皆さんの今作における、お気に入りキャラは誰なんでしょうかね(^^)
書ける内にカタカタと書きました。
それではどうぞ。
「芳乃様は隠れていて下さいっ!」
潰された視界の中、そんな声がする。若く高い声、女の子のかな?
その声と似たもう一つの返し声。どうやらこの部屋には二人の少女がいるらしい。今はそれくらいの情報しか分からなかった。
白い景色から黒い景色に変わる。瞼の裏の色。足音がする。芳乃様と呼ばれた子が走る音かな? もう一人の動く音は聞こえない。見えない分には、それくらいのことしか分からなかった。
兎に角、視力を回復させないと。
真琴は腰に手を動かす。
だが、その手が届く前に、首へ何か“冷たい物”を静かに当てられていた。同時に誰かの体が背中に密着する感触が伝わってくる。
多分、もう一人が背後に回ったのだろう。……足音は全く聞こえなかったのが疑問だけど。
「動かないで下さい。ここが何処かお分かりの上で侵入したのですか?」
少女は冷静に問い掛けてくる。
耳の近くで聞こえる声。うーん、なんかどこかで聞き覚えのあるような……。忘れてはいけない、俺にとって大事なことのような気がするけど。
「えーっと、悪い。ここがどこだか分かっていないんだ。生憎、視界が戻っていないものでして……」
真琴は両手を挙げて、無抵抗の意志をとりあえず示しながら答えていた。
その言葉を聞いた少女は更に密着度を上げる。それに伴って、首に貼り付く冷たい感覚も僅かに強まった。
「冗談を言える程に余裕があるようですね。ここがどこなのか知らずに入ってくるなんて有り得ません。目的は何ですか、覗きですか? 次も誤魔化すようならば容赦はしませんよ?」
“冷たい物”。当たる部分の細く鋭利な感覚――これの正体はおそらく刃物の類いかな。
何でそんな物騒な物を持っているのか。という謎が浮かぶのだが、今は横に置いておこう。
「ここがどこなのか知らずに」って、見えないんだから本当に知らないんです。うーん、誤魔化すなと言われましても、ただお手洗いに行きたかっただけなんですが……。
素直にそう答えたら、多分終わりなんだろうなぁ。なにがこの状況で正解になるのか。それだけが頭の中を巡っていた。
「答えることが出来ないということは、それが答えと受け取って宜しいでしょうか?」
「ああ、待ってくれ。……これから言うことは嘘偽りの無い本当のことだ。信じてもらえないかも知れないが、どうか信じて欲しい」
考えても逃れる言い答えは見つからなかった。仕方がない、正直に答えるしかない。その結果がどうなるかは、この少女の慈悲次第だな。
「俺はこの家に安晴さんを訪ねて来た者だ。ついさっきまで、居間で話しをしていたんだが、お手洗いに向かう為、廊下を歩いたけど、場所が分からなくなってしまって……。だからとりあえずこの部屋の戸を開けてみたんだ、そしたらこの状況になってしまった。俺にはこれ以上の答えはない。どうにか信じて欲しい」
「……」
少女から向けられる無言の鋭い視線が背に刺さっている……気がする。
きっと、言葉の真偽を確かめているのかな。もう判断はあなたに任せています。俺にはもうどうにも出来ませんので、あ、あはは。つい、心の中で苦笑してしまう。
暫しの間が空く。二人の間に沈黙が流れる。
時計が秒針を刻む音。
二人の呼吸する音。
水がぽたぽたと滴る音。
それらの音が、静かに小さく波紋のように広がるだけの時間……。うん? 水が滴る音だって? 何でだ?
「……。あ、あの……こんなことまでしてしまってからで大変申し訳ないのですが、一つ、お伺いしても宜しいでしょうか?」
ふと、真琴が疑問を抱いた時とほぼ同じくして、少女が口を開いた。
先の返答を聞いて、考えに何らかの変化があったのか、少女の声が優しくなっていた。
今度は問い詰めてくるのではなく、こちらに自身の質問を尋ねるように声を掛けてくる。
「あ、はい。何でしょう?」
少女の様子に少しの戸惑いを覚えていたが、真琴は承諾した。
首に当たっていた感触が緩んでいくのが感じ取れる。どうやら警戒を解いてくれたようだった。まぁ、相変わらず、背中に密着されているのには変わりないんだけど。
「えーっとですね、冷静になって、お声を聞いて思ったのですが……。もしかして、千歳さん……でしょうか?」
恐る恐るといった雰囲気で伝えられた質問。それに対して――。
「えっと……はい、そうですけど、どうして俺の名前を――」
自分の名前が少女から出たことに驚く真琴。だけど、それが一つの答えに繋がった。
穂織の町に来てから知り合った人はまだ数人。その中で、自己紹介をしている人となると更に限られてくる。
そして、更に更にだ。少女という条件を満たす子は一人しかいないんだ。
そう、あの少女しか――。
「――もしかして……常陸、さん?」
「は、はい、そうです。今朝ぶり……ですよね、千歳さん?」
常陸茉子さん、正解だったようだ。
また会えるといいなと、思ってはいたのだが、まさかこんな形で再会することになるとは。
さて、どうしたものかな……。
評価、感想頂けると嬉しいです。
相変わらずの展開の雑さ(^^;) 何故、書くのが上手い人たちは、一場面であんなに長く、綺麗に描写出来るのだろうか?
RIDDLE JOKERの更新も頑張ります。