◇一話 武者修行!?
「海人来たか……」
「父さん、話があるって聞いたけど」
父さんに呼ばれて、道場へとやってくる。しかし、これから言われる事なんて微塵も考えていなかった俺は、いつものように新しい任務かと思っていた。
ニコッと笑顔で大きなリュックと封筒を渡された俺は「えっ?」と疑問顔で父さんを見る。
「日用品の一式と旅費だ! 服は自分で追加してくれ!」
「いやいやいや! 何なの!? 先ずは詳細を話してよ!!」
「そうだな。海人、武者修行の旅に行ってこい」
「…………? はあぁぁぁぁぁっ!?」
~真剣で布仏家長男に恋しなさい!~
出発日当日。
父さんの武者修行発言のあとに……ウチの姉妹や幼馴染姉妹が乗り込んで来て、一悶着……いや、二悶着あったけれど、この日を迎える事となった。
「とりあえず、リストに書いてるところには連絡してあるから、最低でもそこは回って来ること! あとは~『『海人君(おにいちゃん)!!!!』』ドガン!! あべし!」
「「何黙って行こうとしてるのよ(してるんだよ~)!!」」
「はぁはぁ。海兄……黙って行くのはひどいよ……」
「簪様大丈夫ですか? 海人……一言くらい言ってから行きなさいよね……」
「えっと、ごめんなさい。夏休み初日早朝から起こしたら悪いかと思って(父さん大丈夫かな? あ、動いてるから大丈夫そうだな)」
「「「黙って行く方が問題(よ)(だよ~)!!!!」」」
「はいはい、とりあえず落ち着いて下さい! 3人とも」
「「「む~」」」
お怒りモードの3人をたしなめて、クルッと回ってこちらを向く虚姉さん。
「海人……気をつけて行ってらっしゃい」
「おにいちゃん……早く帰ってきてね!」
「海兄……怪我には気をつけて……」
「こまめに連絡はしてよね! じゃないと、みんなで追いかけ――『刀奈様? ニコッ』……いや、連絡するから」
「お、おう。途中経過でも報告しますね! じゃ、じゃあ行ってきます!!」
そういって、俺は家を飛び出した! 俺が見えなくなるまで手を振ってくれるみんなを背に……
「あぁ~行っちゃったわね……」
「夏休み……海兄と遊びたかったなぁ」
「はい! 見送りも終わった事ですし、今日の分の課題終わらせますよ!」
「えぇ~初日くらいは休みましょうよ~」
「そうだそうだ~」
「……虚さんは、海兄が居なくなって寂しくないの?」
「私は……海人の成長の為ならば、黙って応援します」
「何回も、おにいちゃんの安全祈願に行ってたよね~ニヤニヤ」
「本音!? 余計な事は言わないの!!」
「「そうなんだ……」」
「あぁ~皆の心配も何だが、あいつはいつも通りニコニコしながら普通に帰って来るさ! もしかしたら女の1人でも作ってきたりしてな!! リストアップしたところには若い武士娘もいたはずだし」
「――おじ様? 冗談でも言って良い事と、悪い事がありますよ? ニコニコ」
「――若い武士娘……詳細詳しく……ニコニコ」
「え~更識のお嬢様方? 何か背中から黒いオーラが……」
「「…………」」
「おい! 虚、本音! 何とかしてくれ!!」
「ツーン。ていうか、わたしも気になるんだよぉ~!!」
「知りません」
更識姉妹に両腕を、背中に本音もへばり付き連行される布仏父……
「お父様は、いつも余計な一言が多いのよ……」
そんな4人を見ながら、ボソッと呟く虚さんでした。
仏「始まり始まり~」
カランカラン
仏「はっ……!?(戦略的撤退!!)」