【完結】 ─計算の果てに何があるか─   作:ロザミア

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完結作品ではありますが、メッセージのリクエストやリアル友人から何故か頼みに頼まれたので投稿。
何やかんやで書いてて楽しい奴らです。


では、ほんの少しだけ舞台の幕を上げてみましょうか


少しだけの幕開け

何だかとても久しぶりな気がする。

舞台に上がるのはこれまで何度もあったが…うむ、こういうのはあれだな。色々なメタがあるから言わぬが花だ。

 

というわけで…やあ、皆の衆。

俺だ、ワラキーだ。

久し振りだねぇ皆。

幕下ろした癖にとかの苦情はこの際無しにしようじゃないか。

メタいのは監督ゆえにということで一つ。

 

まあ、あれからの話をしようと思う。

あの『虚言事変』の後、俺達は三勢力への全力支援…とまではいかないもののそれなりの協力を要求された。

フリージアやオーフィス、教授という三人と居るためなので引き受けた次の日には引っ張りだこだった。

やれ錬金術の最奥だの、吸血鬼の強さだの、エトセトラエトセトラ…おちおち家族シチューを楽しむ暇もないと来た。

エンディングといっても一つの事変の終わりに過ぎないということだろう。

 

だが…次期当主となる悪魔達には関心と呆れと溜め息の三セットが付き物だった。

何というか、ピンからキリというか。

ワラキーもここまで面倒見るのは疲れるよ。

ていうか魔王、丸投げするな。

悪魔至上主義とまではいかないが自身の種を誇りとする輩もいるからか突っ掛かって来る面々もいた。

いいのかなぁ、こんなので。

人間達や他二勢力との交流も今後控えてる彼らには不安しかない

 

やっぱ過激な事変にすべきだったかな?

うむ、まあそれをしたら今の状況はないということで勘弁してやる。無論、突っ掛かってきた馬鹿野郎達はぶちのめすという有難い教えをプレゼントした。若造が調子乗んなということだ。

しかしこれもまた失策だった。

強さを見せつけることで少しは大人しくなるかと思えば…一人嬉々として突っ掛かって来やがった。

サイラオーグ・バアル、次期当主の中でもNo.1の実力。

バアルの持つ滅びの魔力を一切持たない彼には好感を覚えている。

 

いや、弱いのいいよねじゃないよ?努力する姿勢だ。

血の滲む努力が彼をここまで強くしたのだ。

うむ、素晴らしい!人間だったら拍手したね。

 

そんな彼に一勝負挑まれた俺は…うん、全力を出すわけにもいかないからね、こんなことを口走ってしまった。

 

「10分の3でいいだろうか」

 

「それは俺が弱いと?」

 

馬鹿野郎。

何してんのよ?そりゃサイラオーグ君もムッとした顔になるよ。

俺だってなるわ。

まあでも、自慢ではないが俺の実力は超越者を越えてたり越えてなかったり。

超越者を越えるってそれ超越者じゃ?ってなるけどこまけぇこたぁいいんだよ!

 

そんな俺だが失言に気づいたのは発言の後だった訳で。

 

「気分を害したのならすまない。だが、これでも私はサーゼクスやアジュカと同等程だからね」

 

嘘です、最近相手しましたけど負けたことないです。

せこいこともしたけどさ。

彼の本気を引き出したら…そうさね、七割は出すかな?

まあ、ただの取っ付きあいみたいな勝負にそこまで全力出すかとなればサイラオーグ君もそれには同意。

 

そういうわけで戦ったわけだが…うん、脳筋って怖いねぇ。

毎度の事ながら俺みたいな頭脳派の戦いを真っ向から否定するのやめてくんないかなぁ!ぶちギレそう!

主人公君然り、君然りさぁ…どうしてこう、パワーオブパワーを地で行くかなぁ!?

 

まあ、それでも三手先を見据えることが出来るのがワラキークオリティよ。覇王翔吼拳を会得せん限り貴様が俺に勝つことなど出来んわ!

 

「君は確かに強いだろう。その力は確かに今の悪魔の貴族社会に革命をもたらすだろう。が、私を舞台から退けようとするにはまだまだだよ」

 

「…何故そこまで強いのか、聞かせてもらいたい!」

 

光を失わない目は確かな強さを俺に伝える。

うんうん、俺の経験が聞きたいかね?

壮大に言うとするか!

 

「私は私のために強くなった。私の舞台のために、私の脚本から私が外れぬためにね」

 

「なるほど、己が為に…か」

 

「うむ、それと愛すべき家族のためにね。君にも守り通したい家族がいるのではないかね、サイラオーグ君?」

 

「…ええ、います。俺には敬愛すべき母が」

 

「ハハハ、良いことだ。ならば背負えるほど大きくなることだ」

 

母かぁ…偉大だよね。

俺はパッパにしかなれんからなぁ。

うむ、こいつは強くなるぜ。

俺が手を加えるんだ、主人公の出鱈目パワーアップ程度で負けない程度には仕上げてやるか。

まあ若手の数名ほどはもう意気消沈してるけど…

 

とはいえNo.1のサイラオーグ君を互いが全力も出さないとはいえ片手間に倒した俺に怯んだのかリアスちゃんやソーナちゃん以外の他の若手悪魔達は攻撃的視線を向けることはなくなった。

それから渡されたデータを元に個別指導をして各々の強化を施していった。

馬鹿者は拳骨一発叩き込んだけど、別にええやろ。

 

…お上の悪魔達はどうだったって?

おう、サーゼクス氏が黙らせたよ。

あの事変が転機になったのかあいつらも強くなって、色々と政治にも力入れたようだし。

安心して俺は色々とやれるわけです。色々と、ね。

世界に何かするとかはもうやらんよ?ワラキー嘘つかない。

 

まあ、そんなこんなで俺もやることやって魔王様方へとご報告に来たわけです。

 

「皆とは言わないけど何人かは真面目に取り組んでいるようだね」

 

「ズーちゃん流石!私の見立て通り!」

 

「ズーちゃんはやめろ。君の見立てでは私が洗脳するんじゃと疑ってた癖によくもまあ」

 

「うっ…だってズーちゃんが裏切る気満々で関わってきたからでしょ!」

 

「初めからではないよセラフォルー。私が裏切ると決めたのは冥界復興に力を入れた後だ。あとズーちゃんはやめろ」

 

「そういうの屁理屈っていうのよ!」

 

「純然たる事実だがね」

 

「うるさい二人だ、外で遊んでこい」

 

セラフォルーの言葉に俺が口を挟んでからの言い合いにアジュカは呆れたようにしっしと手を振ってあっち行けと言ってくる。

この古ぼけ研究者がぁ…!

俺はワラキーだぞ!(名護)

 

「まーまー…ズェピアの件は今後の対応への協力ってことで片付いたじゃん。僕も楽が増えるから嬉しいしね~…というか、帰って寝ていい?」

 

「資料を見てくれないと私がこうした意味がないのだがねファルビウム君?」

 

「後で部下に見せるじゃ駄目かな?」

 

「サーゼクス、やはり軍事統括が彼なのは何かの間違いでは?」

 

「は、ははは…後でしっかり見るようには言っておくよ。

それで、君としてはどうなんだい?」

 

サーゼクスの目線逸らしに露骨な話題変更のコンボに溜め息で返した後に乗ってやることにした。

まあ、ファルビウム氏が本来働いたら優秀なのは分かる。

普段がこれなのが問題なのだが!

 

「結論から言うとサイラオーグ君の勝ちで終わりだと思うがね」

 

「その理由は?」

 

「周りの若手を見てから彼を見ると…言ってはなんだがステージが違う。君も分かるだろう?彼は戦う力を得るために捧げるべき物を捧げている。等価交換だよ、彼の青春の時間は強さのために潰された」

 

「随分と買っているじゃないか?そのまま依怙贔屓、とならぬことを祈ろうか」

 

「対抗馬としては…さて…いるのだろうか」

 

「リアス達はどうだい?磨けば光ると思うんだが」

 

「ソーナちゃんだって強いわ!」

 

「黙れシスコンども。お前らは妹に勝って欲しいだけだろう」

 

「身内贔屓は褒められたものでは無いと思うが、二人とも。

しかし、磨けば光る者が多いのは事実だ。リアス嬢達だけでなくね」

 

もっとも、リアスちゃんの眷族は抱えてるもんがあるせいで全力出さないんだが。

辛口で悪いがリアスちゃんを想うならそういうのは片隅に追いやって戦って欲しいもんだ。私情を挟んで戦うなんぞいない方がマシだ。俺ならまだアーシアちゃんや吹っ切れた木場君を支持するね。

ソーナちゃんの方はそうだな、今一つ足りない。

少し位過激に出ないと強みに持っていけないかもしれないな。

それこそ策に策を重ねて相手の土俵そのものを崩すのが一番いいかもしれない。

 

「それにしても、私のせいとはいえ延期した次期当主の交流戦か。…良いのかね?彼らの管理を任せるのが私で?まあ、君たちのいずれかに報告や同行がいるのは妥当ではあるが」

 

「私は問題ないと思っているよ。君はもう敵対する理由がないだろうし」

 

「まあ、今更でしょ」

 

「気に食わん」

 

「別にいいんじゃない?」

 

「四人のうち一人しかマトモな理由がないのは如何なものか。

まあ、それなら私が管理することにしよう。では、次に─」

 

次の話題に移ろうとするとコンコンと扉をノックする音が。

おっとこの気配は…

 

「開いてるよ。好かれてるね、君も」

 

「申し訳ない」

 

一言謝罪。

いやはや、これはお開きムードですな。

セラフォルーはあまりいい顔してないが…あれか、あの時ぶっ飛ばされたの根に持ってるな。

俺知ってますよ、君意外と執念深いの。

 

扉が開くと、ワンピース姿の我が娘、オーフィスが入ってきた。

 

「ん、迎えに来た」

 

「もう終わったのかね?」

 

「あれくらいすぐ終わる。帰ろ、ズェピア」

 

「あー…オーフィス、少しいいかな?」

 

「何、サーゼクス」

 

「まだ報告や相談の途中だったんだけど少し待ってもらえないかな?」

 

「…うん」

 

少し不満げだったがそれは一瞬。

すぐに無表情に戻ったオーフィスは俺の膝にちょこんと座った。

はいかわいい、かわいい一等賞。

もうまぢ無理尊死する。

世界は今日も娘の愛で色づいてます。

 

さて、それはそれとして…

 

「例のあれはどうなってる?」

 

「上手くいってるよ。このままいけば早くても3ヶ月以内には上のご老人方を納得させれる筈だ」

 

「そうかね。では、その後については?」

 

「そこは私達だけじゃ決定できないわ。『王』の子達もだけど、眷族の子達がどうしたいか…」

 

「どのみち、責任は取る。どんな形であってもな」

 

「よろしい。ならば、私からは何もない」

 

「…ズェピア、何の話?」

 

オーフィスが俺の顔を見上げて聞いてくる。

話すべきか?

視線で他四人に問うと構わないと返ってくる。

 

「悪魔の駒撤廃の話だよ」

 

「撤廃…出来るの?」

 

「絶対に反発する者は出るだろうけど、そうしないと進めないからね」

 

「俺達がした仕出かしは俺達で終わらせないといけない」

 

「そう」

 

関心があるのか無いのか。俺の手を撫でたりして遊んでるオーフィスに俺達は苦笑するしかない。

そう、撤廃だ。

少しずつ時間をかけてやっていく。

当然ながら面倒事はこれでもかと押し寄せるだろう。

けれど、それがツケなのだ。

神話や人類に寄生をした悪魔がしっかりと道を直して歩むためのツケだ。

俺はその手助けをするだけだが。

 

「まあ、そういうことで私も意見箱として残るわけだ。とはいえ、既に提出した案の経過を聞きたかっただけなのだが」

 

「本当に感謝してる。君の技術提供で活路が見出だせたよ」

 

「流石だね~」

 

「それ程でもある。…ふむ、では私もここら辺で失礼しても?」

 

「ああ」

 

「またねズーちゃ~ん」

 

「ズーちゃんはやめろ」

 

「ん、帰ろ。フリージア、待ってる」

 

何と、それは早く帰らねばなるまい。

一礼してから退室してから転移する。

いやほら、その場でやってもよかったけど急いでるのバレバレなの嫌じゃん…

というわけで駒王町の家の前。

ふっ…俺にかかれば何処からでも我が家へテレポートする程度造作もないのだよ!

 

さて帰宅。

そういや今日は教師の仕事はないのかって?

そりゃ君、こんな描写してきたんだから休みな事くらい分かるやろ。リアスちゃん達も居たんだしね。

というか、これからもやること山積みと考えると何か疲れるな…

 

「おかえり、ズェピア、オーフィス。先生はまだ帰ってきてないよ」

 

「まあ、彼にも色々とあるだろうしね」

 

「あの辛い拉麺はどうにかならないの」

 

「私は…うん、しばらく勘弁かな」

 

教授、また改悪もとい改良したのか…今度はどんなスパイスを追加しやがったん?

まあ、それはいいとして…フリージアも今やほぼ人間同然だ。

けど、タタリの応用で造り出した器なので人間より頑丈にはしている。特に、魂への干渉はほぼ許さない位には。

殆ど人間に近いけど厳密には違う。

タタリである以上、俺が消えれば彼女も消える。

俺の死=フリージアの消滅になるわけだ。

 

死んでやるつもりは毛頭無いがな!あれからブラックバレルの改造も進んだし?残念ながらあの糞蜥蜴よりヤバイのが来てもワラキーが全て弾丸で撃ち抜いてしんぜよう。

余裕ですよ、余裕。

子を想う親は強いというのは世界全体の真理だからね。

 

ここだけの話だが、未来をこっそりと観たんだが…やってくれやがったな主人公!そこで首突っ込まなかった俺が悪いのか?いや、俺も知らんし…

異世界繋いじゃったからか色々と面倒が増えたじゃねぇか!!

少し観ただけでこれですよ!

かーっ!かーっ!!

冗談は女子更衣室の覗きだけにしてくんねぇかな!

ちなみに我が娘達にやったら殺す。

 

「…むぅ」

 

「どうかしたかね?」

 

「ズェピア、今我の事娘扱いした」

 

「いや、娘だろうに…」

 

「腕食べた仲。最早赤い糸で繋がってる」

 

「その赤は血ミドロの赤だと思うがね?」

 

「屁理屈ばかり。いい加減何とか言えこのやろー」

 

おお、オーフィスよ。

どうしたというのだ…俺に愛のプロポーズとはいっちょまえになりおってからに。

いや分かってますよ。

そりゃ分かってるけどその目で見れないって断ったでしょ!

分かってる?その手の話題の度にハイライト消えた目になってんの!フリージアもドン引きしてんの分かってます!?

あと腕食べた仲じゃねぇよ!腕食ったの君だけだよ!!

赤い糸ぉ?くそが赤蜥蜴ェ!!死んでも俺に迷惑かける気か!?(責任転嫁)

 

「オーフィス、そこまでにしろ」

 

「む…カオス、来るの早い」

 

黒いコートの巨漢こと教授…良いところで帰ってきた!

感謝の念を送ると伝わったのか微妙な表情をされた。

何故だ、解せぬ。

 

「大体貴様も貴様だ。身を固める位はしたらどうだね」

 

「何故私が悪いみたいな扱いなのだろう…」

 

「貴様がオーフィスからのプロポーズを断る以上、浮いた話が消え失せるからだが?」

 

「今のは浮いてた話かね?私にはヤンデレCDでも始まるようなおぞましいシーンとしか思えなかったが!大体、私に妻や彼女は必要ない」

 

「見たかフリージア。ああいった男は内なる欲望を秘めているのだ。お前も男は選ぶのだぞ」

 

「えっと、先生は?」

 

「私は存在自体が特殊だからな、必要はない。そもそも混沌としての私にそれは要らぬものだ」

 

「ズェピア、これが完璧な回答」

 

「何かな、今日は私を虐める日かな」

 

どうしてそういうところで親みたいなこと言うん?

そもそもオーフィスは娘としてしか見れないと言ったじゃろ。

脈とかあるわけないだろいい加減にしろ!

 

「そも、本来ならば私は大罪人だ。そのような者についてくる者は君達のような元より大切な者位だろう」

 

「ん、感知スキルクソ雑魚発言」

 

「これは酷い」

 

「耄碌したな、13位ともあろうものが」

 

「泣いていいかな」

 

もうなんか最近の無限と混沌は容赦ないね。

これがタタリから殆ど独立した友の姿ですよ。

獣因子は美味いか!?くそぅ…

 

「…うむ、それはそうとだがな。今更ながら、フリージアはこのままで通す気か?」

 

「む、それは…私も考えてはいる」

 

「ほう」

 

「いやしかしだな、一度大往生したフリージアにまた学びの舞台へ上げる、というのは…うむ、退屈ではないだろうか?」

 

「え?私が学生?」

 

「確かに私と貴様で大抵のことは教えはしたがな。学舎とはそれだけではあるまい。死徒たる私が言うのも可笑しな話だが、交流関係を築くことは大事だと思わないのか」

 

「…フリージア、行きたいかね?」

 

「いいの!?なら、リアスちゃん達がいる駒王…」

 

「ギギギギギ…やはりか!」

 

「うわっ!」

 

俺が勢い良く立ち上がったことでフリージアが驚く。

だが、許さん!お父さんは許しませんよ!

色欲にまみれた猿が数名いる学舎に…娘を!ましてや初の学校で!覗きを平然と行う猿どもの被害に遭わせる訳にはいかない!

そうなった日には俺は世界をまたタタリに包み込んで今度こそ人理漂白をしてくれるわぁ!!

 

「兵藤一誠…!彼及びその友人のいるあの学園は駄目だ!」

 

「始まった…」

 

「うむ…」

 

「な、何で?」

 

「彼らはあの学園で悪名高い男どもだ。私も教師をしているが、一体何回彼らの悪行を目で見て耳で聞いてきたか…」

 

「ん…確かに、ドライグがフリージアの着替えを覗くのは万死」

 

「ふむ…ならば、こうすればいいだろう」

 

そこで教授が提案した事は、俺とオーフィスがしようかしまいか考えていたことであり、提案されたことでやってしまおうかとなったため可決。

フリージアのオロオロとした様子を背に俺とオーフィスは少し据わった様子で虚空を見つめることとなる。

 

「…うむ、君が良いのならば入るかね?」

 

「う、うん…その、あまりトラウマにならないようにね?」

 

「うむソウスルトモ」

 

「本当かなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「席につくように。今日は一つ、お知らせがあるが分かる人はいるかね?」

 

「はい!先生に彼女が出来た!」

 

「リテイク、一点もあげられない解答ですね」

 

「転校生とか?」

 

「うむ、正解だ」

 

「マジ?」「でも、結構来てるし、あり得るよね?」「女の子?男の子?どっちでもいいけど同性愛に発展して」「ほう、聞かせて」

 

「いつの間にこの教室は腐ってしまったのだろうね」

 

こらそこ、男子に見せられないような顔をして話すな。

先生感心しませんね。

ということで…どうぞ、入ってと言うと返事がして、その人物は入ってきた。

まあ、フリージアなんだけどさ。

 

「?…????」

 

あ、知ってる人の脳内が宇宙猫してるな。

だろうなぁ…まさかなぁ…

君たちより推定百歳くらい年上なのに二年生だもんなぁ。

 

「では、挨拶を」

 

「えっと…フリージアです、皆さんこれからよろしくお願いします!」

 

「なんて美少女なんだ!」

 

「素晴らしい、どうぞ隣に座って?」

 

「…うむ、その通りだがね。そちらの女子の隣の席だ」

 

「あ、はい」

 

…うむ、その目は何だね兵藤君?

俺はその視線を笑顔で答える。

 

─手を出したらどうなるか分かるね?

 

─あ、はい…

 

うん、ヨシ。

殺意を飛ばしてないからバレてないバレてない。

 

「さて…と」

 

おはようございます、ということでこれから授業まで色々と注目の的かもしれないが頑張れ!

何かあったら言ってくれよな!

猿とかが盛り始めたら絶対に撃ち込んでやるから安心してくれよな!歴史から消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ズェピア、名前違うだけで話し方あまり変わらないんだ)

 

席について、まず思ったことはそれだった。

昔から変わらない喋り方で、立場が違うのは新鮮というか、噛み合いが変な感じだった。

それを言うなら私も同じではあるけど…

 

一年からじゃないの?二年からなのと聞いたら

 

『君は世間一般的な高校生の修めるべき学びは既に教えた筈だが?忘れたのなら、またやろうかな?』

 

『覚えてるからやめてぇ!!』

 

またあれをやるのは勘弁願う。

あれは、よくない…!スパルタだった…

そっか、あの時教わったことって…現代のだったんだ。

うん?それだとズェピアは未来の知識があったってことじゃ?

…まあ、今更、かな?

 

というか、今の学生ってこういう服なんだ…へぇ…ハイカラっていうのかな?

今更ながらおばあちゃんな私がいていいのだろうか。

学生気分を味わったことが無いからと来たはいいものの、私って実年齢高いんだよね。

今の体に引っ張られてか若い頃と同じだけど、まあ老人時代の記憶はあるわけで…ふ、複雑。

 

「フリージアさん!」

 

「へ、はい?」

 

「フリージアさんは普段何してるの?」

 

「え?えーと…裁縫と、料理とか?」

 

「家庭的~」

 

「あはは…そう?教えられたから身に付いちゃった感じだから…」

 

「ご両親厳しいの?」

 

「ううん、優しいよ。自慢のお父さん。あ、これ秘密ね?」

 

「会うか分からないけど、秘密にしとくね!」

 

担任です…

後、裁縫はおばあちゃん時代だった!

あー駄目だ、ここら辺ごっちゃごちゃになってる!

ズェピア風に言うならキャラ作らないと…

 

質問責めに答えていると、授業の時間になった。

教科書…あ、知ってる奴。

あ、でもノート取っといた方がいいんだよね?

ネロ先生が言ってた。

というかアーシアちゃんとか話しかけてくれなかった…あれ、私忘れられてる?嘘だぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フリージアは楽しんでいるようだ。

あの後、無事にアーシア嬢や赤龍帝君に話し掛けられて部活動へ行ったようだった。

部活動はオカルト研究部になるのかねぇ。

俺としては、あまりそっちで活動はやめて欲しいんだがな。

数ある未来を引きそうで恐ろしい。

 

しかし、頷いてしまった都合上俺からやめろというのは野暮だろう。

せっかく事件でとはいえ手に入れた友人だ。

フリージアには是非とも友情を育んでもらいたい。

 

そんな俺は悲しいことにお仕事中です。

何って?

実は生徒会で手伝いをしてるんだよね。押し付けともいう。

 

「先生」

 

「何かな、生徒会長?」

 

作業の手伝いといっても書類に不備がないかの審査だから問題はない。ぶっちゃけ教師のやることかと思うだろうが、この学園…大きいもんだから生徒会からすれば猫の手も借りたい状況なのだ。

ソーナちゃんは俺の手際の良さを知ってしまっているから俺を頼ってるわけだな。

うむ、おじさん頑張っちゃうぞ。

分割思考とか高速思考って便利だな…

 

「フリージアさんの入学の件です」

 

「ああ、それか…何か、問題が?」

 

「問題はありませんが、あの人一度寿命で亡くなってるのでは?

本人からすれば複雑な環境なのではないかと…」

 

「うむ…君の懸念はもっともだ」

 

「何度か会話させてもらいましたが、フリージアさんは高校レベルの教育は叩き込まれたと言っていました。

その…退屈なだけでは…?」

 

「いやいや、娘からすれば数十、数百年ぶりの勉学だ。

とてもではないが、知識の穴はあるだろう。まあ、私自らが教鞭を取ったのでついていくのは造作もないだろうがね」

 

「だとしてもです。フリージアさんは悪魔の私が言うのも何ですがご高齢でしょうに」

 

「うむ、それなんだがね…彼女の肉体を構築する上で基礎的な情報をその時の物にしたせいで困ったことに引っ張られてるようなのだよ。今の彼女は年相応の精神だ」

 

「はぁ…」

 

ソーナちゃんは少し納得がいかないご様子。

まあ、言いたいことは分かる。

無駄なことではないか?と言いたいのだろう。

悶々としてもらうのは申し訳ないが主目的を話すのは気が引けるし、放置で。

 

…フリージアは学舎等とは縁がなかったからなぁ

奇跡のような現在で、学舎を体験して欲しいと願うのは傲慢だろうか?否、俺がしてるのは至って普通の親父心である。

それに、この学園にいてくれれば何かあった時も対応が早く済むし俺としても良いことはある。

 

何時何処で糞蜥蜴マークIIが現れるか分からんからな。

 

それに異世界が相手とか笑えないんでやめてもらって良いですかね。

相手の性質が良く分からないんで対策が面倒なんですよ。

知ってる?未来の演算ってダルいんだよ?

そりゃズェピアさん狂うよ。俺も面倒クセェもんよ。

 

それに、この世界自体問題は山積みだしな。

俺も協力する手前手を抜くのは主義に反する。

というより、未来設計はアトラス的に手を抜く訳にはいかない。

 

「先生は大変ですね」

 

「む?」

 

「今もそうして色々と考えている。私には到底理解の及ばない事なんでしょう」

 

「そう言われるとどう答えて良いものか。

だがね、ソーナ君」

 

そう悲観されるのもあれなんで助言だけしておくことにした。

ただ、少しひねくれた助言だが。

 

「しっかりと計算すれば、誰でも導きだせるとも。賢い君なら、きちんと計算すれば答えが分かる筈だよ」

 

「…相変わらず、先生は厳しいんですね」

 

「私にしては珍しい大ヒントなのに心外だ」

 

「先生のヒントは答えに近いほどひねくれていくんですよ」

 

「ふむ…そうか…」

 

バレテーラ、カッコ悪い。

ワラキーポイント減少間違いなし。

さてと…審査も終わったので少し伸びをする。

死徒の体といっても精神的に疲れるもんだ。

 

お疲れさまですと周りのソーナちゃんの眷属ぅが言ってくれるので俺とソーナちゃんもお疲れ様と返す。

 

さて…?フリージアは、と…ああ、問題ないなまだオカ研だ。

よいしょっと立ち上がる。

 

「では、私もこれで」

 

「はい、ありがとうございました。このお礼はまた」

 

「ハハハ、構わないとも。生徒を助けるのは教師の役目だ。

いつでも頼ってくれたまえ」

 

そう言って俺は生徒会室を後にする。

肩凝るわ、ホント…

 

それから俺はフリージアと帰るべくオカ研に顔を出したら親バカを見る視線を喰らって若干不機嫌になりかけるも娘の前なので平静を保った。

フリージアも帰ろうと思ってたようで頷いてまた明日と皆に言ってから一緒に退室する。

現在は共に歩いて帰宅中だ。

 

「どうだったかね」

 

「楽しかった!学校って良いね!」

 

「…そうか、それはよかった」

 

「また、ズェピアに教わっちゃったかな~」

 

「ハハハ、いやいや。今回は私ではないとも。

私ではなく、周りが君に教えてくれたんだよ」

 

「そうかな?そうかも」

 

上機嫌な娘に安心感を抱く。

うんうん、こういう日常が似合うよ。

出来れば、ずっと俺達の日常でいて欲しい。

これからも、俺達の帰る場所であって欲しい。

俺達の宝であって欲しい。

 

「よーし、今日は美味しいの作ってあげるからね!」

 

「私が作っても良いが?」

 

「ズェピアが作ると私の面目丸潰れなので座っててください…」

 

「うむ、了解した」

 

これでも家庭料理教えたの俺やぞ。

ワシに勝とうというのかね?と思ったら座ってろと言われたのでやめておくことに。

大人げないって?親は何時までも子より上でありたいものだよ。

上から、子が安全かどうか知りたいからね。身近な上にいたいもんなのさ。

 

それから俺達は帰宅して、帰ってきた教授達と共にフリージアの作った料理を食べた。

確かに一際美味しかった。

何度も食べて、何度も見た食卓の光景も、俺にとってはいつまでも新鮮で自然と笑うことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけでアプローチに来た」

 

「見てるこっちも寒いからもう少し暖かい服装に着替えたまえ」

 

ホッコリするシーンが変わってオーフィスのターンが来てしまった。寝室に侵入されること何回目か覚えてません。

どうしてこう、君は遠慮がないかな。

というかそのネグリジェはどこから手に入れた。

微妙に透けてるじゃねぇか何処で買ったし。

 

「枯れてるズェピアに花を咲かせに来た」

 

「そんな花咲爺でもあるまいに。というか私は枯れてない」

 

「ちょっと何言ってるから我には分からない。この魅惑のボディの誘惑を弾くとか間違いなくズェピアは枯れてる」

 

「魅惑(笑)」

 

「今日は腕食べて良いの?」

 

「勘弁してくれないかな」

 

あれ痛いからやめて。

というか食べてるシーン知ってるからやめて。

許してください何でもしませんから。

オーフィスはため息をついた後にベッドに乗り込んできた。

身構えかけたが、大人しくベッドに入ってきて微笑んでくるだけのオーフィスに今日も諦めたかと安堵して脱力する。

 

「今日はこっちで寝て良い?」

 

「構わないよ」

 

「えへへ…」

 

極楽とばかりに腕に抱き付いてくる娘に苦笑して頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めるもんだからいつまでもしていたくなる。

 

「不安なら、いつでもこうしてあげる」

 

「…不安、か」

 

「我の前で隠す必要はない。

我は貴方の事なら結構分かってる、えへん」

 

不意打ちが過ぎる、と毎度思う。

オーフィスは俺の内面を知る数少ない理解者の一人だ。

きっと俺が死ぬまでこの子以上の理解者は現れないだろう。

全て分かった上で、俺を好いてくれて俺に委ねてくれる。

 

不安だ。

ふとした拍子に崩れ去るかもしれない日常が不安だ。

俺はどうしようもなく弱いから、皮を被っているんだ。

被った皮で何でもないように取り繕って、それでも見つけてくれるこの子に感謝したい。

気付けば俺が撫でられていた。

 

「未来が怖い?」

 

「…異世界の存在が相手らしい」

 

「そんなの問題ない。我達なら倒せる」

 

「出来るだろうか?」

 

「出来る。貴方ならやれる」

 

「…ありがとう」

 

弱気な自分さえ肯定してくれる。

その上で、背中を押してくれる。

惚れてるのだろうか、惚れてるのかもしれない。

でも、俺はそういう気はなくて。

それでも俺は娘としてしか見れないのだ。

滑稽な話だが…なんとも俺らしい。

 

「このまま溺れてくれても良いよ?」

 

「断る。私は君の親だよ」

 

「撫でられてるのに強気」

 

「娘が父を労ってくれてるのはありがたいなぁ」

 

「…もうやめる、おやすみ。ふんだ」

 

これもいつものやり取り。

オーフィスも本気で拗ねてる訳じゃなくて、寝る口実になるからそうしてるだけ。

俺も、これ以上やられてたら色々と困るので助かった。

そのまま、俺も意識を手放すことにする。

俺はワラキアの夜だ。ズェピア・エルトナムだ。

やってやれないことはまあない。

タタリの力とアトラスの知恵があれば何とでもなる。

…それに、家族がいるから。

 

不安を拭い去ってくれた子の頭を一度撫でた後に俺は眠った。

 

きっと俺は、こうして生きていくのだろう。

支えられて、かっこつけて、ただ一人にバレながら。




何処までいっても中身は人間な彼。
これからも家族大好きで頑張って中身大好きな龍神がよしよしと励ましてくれるのでしょう。
契約だけでなく居心地の良さで助けてくれる混沌がいて、ようやく再開できた純粋な少女は笑顔でそれを見守ってくれるのでしょう。

何てことの無い家族の一幕。

龍神が監督とどうなるか、教授の激辛道はどうなるか、彼女の学園生活はどうなるか、全ては貴方のご想像にお任せします。
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