋しなさい!!】
これは私こと近衛紅葉と愛しのガクト様の出会いと愛の日々をたんたんとつづったものです。過度な期待はしないで下さい。
【真剣で筋肉に恋しなさい!!】
【近衛家】……古くは鎌倉時代から続く古武術の名家で、今は私の父が当主兼近衛流道場の師範を勤めています。
父と兄の影響もあり、私も幼い頃から近衛流の修行をしていましたが、門下生に女子が私一人しかいなかった事もあり、中学にあがる時に道場に通うのを辞めてしまいました……その思春期特有の悩みと言いますか……近衛流にも投げ技や組み技もありまして…………
勿論、鍛錬も辞めたわけではないですよ? 兄の自主練に付き合ったり、燕ちゃんと仲良くなってからは、燕ちゃんのところの訓練所で一緒に鍛錬したりもしています。
これでも中学二年くらいまでは兄より私の方が強かったんです!
さて……私の紹介はこれくらいにして~「誰に?」……舞ちゃん? それは聞かないお約束ですよ★
運命の出会いは突然でした……舞ちゃんと一緒に軽くランチをと訪れた喫茶店でその人は現れた。
私たちが兄の将来について心配していたさなか、団体のお客さんが入って来る。騒がしくもおのおの行動する中、私の視線はカウンターの前でマスターに筋肉自慢をする一人の男の子に釘付けになってしまった。
「……イイ」
「……はっ?」
「……あの筋肉……イイワ★」
「あの……紅葉~大丈夫~?」
まるで獲物を見つけた鷹の如く、彼を見つめる私……その視線に気づいたのか一人の少女がこちらへとやってくる。
「こんにちわ~お二人でティータイムですか?(うん! 間近で見ても美少女二人☆これはお近づきにならねば!)」
「え!? えっと、はい」
突然声を掛けられた事に驚く舞ちゃんをスルーして、私は彼への視線を離さない。
「えっと……何かこっちの方をジッと見ていた……というか今も見ているのが気になって声を掛けたんだけど……(この視線の先に居るのは、ガクトとモロか?)」
「も……紅葉!」
さすがに視線を外さず、反応を示さない私をマズいと思ったのか舞ちゃんが肩に手を置いて、呼び掛けてくる。
仕方なく視線を目の前の少女に向けると、意外にも知っている顔だった。
「川神……百代さん?」
「おっ? 私の事を知ってるみたいだな」「えっ? 川神百代ってあの武神の!?」
【川神百代】……生まれ持った天武の才から若くして武神と恐れられ、次期武道四天王入りも間違いなしといわれる逸材で、その見た目もあってか武術を嗜む者たちの憧れの存在でもある。
しかし、今の私にとってはそれも関係なく、もっと優先すべき事があるのだ!!
「すみません、川神さん……私少しやる事が……舞ちゃん、悪いけど川神さんのお相手よろしく」
そう言って私は席を立ち、マスターに筋肉をスルーされ、カウンターに寂しく座る彼の下へ歩き出す。
席を立ち、離れていく紅葉を見ながら、目の前にキョトンと立ち尽くす武神こと川神百代さんをどうしようかと悩む。
先程の言動から紅葉が何をしようとしているのかは、おおよそ予想は付いている。紅葉のアレを知っているから……とりあえず頼まれた事を遂行しよう。
――というかむしろ! 武神の川神さんとか興味アリアリだよ!!――そんな私はノリノリで川神さんに声を掛けたのだった。
一度、こちらの方を見た川神さんでしたが、ノリノリで話しかけてきた舞ちゃんに気を良くしたのか、二人で意気投合したようで、楽しそうに話している。
一方、私は彼のタンクトップの隙間から見える背筋と、上腕二頭筋に目を奪われながら、いざ目の前に来て、あと一歩を踏み出せないでいる。
マスターがチラチラとこちらを見てくる……私の心境はそれどころではなかったが、彼の隣に座る少年も私に気づいたのかチラチラと私を見てきた。そしてそれを不審に思ったのか、とうとう彼もこちらへ振り返ってしまい、私と目が合ってしまった…………
見つめ合う二人……そして時は動き出す!!
私の覚悟があと少しで出来るかというところで、後ろに立つ私に気づいた彼がこちらを振り返り……目が合ってしまった…………
「…………」
「…………」
しばらくの沈黙の後、動けないでいる私に彼は話しかけてきた。
「……美しい……」
「ふぇっ!?」
「お姉さん……このような場所に立ちつくされてどうされました? よろしければそちらの席で私とご一緒にティータイムでも如何ですか?」
ガクトがいつもの決め顔と決めポーズでそう言うのを横で見ていた三人(モロ、クリス、京)は……
「またガクトがやってるよ(あっ、これ一昨日貸したアニメのセリフまんまだ)」
「ガクトも懲りない奴だな(あのポージングはどうにかならんのか)」
「しょ~もない(また連敗記録更新かな~)」
……と軽くディスっていたものの……
「は、はい! 喜んで☆」
……紅葉が満面の笑みで、ガクトに返すのを見て……
「「「「なん……だと?」」」」
いや、ガクト君まで驚いちゃ駄目でしょう!? 他の三人はともかく!
――はっ!? いかん。普通につっこんでしまった。
「モ、モモモ、モロロ!! 俺の顔を殴ってみてくれ!」
「ガクト馬鹿なの!? そんな事より早く彼女の相手をしてあげなよ! せっかくなんだからホラホラ!!」
モロの両肩に手を乗せ、慌てるガクトを突き放し、ガクトの背中を押すモロ……せっかくの親友が掴んだチャンスを無くすまいと必死になる。
「クリスゥ~私は今、奇跡の目撃者になってるよぉ~~」
「いや、京。さすがにそれは言い過ぎではないのか?――って!? 京、泣いているのか!?」
大切なファミリーの一員が成し遂げた奇跡に感動の涙を流す京。口ではディスりながらも心の中では本当に喜んでいるのである。
「あ、あの……座られないのですか?」
「ほら! ガクト!」
モロに背中を押され、再び紅葉の前に立つガクト。顔は赤面し、先程決め顔を決めていた姿はもうそこにはない。
「あ、あのあの……そ、そうですね! 取りあえず座りましょう!!」
「はい!」
ガクトの緊張ぶりに、逆に落ち着きを取り戻した紅葉は再び獲物を見つけた鷹の如く――いや、既に捉えた獲物(ガクト)へのマシンガントークを始めるのであった。
一方その頃、周りはというと……
【モロ、クリス、京→】
「モロ、お疲れだったな」
「はぁ~なんとかね――って!? どうして京が泣いてるの!?!?」
「う゛ぅ……モロおつかれぇ~~」
「どうやらガクトのアレに感動して涙しているらしい」
「……あはは」
「うぅ~私も負けていられない! 大和のところ行ってくる!」
【大和、→京】
「…………(たまにはこうして一人、皆を眺めながらコーヒー飲むのも良いな~)」
「やぁ~まぁ~とぉ~! 私を慰めてぇ~~」
「だあぁぁぁぁ! いきなり抱きついてくるなぁ~~!!」
「……クンカクンカ!(あぁ~大和の匂い……落ち着くの~~)」
【海人、まゆっち、松風】
「……(モモ先輩が抜けた今がチャンス!)」
「まゆっちー! モモ先抜けた今がチャンスだ! 今こそ、書きに書き溜めた《海人さん質問集100》の出番だぜぃ☆」
「え? 何ソレ!?」
その後しばらく海人はまゆっち&松風のマシンガンクエスチョンの回答に追いやられる事となる。
【百代、舞】
「(紅葉は、どうやら上手くいったみたいね)……ところで、モモちゃんはやっぱり海人君狙いなの? 入ってきて速攻突撃かましてたし」
「そ、それは……」
親友のアタック成功にホッと胸を撫で下ろしながら、いつの間にかあだ名で呼び合う仲になった百代に、ふとした疑問を投げかける舞。
「あ、顔が赤くなった! 乙女してるモモちゃんカ~ワイイ☆」
「だあぁぁぁぁ! なら舞の方はどうなんだ!?――ま、まさか海人狙いだなんて言い出すんじゃないだろうな!?」
「え!? ち、違うよ~~! 確かに海人君は魅力的な男子だとは思うけど、私は他に好きな人いるし……片想いだけど」
「その辺詳しく!!」
こちらは変わらず盛り上がっている様子である。
カランカランとベルが鳴り、新たな来客を告げる。
「川神一子、遅ればせながら見参!」
「あと私もいます」
「お~ワンコやっと来たか! あと、チェルシーさん※もこんにちは~~で、試合結果はどうだったんだ!?」
「僅差だったけど、アタシの勝ち! 褒めて褒めて、おねえさま~」
そういうやいなや、百代の下へダイブし頭を差し出す一子。百代も一子を受け止め、ワシャワシャと髪を撫でながら、いもうとの健闘をたたえる。
そんな和やかな空気に包まれる一方……
「おぉ、メイドのお姉さん!」
ガクトが鼻の下を伸ばし、言ったこの一言で空気に亀裂が入る事となる……
「GA・KU・TO・様? 今は私とのお話し中ですよね?」
ハイライトの消えた目でガクトの背中を見つめる紅葉の視線に、背中が凍り付くのを感じたガクトは慌てて紅葉の方に向き直る。
はたして二人の恋路は上手くいくのでしょうか?
尚、この時、ガクトに鋭い視線を向けていた人がもう一人いたのは言わずもがなでしょうか? ふふふ。
※チェルシー
元のISの方の登場キャラで、本来はモブキャラですが、私の作品では重要なポジションを務めています。詳しく知りたい方は元の裏ルートをご参照下さい。
簡潔に言えば、仏のヒロインです☆
※後編後書き
しばらくして、海人君と風間ファミリーのメンバーが帰り、再び紅葉が私の居る席に満足げな顔で戻ってくる。
「んふふ……んふふふふ★」
「……紅葉。嬉しいのは分かったから少し落ち着きなさい」
少し妄想姫の独り言が続きます。
「『……美しい……お姉さん』だなんて……もう★初め、決め顔と決めマッスルポーズで誘ってきた時もかっこよかったし、触らせてもらった胸板も逞しくて……あぁ~どうしよう! 胸のときめきが収まらないよ~~☆」
「…………」
「私が話しかけている内に彼も落ち着いたのか、自慢の筋肉を決め顔でアピールしてきたんだけどね、ちょっとつついてあげたらまた顔赤くしちゃって、でもそれがまたかわいくて~~☆連絡先も交換したし、帰ったら電話してみようかな~彼ビックリするかなぁ!?!?」
「…………(……誰か助けて)」
私は助けを求めるべく、周りを見渡すと……「ナニアレ?」……さっきのメイドさんがカウンター席の下から頭だけを出し、マスターに向かって上目づかいで見つめている最中だった…………※1
「…………(ダメだ……ここに私の味方は居ない)」
諦めた少女はテーブルに突っ伏し、時が過ぎるのを待つことにした。
「ねぇ舞ちゃん。聞いてるの~ガクト様がね~~☆」
…………
……
※1
○Sの森の住人にまた一人、お仲間が増えたようです。
チェルシアンハムスターのチェルシーちゃん。
元の作品のネタの為、分からない方はゴメンナサイ!! 一応書いとくと、ナギルート八話の本文+後書きのとこのネタになります。