この素晴らしい嫁に祝福を!   作:王の話をしよう

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はいどうも、一ヶ月以上振りの王の話をしようです。

エタったかと思った?残念、ただ時間が無いだけでした!

本当ね、申し訳ないとは思っていたんですが思ったより時間の工面が難しくて……え?じゃあアップしたからには時間の都合が付いたんだろうって?

ハハハソウデスネー、モウイソガシクナンカアリマセンヨー、ベツニカンソウデセカサレタカラアセッテシアゲタトカソンナンジャアリマセンヨー






97話

 

 

 ※

 

 

「痛ってー……」

 

 

 上半身全体が軋んでいるが、特に痛みの強い腰を撫りながら草原から自宅へと歩く。

 ついさっきまで俺と一緒に暴れていたミツルギは何やら高揚した様子で、

「僕は今の感覚を忘れないうちに色々と試して来ます!」

 なんて事を言いながらギルドへ走って行った。ほんのちょっと前までぶっ倒れてたってのに今からクエストを受けに行くらしい。勤勉なこって。

 

 

『なあ、最近やたらと構うようになったよな。前まで面倒だからって追い払い気味だったのに』

 

 

 隣を浮遊する怪人が主語が抜け落ちた文章を呟く。主語述語はしっかりしないと誰に何を言ってるのか分からないとあれほど……。

 

 

「なんだ、そりゃ俺に言ってんのか?」

 

『いやお前以外誰が俺の声聞いてくれんだよ。で、何で?』

 

「別に大した理由でもねえよ」

 

『あれか、いつもの気分次第か。それで振り回されるミツルギ君も気の毒なもんだよなあ』

 

 

 何やら勝手に答えを得たつもりになって納得している。そんならそれで良いけどじゃあ聞くなよってね。

 本当に大した理由は無い。ただ思い知っただけだ。

 俺は自分がこの世界で一番強いのではないかと思っていた。最近はまずもって苦戦という言葉を知らなかったし、今まで鍛えてきてそれ相応の自信も持っていた。

 でも、アルカンレティアの一件でそれが間違いだという事を思い知った。

 純粋な力比べなら多分最強に近い所にはいるのだと思う。俺の知る限り、肉体面で最も強靭であった国王様ですら今の俺には勝てるまい。

 

 しかし俺との力比べに敵が付き合う必要が一体どこにあると言うのか。

 力で勝てない?なら魔法や毒、罠で完封すれば良い。わざわざ相手の土俵で勝負する必要など無い。互いの生死が懸かっているのに何故相手を気遣わねばならないのか。そんな当たり前の事を突き付けられた気がした。

 無論俺だってそうだ。簡単に倒されるつもりも無く、連中の得意分野でやり合う義理も無い。現時点での俺の目的が魔王討伐の更にその先にある以上、いのちをだいじにが大前提。ただ、その上で尚どうしようもない場合も考えなくてはならなくなった。

 俺が死ぬのはまあ俺の問題だ、目的を達成出来なかろうが自身の力及ばずで片付けられる。

 しかし俺のいなくなった後、この世界の人間はどうだろう。別に俺一人の力で魔王軍を押し留めているなんて自惚れはしないが、それなりに大きい部分を担っているのではなかろうか。

 そんな俺が死んだらパワーバランス的にどうだ?結構マズいのでは?と思ったのだ。

 

 そういう訳で心優しい俺は俺亡き後のこの世界の人間の為に俺の代わりを作っておく事にした。考え方はおよそ優しい物では無いことは自覚はしている。

 ともかくそういった面ではミツルギはピッタリだからな。俺とも接点が多く、元々の実力まで申し分無し。俺より強くなれとは言わない、魔王軍の幹部よりは強くあれ。

 

 そんな願いを抱いたつい最近。

 

 

「ちょっと強くなり過ぎじゃないですかね……」

 

 

 再び痛む腰をさする。こうしてると歳食ったみたいで嫌なんだけど実際痛いんだからしょうがない。

 

 何だったんですかねあれ。

 本人は日頃の鍛錬の成果です!とか言ってたが嘘言えバーカ、前回あいつの腕見てやったのつい一昨日だぞ?たった二日で何で体感で三倍くらい強くなってんだ。超神水でも飲んだのかっつーの。

 おそらくはスキルか何かを新しく覚えたんだろうが、ミツルギ自身が俺に隠してる以上は詮索すべきでもねえし歯痒い所だ。

 あいつが手の内を明かさず、本気で俺に勝ちに来るってんだから良い傾向でもある。というか最後のアレ俺が防げなかったらどうしてたんだよ。あんなもん生身で食らって生きてられるなんて楽観するほど俺は自分の耐久力に自信持てねえぞ?ダクネス連れて来いダクネス。

 あんまり押されたもんだからこっちも意地張って脳内でしか考えてなかった奥の手まで使っちまったじゃねえか。

 

 

『そうそう、お前最後何したんだあれ?あんな動き今まで出来たっけ?』

 

「だから脳内でしか完成してなかったんだって。ぶっつけ本番もいいとこだチクショウ」

 

『どうやったのか教えてくれよ。分身使えるとか忍者みたいでカッコいいじゃん、オレも使いたい』

 

 

 僅かに興奮した様子で催促してくるジャック。

 お前もう死んでるだろ。そんなもん覚えたって使う機会ねえっつーのに………うん?

 

 

「……なあ、分身って言ったかお前」

 

『?おう、ブンシンジツ』

 

「いや何でニンスレ風に言ったのか知らんけど」

 

 

 何言ってんだこいつ頭湧いてんじゃねえの?

 分身なんか使えるわけあるかい、そんなもん俺だって使いてえわ。さっきの戦闘の何を見てそんな勘違いしてやがんだよ。

 

 

『ああ?でも最後のお前はオレにゃ複数人に分かれたように見えたぞ。ミツルギ君も驚いて一瞬動き止めてたじゃねえか、そういう技なんじゃねえの?』

 

「マジで?」

 

 

 全然気付かんかった。でも俺がした事って言やあ技ってより結局ただのゴリ押しだし分身の意味が分からんのだが。

 技の仕組みをこいつに言えば何か分かるかね。一応俺より戦闘経験豊富らしいしな。

 

 

「さっきのは一瞬だけ『スイッチ』使ってーー」

 

『おい、あれ見てみ』

 

 

 ジャックが俺のせっかくの説明を気にも留めず、いつの間にか到着していた宿屋の前を指差す。見ると、顔見知りではあるものの久しく見ていなかった人物が二人ほど立っていた。

 

 

「うげ」

 

 

 嫌な声が漏れてしまうのも無理からぬ事、そこにいたのはミツルギのオトモであるフィオとクレメアの両名だった。

 比較的気の強いフィオは腕を組み、クレメアはその陰に隠れる形でこちらを睨んでいる。やだ家まで特定されてるとか怖い。

 

 しかしこいつらが俺に何の用だろうか。最初の頃ならいざ知らず、最近はミツルギと俺の師弟関係擬きも黙認してくれているものと思っていたのだが。

 

 

『お前が今日ミツルギ君ボコした事が伝わってんじゃねえの?思いっきりぶん殴っちまったからなあ』

 

「情報網広すぎだろ」

 

 

 ミツルギと別れたのついさっきだってのにどこからそんな事聞いたんだよ、もう普通にストーキングしてましたって言われた方がまだ納得いくわ。

 いや、まだ俺に用があると決まっちゃいねえか。こちらを睨んでいるのも待ち人が来ない苛つきからというのもワンチャンあるでないで。

 

 方針が決まれば後は動くだけである。嫌でも視界に入る二人を華麗に無視して自室に戻ろうと二階への階段を上がりーー

 

 

「ちょっと!あんた今絶対こっち見たでしょ!シカトしてんじゃないわよ!」

 

 

 おっと普通にノーチャンスでしたね。

 

 通り過ぎようとした俺の肩を冒険者らしい力強さで掴み、無理矢理自分の方向へ向かせるフィオ。心の中で舌打ちをしながら仕方なしに振り返る。

 それでも無視する事は出来たのだが、何用なのかは気になる所だし、声をかけられて無視というのも気が引ける。優しいって辛いね。

 

 

「………………………」

 

「………………………」

 

「………………………」

 

「……………………?」

 

 

 それで、向き直ったのに一向に話が始まる気配が無い。

 

 ただの無言ゾーンならまだ良かったが、この間俺は女性二人の視線に射抜かれっぱなしなのだ。居心地が良いはずもない。

 誤解を招く言い方するけど女性ってこういう吊るし上げの雰囲気作るの上手いよね。警察の取り調べとかでも強面のおっさんに責められるより普通のJKに集団で罵倒された方が受ける方としてはキツいと思うんですよ僕ぁ。耐えられる自信無いもの。

 

 

『なんでぇいきなり。つーかそれだとごく一部の奴にはご褒美になっちまうからダメだろ』

 

 

 そんなごく一部なんて考慮しとらんよ………。

 

 

「……んで?俺に何の用なんですかね。俺としては早く目の前の階段上がりたいなーって思ってるんですが。

 あ、ちなみにミツルギならギルドの方へ行ったぞ。なんかクエスト受けるらしいけど今なら走れば間に合うんじゃねえの?」

 

「……………………」

 

「えぇ……」

 

 

 ミツルギを探しているのだと予測し、せっかく助け船を出したにも関わらずのこの無言である。だったらもう解放してくれませんかね。正直この責められそうな雰囲気昔を思い出してちょっと鬱になるんですけど。

 そう思いながらフィオの背後に回っているクレメアにも目を向けてみる。相方がお話にならないのでこっちが何とかしてくれないかと期待しての視線だったが、こちらは俺と目が合った瞬間に顔ごと隠れてしまうのでどうしようもない。まだ顔突き合わせてる分フィオの方がマシだ。

 

 

「さ、最近……キョウヤの調子はどう?」

 

 

 お、ようやく会話が成立しそうだ。何故かどもっているのは気になるが無言タイム終了のお知らせに乗っからせてもらおう。

 

 

「調子……まあ良いと思うよ。今日だって危うく一撃もらうとこだったしな。このまま行けば俺を追い抜く日もそう遠くないかもなあ、はっはっは」

 

「そ、そう………」

 

 

 ……おや、意外だな。てっきり「今だってキョウヤはあんたに負けてないわよ!」辺りの台詞が飛んで来ると思ってたんだが。最後の愛想笑い未満の乾いた笑いが反応しにくかったのかな。

 

 

「……最近のキョウヤは本当に嬉しそうにあんたの話をするわ、あんたのおかげでまた強くなれたって。

 実際私たちの目から見てもキョウヤの実力は伸びていると思う。あんたに比べれば素人目で悪いけどね」

 

「うん」

 

「あんた、アルカンレティアから帰ってきた後、前よりキョウヤに付き合ってくれてるでしょ?それがまた嬉しいみたいで、そんなキョウヤ見てると私たちも悪くないなーって思えるようになって」

 

「うん」

 

「最初の頃はこんな性格の悪そうな奴に師事するなんて何考えてるんだろうって思ってたけど」

 

「……………うん」

 

 

「そんな事ないよ!俺性格良いじゃん!」って否定出来ないのがつらたん。なんかナルシストみたいで嫌だし、そもそも本当に自分が性格良いなんて毛ほども思ってないし。

 この流れは首振り人形のイエスマンになっといた方が確執も作らないだろう。

 ひたすら一文章の区切りに相槌を打つ作業に戻ろうとするが、またもや言葉が詰まってしまったのか続きが聞こえてこない。

 不思議に思ってフィオを見ると、少しずつ顔に血が上っているように赤くなっているのが分かった。

 

 

「……そ、そう思ってたんだけど、今はあんたがそこまで悪い奴じゃないって分かってるし、キョウヤを鍛えてくれてる事にも感謝してるって言うか……」

 

「……うん?」

 

『ん?流れ変わったな』

 

 

 と、話の邪魔をしないようにか壁にもたれかかって沈黙を保っていたジャックがUCのBGMを鼻歌で流し始める。

 うるせえから黙っといてくれねえかな、今割と大事そうな話なんだぞ。あと忘れてるかもしれないけどお前の声変声機当てたみたいで耳触りだから歌っても上手いかどうか分かんねえんだよ。

 

 

「ほら、私たちあんたに酷い事結構言ったじゃない?ちょうど良いからそれについても謝っておこうと思って。……ごめん」

 

「今までごめんなさい!」

 

「きょ、今日はそれだけだから!これからもキョウヤをよろしく!じゃあね!」

 

 

 心の中でツッコミを入れる俺には気付かない様子でまくし立てるように話を締め、真面目に謝罪するのが恥ずかしくなったのか、顔を赤らめたままギルドの方向へ走り去る女性陣。残されたこちらはポカーンである。

 

 

「……………………」

 

『……………………』

 

「……わざわざそれだけ言いに来たのかあいつら」

 

『落ちたな』

 

「はっ、あの反応だけ見てそう思うのは間違いなく童貞定期」

 

『………………………』

 

「………お前、本当に?え、だってお前25歳……」

 

『他人を童貞と貶す時は自分がどうなのかを考えろ定期』

 

「お、おう、そうだな……」

 

 

 珍しく敵意のある態度で言い捨てる。意外と気にしているのだろうか。

 

 

「それにしてもごめん、ねえ」

 

 

 謝るも何も暴言については特に気にして……まあ気にしてないと言えば嘘になるが、そもそも何故急に謝罪するつもりになったのだろうか。ちょうど良いと言っていた気がするが一体何がさ。

 謎は深まるばかりであるが、少々険悪だった相手に認められたとなれば気分も良い。心なしかいつもよりも軽い足取りで予定よりも遅くなってしまった帰宅を果たすべく、自室がある二階へ続く階段を上り。

 

 

「ぅ……ぅ……ぅ……」

 

「…………………」

 

 

 ビタリと硬直する。

 

 そりゃそうなるよ、いきなり女性の物と思しき泣き声が聞こえてくるんだもの。若干のホラー味を感じた俺は暫しその音源を観察する事にした。

 自室の扉の前に誰かが居る。体操座りで丸まっているため顔は見えない。見えないが、服装と雰囲気、そして啜り泣くような声には聴き覚えがあった。

 

 

「ゆ、ゆんゆんか?何してんだこんなとこで」

 

「うぇ、うゔぁいのおどもぶるぁいぃぃ」

 

「何でそんな泣いてんだ、分からん分からん」

 

 

 そこに居たのはこの街に二人いる紅魔族の片割れ、通称『まともな方』ゆんゆんであった。何やら泣きじゃくってこちらに訴えかけている。何を言っているのかは一切理解出来ない。

 しかしまあ俺の部屋の前で蹲っていたというのが偶然でしたというので無ければ俺に用があって訪ねて来たのだろう。依頼か何かであれば無碍にはしない。

 

 

「話したい事があるならちいと落ち着きな。何だ?俺に頼みたい事でもあるのか?」

 

「ず、ずびばぜん……べいわぐでずよねわだし……」

 

「いいから言ってみな、今なら何でも請け負ってやんよ」

 

『ん?今何でもって』

 

「本当に大抵の事なら何でもだ」

 

 

 本来なら気持ちとしては泣いている子供など面倒臭いというのが先に来てしまう俺であるが、今は非常に気分がよろしい。さあお嬢さん如何したのかな?

 

 

「……ほ、本当ですか……?本当にお願い、聞いてくれますか……?」

 

 

 何度か自身が身に付けているマントで鼻や目を擦ったおかげで落ち着いてきたのか今度の言葉は聞き取れる。

 俺としてはどうでもいいけど用が済んだらさっさと自宅に帰って洗濯する事をお勧めしたい。流石に色んな体液でぐしょぐしょな状態はどうかと思うからね。

 

 

「俺に可能な事ならって制限は入れさせてもらうがそれ以外ならOKだ。大丈夫大丈夫、俺は何でもない時に嘘は吐かない男だ」

 

「一緒に子供を作ってくれませんか?」

 

「………なんて?」

 

 

 予想だにしていなかった単語が飛び出た為に脳が認識してくれなかった。

 子供、と聞こえた気がしたが作るとは一体どういう事だ。赤ん坊はキャベツ畑から収穫してきたりコウノトリさんが急降下爆撃機並の速度で置いていってくれるんだぞー作るなんてもんじゃないんだぞー(棒読み)

 

 

「で、ですから……」

 

 

 認識が追い付いていない俺に改めて口を開こうとするゆんゆん。しかし自分で何を口走っているのかを自覚してしまったようで視線を彷徨わせ、挙動不審になった挙句、意を決したように全力で叫んだ。

 

 

「わ、私と子供を作ってくれませんか!?私ゼロさんの子供を産みたい!!!」

 

「ごめんなさい」

 

「!?」

 

 

 はい前言撤回。俺は何でもない時にも嘘吐きまくるクソ野郎だからさっきの話無しね。

 いやーフラグ回収早いっすね^^

 

 

 

 

 

 







20代童貞で何が悪いんすかね?(正論)



理由は言いませんが今回の話は誤字脱字が多いかも知れません、気付いた方は脳内補完するなり誤字報告していただくなりして下さると嬉しいです。

もぅまぢ無理疲れた会社行ってくる。




FGO:

第2部アナスタシア、皆さんはどうでした?個人的にはこれからのストーリーが楽しみになるような熱い展開でした。
来月にまた更新来ると予想されていますがその前に復刻イベじゃあ!なお周回( )

それではまたの更新をお待ち下さいノシ



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