僕が響になったから   作:灯火011

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少々お時間いただきまして!

徹夜仕事が4月過ぎまで続きそうですので、その時まで急に日が空いたりします。
そんなときは申し訳ないのですが

響カワイイヤッター!

を妄想していただきつつお待ちいただければと思います。


Meal drink(2)

「いらっしゃいませ。こちらのお席にどうぞ」

『ありがとうございます。いやぁ響ちゃん、相変わらずかわいいね』

「あはは。嬉しいです。ありがとうございます。お絞りとお水でございます。ご注文が決まったらお声がけをお願いします」

 

 僕はそう言って、常連のお兄さんにお絞りを手渡す。そして軽く笑顔を浮かべて席を後にする。そして、さっと踵を返しながら他のお客様のテーブルを確認する。そして、空いている皿やグラスは違和感がないように早く下げる。

 

「響さん、手慣れてきましたね」

「はい。3日もあれば大体慣れました。でもまだ至らない点はご指導いただけると助かります。マスター」

「ええ、もちろんです。ですがホールはもう任せて大丈夫ですね」

「ありがとうございます!」

 

 僕は笑顔でお辞儀をして答える。うん、今日は心も体もものすごく軽い。より一層笑顔とコーヒーをお客様に届けようと思う。

 

 ちなみにだけど、A重油は購入して正解だった。補給してからは頭はさえてるし、体の調子もすこぶる良い。

 

 

 A重油については、今の僕の体調がすこぶる良い事から効果的だった。アルバイトの直前だったけれど、ガソリンスタンドで重油をもらい、家で開けてみると、匂いこそしたけれどその匂いも僕にとってはすごく食欲を刺激するものだった。

 

 いてもたってもいられず、携行缶に直接口をつけてみれば、ものすごく良い味が舌を刺激していた。なんといっていいかはわからないが、重油の味、というものなのだろう。気づけば携行缶に入っていた1リットルの燃料を全て呑み干していた。

 そして、変化はすぐにやってきた。まず、空腹感がすべて消えたのだ。それに体のなかからやる気と力がみなぎってきていた。それこそ何でもできるような感じだ。そして特段気持ち悪い事もない。むしろ気持ちはすこぶる良い。

 

 うん、どうやらこの体、響ボディは、燃料がある程度必要そうなことがわかった。

 

 おそらくは食料でもごまかせるのだろうけれど、凄まじい量が必要だ。それこそ、土方の僕が食べる2倍以上の食物が必要だ。食費が結構馬鹿にならない。ただ、このA重油ならば1リットル100円もしないので、これで満たされるのなら財布的にはありがたい。ただ、僕としては食事を楽しみたいので、今後は重油+食事という食べ物の比率を考えていきたいと思う。

 

 そして、あと問題があるとすれば、匂いだろうか?僕がいくら美味しいと思っても、匂いがきつければアルバイトの直前には使えない。せいぜい夜に補給するぐらいのものになってしまう。まぁ、保管に関してはポリタンクでベランダに置いてくぐらいで問題はないと思う。

 というか、今まさにアルバイトの直前ということを思い出して、とりあえず歯磨きとマウスウォッシュを入念に行った。

 

 なお、結果としては重油の香りはばれずに済んでアルバイトに励めている。実際のマスターの反応は次の通りだ。

 

「おはようございます。マスター」

「響さん、おはようございます。…おや?」

「どうされました?」

「響さん、香水か何か変えましたか?非常に良い香りなのですが」

「いえ、特には。どんな香りなのでしょう?」

「柑橘系の香りといいますか、まぁ、落ち着く香りですね」

 

 この会話から察すると、どうやら響ボディは重油を補給すると、体臭が柑橘系になるらしい。おかしいな、歯磨きもマウスウォッシュもミントなのだけど。

 もしかすると、艦娘であるこの響ボディに油を通すと、否応なく柑橘系のいい香りになるのかもしれない。まぁ、流石にいきなりバイト先で試す勇気はないので、今度アルバイトが休みの時に検証にでも歩いてみたいと思う。

 

 

 今日も今日とてアルバイト、ということでポニーテールにピンクのリップ、そしてYシャツにベスト、ラップキュロットスカートに少し短めのニーソを履いて、ふとももを露出させてある服装だ。我ながらなかなかあざとい服装にできたと思う。僕が客としてこんな店員さんを見つけたら、間違いなくふとももを凝視する。

 ということで、今日はこの服装でホールに出ているけれど効果はてきめんだ。男性客は見事に視線をこちらに向けている。うん、なんだか悪くない気分だ。女性客は女性客で『今日も可愛いかっこですね!』と好意的な言葉をくれる。僕としては可愛いのだけれど、客観的に見て可愛いのかわからないので非常にありがたい評価だ。

 

 あと、どうやらこの店のネットでの評価が凄く高くなっている。少し調べてみたら『コーヒーが美味しい』『たまごサンドが絶妙』『店員さんの女の子が可愛い』『店員さんの接客がすごく丁寧で良い』『落ち着く雰囲気のお店』などなど出てくる出てくる良い評価。

 中には『苦い』『女の子の店員が未熟』だとか書いてある口コミもあるけれど、僕が未熟なのは事実だし、コクのあるコーヒーも飲む人が飲めば不味いと感じるだろうし、10人が全員良い評価と限らないのが評価というものだ。

 

 まぁでも、コーヒーは当然としても『店員さんの女の子が可愛い』『店員さんの接客がすごく丁寧で良い』と言われるのはすごくうれしい。この響ボディは可愛いし、そのために少しづつ綺麗であるための努力をしている。そして、接客に関しては僕なりに考えた接客なので、それが評価されるというものまた嬉しい。

 

 そして、ネットの評価を見た人が喫茶店のドアを叩き、結局休憩時間がほとんどないほどお店は繁盛している。

 

『響ちゃーん!コーヒー一つ追加でお願いしまーす』

「畏まりました。同じレギュラーでかまいませんか?」

『それでお願い』

「響さん、たまごサンドとコロンビアコーヒーあがりました」

「判りました」

『響ちゃん。こっちにもたまごサンド追加で―』

「はーい!少々お待ちくださーい!」

 

 開店からしばらくたったけど、今日はずっとこの調子でホールもひっきりなしだし、マスターも大忙しだ。まぁ、ネットでの評価ってある程度で落ち着くので、それまでの辛抱だと思いたい。それに、燃料を飲んだからか体のだるさや思考力の低下とかはまったくないので、お客様よどんとこい!という感じだ。

 

 

「ネットで話題の喫茶店、ねぇ」

「ちょうどいいじゃん。近くに来たし休憩がてらよっていこうぜ」

「いや、俺はさっさと帰って艦これしたいんだけどな」

「ははは、またゲームかよ。いいじゃんか、時々は付き合えって。コーヒーおごってやるからさ」

「そういう事なら」

 

 俺はそう言って友達に付き合って、喫茶店のドアを開けた。すると、女の子の店員が笑顔を向けてこちらに挨拶をしてきた。

 

『いらっしゃいませ。2名様ですか?』

「ああ」

『それでしたらカウンター席でかまいませんか?』

「大丈夫」

 

 俺と友達は女の子の後をついてカウンターに座る。

 

『おしぼりとお水です。ご注文がお決まりになりましたらお声がけください』

 

 そういうと女の子は笑顔で一礼し、カウンターの横へと移動していった。その時にふと柑橘系の落ち着く香りが漂う。女の子の香水の香りだろうか?

 

「落ち着くしいい場所じゃん。ネットの評判通りだな」

「コーヒーの香りもなんかすごくいいな。古臭いけど」

「あはは。まぁ創業50年らしいからなぁ。ま、とりあえずコーヒー2つでいいか?」

「それでいいよ」

「すいません店員さーん!」

『はーい』

 

 友達が店員の女の子を呼びコーヒー2つを注文していた。女の子も笑顔で畏まりましたと返事を返していた。そこで初めて気づいたけれど、かなり変わった女の子だ。銀髪青目の外国人のような髪色をしているけれど、顔立ちは日本人に近い。

 

「いやー。あの女の子も可愛いな」

「確かに。それに銀髪青目ってのもすごい珍しい」

「お、なんだよ、お前も結構見るとこ見てるな。しかもニーソックスだぜ」

 

 店員の足元を見てみれば確かにニーソックスだ。スカートとソックスの間から覗く素肌がまぶしい。

 

「いいな」

「いいよな。いやぁ、入って正解だったわ」

 

 友人の言葉に同意する。なるほど、あの女の子目当てでくる客も絶対いるだろう。俺も正直言うと週に一回ぐらいはここにきてあの子を見たい。

 

『お待たせしました。レギュラーコーヒー2つです』

「お、ありがとう」

「ありがとう」

 

 友人と俺はそう言いながら、女の子の店員からコーヒーを受けとる。そして、その時にほんの出来心で、女の子に声をかけていた。

 

「店員さん、珍しい髪の色だね」

『よく言われます。でも地毛なんですよ』

「へぇ、すごいね。目の色も?」

『はい。もともとなんですよ。珍しいでしょう?ふふ』

 

 そうか、染めているわけじゃなくて地毛なのか。となるとすごく珍しい。それに、顔も見れば見るほどに整っているし、肌もきれいだ。そして頭の中に邪な妄想を残したまま、コーヒーに口をつける。あ、コーヒーも美味しい。

 コーヒーが美味しい上に店員さんが綺麗。確かにネットの話題に上がるわなと、雰囲気もコーヒーの味も味わう。

 そして、会計を済ますときにさりげなく、女の子の店員の名前を尋ねてみたところ

 

『響といいます。よろしければ覚えてくださいね』

 

 と、簡単に名前を教えてくれた。どうやらここに2回以上来た人は、『響ちゃん』と呼ぶらしい。確かに今日も何組か『響ちゃーん!』と言っていた客がいたけど、そういうことか。

 

「いやぁ、コーヒーも旨かったしいい喫茶店だったな」

「そうだなー」

 

 それと同時に、俺は一つ気になっていることがあった。響という名前で銀髪青目というと、艦隊これくしょんの響もそんな感じじゃなかっただろうか?

 まぁ、現実にゲームのキャラがいるわけはないけれど、次にあの喫茶店に行った時には話のタネにしてみようと思う。

 

 


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