序盤から虐待描写です。この作品は主人公がかなり酷いことされます。
なので、グロいのダメな人は読まないでください。好みでない方は最初から読まないでください。
ではどうぞ。
始まりは奴隷だった
知らない場所にいるの。
お父さんと一緒に街を歩いてたら、いきなりお父さんが座っちゃったの。そしたらお父さんが凄くつらそうな顔でお腹を抑えていて…………お父さんがお腹から紅い水をいっぱい出してて。
血。血を出しているの。いっぱい。いっぱい血を出している。
お父さんが危ないと思った。だから私はいそいで周りの人達に助けて欲しいってお願いしたの。このままじゃお父さんが居なくなっちゃうって怖くなって。だから泣いてお願いしたのに誰も私の事を見てくれなくて…………
そしたらいきなり手を引っ張られたの。
変な白い服を着たおじさんがわたしを引っ張りながら良くわからないことを言ってて。はんりょにするとか、いたぶってやるとか、意味がわからなくて。
とにかく怖かったから、泣いて放してってお願いしたら殴られた。
なにをされたのかわからなかったの。殴られたことも無かったから、初めての痛みがとても怖かった。
とても痛い。ほっぺたがズキズキして熱くて。涙が止まらなくて。
まだ殴ってくるおじさんが恐ろしくて、わたしは泣きながらおじさんの言う通りにしたの。そしたらおじさんはわたしに首輪を付けたの。
ワンちゃんがしている首輪みたいなもの。リードの代わりに鎖が首輪からおじさんの手まで延びてて。鎖に引っ張られて、わたしはお父さんから離された。
倒れてるお父さんが遠くになっていくのを、首輪に引っ張られて痛いことが怖かったわたしは黙って見ているしかなかったの
なにも、なにもわからない。どうしてこうなっちゃたのか。お父さんとお出かけをしてただけなのに、どうして………
気付いたら、わたしは石で囲まれた知らない家にいたの。
目の前にはわたしのお家で何度も見た暖炉を大きくした暖炉があるの。とても暑くて離れたいのに、黒い服を着た人たちがわたしを放してくれなくて。いきなり上の服を脱がされたら、石畳の床に顔を押し付けられる。
そしたら、わたしをこの家に連れてきたおじさんが先が丸くて平べったい棒を近づけてくるの。黒い棒なのに、平べったいところはとても赤くて。
それをわたしの背中に押し付けてきた。
「ヅっああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!????」
あつい! いたいあついいたい!痛いッ!!痛い痛いい"た"い"!い"た"い"ッッ!!!いたいいたいいた痛いッ!!
ましろなのに、くらいのに、いたくていたくていたいッッ。痛い、痛い!!痛い!!!
わからないなんで!? なんでなんでなんでなのッ!!? もう止めて!!やめてよ!やめてやめてぇ!!!!
目が覚めたら、わたしは石畳の上で横になっていたの。ひんやりした冷たい感触がほっぺに当たってて、凄く寒い。
起き上がろうかなって手を冷たい床に付けて力を入れたら、背中が熱いくらい痛かった。力がぬけて頭を床にぶつけちゃったのに、それを忘れるくらい後ろが痛くて。
目がまっしろでまっくろで。だから泣いちゃったの。
そしたら床が天井になって、天井が床になった。目の前がグルグルしたと思ったら背中に壁がぶつかったの。また目がチカチカしたら、お腹が気持ち悪くなって口からゲロ出しちゃって。
ノドが焼けるように痛かった。げーげーしちゃって、悲しくなった。
「おと…………お父さん、どこ? お母さん、お父さん! どこ!? どこなブェッ!?」
目の前にあのおじさんがいたと思ったら、頭を踏みつけられた。私のゲロが顔に掛かって、臭くて、気持ち悪い。
「汚いえ……汚い汚いえ! なんて汚物だこの奴隷は!? まったく…………一瞬でも美しいと思ったわちきのミスだえ」
頭の上でおじさんがうるさい声で叫んだと思ったら、それよりもうるさい爆発音が耳を叩いたの。
その音のせいで最初はわからなかったけど、手からグチャって。
「ァギゅッッッ、いい゛い゛い゛!!!?」
目が真っ赤になった。グチュグチュしてて、そこが痛すぎて、うまくいきできない。
「ふん! 気持ち悪いえこの下々民!」
また爆発の音がしたと思ったら、わたしの手足からまた頭を叩くような痛みがやって来たの。
ガンガンズキズキ。グチュグチュ、クチャクチャ。
痛いのに、声がでない。涙と鼻水は出るくせに、手と足から気持ち悪い音が出るくせに。頭に響く音がうるさいくせに、声がでない。
逃げなきゃって思った。この場所から早く逃げなきゃ、これよりも酷いことされるって思ったから。
なのに手も足も、頭も、体全部が動かないの。ピクピク気持ち悪く動くだけで、普段みたいに動かせない。
「おい、奴隷」
怖い。だけど、こんな酷いことをするこのおじさんが嫌で嫌でしかたないの。
どれいなんて名前じゃないのに、おじさんがわたしの事をどれいって呼ぶ。
痛くて声がでないし、そんな名前じゃない。だからわたしはおじさんに反抗して黙ったんだけど。
「ぶ!? ぇあッ」
顔を蹴られて、痛くて。
また顔を蹴られて痛くて。
顔を蹴られて痛くて、顔が痛くて蹴られて。顔を蹴られて痛くて蹴られて痛くて蹴られて。顔を蹴られて蹴られて痛くて痛くて蹴られて顔を蹴られて蹴られて蹴られて痛い痛い痛い蹴られて蹴られて痛い痛い蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて痛い痛い痛い痛い痛い蹴られて痛い蹴られて痛い蹴られて痛い蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて蹴られて痛い蹴られて蹴られて蹴られて…………
血とゲロが溜まった床。その液体が体中に纏わりついてる。それも気にしなくなって気付いたら蹴られるのが止められてた。
おじさんが言う。
「おい奴隷」
「あ…………あ゛ぃ」
「わちきの靴を磨け」
おじさんはそう言ってわたしに靴を出してくる。
滲む目でわたしが見たのは、確かにわたしのゲロと血で汚れてる靴がある。
でもわたしが着ている服の方が汚い。拭くものもない。うまく考えれない頭で考えようとして、わからない。
そしたら頭を蹴られた。
「貴様の口は何のために付いているのだえ!? その舌はただの醜い飾りかえ!?」
蹴られた頭じゃおじさんの言うことが始めはわからなかった。
でも、また蹴られて、蹴られて、蹴られて。漸くわかった。
わたしは、このおじさんの靴を舐めないといけないみたい。ゲロと血で汚れた靴を、かっこわるく、気持ち悪く、舐めないといけないらしい。
嫌だ。嫌で嫌で、とても嫌だ。
でも、さからったらまた蹴られる。またあの変な物でとても痛い思いをする。痛いのは嫌だ。怖いから。わたしがどこか暗い場所に堕ちてしまいそうで、それが恐いから。
蹴られて口の中が熱い。ジリジリぴちゃぴちゃ、音がする。
わたしのナニカが消えちゃった気がした。
地獄と言う名前を、意味を、初めて知ったの。
石と鉄格子っていう物で囲まれた部屋に、私は入れられたの。
部屋には私よりも大きくてキレイなお姉さん達がいて。ここが地獄っていう場所だって教えられたの。
お姉さん達は凄くわたしに優しくしてくれた。いっぱい血が流れてるわたしの体に服を巻き付けてくれたら、痛みが少し無くなったの。
頭を撫でてくれたり、頑張ったなって褒めてくれたり、色んなことも教えてくれるし。とても嬉しかったの。
でも、次の日にあのおじさんはもっと酷いことをしてきた。
爪を剥がされたの。
泣いて、これ以上止めてってお願いしたの。でも手も足も全部剥がされて。それに凄く恐かったの。
―――苦しい
手を切られたの。
気付いたらお姉さん達が目の前にいて、泣いてわたしを抱き締めてくれたの。体が寒かったから、お姉さん達の体はとても暖かく感じて、少しだけ気持ち良かった。
―――痛い
わたしの目が、焼いてある棒で突き刺されたの。
声が出なくて潰れたらしい喉からまた叫び声が出て、血をいっぱいに吐いた。
お姉さん達の事が見えなくなって、悲しかった。
―――憎い
喉の渇きも気にしなくなって、動かない体も気にしなくなって、無くなった手足も気にしなくなって。
お姉さん達の姿は相変わらず見えないし、声も聞こえなくなった。匂いがどんなものかも忘れて、味は鉄の味以外思い出せない。
―――殺してやりたい
何も感じなくなった
何も考えられなくなった頭でも、これだけはわかる。これが死だって。
死が怖い。どんどん近付いてくる。何も感じないはずなのに、沈んでいく感じがして。暗い場所もなれてるのに、その場所はどんな暗闇よりも深くて不安になる。
寝てるのか意識があるのかも良くわからない。ずっと光を感じることができなくなって、朝か夜かもわからない。
わかるのは、私を死へと引き込もうとする感覚だけ。
気を抜いたら引きずり込まれそうになるのを、あの男への怒りと憎しみと憎悪を糧に、必死で耐える。
でも、それも長く続かないこともわかっていた。
ある時、体に衝撃が届いた。
わからなくなった感覚でもわかるほど、強い衝撃だったんだと思う。
するとどうだ。私の動かなかった首が少しだけ動いたんだ。私の意思で。
無くした目と反対側の、見ることができなくなった瞼も開いて、光を感じた。
ああ、でも…………。
私に終わりが迫っていることを理解した。
明瞭になった目が捉えたのは、真っ白な世界。光だけの何もない空間。壁も地面も空も無い。
これはきっと私の全てなのだろう。
奴隷に身を落とし、何もなくなった私が辿り着いた場所。この何もない空間が私を象徴しているのだろう。
…………なぜ、こんな目にならなければならなかったのか。
なぜ私なのか。何故私はこんなにも苦しい思いをしているのに、あの男はわたしをいたぶって楽しんでいたのか。
何故、なぜ、何故なぜ何故何故。
痛かったのにあの男は嗤っていた。
綺麗だったのに、あの男に汚されて、汚いと罵られた。
日に日に失っていく私の体を見て、あの男は醜いと叫んだ。
失っていく感覚に、あの男はつまらないと吐き捨てた。
憎くて堪らない。あの男を殺したくて仕方がない。苦しみを与えたい。
髪を全部引きちぎって、すべての指を切り落として、手足をもいで、全身の骨を折って、内蔵を抉り出して、眼球をくり貫いて、全身を火で炙って、あの肥えた肉を先からなます切りにして。
苦しんで苦しんで苦しんで絶望の淵に叩き落としてから殺してやりたい。
ふと、白く何もない空間の中に異物があることに気付いた。
何もないのに、目の前に物があることがとても異質で、不思議だった。
それは酷く歪な果物。黒く見るからに怪しい食べ物とも呼べない物。
だけど、それに何かを感じ取った。見えないナニカに吸い寄せられるように、首を近付けてしまうのだ。
そして私は、それを食べた。