ありふれた問題児(職業)が世界最強になるそうですよ?   作:きりがる

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 逆廻十六夜に限りなく近い十六夜(仮)だと思って下さい。本人を表現しきれる自信がなかったと言っておきます。主人公の中で十六夜が結構好きだから仕方ない。ちなみに、メインキャラも入ってくる本気のハーレムとなる予定です。覚えておいて下さいです。

 あとから本人でええやんと思ったけど、時既にお寿司状態だったので、一応、オリ主にしておく。

 初めて三人称で書きました。一応、ありふれた原作や問題児原作を読んで文章構成を似せてますが、変な所があれば教えてくださいな。


プロローグ

 

 白い雲が僅かばかり空を泳いでいる昼下がり。

 学校の屋上にて、後頭部の下に組んだ手を枕にしつつ寝転がり、終夜十六夜(よもすがらいざよい)は太陽を見上げてふっと呟いた。

 

「あ、黒点発見。やっぱり太陽が氷河期に入り始めているってのは本当なのかね」

 

 何かを通すこともなく太陽を直視するといった、人外染みたことをした十六夜の頭にはヘッドホンがついており、そこからは彼のお気に入りの曲が流れている。

 しかし、それすらも流れ出るように意識することは出来ず、ただのBGMとなっていた。

 

 高校の屋上とは言え、こうも堂々と授業をサボり、昼休憩になれどサボりのスタンスを変えない姿はただ無気力としか見えない。

 

「何か面白い事ねえかなぁ……」

 

 ヘッドホンから流れてくる曲を音楽プレイヤーを操作して止めてヘッドホンを外すと、授業が終わったことでガヤガヤと騒ぎ出した生徒の声が聞こえてくる。

 購買に惣菜パンを買いに行く者。弁当を広げて友達とお喋りに興じるもの。

 十六夜の桁外れの聴覚はそう言った者たちの声すらも、容易に聞き取ることが可能だ。

 

 はぁ…と再びため息を一つ。

 それと同時に、屋上へと続く扉がギィ…と鈍い音を立てて開けられる。

 

 十六夜は目もくれなかったが、それはここに来る人物が誰なのかを既に知っているからだ。

 

 本来は施錠されているはずの屋上への扉を開け、心地よい日差しが差し込む屋上へと入ってきたのは、一人の少女だ。

 その少女はこの学校で有名であり、二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る美少女だ。腰まで届く艶やかな黒髪、誰もが優しそうだと感じられる大きな瞳。誰もが彼女を頼り、好意を向け、更に親しくなりたいと淡い思いを抱いている。

 

 名を白崎香織という。この学校で二大女神とまで言われる彼女の親友がもう一人の女神なのだが、今はこの場にいないのでいいだろう。

 

 休みの度に話しかけられ、常に側には親友と幼馴染、または友人が居り、いつも微笑みを絶やさない彼女が一人になることの方が珍しい。

 そんな誰からも注目されている香織が、何故、施錠されているはずの屋上へと入ることが出来るのか。まさか、職員室に忍び込んで鍵を盗んだのか。それとも、見た目からは考えられない技術、ピッキングを行えて鍵を開けたのか。

 

 勿論、人の良い彼女がそんなことはできるはずもなく、考えすらも浮かんだことはない。

 では何故か。それは至極簡単なことであり、終夜十六夜が彼女のために鍵を盗んで複製したからに他ならない。

 

 今は詳細は省くが、屋上にいた十六夜を香織が偶然にも見つけてしまい、問い詰めた所、紆余曲折あって二人だけの秘密の場所となってしまった。

 

 その二人だけの特別な場所に来た香織は、黒髪を風に靡かせながら十六夜の寝転がっている場所まで歩いて行く。

 

「もう、十六夜くん、また授業サボったでしょ? 机の上にプリントが溜まってたよ?」

 

 十六夜の頭上まで歩み寄ってきた香織は、髪を押さえつけながら十六夜の顔を覗き込む。日差しが遮られ、香織の作り出した影が十六夜の顔を覆う。逆光によって見えづらいが、彼女の顔はいつもの表情とは違ったものだった。

 誰もに見せている優しげな微笑みではなく、まるで安心したことにより無意識に出てきた、自然体な笑み。

 

「おいおい、パンツ見えちまうぞ?」

「ッ、この位置からじゃ見えないもん!」

「なんだ、頭の近くに立ってたから見せてくれるのかと思ったぜ。嫌ならさっさと座れば?」

「言われなくても座ります! ……それで、なんでサボったの?」

「退屈だから。今更、高校程度の授業なんざ受けても受けなくても変わりはしねえよ。お前も知ってんだろ? 俺が授業なんて受けなくてもいいってことをよ」

 

 まぁ、そうだけど……。と香織は呟く。十六夜がどれほど頭が良いのかを知っているからだ。

 嘗て、知り合ったばかりの頃にわからないところを何気なく呟いたところ、十六夜がわかりやすくかつ丁寧に説明してから、香織はどうしてもわからなくなったことがあれば、まずは十六夜に相談している。

 

 親友や幼馴染ではなく、十六夜にだ。

 

 どうしてこうも他人である十六夜と二人きりになり、相談もする間柄で、心底安心したかのような表情を見せるのか。普通であれば、家族との時間や自分の部屋などで、本来の自分というものを曝け出す。

 

 だが、香織は終夜十六夜を選んだ。

 切っ掛けは些細な事であり、それを十六夜が慰めたこと。十六夜のとっては別に慰めたのではなく、ただ単に側で五月蝿かった彼女の話を聞いてやり、アドバイスしてやった程度のことだが、香織にとっては救われたことだった。

 

 香織だって人間であり、ただの女子高生だ。周りからの好意を受け続け、頼まれたら断らず、嫌な顔を見せずに微笑みを浮かべる生活なんて普通ではないだろう。何気なく微笑むことはあれど、時には無理やりに浮かべることもある。容姿端麗故に告白もされる。それを断り続けていれば疲れもする。

 

 小さなストレスも受け続ければ大きくなり、溜め続ければいつかは爆発してしまう。

 そのストレスを受け止めたのが偶々十六夜だった。もし、他の男子であれば…これを機に付け入って仲良くなり、踏み込んであわよくば…なんていう邪な考えのもとに慰めることもあるかもしれない。

 

 一人の人間が抱える様々な悩みは、他人から見れば些細と思われるかもしれないが、本人の中では大きな問題となっていることが多い。

 これらを対処できずに問題を合理化したり、抑圧、置き換え、行動化などによる防衛機制によって対処されるが、やはり吐き出してしまったほうが楽だろう。だからこそ、受け止めてくれる存在は必要なのだ。一番例にし易い人物であれば、母親かもしれない。

 

 それから香織が自覚、無自覚的に疲れた際に逃げ込むのが屋上である。鍵も閉めることが出来るので誰からの追跡も避けることが出来るし、十六夜が居る。最近では南雲ハジメという男子生徒を構ったことにより、少しばかり面倒なことが多々起きているが、様々な感情を向けられてきた彼女が、南雲ハジメに送られる悪意ある感情を気づけないはずがない。よって、最近は自重している。

 

「十六夜くんはお昼食べた?」

「いや、まだだな。別に腹減ってねぇし、買いに行くのも面倒くさいから抜くつもりだ」

「だと思ったよ……そう思って十六夜くんの分のお弁当も作ってきたんだー。昨日の夜に肉じゃが作ってね、余ったから入れてきたんだけど……」

「へぇ…? そう言えば、何気に香織の肉じゃがって初めてだな。貰うわ」

「うん。ちょっと待ってね」

 

 よっ、と腹筋の力だけで起き上がった十六夜はその場で胡座をかき、香織がにこにことしながら手提げ鞄から弁当を取り出すのを眺める。まるで恋人同士のような風景だが、二人はそういった関係ではない。何気にこの光景も見慣れたな、と十六夜はふと思う。

 

 取り出された2つの弁当箱のうち、大きめの弁当箱がいつも十六夜の貰っているものだ。それで足りるのかというような女子の小さな弁当箱とは違った、黒の二段弁当箱。その2つの箱の蓋を開けて、箸を取り出して十六夜に手渡す。

 

 一つはふりかけのかかった白米に、もう一つは先程彼女が言っていた肉じゃがが半分ほどの空間を使用して詰まっていた。じゃがいも、肉、玉ねぎや人参、莢隠元を使って作ったようだ。肉じゃがの隣、もう半分の空間には卵焼きや茹でたブロッコリーなどが入っており、見た目も鮮やかに食欲をそそるようになっていた。

 

 不思議なもので、先程までは全くと言っていいほど腹が減っていなかったのに、この弁当を見ると途端に空腹が襲ってきた。

 

「いただきますっと」

「召し上がれ」

 

 香織の返事を聞いてから、早速とばかりに肉じゃがに箸をつける。じゃがいもと玉ねぎを一緒に掴んで、口へ運ぶ。咀嚼するとともに、どうせなら温かい状態で食べたかったと言う思いが浮かび上がる。

 冷たくもほろりと崩れるじゃがいもと、とろけるように崩れていく玉ねぎは実に自分好みの味付けだった。肉じゃがはその家庭の味とも言え、おふくろの味とも言う。親のいない十六夜は自分で店や惣菜の味を真似て作った物が我が家の味と言うものだが、売るために作られたものではなく、他人の作った家庭の味に少しばかり感慨深くなる。

 

 無意識的に美味いなと呟いてから、無言で箸をすすめる十六夜を見ている香織だが、気づいているのかいないのかわからないが、愛おしいものを見るような表情を浮かべており、普段から回りにいる者共が見れば驚愕と同時に見惚れるだろう。

 

 十六夜の一言に胸の内を暖かくし、喜びを感じる香織だが、この感情がどのようなものか…未だに自覚していない。それでもこんな日常が続けばいいと思う。

 

 温かな日差しの降り注ぐ晴天のもと、とある高校の屋上でたった二人の秘密の昼休み。

 

 いつまでも続くかのように思われる日常風景だが、それは叶わなくなる。誰もが想像できない出来事が、近い未来に起こってしまうからだが……それはまだ、少しばかり先のことである。

 

 




納得できないが…最初はこれくらいで良しとしておきます。
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