暴姫さん? オレ遊んでくるから   作:フリードg

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1話

 

 

 今日も一日平和。

 

 良い天気で絶好の昼寝日和と言える気候。

 

「ふぁぁぁ………(シャルがいないからだな。静か過ぎるのは……)」

 

 静か過ぎる事が逆に不自然さ? を醸し出していたからか、芝生で寝転がっていたハオは ひょいっと起き上がった。

 

 

 休み時間ももう直ぐ終わりであり、今の自分は白猫の方の授業を受けている為、いるのは白猫(ホワイトキャッツ)側だ。

 

 

 

 因みに最初こそは其々の寮を行き来している為、色々と大変だった。

 

 

 

 やれ回し者~とか、スパイか~! とか、血気盛んなお互いの学生たちに揉みくちゃにされたりしてきた。自国では自分自身は特別待遇であり、自由奔放にしていても大してお咎めなし……と言うか、こうやって乱暴? にかかってきたりはした事ない。(武道の授業の際を除いて)

 だから、それ自身もハオにとっては刺激的なモノ。全部笑顔で受けていて、どっちでも無双をしてしまった日には もう特別枠? みたいなモノが学生間の中で定着した。

 

 そして何処か憎めない性格、天真爛漫な性格もあり 絡む事も多く 何より一応某国の王族なのに、そんな素振りは一切見せない(~王子とか~様とか絶対に呼ばせなかった)所も非常に好感度アップにつながって、またまた極めて異例とも言える、両国共にの人気者になっていたりしている。

 

 

 

 と言う訳で、場所を細かく説明すると 今は体育館。

 

 

 今日の授業は剣術。勿論真剣なんか使わず木剣で(当然だ)

 そこではいつもいつも真剣そのもの。鬼気迫る勢いで授業を受けているペルシアの姿が一番目立っていた。

 今も男子相手に圧倒して、相手の木剣を弾き返す姿は、男も女も惚れてしまいそうな感じだ。

 

「ま、まいった……」

「ありがとうございました!」

 

 礼に始まり、礼に終わる。それも決して忘れないまさに文武両道の才女。

 

 ハオは、やるね~ と口笛をぴゅ~♪ と吹かせていたら、返事と言わんばかりに木剣が飛んできた。回転しながら飛んでくる木剣の柄の部分を器用につかみ取るとハオは口笛の次にはため息を吐いた。

 

「……渡すにしても ふつーに渡してくれね? いつもいつもビックリするからよ」

「余裕で取っておいて、何を今更。……今日こそ、貴方に勝つわ、ハオ! 受けなさい!!」

「ほんっと、色んな意味で つっよい女だな。 ま、そこが良いんだけどよ♪」

 

 にぃ、と笑いながら ひゅんひゅんと木剣を器用に数回まわした後、両手で柄を握った。

 

「ペルシア様! 流石に連続での試合はお体が………」

「スコット、止めないで。……私自身をもっと追い込む為でもあるのよ。もっともっと、強くならないといけないから。……世界すら変えちゃうような、そんな強さを私は目指している。……それを体現してる相手が目の前にいるのよ? やらない訳にはいかないじゃない」

 

 目の前の男は飄々としているし、そんなイメージは皆無だって言えるかもしれないが、辿ってきた経歴を見れば一目瞭然だ。

 

 鎖国だった彼の祖国を開国した。

 更には異例中の異例。一触即発状態の両国において、その両国の許可を経て両方の学校にいる。今は 白猫にいる。

 

 これを世界すら変えた、と言っても良い。それ程までの強さを持っている。

 ……目の前のハオは その国、その世界のルールすら変えてここに立っているのだから。ペルシアにとっては最目標だと言って良い。

 

「んん? オレは『自由に楽しく』 ただそれだけしかしてないぞ?」

「普通に言わないで! そのスケールが違い過ぎるって言ってるの! さ、手合わせ……よろしくお願いします」

 

 ペルシアはそう言って構えた。それを見てハオも一先ずは頷く。これは授業。このダリア学園に今は興味の全てが集中している。だからサボったりするのは非常に勿体ない、と常々思ってるから。

 

「ほいほーい。んじゃあ シャルに怒られない程度にな? それでいいか?」

「…………でも、手加減は絶対無用よ」

「りょーかい。んじゃやろーぜ」

 

 手加減無用、とペルシアに釘を刺されたハオは ただただ笑っている。

 ペルシアは その笑みにかちんっ! と来た様だが 気を持ち直して攻めあるのみ。と言わんばかりに突進して突き。

 

 それを巧みに躱して追撃して…………………。

 

 

「はい。そこまで」

 

 ペルシアの剣を奪って終了。

 

「くっ………」

 

 ペルシアは、負けた……と言う事をなかなか受け入れる事は難しく苦い表情をしていた。例え相手が相手。実力差があり過ぎる……と言っても、彼女は負けず嫌い。口にしている様に、世界をも変える程の力を目指している身からすれば、やっぱり負けの二文字は苦痛以外の何でもない。

 

「ありがとう……ございました……」

「ん。前より速度が上がっててキレッキレ。それに一撃も重くなってたし。大したもんだ。オレもうかうかしていられねーってな」

 

 にっこりと笑うハオ。それを見たペルシアは。

 

「今は無理でも……笑えなくするくらい追い詰めてあげるから覚悟しておいて」

「そりゃ無理だ」

「!!」

 

 真っ向から否定されたペルシアの眉間には皺が寄ってしまうのだが、直ぐにその理由が判明したので 元に戻った。

 

「負けた~程度じゃオレの笑みってヤツはなくなんねぇよー。笑わなくなんのは興味がなくなった時だけだからなぁ」

「……そう、ね。ハオならそう言うわよね」

 

 気張ってた自分がバカらしくなったのか、ペルシアはただただ苦笑いをしていたのだった。

 

「次は僕だ!! 覚悟ーーーっっ!!」

 

 と、掛かってきたのはスコット君。白猫の中でも狂信的なペルシア信者~と言って良い男であり、それなりの武道の心得をもっている。容姿端麗にして学業も悪くない所を見るとそれなりに偏差値が高い白猫内においても色んな意味で上位に位置するんだけど、残念な男だ、と烙印を押されそうな男だったりもする。

 

「ぜーんぜん遅いぜー とりゃあ!」

「へぶんっっ!!」

 

 当然スコットの木剣がハオに届く前に、ハオの木剣がスコットの額に直撃して沈んだ。

 

「不意打ちとか 男らしくねぇぞースコットー! ま、オレは歓迎するけどな? そーいうのあれだ! けっこう燃える!」

「ぐ、むむむ…… つ、つよすぎー……」

 

 がくっ と倒れたスコット。

 体育館の真ん中で倒れられたら皆の邪魔になるので ひょいと担いで隅っこに座らせた。

 

 座らせて、ハオ自身も少し離れた所で休息をとってるとペルシアがそばへとやってきた。

 

「ほんと強いわ……。どうやったら そこまでになれるのかしら」

「ん? なーに言ってんだ。ペルシアだって大したもんだぜ。オレだって全然余裕とかねぇもん」

「それは嘘ね。手加減してる、とは思いたくないけど 最中にやっぱり笑みが見えた、息切れしてる様子も全く無かったし。……まだまだ私が格下である証拠よ」

「どんな事で楽しいとどーしても笑っちまうんだ。失礼って思われるかもしれねぇんだけど、こればっかりはなぁ……」 

「ふふ。ま 相手を陥れた~とか、悪事をしてて~ とかで笑ってたら 人として軽蔑するけど、そんなトコは無いでしょ?」

「あー、幾らなんでもそりゃねぇな。確かに」

 

 笑って笑って、笑う事が強さに繋がるのであれば ペルシアだってそうするだろう。

 だけど それだけではない筈だ。才能だけでのし上がれるほど、その世界のルールを変えるほど、きっと甘くはない。他人には言わないだけで、相当な努力をしていると思う。本人がそれを努力とは取らず、『楽しんでやってる』としているから、本人の資質も合わさってあっという間に向上していくと言う最高の循環になっているのだろうと想像がついた。

 

「私もあなたの様な強さが欲しい。だから誰にもなめられるわけにはいかないから強くならないといけない。………なのに」

 

 ペルシアの顔が徐々に歪んでいく。怒気を含んだものへと代わっていっていた。

 

「なのに、犬塚……いつもいつも手を抜いてきて、馬鹿にしてるわ………」

「いぬ……? あ~露壬雄(ろみお)の事か。アイツがペルシアを馬鹿にしてる? オレにゃそうはみえn「してるわよ!!」うおっ!!」

 

 それとなく、犬塚をフォローしようとしたハオだったが、猛烈な勢いで否定されてしまった。それどころか襟首持たれて前後左右にガクガクと高速振動付き。

 

「いつもいつも攻撃は手加減! 私を喧嘩から遠ざけようともしてるし……それがバカにしてないならなんだっていうのよーーっ!!」

「あぶぶぶぶぶ!!! わわわ、わかかかったかかかららら、ぺぺぺぺ、ぺるぺるぺる お、おちちちちつつつけぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 一通りガクガクさせたら落ち着いてきたのか、解放してくれた。

 

「ご、ごめんなさい。これは私の問題なのに……。私が犬塚を倒せる、圧倒できるくらいの力があれば、犬塚だって本気で来ざるを得ないのに……」

「ふぃぃぃぃぃぃ…… 今の力、さっきん時よか強かったんじゃね? ぁぁ、首いてー」

「も、もう! ハオもからかう気?? シャル姫に言いつけるわよ!」

「わりーわりー。そりゃ勘弁してくれ。シャル怒らせると面倒だし……。 んー」

 

 ちらりとハオは体育館の窓を見た。

 そこには人影があり、誰かが中を覗いていた。スコットを運んだ時に気が着いたのだが、どうやら相手は 今のペルシアとの話題の人物の様だ。

 

 そして、それと同時に外が騒がしくなってきていた。

 

「ん……? 何かしら?」

 

 ペルシアはそのままここから退席。

 

 

 それを見計らってハオは 周囲に誰もいない事を確認しつつ、独り言を言う様に覗き者に。

 

「おやおや、ここは白猫領土なのに黒犬の珍客が1人。ストーカーですかー? いつから影からこそこそするよーになったのかなぁー?」

「う、うっせーよ………」

「ん? バレてんのに、何か余裕じゃね?」

「あのアホメガネを連れてきた時にバレたのは判ってたんだよ。……バレたのがお前でとりあえず安心だが……」

「いやいや。校内に侵入したヤツを見逃せって? オレ今一応白猫の生徒って事になってんだぜ? 最低限の義務っつーか、責任っつーのがあるだろ」

「う、そ、そこを何とか……」

 

 

 押し問答をしてる時、外が更に騒がしくなってきた。

 

 

白猫(ホワイトキャッツ)のヤツに、黒犬(ブラックドギー)は弱いってバカにされたから! だからやり返した!! 文句あるか!!』

『なんだ! その口の利き方は!!』

『うっ……!』

 

 声色から子供の声と殴る音。喧噪が聴こえてくる。

 

「ちぃっ!」

 

 外にいた犬塚も当然ながらそれに気づいた様で、直ぐに離れていった。

 

「アイツ、隠れて見てたんじゃねぇの? それは兎も角 オレも行ってみっか」

 

 ハオも様子が気になった様で、体育館の外へ。

 

 

 そこでは丁度、黒い制服を着た初等部の男の子がペルシアに飛びかかっていってた所だった。

 

「ちっくしょーー!! なめるなーーー!」

 

 その小さな体で、まだまだ発展途上で、頼りないと言ってもいい身体で懸命に立ち向かおうとペルシアの身体に全部ぶつけた。それを正面から受け止めたペルシアは 笑っていった。

 

「なんだ、できるじゃない。それが強さよ。ほら鼻血を拭いて もう帰りなさい」

 

 持っていたハンカチで男の子の血を拭うと。

 

「次からは正面きって勝負に来るのね。お姉さんがいつでも相手してあげるわ」

 

 その鼻先をぴんっ と弾いて笑顔でそう言っていた。

 

「何してんだよ! それじゃ黒犬(ブラックドギー)に舐められる……「ほいストップ」ぐえっ!」

 

 ぐっ と襟を掴んで今にも突っかかりそうな目の前の血気盛んな男を1人止めたハオ。

 

「らくがきがどーのとか、バカにされたーとか 聞こえたから 大体事情は読めた。でもよー、子供がイタズラしたから。だからぼこぼこにしましたー、って……結構格好悪いって思うぞ? 舐める、舐められる以前の問題で。狼狽えるのも 格好わりぃって思うし」

「ハオの言う通りよ。……それに白猫(ホワイトキャッツ)ならもっと気高くありなさい」

 

 ペルシアの言葉に、後から来たとはいえハオの言葉。ダブルコンボが聞いたのか 何も言い返す事なく黙った。

 

 でも、この男の子が悪い事をした事実は変わりない。

 

「こーら。確かに 仲間をけなされたりすりゃ、怒るのも無理はねぇよ。そう言う気持ちってのも悪くねぇって思ってる。でも、やっちゃいけないラインってのはしっかりと頭に持っとけよ? 建物に罪はねーし」

 

 はぁー と拳に息を吹きかけて軽く頭にゲンコツを落とした。

 

「いたっ!!」

「は、ハオ兄ちゃん……」

「と言う訳で、お前ら3人! 今からピッカピカにする事! やる前よりも美しく、だ。……反省して、ちゃーんと出来たら、また遊んでやっからよ」

「う……うん……」

 

 これで万事解決! と思っていた矢先。

 

「あ!」

「………」

 

 なんか、犬塚が直ぐ横まで来てた。

 

「飛び出しちまったの忘れてた……」

 

 らしいです。

 

 

 

「アホなのか?」

 

 

 と考えるよりも先に言ったのも無理ない事だった。

 

 

 

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