白亜がディープと協力してティラノイドと戦ってから一週間ほどたったある日。人外対策部隊の有紗は小柄なトランクを持ち、流星大学の未来研に来ており、京香はお茶を差し出した。
「えっと、今日はどのような要件で…?」
「はい、本日訪れた理由はこちらになります。」
トランクを開けると中には深緑色をしたダイノコアがあった。中には小型の肉食恐竜の姿が確認できる。
「こちらは先日発見されたディノニクスのダイノコアになります、本日はこれを使用した変身実験を行いたいのです」
「ああ…けどその実験以前行った時って…」
「はい、以前は散々でした…」
二人が話している実験とは今から5日ほど前のこと…。アロサウルスとトリケラトプス、メガロドンとエラスモサウルスの組み合わせ以外のフォームはないか実験を行った際の事だった。
…。
『白亜〜変身始めて〜』
『おっしゃ!行くぞ!』
『アロサウルス!』『メガロドン!』
『解析中…解析中…』
『ノーレコード…』
『あれ?おかしいな…?』
そこで止めればいいものを白亜はピッケルレバーを無理やりに何度も弾く。
『トン』『トン』『ト』『ト』『ト』
『シャラップ!』
『は?アババババババババババ⁈』
『ちょ⁈白亜⁈』
唐突にエネルギーが漏れ出し白亜の体が軽くだが感電してしまったのだった。
…。
「はい、ですが念のためです。私もまだドライバーに関して知っていることは少ないです。万が一ということもありますし、戦力は一つでもね多い方がいいでしょう。」
「それはそうですが…肝心の白亜が…」
「そういえば今日は見かけませんね?どちらに?」
「それが…」
…。
「筋肉!筋肉!筋肉!」
「筋肉筋肉〜!筋肉筋肉〜!」
「ぐおお…き、きん…にく…」
ここは大学のキャンパス裏にある山、そこで白亜と沢山の筋骨隆々な男たちはスクワットを行なっていた。
「どうした仮面ライダー!まだ始めてから20分も立っていないぞ!筋肉を感じるんだ!」
「きん…に…く!」
白亜は現在、ブラスバンド部と共にトレーニングの真っ最中だった。今後仮面ライダーとして戦う以上身体能力の向上は必要不可欠となる。無論白亜も体力くらいは伸ばそうと思い走り込みを行っていたところブラスバンド部に見つかり強制連呼され愛の筋肉フェスティバルの真っ最中というわけだった。
「よし!これより五分の休憩を取る!皆の者!十分に休むがよい!」
『はい!』
「は、はひぃ…み、みず…」
息も絶え絶えと言ったなか用意していたスポーツ飲料を飲もうと手を伸ばす。その時白亜はピクリとなにかを感じ取った。
「…ろ、ロマンの匂いがする…」
疲れ果て意味不明なことを言いつつ誰にも気付かれずにふらりとそのロマンの匂いがする方向へと足を運ぶ白亜。
「おや?白亜青年はどこへ?」
「逃げ出したのか⁈どうやら愛が足りなかったようだな!後日またフェスティバルに誘うとしよう!」
…。
ふらりふらりと歩き続けると白亜は裏山にある崖下にやってくる。そこには驚くべきものがあった。
「こ、これは⁈」
そこには直径2メートルにも及ぶ大型な巻貝の化石が眠っていたのだ。風化せず、どこにも損傷箇所がない綺麗な状態でそこにあったのだ!
「あ、アンモナイト〜⁈古生代シルル紀末期から中生代白亜紀末までのおよそ3億5,000万年前後の間を、海洋に広く分布し繁栄した、頭足類の分類群の一つで全ての種が平らな巻き貝の形をした殻を持っているのが特徴!示準化石に分類される貴重な化石…ああ…この渦巻きの曲線…美しい…」
化石に目を奪われているなかそんな白亜に近づいて行く少年の姿が。
「おいお前!それはオレの化石だ!勝手に…」
「そもそも!なぜアンモナイトと呼ばれる所以は古代地中海世界においてアンモナイトの化石は、ギリシアの羊角神アンモーンにちなみ、『アンモーンの角』として知られており18世紀後半のフランスの動物学者ブリュギエールが鉱物の語尾につけられるiteをアンモーンにつけた造語なんだ!」
「お、おい…」
いくら少年が話しかけても一向に止まる気配はなく。
「ちなみにアンモナイトの大きさは基本的に十数センチほどで世界最大のものはドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州の白亜紀後期層から発見されたパラプゾシア・セッペンラデンシスと呼ばれるもので大きさは何とに2メートル達するものなんだ!しかしここにあるものも世界最大の2メートル…いやそれ以上の大きさかもしれない!ああ。発掘して…色々調べたい…ああ…」
「お、おい…」
「ハーーーークーーーーアーーーー!子どもいじめんな!チョップ!」
「ぐはぁ⁈なにすんだ京香⁈…あれ?ここどこ?君誰?」
「見えてなかったの⁈この恐竜馬鹿!」
…。
話を一旦切り上げ近くの木陰に座り込む三人。
「ごめんごめん、化石のことになると周りが見えなくなってさ…えっと君は?」
「…健太」
「健太君ね、この化石は君が最初に見つけたの?」
「本当はオレじゃなくて父ちゃんが見つけたんだ!父ちゃん、化石の博士でこの化石も父ちゃんが掘ってたんだけど…」
健太は頭を下げ悲しそうな顔をする。
「父ちゃん足怪我して発掘どころじゃないんだ…」
「そっか…よし!」
その話を聞き、白亜は勢いよく立ち上がる。
「その化石の発掘、手伝おう!」
…!
「グガガー!」
一体のブランクティラノイドが壁に向かって一心不乱に何かをしていた。その手にはペンキの入った缶と筆が握られていた。
「いいせいいぜ〜そのまま学び続けろ〜」
「グガ!グガガー!」
その風景を眺めるファンク。すると突然ブランクティラノイドの身体が光り出し体に変化が現れる。体にパーカー、動きやすいズボン、スニーカー、帽子、まるで裏道に入る不良のような姿へと変貌する。
「YO YO YO!完成だ YO!」
壁にはカラフルな色で彩られた文字や絵が描かれておりそれをファンクは満足そうに眺めていた。
「おしおし、無事に進化できたミテェなだ!今からお前はペイント!ペイントノイドだ!」
「ファンク様感謝の極みだ YO!」
ペイントと呼ばれたティラノイドはステップを踏みながらその場を後にし街へと繰り出していった。
「この調子ならどんどん進化態を作れるな、いやぁーこの時代は者や知識に溢れててありがたいねぇ!学び放題だぜ!」
高笑いをし、ペイントの後を追うファンク。その場にはペイントが描いた絵以外には静寂しかなかった。