あと、クロスオーバータグを追加いたしました。一応調べて、他作品のキャラを設定そのままで登場させなければ、必要ないのかなぁーと思っていた無知な自分が恥ずかしいですね、はい(苦笑
話は変わりまして、RIDDLE JOKER発売しましたね。しっかりと予約していましたので、今作で一番好きな七海ちゃんのイラストが手に入りました(^^)
きっと、もう皆さんの手元にもあることでしょう。
長々と失礼しました。
それではどうぞ!
祭りの賑わいから一人離れ、神社の裏手に回る。そこには一軒の家。
それはそれはとても広々とした立派な和の平屋。歴史的な趣を感じさせる木造の家屋。
多分……というか、ここが神主さんの、そして巫女姫様の家で間違はないだろう。
石畳で整えられた小道を歩いて行くと玄関が見えてくる。引き戸の前に立つと備え付けの呼び鈴を押すと、家の中へ耳に程よい高音が響き、音の代わりに男性の声が聞こえた。
声の質と太さからして大人の男性のもの。ガラガラッと玄関が開かれると、青い和服の男が姿を見せた。
「いやぁ、すまないね。お待たせしてしまって。えーっと――」
私服――穂織では和装が普段着となっているが、それを理解した上で見ても豪華な装い。
重ね着した羽織に……あれは冠物かな? ああ、神社で祭りをやっているんだ、何かしらの出番があるのだろう。そう一人で納得していた。
「――初めまして。この度、ご依頼の件で参りました千歳です。件により、朝武安晴さんにお会いしたいのですが……」
「あぁ、これはこれは。僕が健実神社の神主、朝武安晴です。ささ、立ち話も何ですのでどうぞ上がって下さい」
この人が朝武安晴さんか。
優しそうで温厚な雰囲気が表情からも伝わってくる程。きっと、優し過ぎる人なのだろうな。受け取った依頼の内容に籠もっていた感覚からしてだけど。
安晴さんに手で促され、家の中にとおしてもらう。
「あ、はい。ではお邪魔させて頂きます」
軽く頭を下げ、家の中に上がる。
目の前に伸びる長い廊下に戸の数々。部屋の数は余裕で二桁はありそうだ。
外観からも容易に想像出来たことなのだが、これは広いの一言に尽きる。家の中で簡単に迷子になれそうだな。勘弁だが。
廊下を後ろに付いていき、安晴さんは居間と思われる部屋へと入っていく。台所と隣接した大きな部屋。一体、何畳あるのだろうか?
どうやら見入ってしまっていたらしく、暫しの間、敷居の手前で立ち止まっていると、その様子に気が付いたのか「座って休んで下さい」と言い残して、安晴さんは台所の方へ向かっていった。
ああ、と止まっていた足を動かして敷居を跨ぐ。何枚か並べられていた座布団の一枚を使い、そこに腰を下ろした。
慣れない空間に少しの緊張を感じながら待つこと少し。安晴さんが盆に湯飲みと茶菓子を乗せて持ってきた。
座卓にコトッと次々に置いていき「どうぞ」と差し出される。
千歳は「ありがとうございます」と手に取り、冷ましながら一口飲んで一息つく。
「人を上げるのは久しぶりで、お茶請けの用意が切れていてしまっていてね」
と言いながら、煎餅が入った菓子器を申し訳なさそうに置いていたが、種類が豊富だった。
いや十分でしょ、見たことないのもあるし、これはこれで興味が惹かれるぞ。
「いやー、それにしても本当に依頼を受けて頂けるなんて思いもしなかったよ。千歳さんの話を聞いた時には、大変お忙しい方なんだと聞いていたからね」
「いえいえ、そんなことはないですよ。というか、そんな話どこから出たんですかね?」
千歳の訪問に嬉しさを出す安晴さん。
それに笑みで返す真琴。
忙しいとかはまずない。寧ろ、研修以外もうすることが特にないので暇でしたよ、はい。本当にどこから出たんだろうか。
心当たりがない……はず、だよね……うん。
「では、早速ですが――」
湯飲みを下ろし、一通の紙を取り出す。
綺麗に折畳まれた“それ”を座卓に開いて置いた。依頼内容の書かれた“手紙”。
今時、電子メールなどではなかったのも穂織らしいのかな。他の依頼主からは大体パソコンに届くから、中々に新鮮だったよ。
「ここに書かれている内容で依頼内容に間違いはないですか?」
「うん。そこに書かれていることが、今の現状で間違いはないよ。でも……」
途中で言葉が途切れた。安晴さんの異変に真琴は疑問を持つと、声を掛けようとする。
だが、真琴の口が開かれるよりも先に安晴さんが話を続け出した。
「この依頼で、直接千歳さんと関わることが多くなるのは僕の娘なんだ。けど、あの子は多分、千歳さんの力を借りることに反対してしまうかも知れない」
言いずらそうに、申し訳なさそうに。
父親だから分かるのか。娘が出す返答が。
「……もし、そうなったとしても、これは状況が状況ですので、最終的には依頼主である安晴さんの判断で決めて貰って構いません。娘さんの気持ちが大事なのは分かります。ですが、その決断が娘さんの為にもなるはずです。いえ、俺が責任を持って“させて”見せますから」
娘さんが反対する理由も分からなくはない。
きっと俺が娘さんと同じ立場だったとしたら、同じ答えを口にしてしまうと思う。
安晴さんから送られてきたこの手紙にはそう考えさせる内容が記されている。
ここ、穂織の土地で起きていること。
この家族に起きていること。
“背負うもの”をもうどうしていいか分からないこと。
先の糸口が見えないこと。
心から笑う姿を見せてくれなくなったということを。
「……有り難う、そう言って貰えると楽になるよ。……もう僕には力になれることがない。それが父親としてとても辛くて仕方が無いんだ。手を貸そうにも返って足手まといにしかならなくてね……。最後の頼みの綱として千歳さんに依頼を出して正解だったようで、良かったよ、本当に」
辛そうに俯きかけていた安晴さんが、顔を上げる。初めて玄関で会った時と変わらない柔らかな表情。
だが、その手は強く握り締められていた。大事な娘を助けてあげることが出来ない自分の無力さに悔しさを現わすように、強く。
「娘さんとも話す必要があるようですし、この話はまた後にしましょうか」
「ああ、そうだね。あの子はこの後に春祭りで出番があるから、禊をしているところなんだ。もう暫くしたら支度も済んで、顔を見せるはずなんだけど――」
言いながら柱に掛けている時計に視線を向ける。
春祭りでの出番か……。安晴さんの娘、ということは巫女姫様の舞のことか。
二人にも薦められたから見ておきたいな。
「大事なイベントですし、その後からでも大丈夫ですよ。そちらの都合に合わせます。時間的にも余裕を持っておきたい話ですし、春祭りが無事に終わってからにしましょう」
「折角、来て頂いたのに申し訳ないね。夕方には時間を取れると思うから、それまでは千歳さんも春祭りを楽しんでくれると嬉しいよ」
この場での話に区切りがついたことで、真琴は広げていた手紙を仕舞う。
さて、この後はどうしたものか……。楽しんでくれと言われても、人混みがなぁ……。
と、悩んでいると「ああ」と思い出したことが一つあった。
「(そういえば、玄十朗さんが見て貰いたいことがあるって言っていたな……)」
志那都荘を出る前。健実神社まで春祭りを見に来たら、声を掛けると話していたこと。
別に忘れていた訳ではないのだが、時間もあるし、丁度がいいかな。
目的も決まったことで、真琴は腰を上げる。
安晴さんもお盆に湯飲みを乗せていた。
後は一度、この家を後にして――と、その前に。
「あのー、すみません。少々、お手洗いをお借りしたいのですが……」
祭りで買った飲み物。さっき飲んでいたお茶。流石にね?
「ああ、お手洗いならそこの廊下に出て、左側の突き当たりにありますよ」
「分かりました。すみませんが、使わせて頂きますね」
障子を開け、この部屋に来る前に通った廊下とは反対側。庭がよく見える縁側のような道を歩いて行くことに。
「さてと……」
突き当たりまで来たのはいい。だが、一体どの戸のことなのかな?
目の前には戸が数枚並んでいる。安晴さんの言い方だと、着けば分かるようになっていると思っていたんだけど……。
「(一カ所ずつ見ていけばいいかな)」
そんな気軽な気持ちで一番近い戸に手を掛ける。
この時、真琴はその“間違い”に気が付くことはなかった。気が付いた時には既に手遅れで。
「――ッ!?」
音を立てて、戸が開かれた部屋の中に一瞬、人影らしき姿が見えた気がしたのだが、視界はすぐに強烈な光に潰されていた。
景色が白色へ強制的に染められる。痛みより驚きの方が大きかった。
そう……これが“間違い”の結果。真琴はそれを今は知ることは出来ないでいた。
評価、感想頂けると嬉しいです。
展開が早いような遅いような……。強引な展開は許して下さい_(._.)_下手すぎて自分でも情けなく感じておりますので……。
土日でRIDDLEJOKERも更新頑張ります。