Epic_of_Remnant another 完全臨界特区 高天ヶ原(Fate/Grand Order) 作:RUM
確実に更新できているので、今後も応援お願いします。
簡単なあらすじ
藤丸立夏は高い城壁で囲まれた東京都にとらわれてしまい、現れた泥人形の傀儡兵に襲われた重傷を負う。その際、アサシンを召喚して窮地を脱するが、潜伏先にトリコロールのライダーが出現し、アサシンは一騎打ちの末に無残に敗れる。その後、ライダーの襲撃を懸念して藤丸とアサシンは別の拠点へ移動しようとする。
ビジネスホテル前の駐車場で、藤丸はアサシンが用意した車いすに座っていた。相棒のアサシンは借りてきた黒いSUVの席を倒して車いすのための空間を作っている。自分も何かを手伝おうとアサシンに言ってみたが「馬鹿なことはするな」と一蹴された。
「アサシン……車を運転できるのか?」
「騎乗スキルを持っているが、この程度の乗り物ならスキルなくとも知識で動かせる。ブレーキ、アクセル、クラッチ、ハンドルさえ分かれば、あとは勘でどうにかなる」
「そこに技術は必要ないんだな……」
「何言ってる。勘は技術だ」
「―――そ、そうか……」
アサシンはSUVのリアゲートを開き、ビジネスホテルの敷布団と掛け布団を敷いた。
「やはり車は便利だな。負傷者一人を寝かせるくらいの空間があるのはありがたい」
「最近の車って、大きさの割に空間が広く作られているし、コンパクトだからな」
「だからこそ、お前を寝かせられるのだが……」
アサシンは藤丸の背中に手を入れ、太ももを抱えた。
「持ち上げるぞ、私の肩に手を回せ」
「……お、おう」
藤丸はアサシンの首に両手を回した。
「持ち上げるぞ…… よっと!」
藤丸を軽々持ち上げたアサシンだったが「もっと密着してくれないか?」
「だ、抱き着くのか?」
「そうだ。思いきりぎゅっとしてくれ、このままだとずり落ちるかもしれない……」
「わ、わかった」
藤丸はより強く、アサシンに身を寄せて抱き着くように密着したが、女性の体に密着されることはあっても自分から密着することには抵抗があった。アサシンは自分の性別を気にしない性格のようだが、藤丸立夏は年頃の男子だ。アサシンをどうしても女性として意識してしまう。
地味に彼女の髪からシャンプーのいい香りがしているし、彼女の胸のあたりの妙に大きい膨らみに体が触れて気恥ずかしい! 心臓もバクバクしているし、出来れば、早く終わってほしい……
「下ろすぞ、そこに腰かけて、後ろに下がると枕があるからそこに寝てくれ」
「ああ、そうか」
アサシンとの密着が解かれて安堵の息を吐く。ずっと息を止めていたように何度も大きく息を吸って心臓の高鳴りを押えて、敷かれた敷布団に横になる。
「藤丸、ドアを閉めるから足に注意してくれ」
アサシンはそういってリアゲートを締めると運転席に座り、ハンドルを握り、ブレーキをかけた姿勢でセオリー通りにエンジンをかけた。エンジンが元気のいい音を上げて稼働し始め、アサシンは苦も無く車を操り、道路を走らせた。マスターに気を使って揺れの少なくなるように急な動きを極力避けて、段差のない道を選んでいる。このような運転ができるのも騎乗スキルの恩恵だろう。
藤丸は全身の力を抜いて目を閉じた。
(傷が治ったら、アサシンに何か御礼をしよう)
―――ギュイーン!(ブレーキ音)
藤丸が深い眠りについてからほどなくして、アサシンは道路の真ん中で車を止めた。藤丸は止まった勢いで布団をすべり、頭を壁にぶつけて目を覚ました。
「な、なんだ? ん?」
藤丸は体を起こして道路の先を見ると、棍棒を持ちトリコロールの綿織物風雨の服の上に金装飾の鎧を装着した、特徴的なサーヴァントだ。あれがアサシンの言っていたライダーなのだろうか?
アサシンは日本刀を握って車を降り、ライダーの前に立った。
両者の距離十五メートル。
「アサシン、また会ったな。大人しくしていれば何もしない、と言ったな―――あれ、嘘になっちまった」
「―――ッ!」
アサシンはSUVを横目で見た後、日本刀の青白い刃を露出させて戦闘態勢を取った。
「マスターはやらせない」
「いや、藤丸立夏の命が目的じゃねえよ。俺っちが必要なのはマスターそのものだ」
「なに? 一度命を奪いかけたのに、コイツの身が目的とはお笑いだな」
「俺っちもそう思う。だが俺っちはサーヴァントだ。呼び出したキャスターの命令には従わないとならない。分かるだろ、お前もサーヴァントならな…… おっと、これ以上は無駄話だな。んでだ、俺っちは無駄な争いはしたくない。実力の優劣は昨日ではっきりとさせた。アサシン、マスターを渡してもらおうか?」
「ライダー、サーヴァントが見す見すマスターをあけわたすと思うか?」
「そうか…… だが、これでも勝てると思うのか?」
パチンっとライダーが指を鳴らすと、左右のビルの屋上から弓兵が二十名以上の現れ、後方と前方から歩兵部隊が現れた。
「(ざっと二部隊―――多めに考えて一個小隊か……)一人で来たわけではないと思ったが、ここまでしてもマスターを誘拐する気か?」
「ああ、時間はたっぷりあるが、仕事は早いことに越したことはない。キャスターはきな臭さ満点だけど、その点だけは俺っちは賛成だ」
ライダーが棍棒を構えると、屋上の弓兵が一斉に矢をつがえる。
「いいのか? 攻撃態勢に入った瞬間にお前に大量の矢が降り注ぐぞ?」
「さてどうかな……」
強気にいきがってみたアサシンだが、ライダーとの実力差は最悪防戦一方でどうにかするとしても無数の矢弾を躱せる余裕はない。
「じゃあ、まずは……」
ライダーは手を上げる。
「これでも受けてもらおうか!」
ライダーの腕が振り下ろされる、その時だった……
―――ドゴンッ!
突然、弓兵のいる屋上が爆発し弓兵のゴーレムが砕け散った。
続けてアサシンの後方上空から火炎を纏った弾頭数発が弓兵のいる屋上を砕く。射手は弓兵がいた屋上よりも頭一つ高い屋上、ここから直線距離で約二百メートル付近から狙ったようだ。
「サーヴァント!」
「なんだ、こりゃ!」
屋上を焼き払った射手が次に狙ったのはアサシンの後方に展開していた部隊とライダー。新たに放たれた数発の火炎の矢が両者に襲い掛かる。部隊の方は避けきれずに矢弾の爆発に巻き込まれて総崩れに、ライダーは身を引き避けきれない矢弾は棍棒で弾き飛ばす。弾き飛ばされた矢弾はビルの壁で爆破して大きな穴を空けた。
アサシンは何が起きているのか意味が分からず、硬直していたがハッとしてアサシンはSUVに乗り込み車を後退させる。
「クッソ、何だってんだ。お前ら、アサシンを逃がすな! 狙撃手は俺っちがヤる!」
ライダーの足元に円形の白い靄が発生した。靄は脛まで足を表面を覆い、霧が円形をたもったままライダーと共に浮き上がり空を浮遊する。
「逃がすかよ、飛び立て!」
ライダーは靄に乗って直線的に射手に向かい飛び立った。
SUVの中で一部始終を見ていた藤丸は、あれがライダーの宝具だと思った。あのライダーは「靄に乗るライダー」なのだろう。そして、あのような乗り物は世界で一つしかない。
「まさか、あのライダーの真名って……」
「立夏、頭を引っ込めろ! 包囲網を突破する!」
アサシンは車を反転させて総崩れになった部隊をアクセル全開で駆け抜ける。突破を阻止しようとした兵士もいたが、アサシンはそれをひき逃げする。
「マスター、逃げるぞ! ライダーはあちらがひきつけてくれているはずだ」
「味方がいたのか?」
「いなかった。私も驚いている。一体、だれが……」
ライダーは砲弾のごとき速度で夜空を飛翔する。屋上の射手はライダーに向かい矢弾を連射し、ライダーは応戦するが矢弾は棍棒に触れると同時に爆発し、ナパーム並みの火炎と指向性爆薬並の爆風が襲い掛かるが、ライダーの体は即時再生し、鎧も傷つくことはなく、爆炎の中を駆け抜け特攻する。
「この程度じゃ、俺っちは止められねえぜ!」
「デタラメすぎる!」
ライダーの視線が射手の姿をとらえた。銀髪赤眼の完全武装の女鎧武者。 額には角が生え白い鉢巻を巻き、巨大な火炎を纏う矢をつがえた、煉獄の忌み名を冠するアーチャーだった。アーチャーは驚嘆しながらも矢を放ち、ライダーは何度も矢を誘爆させて爆炎の中で倍の速度で直行する。
「残念だったな、アーチャー! 俺っちはこの程度の火炎じゃ焼けねーよ!」
「ッ! 不覚!」
ライダーは棍棒を振りかぶる。彼の筋力に加えて巡行速度を乗せた一撃は耐久の高いサーヴァントと言えど、無視できない破壊力がある。アーチャーはライダーの一撃を避けられないと悟り、弓を投げ捨て、肩幅に足を広げて迎え撃つ態勢を取った。ライダーは速度で生まれた力を棍棒に全て乗せて振り切り、アーチャーに槌の撃が打ち付けられる。
だが―――その寸前で、ライダーは目を疑った。
―――アーチャーはその棍棒を両手で握り取って、受け止めて見せたのだ。
ライダーの渾身はアーチャーの体を抜けてコンクリートの足場にひびが入り、アーチャーの脚が引きずられる。まさに彼女の持つ妖の一端を持つからこそなせる荒業だ。
アーチャーの肉体は正真正銘人外の強度を持つ。この強度はサーヴァントになったことでより洗練されているが、ライダーの攻撃を受けきるにはまだ足りない。純血の妖魔でも無理がある限界を超える力技をなそうというのだから、アーチャーの両手両足は耐えられずに筋肉がピキピキと割れて瓦解する。
「うあああああああああああああ!」
アーチャーは鬼神の如き雄たけびを上げ、肉体の限界を超えている全身にさらに力込める。それは彼女の体に重大な負荷を与え、神経を開裂し、血管が破れ、骨がひび割れる。
「舐めるなああああアアアアアアアア!」
慢心の肉体になりながらもライダーの一撃を受けきり、完全に棍棒と速度の勢いを殺し切った。
「お、おう…… ま、マジかよ」
流石のライダーも開いた口がふさがらなかった。ハッとして、ライダーが棍棒をアーチャーの手から引き抜こうとしてもがっちり握られて簡単には抜けない。
「今です! スカサハ様!」
最後の力を振り絞りアーチャーの呼びかけに応え、ライダーの後ろから、黒い戦装束に真紅の魔槍を携えた、赤い瞳のランサーが現れる。
「―――ッちぃ!」
ライダーは棍棒を放し、紙一重で上空に退避した。奇襲が失敗するとアーチャーは棍棒を持ったままその場に倒れ込んだ。限界のさらに限界を突き抜けた体はもう動く余力もない。
「大丈夫か? まだ動けるか?」
「は、はい。まだ、た、戦えます……」
アーチャーは見るからに疲弊し戦力として数えられない。スカサハは靄の足場で宙に浮くライダーを見据える。
「驚いた。あんな力業初めて見た。見事だった、アーチャーのサーヴァント。だが甘かったな」
ライダーは何かを小声でつぶやいた。すると棍棒がアーチャーの手をすり抜けてライダーの手元まで戻った。
「さて、これで仕切り直しだ。今度はお前と勝負だ」
「そうか、お前は私に挑むのか?」
「ああ。俺っちは最強なんでね。俺っちは俺っちよりも強い奴と戦って、勝ってそれを証明する。その点、お前っちは最適だ。だろ、影の国の女王スカサハ様よ」
「面白いことを言う。私もこれだけ大口を叩く戦士も珍しい……」
「スカサハ様、私も戦います……」
ふらふらとしながらもアーチャーは立ち上がろうとするが……
「やめろ、お主はもう立てん。お前がひきつけてくれている間に、待機していた一部隊は壊滅さられた。それだけで十分仕事をした。だからもう、これ以上戦っても私の足手まといになるだけだ。だからこの場に治癒のルーンをかけておく、傷が治り次第マスターの援護に行け。ここからは私の仕事だ。適当にあしらってマスターの退路を確保する、いいな?」
「わかりました。ご武運を……」
「お前もな」
スカサハはアーチャーに手をかざすと彼女の足元にルーンの陣ができ、傷が再生していく。
「さて、では腕試しだ。ライダーのサーヴァント!」
スカサハは足を強化して跳躍し、ライダーは急速下降する。ライダーは全体重をかけて棍棒を振り下ろし、スカサハの赤槍と棍棒が激しい音を立てて衝突した。互いの力はおおむね互角だ。故に弾け合い、ライダーは揺れる姿勢を空中で整え、スカサハは何事もなく屋上に余裕をもって着地した。
ライダーは満足そうにほくそ笑み、赤槍が触れた場所を軽く撫でて影の国の女王の強さを悟る。あの接触の際に彼は僅かだが押され、スカサハの放った一撃は重かった。こん棒から手のひらに伝わる感触が今まで戦ってきた戦士たちとは異質であり、比べるまでもなく強者のものだった。
「やるな、影の国の女王だけはある。これなら俺っちも本気の出しようがあるってもんだ」
ライダーはそう言うと、一旦その場から逃げていく、だがすぐに旋回し同時に再度急降下する。
ライダーは距離が欲しかった。アーチャーが全身で受け止めたあの速さまで加速し、一撃で仕留めんとするライダーは棍棒を振りかぶる。
「―――ほう、面白い。だが―――」
スカサハはその場から別の屋上に退避する。今この場には治療中のアーチャーがいるため可能な限り、その場から離れなければならなかった。
「逃げるのか、スカサハ!」
ライダーは方向を変えて、彼女との接触場所を速さから逆算して突進する。スカサハもそれを踏まえて適当な位置まで移動して足を止めた。
ライダーは標的を見据え、更に靄を加速させる。彼が足に纏う靄はおそらく「人を運ぶ乗り物」としては世界最速だろう。
スカサハは槍を握りしめる。ライダーは「油断ならぬ敵」であるのは、先ほどの一撃の手合わせで熟知した。先ほどは若干競り勝てた気がしたが次の一撃はまともに受けては体が持たない。
だが、迎撃は簡単だ。
真正面から受けなければいい。身を軽く翻して回避するだけで事足りるが、スカサハは軌道修正される可能性まで踏まえ、限界まで引き寄せから加速のルーンを全身にかけて最低限度の動きで回避する。
その素振りの最中だった。――――――突然、ライダーは自分の乗る靄から空中に飛び出した。
制御を失った靄は直線的にスカサハに突進する。スカサハはモーションの最中で動きを止めることができずに誰もいない霧のような乗り物を避け、その際ライダーを見失った。だがおおよその位置は把握できていたため、回避が終わり次第再度前方に跳躍してビルの屋上から飛び出す。
その読みは見事に当たり、スカサハの上空にいたライダーの渾身の一撃は紙一重で避けたが、屋上は木っ端みじんに粉砕される。
「さすがだな、やってくれる」
スカサハはルーンで落下速度を押えて地上に着陸し、一息ついた。ライダーは一流ではないが英雄になるだけの実力は兼ね備えているし、あの高速移動は油断できない。スカサハは槍を握りなおして後ろを向いた。
「―――おっと、休憩中だったかな?」
ライダーが平然と立っている。
スカサハはライダーを睨んだ。
彼は強者だ。出で立ち、立ち振る舞い、目配せ全てに実力者としての風格と研鑽がある。棍棒を雑で大味な扱いをしているように見えるのは、彼はまだ本気を出していないからであろう。
「貴様、本気を出さないのか?」
「影の国の女王様が、何を仰る。俺っちたちが本気を出したら、この楽しい殺劇が一瞬で終わっちまうだろ?」
「そうか、お前はそういうタイプか……」
スカサハの手から力が抜けた。
「幻滅したか?」
「ああ、嫌になる。お前は遊び感覚で死線を見ている。お前はただの戦士ではないが、私が好きなタイプの戦士とはかけ離れすぎている」
ライダーは棍棒を強く握り締めた。
悔しくはない。純粋にムカついた。
「スカサハ、俺っちを見縊るな。お遊戯で棍棒を振ったことはない。たしかに死線を楽しみにはしていたが、どんなときもそれだけはしない。殺りあいはいつも本気だ。でないと殺した相手に失礼だろ?」
「ならばそれを証明してみろ」
「ご要望とあれば。では、早々に真名解放と洒落込もうか。俺っちもキャスターの期待に少しはこたえないとな」
瞬時。ライダーから暴風の如き殺気が放たれた。離れていても感じる魔力の奔流が、スカサハを圧するが彼女は決して動じない。だが次に起きた現象に瞬きほどの面食らった。
―――ライダーは瞑目し転化を始めた。
絹のような派手な着衣は形を変えてより絢爛に、身につける鎧は光沢と装飾緻密さを増し、棍棒は新たに可憐な金装飾が施される。完全に霊基が別のものに差し代わり、それに伴って体内魔力、放出魔力の上限および循環魔力の効率に至るまで格段に増幅する。
これは、彼の霊基を構成する全要素が一段階上へ到達することを意味する。スカサハは知っている。この現象はカルデア内のサーヴァントなら一度は経験することだ。
―――霊基再臨
サーヴァントが本来の姿へと昇華する際に行われる強化の過程。カルデアでは霊基を高めたサーヴァントのみが特別な素材を使うことでのみ可能となるが、彼はそれを真名の解放というたったひとつの要素でなして見せた。スカサハは霊基再臨に多大なリソースを消費し、その量は生半可なサーヴァントが一人で成せる容量を超えていることを知っていた。
故に彼女は期待を込めて微笑する。
完全な変化が終わり魔力の奔流が安定すると、ライダーは瞑目から開眼して、
「これが本来の俺っちだ。今こそ、俺の本来の真名を語ろう」
ライダーは淡々と語る。
「我が名、真名は斉天大聖。斉天大聖孫悟空だ」
《真名判明》
個体名『トリコロールのライダー』のマテリアルを開放します。
真名「斉天大聖孫悟空」
性別 男性
身長 180センチ 体重 約78キロ
好きなもの 最強 嫌いなもの 完敗
属性 混沌中庸
《ステータス》
筋力B 耐久A 敏捷A 魔力C 幸運B 宝具B+
《スキル》
騎乗A 対魔力D 神性C 三蔵の教えD 調子者B 神通力A
《宝具》
???