問題児達は異世界から来るそうですよ?~ショタは問題児に入りますか?~    作:+無音+

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ふぇぇ、もうライフは......







第十二話

湿った暗い洞窟。光を射さないその入り口はまるで闇が口を開いて待ち構えているかのように思えるほど暗い闇だった。

そんな洞窟の中を歩いているものが一人。

白い髪を揺らし、暗闇の中でも怪しく輝く紅い瞳。着物のような衣服を身にまとっている七だった。

ほとんど見えない洞窟の中を迷うことなく転ぶことなく歩いていく。

どれほど歩いたか、奥のほうに明かりがあるのが見えた。

左右に松明が設置され、その真ん中の台座にギアスロールが張られていた。

 

内容は、『大王イカ退治』

 

七はこれがクラーケン退治のギフトゲームだとわかった。

ゆっくりと手を伸ばし、それに触れようと。

 

瞬間、世界が変わる。反転する。

 

一度、経験したことがある感覚を思い出しながら変わった世界をその紅い瞳で映す。

真夜中の荒れた海が広がる世界。唯一の灯りは雲の稲妻だけの世界。その真ん中にポツンと置いてある岩に七は立っていた。

周りを見回すが、クラーケンらしきものは見当たらない。海を見るが、黒を映し海の中は見えない。

しばらく待っていると、小さな泡がぶくぶくと出ている場所があるのを見つけた。

小さな泡はしだいに大きな泡となり、何か大きなモノが浮上してくる影が見えてきた。

ザバァっと水の音を立て触手のような足を十本生やし、うねうねと動かしてその姿を現す巨大な存在。

 

海の魔物、『クラーケン』

 

圧倒的な巨大さに誰もが震え、腰を抜かすほどの存在感が海の魔物にはあった。

七はそれを静かに見上げてから、自らのギフトを発動させる。

すると、周りに黒い霧のようなものが漂い始める。夜の海よりも黒く、空の雲よりも深い闇色がそこにあった。

次第に増えていく黒い霧を、束ねるように手に集め、形作っていく。黒い霧は一本の漆黒の槍となって姿を変える。

それを手に持ち、クラーケンに向けて構える。

クラーケンはそれに答えるかのように足の一本を七に向けて叩きつける。

迫ってくる足に向かって投擲する。槍はクラーケンの足を貫き、弾ける様にその足が消え、槍は暗闇の空へ飛び去ってしまう。

それに怒ったのか今度は残りの足を向けてくる。新たに造りだした槍をその足に投擲していく。

だが、足は再生しどんなに足を貫いても限が無かった。

 

「......」

 

無言で槍の数を増やす七。周りの霧はよりいっそうと濃さを増し槍を形作っていく。

指示を出すかのように手を上げ、それと同時に槍の矛先はクラーケンへと向けられる。

攻撃がくるのがわかったのか、全ての足を使って叩き付けようと迫ってくる。

普通の人間なら、驚いたり慌てたりする光景。そんなことはお構いなしに上げた手を......振り下ろす。

 

漆黒の槍は次々とクラーケンへ投擲され、全ての足を貫き身体に突き刺さっていく。

悲鳴のようなうなり声を上げるクラーケン。

針山のような身体になったクラーケンは本気を出してきたのか、それとも接近戦のほうが良いと思ったのか近づいてきた。

周りに漂わせていた霧を、全て手に集中して集め、槍を創っていく。

それは、今までの槍とは違う形状。捩れている柄。鋭い、三日月のような刃。

雰囲気も霧の量も密度も全く違う、その槍は周りの生き物を震え上がらせる何かを発していた。

クラーケンは既にそこまで迫っている。

 

七は躊躇無く槍を――――放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それで、消える。目の前のものは全て、消えた。海は割れ、雲は切り裂かれ、クラーケンは......岩盤に足だけ残しその姿を消していた。

しばらく、その場を動かない七の前にギアスロールが現れる。

七の勝利が確定した。

 

見終わったギアスロールは淡い光をなって消え、代わりに人の頭ほどある玉が現れゴトッと音を立てて地面に落ちてきた。

 

「......」

 

それを無言で見つめると、あらかじめ持ってきた風呂敷に出てきた玉と……しばらく切り落としたクラーケンの足を見つめたあと数本を包み込む。……あとで食べるつもりだろう。

 

さて、どうするか。と周りの景色は変わり、最初の洞窟とは違う場所へと変わっていた。どうやら洞窟の外のようだ。

外は既に日は落ち、照らすものは空に浮かんでいる月だけだった。

あと、あと一つ。

それをどうするか七は考える。何日経ったのかは解からないが、既に十六夜は動いているだろう。

なら、自分はノーネームの本拠に帰ったほうがよいか。そう考える。

考えながら、跳ぶ。

まるで重力がないかのように、軽々と跳び跳ねていく。

月に照らされ、高く跳ねるその姿は十五夜のウサギのようにも見える。

 

 

時間にして数十分くらいだろうか。高く、跳び上がった時、何かがこちらに向かってくるのが見えた。

何かが、こちらに走ってくるのが見えた。

それは、人だった。

ヘッドホンをつけた男が、走って......

 

「......十六夜さん」

 

逆廻 十六夜がこちらに走ってきた。

一度立ち止まり、十六夜がこちらに来るのを待つ。

数分もたつと十六夜は七に気づいたのか急ブレーキを掛けて七の前に止まる。

砂埃が立ち、むせるが十六夜はわりぃといってヤハハと笑う。

噎せている七は涙めになりながら十六夜の手に視線を向ける。そこには同じ風呂敷に包まれているであろう玉があった。

やはり、十六夜は片方の試練をクリアしていたのか。

七は自分が持っている挑戦権である玉を交互に見る。

それを見て、歩き始める。十六夜が何か言ってくるがそれに答えない。

十六夜を置いて飛び跳ね、ノーネームの本拠へ帰っていく。

七は早く帰りたかった。既にペルセウスのギフトゲームへの挑戦権は用意できた。あとは帰るだけだ。

黒ウサギが心配しているだろう。早く帰らないと。

そう、心が叫ぶように訴えてくる。

 

その後姿を見ていた十六夜は、

 

「こりゃ、明日はルイオスとギフトゲームだな。気合入れていくか」

 

やれやれといった態度をとり、七の後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




も、もうぉ。俺のライフは......ゼロだ。(ガクッ)

えー、遅れたことを非常に申し訳なく思っている作者でございまする。
今回は短めでいっておりますんでそこんとこはご了承くださいな。
さて、次回、やっとペルセウスのギフトゲーム。
アンケート結果で、変態と組むことになりました。
さてさて、一体七のSAN値はどうなることやら......

では次回、お楽しみに
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