猫と犬。時々お馬。   作:奈々歌

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最近、なろうの方でもぼちぼち活動を始めました。
玄十郎さんの言葉使いが難しい。
主人公の立場だと、将臣みたいに孫への接し方ではダメなので、言葉使いを変えなくてはいけない。でも、そんな言葉使いをしている場面が少ない。

違和感がありましたら、指摘をお願いします。

※加筆いたしました。


Chapter.0ー3

 

 あれから歩くこと一時間。目的の場所、これからの帰る場所となる志那都荘に到着した。

 

 外界と切り離され、まるで時間が止まっているかのような和風の町並み。古来の良さが残る穂織の土地。それは大通りから入り組むように伸びる小道の多さが彷彿とさせる。

 

 だが、それが俺にとっては裏目に出ていた。率直に言おう、完全に迷ってしまった。やっぱり常陸さんに聞いておけば良かったな……。

 

 日はすっかり落ち、辺りは既に暗い。街灯の明かりが点々と石畳を照らし、道を作る。

 

 メモを頼りに、あっちやらこっちやらと、ふらふら歩くこと無駄に時間を使った。決して、方向音痴ではないからな?

 

 やっとのことで着いた志那都荘。玄関にはまだ灯りがあった。誰か居るだろうか? ガラガラと木製の引き戸を開けて中に入る。人の気配はあるが、姿は見えない。

 

「すみません、予約していた千歳ですけど――」

 

「はい、ただ今まいります」

 

 声を掛けてみると、通路の奥から声が聞こえた。パタパタとした足音と共に、仲居さんが姿を現す。ああ、良かった。

 

「長期のご予約の千歳様ですね。ご心配しておりました」

 

「すみません、思っていたよりも時間が掛かってしまって……」

 

 道に迷う以前に、移動があんなに時間が掛かるとは思わなかった。予定では夕方には到着していたはずだったのに……。バスの数が少ないのは問題だな。車も滅多に通らないし。

 

「いえいえ、ご無事でなによりです。ご足労いただき、誠にありがとうございます」

 

 深々と頭を下げる仲居さん。釣られてこちらも頭を下げた。

 

「あの……鞍馬さんにご挨拶を、っていう時間ではないですよね?」

 

「大旦那さんですね。まだ、大丈夫だと思います。ご案内致しますので、こちらへ」

 

 時間も時間だったので、申し訳なさそうに尋ねると快く通してもらえた。仲居さんの後ろに付いて行き、大旦那様と呼ばれる人の部屋に案内される。

 

 部屋が幾つも並ぶ長い廊下。その中の一室。部屋の襖障子を仲居さんが声を掛け、膝を突いて丁寧に開ける。

 

 厳格な面貌、それを感じさせるのは特に目。年相応な威厳のある雰囲気がいかにもといった白髪のおじさんがいた。

 

「千歳真琴です。暫くお世話になります」

 

 対面に敷かれた座布団に正座し、丁寧に頭を下げて挨拶。大旦那さんと呼ばれるおじさんも、向かっていた机から体をこちらへ直し、軽く一礼。

 

「鞍馬玄十郎だ、こちらこそ世話になる。お忙しい中、こちらの申し出を受けて頂き、感謝いたしますぞ」

 

「俺はそんな大層なことは出来ません。依頼された内容に最善を尽くすだけです。泊まる宿を提供して頂き、こちらこそ、感謝致しますよ」

 

 謙遜的な真琴の様子に、玄十郎さんは表情を緩めていた。そこには根の優しさが出ている気がする。

 

「建実神社には明日、御出になりますかな?」

 

「そうですね。ですが、その前に駒川先生の診療所に寄って挨拶をして行くことにしようかと。距離としてもその方が近いと思いますので」

 

 ふむ、と玄十郎さんは頷く。

 

「部屋は自由に使ってくれて構わないのでな。何かあったら遠慮なく言ってくれて構いませんぞ」

 

「はい。ありがとうございます。では、俺はこれで失礼します」

 

 座布団から立ち上がり、玄十郎さんの部屋を後にする前にもう一度頭を下げる。

 

 部屋の外では仲居さんが待っていてくれた。仲居さんに案内され、次は自分の使わせて貰う部屋に向かうことに。なんでも、普段は客室としては使うことの無い予備の部屋なのだとか。

 

 長期間泊まる俺みたいな客には好都合というところか。部屋に着くと仲居さんは中断していた仕事に戻って行った。

 

 ドサッと荷物を置く。しっかりと手入れが行き届いている畳。良い匂いだ。一人で使う部屋としては広い。まぁ、本来は観光客四人で使う部屋なのだから当たり前か。

 

 広縁に移動する。窓を開けると夜風が吹き込んできた。まだ春先の風は肌寒い。

 

 木製の手摺りに組んだ腕を乗せ、景色を眺める。目の前に広がる穂織の夜景に加え、この町を囲む山々がその姿を夜の姿へと変えている。

 

 人の寄りつくことを拒むような不気味さを醸し出す山たち。もうあそこは“人ならざる者”たちの場所と化している。夜は“彼ら”の時間だ。

 

『――山が、騒がしいな』

 

 不意に声が聞こえてきた。

 

 でも、この部屋には彼一人。

 

「ん、そうか? 一応、調べといた方がいいか?」

 

 真琴は驚くことなく、平然と返す。端から見れば、独り言を呟いているように見えることだろう。

 

『……いや、まだ気にする程でもないだろう。明日に備えてお前はもう休め』

 

 遅れて返答が戻ってきた。

 

 その時、風が一際強く吹き、真琴は片目を瞑る。左右に寄せていた窓を細かく鳴らし、風は去って行った。

 

 部屋の電灯が揺れ、光が広縁にも広く当たる。それは真琴の隣に小さな影を落としていた。影の形は動物のよう。でも、どこか“違う者”。

 

「そうだな、明日もやることが沢山あるし、そうさせて貰うよ」

 

 見えない声の主は姿を消した様子。もう声は帰って来なかった。

 

 独り言のようにも聞こえた言葉の通り、その晩は湯船にゆっくりと浸かった後、早々と就寝することにする。布団で寝るのは久しぶり。

 

 観光名所となるほどの効能を持つ温泉。確かに良かったな。

 




ハーメルンの広告にもあるように、中二病が新しくやるみたいですね、楽しみです。

評価、感想、貰えるとモチベ上がります。
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