「わたし」は「私」では無い…。
ラクハは部屋の壁に頭を打ち続ける。…血が飛び散る。
「(ウネウネ)」血が蛆虫の形に変わり地面や壁を這う。
「!?」直ぐさま地面を踏み付け壁を殴り付ける。
拳を離すと尚も蠢くので執心し叩く続ける。
やがて皮膚がボロボロとなり拳を止めた。
傷口は不快な音をたてながら再生する。
塞がるのを確認すると壁にもたれ座り込む。
……「入れ」と大きい実験室に押し込まれる。
ここは?私の目の前にいる此奴は何…??
「グジュグジュ…」此奴と何を?だって口から…。
「此奴は人の形を保つ」あたしは呆然と観察している男を見る。
「つまり性器もある…と言う事」何を言っているの?
「まぁ、行う方が早い。…苗床を提供してくれ」
口から出る触手が私を捕食し始めるのだった。
「こりゃぁ、凄い」研究員の男が感嘆する。
…見ると赤い小粒の触手に無数の頭がついているのだ。
「切っても切っても生えてくるなんて…」
研究員の男は所長に向き替える。
「凄いです!所長の言った通りあの女は他と違います!」
所長は煙草を咥え蝋燭の火で灯す。
「見ての通り耐物理特性の方面では素晴らしい性能を誇るね」と言うと煙草の火を押し付ける。
キィイ!と奇声を挙げ死に絶える。
「ご覧の通り、属性攻撃には弱い」そう言うと水を飲む。
「これは大きな一歩ですね」所長は頷く。
「成功したら大儲け間違い無しだ…」男は小声で呟きニヤける。「外の様子はどうだい」所長は男に尋ねる。
「変わりなくですよ。地上地下表裏。な〜んも」
「そろそろ変化が欲しい所だな」と呟くと男が捲したてるように「聞いてくださいよ!」男に顔を向ける。
「この前被験体として攫った没落貴族の坊ちゃんが居ましたでしょ?あいつ、つい数日前に蟲蔵に入れられても
意識を保ってやがりますよ」ハタッと思い付く。
「せっかく肉体に変化が現れてきた所だ」気持ちの悪い笑みを顔に貼り付け「脳みその面でも促進を促そう」と
言ったのだった。
「…」ある日、あたしの部屋に一人の男の子が来た。
見ての通り、反応を全く返さない。男の話では相当に酷い所に入れられていたらしい。
「ねぇ…」数日間懸命に話しかけているがなしのつぶて。
「(聞いた話では没落した貴族の坊ちゃんらしい)」
チラリと見る。「…没落か。でも貴族だったんでしょう」
…反応がない。「…チッ」舌打ちをし放置する。
「…いや、狂うのも仕方ないか」と言い自分を慰める。
「…あたしが異常なだけか」眼を静かに閉じて眠りについた。