「フン!」
両者の両こぶしが地に下ろされたタイミングで、相撲部部長の勢いのあるぶちかましが海人の胸を打つ。それを受け止めた海人であったが、勢いに押され少し体を後退させる。
このまま押し出すつもりでぶちかました相撲部部長であったが、動かなくなった海人の体にこのままでは無理だと頭を上げ、自身の必殺技である張り手技【千手観音】を繰り出す。
「ハァハァハァハァハァッ!!」
無数の張り手が海人に迫るが、避けれるものは避け、当たりそうなものは受け流すことで、全て回避してみせる。
「はぁ……はぁ……儂の【千手観音】が一撃も当たらんじゃと」
「【千手観音】か……千手って言うならこれくらいは打たないとね」
そう言って海人は腕にグッと力を溜めるような仕草をしたあと、さっきの相撲部部長のように張り手の連打を打ち出した。
ペタリ。
次の瞬間、相撲部部長は尻もちを付き、呆然とした表情で海人を見ていた。
「勝者、布仏海人!」
「良し。まず一勝! いいぞー、海人☆」
百代の応援に軽く手を振る海人。初戦は危なげ無く勝ったのだった。
後に、新聞部からの取材で相撲部部長は語った。
「人にぶちかました感触じゃなかった……そして奴の張り手は一瞬だけ見えたが、儂の全身を包み込むような量の数の張り手が目の前に迫ってきて、気づいたらその圧力だけで尻もちを付いてしまっていた……あれを見たら自分の張り手に【千手観音】なんて名前付けるのもおこがましいとさえ思ってしまったでごわす」
「さて、次は誰が来ますか?」
「俺が行こう」
腰を上げたのは、柔道部部長。身長198cm体重1**kgとガタイがでかく、海人も175cmと決して低い訳では無いのだが、並ぶとその体格差がよく分かる。
「体格差、圧倒的ネ!」
「だが私は海人が投げられる未来は見えないな!」
「うん。私も」
「そんなに!?……コホン……で候か?」
女性陣の会話に柔道部部長が気合いを入れる。そこまで言われ投げない訳にはいかない。
これでもこの部長は団体主将であり、つい先日行われた全国大会でも100kg超級準優勝に輝いた猛者である。それは学園内でも表彰され多くの者が知るところであり、海人を良く知らない人からすれば、柔道部部長が勝つと思ってもおかしくはない。
その上、柔道は重量別に階級分けしてあるように体格差が大きなハンデとなる為である。
「試合開始!」
鉄心の開始の合図とともにスタスタと柔道部部長の方へ歩いていく海人。その様子はどうぞ投げて下さいとスキだらけである。
「!?……なっ……めるなぁ!!」
海人の服を掴むと同時に踏み込み、自身の一番得意な技である【内股】を仕掛ける。部長にとって完全に決まったと思った【内股】であったが……
ピタリ…………
場が一瞬停止する。柔道部部長は技を仕掛けた状態で固まり、海人は重心を下げた形で踏ん張ったような姿勢で二人が固まった状態になる。
「流石ですね。全力で踏ん張ってなかったら、投げられてましたね……ッツ、そぉーい!」
海人が柔道部部長の道着を掴み、足を引っ掛け、そのまま反対側に引きずり倒す。
「一本! それまで。勝者、布仏海人!」
「流石海人! なっ☆ 投げられなかっただろ?」
「海人、スゴイナ!」
「…………(あれだけ綺麗に決まった【内股】踏ん張るってどんな体幹してるのよ海人君)」
海人から差し出された手を取り、立ち上がった柔道部部長の姿を見て、観客の多くが歓声をあげる。
海人株急上昇↑(主に女性陣)
後に新聞部からの取材で柔道部部長は語った。
「巨大な岩を背負った様な感覚がした……もう二度と奴とはやりたくないな…………」
海人君強すぎ……けど彼は最強ではありません。
彼の強さの秘密は別の連載作品で明らかになってます。
一応次話後書きで二人をコラボさせようかと考えてます(笑)